今回は短いですが、ここから一日一話で七巻完結まで投稿出来そうです。
イリナとの天界訪問が途中で中断されて、事情を聞いて早急に戻ってきた俺とイリナは、部長たちグレモリー眷属と合流した後に、一誠の家の最上階にあるVIPルームで、ある方と対面していた。その方とは……
「オーディン様! いやらしい目線を送らないでください! こちらの方は魔王ルシファー様の妹君なんですよ!?」
……とまあ、オーディン様である。日本に来た理由は、何でも日本の神々との会談が目的らしい。
ミカエル様が早急に帰還を促したのは、急すぎる北欧の主神の訪問が原因である。……とはいえ、俺もイリナも話自体は終わっていて後は天界でも見てまわろうとしていただけだから問題はなかったが……。
「まったく……お主も堅いのぅ。サーゼクスの妹はべっぴんでグラマーなんじゃから、儂でも目が胸に行ってしまうのじゃよ。それと、こやつは儂のお付きのヴァルキリー。名は……」
「ロスヴァイセと申します。日本にいる間よろしくお世話になります。以後、お見知りおきを」
ロスヴァイセさんは、丁寧に頭を下げる。そして、オーディン様のそばに控えていた一人の男性をアザゼルが紹介する。
「爺さんが日本にいる間は、俺達が護衛をする事にになっている。バラキエルは堕天使からのバックアップだ。俺がいつもいるとは限らないから、その間はバラキエルが見てくれる」
「よろしく頼む」
その人物は、姫島の父親の「雷光」のバラキエル。姫島との件を除けばアザゼル曰く普段はまともな堕天使らしい。普段は……の部分が気になるが、堕天使は大抵堕ちているからまともな奴は少ないと勝手に納得した。
そして、アザゼルがオーディン様に急すぎる訪問について問いかける。
「それにしても、爺さんは来るのが早いんじゃないか? 俺が訊いた話だともう少し後だったような気がするが……」
「少々厄介事……というより儂のやり方に不満があるやつが居ての……それで早めに出てきたんじゃ」
オーディン様の答えはあまり思わしくなかった。オーディン様に意を唱える奴……と考えて直ぐにあの方を思い出した。
ただ、意外とと言ったら失礼だが、まともな理由だったのは良かった。
「厄介事ってヴァン神族にでも狙われたか? お願いだから
北欧神話の世界における終末の日を示す言葉である。それに、アザゼルの言っていたヴァン神族とは、神話において美麗な巨人族と混合される事が多い種族で、歴史では何度かアース神族との抗争をしている。
その為、アザゼルは真っ先にそちらを挙げたようだ。
「ヴァン神族などどうでもいいんだがの。……この話をしても仕方ないの。それより『
しかし、ヴァン神族ではないようで、さらに話がいきなり切り替わる。この切り替わりに部長たちが驚く。
しかし、俺は「やはり、情報は掴んでいるか。それとも、襲撃されたか?」などと若干ずれた考えをしていた。
「ああ。どっかの馬鹿が手っ取り早く、それでいて危険なやり方で増やしているらしい。
アザゼルはそう顔を顰めながらオーディン様へと返答する。すると、その危険なやり方というのに疑問に思ったのか一誠がアザゼル先生に訊ねる。
「その方法ってなんですか?」
それを聞いて、アザゼルは表情を変えずに答える。
「簡単に言えば、世界中の神器所有者を誘拐・拉致をして洗脳。次に強い連中……お前らのような奴ら……と戦闘させ
この二人というのはこの前にいた分身する神器使いとその前に襲撃してきた影の神器使いだ。
一誠の禁手に至らせる為の修行では似たような事をしていたらしいが、誘拐や拉致はしていない上に悪魔は別らしい。それに加え、赤龍帝である一誠が早急に力を手に入れる必要があるからな。
……俺の幼少期の血反吐塗れの訓練は何だったのだろうか……まあ、別に自分自身で理解してやっていたから、非難などはないんだけどな。
しかし……
「……英雄派か……」
「英雄派の正メンバーは伝説の勇者や英雄の子孫が集まっているらしい。身体能力は悪魔、天使に引けを取らないほどだ。ただ、こいつらはオーフィスの蛇には手を出していないようで、底上げや奥の手に関してはさっぱりだ」
俺の呟きに反応するように、アザゼルが英雄派について説明する。
その後、オーディン様の護衛の話が一段落終わると、アザゼルとオーディン様は堕天使経営の……おっぱいパブに行った。ロスヴァイセさんもオーディン様が暴走しないように付いていった。
因みに、オーディン様は出て行く前に俺とイリナに詫びてから去って行った。
そして、残りがオカルト研究部+バラキエルさんになった所で、部長が目で指示したので姫島とバラキエルさんを残してその場を去った。恐らく、二人で積もる話でもあるのだろう……ただし、姫島が未だに父親に対する負の感情を捨て切れていないならわからない。
ただ、冥界の塔城の件の時のあの言葉が本物ならば……。
◇◆◇◆
姫島朱乃とその父親のバラキエルだけになった部屋では、親子の対談というのに、異質な空気が流れていた。
「……」
「……」
沈黙。その一言で表現できる状況である。二名の心境はそれぞれ異なり、朱乃はバラキエル……父へ対する気持ちに今だに素直になれずに顔を俯かせている。
対するバラキエルは、先程の赤龍帝と自分の娘が二人きりで如何わしい場所の近くにいた時には、つい強い言葉を投げかけてしまった事への後悔とともに、このような娘との対談の場を設けて貰った事に感謝の思いがある。
よって、バラキエルが先に口を開くのは当然の事である。
「……朱乃、さっきの事は悪かった……だが、私はお前の事が心配なのだ」
「……」
最初に出たのは先程の事への謝罪。一旦、自身と対面するように同じようにソファーに座る娘の反応を伺うバラキエルだったが、朱乃は俯いたまま微動だにしない。
その事を確認したバラキエルは自分の思いを娘へと伝える。
「あの少年……赤龍帝の噂は聞いている。中には、ち、乳房を糧に活動する……などと過ぎたものもあるが、所詮は噂。それだけで判断するのは愚か者のすることだ」
「……」
途中で、どもりかけたもののバラキエルは言葉を紡ぐ。……が、朱乃は今だに俯いたままで、心境がわからない。そんな事も合わさって、バラキエルは若干ネガティブになりながら言葉を続ける。
「少なくとも、先程の会合では少し性欲旺盛の少年にしか見えんし、朱乃が騙されているような事もあるまい。最終決断は勿論お前の自由だ……不甲斐ない父親を許してくれ……いや、お前の父親と言う資格などないか」
「そんなことはない!」
すると突然、バラキエルの言葉を否定するように朱乃が声を上げて立ち上がる。
「あ、朱乃?」
その娘の突然の行動にバラキエルは呆然と娘を見上げる。朱乃の方は今ので吹っ切れたのか、自身の思いを父へと伝える。
「父さまは、ちゃんと私を守ってくれた! それに、グレモリー眷属……いえ、悪魔になった私にもこうやって接してくれている……! 本当はお父さまが悪くないことなんて、分かっていた! だけど、子供の私にはそれでしか精神を保つ事が出来なかった!」
「朱乃……」
涙を流しながら、自身が隠し続けていた思いを吐き出す朱乃。バラキエルも目尻に涙を溜めながら聞き続ける。
「父さまと母さまと、もっと一緒に暮らしたかった……! 本当は、あの時だって、父さまと暮らしたかった……ッ! それなのに……ッ! 私は……ッ!」
「朱乃ッ!」
だんだんと嗚咽によって言葉がつっかえてきた朱乃に、もういい、とばかりにバラキエルが朱乃を抱きしめる。
そのバラキエルの行動に朱乃は、一瞬動きを止めるが、ゆっくりとバラキエルの胸で涙を流した……。
◇◆◇◆
『…………』
姫島とバラキエルさんを残し、一階へと降りた俺たちは、ただただ上手く事が運ぶようにと願っていた。
二人を残して、数十分が経ち何方に転ぼうとそろそろ動きが見える時間になった。
「お待たせしました」
すると、姫島の声が聞こえ全員が振り向くと、目の周りが泣き過ぎたのか真っ赤にも関わらず、誰もが見惚れるかのように美しい笑顔を浮かべた姫島がバラキエルと手を繋いで歩いていた。
「リアス……私はもう大丈夫よ。心配かけたわね」
今までに見せたことない、決意と自信に満ちた表情で部長に語りかける姫島。部長はその雰囲気に呑まれずに朗らかに返す。
「朱乃は私の『女王』であって、友人でも有るのよ? 当たり前じゃない」
「リアス……」
「朱乃……」
二人は互いに抱き合い笑顔を浮かべる。居づらい雰囲気になったが、気にせずにバラキエルさんが此方に頭を下げる。
「これからも、朱乃とよろしく頼む」
それに対して俺たちは、思い思いに肯定の意を示す。
……これで、姫島も自身の壁を壊せたか。リアス・グレモリー眷属の中では残るはギャスパーにアーシアの支援組くらいか? いや、一誠もまだ『
精神年齢的な年長者として、何か役に立てれば良いんだがな……。
姫島朱乃の件に関しては無理矢理すぎた感が……。
ロキ戦で必要ないのでこうしました。