まさかこいつに憑依するとは   作:Aqua@D

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とりあえず、これで3巻終了。
この作品の今後については、後書きに書いてありますので、よろしくお願いします。




What is an evil spirit?

 

 

 

「何処だ?此処は……」

 

その後、俺が目を覚ますと知らない部屋のベッドで寝ていた。辺りを見回すと窓の外は真っ暗で夜である事がわかる。

 

そして、服が変わっていない事を考えると俺が倒れてから時間があまり経っていない事がわかる。

 

暫くこの場で状況を整理していると、ドアが開き外から紅髪の男性が入ってきた。確か、あの方は……

 

「……サーゼクス・ルシファー?」

 

「うん、そうだよ。もう起きたんだね」

 

なんか、思ってたより軽い性格の人だな……。

 

「え、ええ。それでどうして貴方のような方が此処に?」

 

「妹のリアスの眷属からコカビエルの件に関して助けを呼ばれてね……まあ、それは君が解決してくれたけどね。それで、ついたらリアスに頼まれてね。彼を助けて!ってね」

 

……俺を助けた?

 

「何故だ?」

 

メリットが余り無い気がするが?

 

「何故って……君がコカビエルを倒したって事も有るし、何よりリアスに頼まれたからね」

 

……この人、シスコンか?いや、多分間違いない……そんな感じがする。

 

「……そうですか、失礼しました。感謝致します。失礼ですが、誰が?」

 

よく、俺をここまで回復させたな……と思う。治療の類じゃないからな。

 

「ああ、私の『僧侶(ビショップ)』のマグレガー・メイザースだよ」

 

確か、魔術結社「黄金の夜明け団(ゴールデン・ドーン)」の創設者の一人だったか?あの人なら納得だな、禁術の研究の第一人者なら延命ぐらい可能だろう。

 

「そうですか、それで何故私に会いに?」

 

「……今、君自身の余命は知っているかい?」

 

急に、ルシファー殿の雰囲気がシリアスなものに変わる。余命か……

 

「……ええ。あと数時間程度ですかね」

 

と言うと、ルシファー殿はこう返してきた。

 

「そうだ、私自身も君をこのまま見殺しにはしたくない」

 

「……も?」

 

ん?ルシファー殿が私を見殺しにしたくないのは、妹の為だとしても……私も、って誰だ?

 

「ミカエルと連絡をとって話をした」

 

なんだって!?

 

「ミカエル様と!?……ぐ……」

 

叫ぶと全身が悲鳴を上げた。案外、身体も危ないみたいだ。

 

「余り、声を荒げない方がいい。それで、ミカエルも君をこのまま失うのは、と言っていてね。まあ、最終的には君自身が決める事になったけどね……」

 

 

 

 

 

「死ぬか、生きるかを」

 

「方法は?」

 

わざわざ、ミカエルさまに許可を得ているという事は悪魔が関与する事だとはわかるが……。

 

「簡単だ、君を悪魔にする」

 

俺を悪魔に?

 

「どうやっ……悪魔の駒(イービル・ピース)ですか……誰の?」

 

予想では、あり得るのがグレモリーかシトリーか。それか、サーゼクス殿の知り合いの悪魔か?

 

「勿論、私の妹さ」

 

おっと、ビンゴ。まあ、あいつらとは仲良くできそうだしな。ミカエル様の許可を得ている以上、断る必要はないし……

 

「……わかりました。お願いします」

 

そして、頭を下げる。

 

「わかった。それでは、リアスを呼んでくるよ」

 

そして、ドアに向かって背を向けるサーゼクス殿。その前に確認しておきたい事が……

 

「彼女は今の事は……」

 

「いや、全く知らないよ。これは私と私の眷属、及びミカエルしか知らないよ」

 

……眷属入りの理由なんか考えてないぞ?

 

「では、どうすれば?」

 

すると、申し訳なさそうにするサーゼクス殿。まさか……

 

「うーん……頑張れ!」

 

駄目だ、この人……。

 

「……わかりました」

 

こうなったら、グレモリーが来るまでのわずかな時間に考えてるしかない……!

 

 

 

 

 

 

 

 

「どうしたの、話って?」

 

……結論から言おう、短時間では無理だ。ゴリ押すか。

 

「ああ、単刀直入に言おう。私を悪魔にして欲しい」

 

「え!?……どうして?」

 

「……理由が必要か?」

 

俺が知る中では、驚いてばっかりのグレモリーがまた驚いているが、そちらには利益しかないだろう?と言葉と共に視線で問いかける。

 

「いえ……それもそうね。それじゃあ、貴方にはこれしか無いわね」

 

すると、納得したのか。制服から馬の頭の形をした赤い駒を取り出した。

 

「『騎士(ナイト)』か……」

 

「そう、貴方なら残っている『戦車(ルーク)』でも相性的には可能だけど、実力的にはこちらを使わなきゃ足りないでしょうしね」

 

といって残っている駒の『戦車(ルーク)』を一つ出して俺に見せた。

 

「足りない?」

 

余り悪魔の駒(イービル・ピース)について詳しくない俺は疑問を口にする。

 

「ええ、チェスの駒の価値はしっているわね?」

 

「ああ、ならおかしくないか?『戦車(ルーク)』の方が価値は高いが?」

 

一般的には、ルークは5、ナイトは3の筈だ。

 

「普通ならね、この『騎士(ナイト)』は変異の駒(ミューテーション・ピース)なのよ」

 

変異の駒(ミューテーション・ピース)?」

 

なんだ、その特別な駒は?

 

変異の駒(ミューテーション・ピース)は本来、複数の駒を使うであろう資質を宿した転生体を、この一つの駒で済ませる事ができる特異な駒の事よ」

 

「成る程、それでは頼む」

 

ってことは、さっきの話とグレモリー眷属の奴らを考えると姫島が『女王(クイーン)』、木場が『騎士(ナイト)』、アルジェントが『僧侶(ビショップ)』二つで兵藤は……そういえば、赤龍帝だったな。なら『兵士(ポーン)』全部で『戦車(ルーク)』が塔城か。案外、よく考えればわかるもんだな。

 

「はい、これを胸元に近づけて」

 

考えていると、グレモリーが『騎士(ナイト)』の駒を手渡してきた。言われた通りにすると、駒が俺の体内に入っていった。

 

「……終わりか?」

 

呆気ないな。偏見だが“我、リアス・グレモリーの名において命ず。汝、○○よ、我が『□□』として、悪魔となれ!”とかそんなオカルト満載な事をするのかと思った。

 

「ええ。それじゃあ、よろしくね」

 

と、手を出して言ってきたので

 

「ああ、よろしく。それで俺は今後何処で生活すればいいんだ?」

 

と、握り返してから質問をした。

 

「まず、貴方の待遇について話させて貰うわ」

 

「ああ、了解」

 

 

 

 

 

 

 

 

「……え"?悪魔って本当?」

 

「確認するまでもないだろう?」

 

翌日、グレモリーから処遇について話された俺は、一先ずイリナの様子を見にきていた。そして、自分が悪魔になった事を明かした。

 

「……後悔はしてないの?」

 

「……してない……と言いたいが、あの人に再会した時が怖い」

 

あの人には頭が上がらない……。

 

「……ふふふ、ゼノンらしいな。分かった、それじゃあ私だけで報告しに行くね」

 

俺らしいって何だよ?とりあえず、エクスカリバーを渡す。

 

「ああ、済まないな。ほら、エクスカリバーだ」

 

「うん……って何で全部核だけなの!?」

 

イリナが驚く。

……そういえば、イリナは知らなかったな。

 

「気にするな。そういえば、身体は大丈夫か?」

 

話題を変えて流すか……。

 

「うん、ゼノンの治療のお陰よ」

 

「にしては、俺が起こすまで寝ていたけどな」

 

流石にダメージが抜けきれなかったのかぐっすり寝てた。

 

「もう!それは言わないでってば!」

 

頬を膨らませて怒るイリナを見て、自然に顔が綻ぶ俺。

釣られてイリナも笑顔になった。

 

そして、話が途切れて沈黙が続く。

 

「……じゃあな」

 

このまま、こうしている訳にもいかないのでイリナに別れを告げる。

 

「……ううん、またね!」

 

すると、イリナは笑顔で言って。立ち去っていった。……あいつも、俺が悪魔になったとはいえ変わらなかったな……ありがとう、イリナ。

 

 

 

 

 

 

 

 

イリナと別れてから数日後、グレモリー……いや、部長(と呼べと言われた)から放課後の部室に来るように頼まれた。ちなみに、未だに来ない兵藤とアルジェント以外には自己紹介を済ませてある。

 

「遅れてすみません!」

「遅れてごめんなさい」

 

ドアを開けてオカルト研究部に入ってくる二人。そういや、部長から聞いた話によると部長とアルジェントは兵藤と同棲しているらしい。それを聞いて“流石、ハーレム王を名乗るだけあって女を落すのは容易いのか……”と、男として戦慄したが、話を詳しく聞くにあいつも、鈍感無自覚ハーレム形成野郎らしい(実際、そこまで言われていない)。まあ、それはそれで楽しめそうだ。

 

「遅かったな、兵藤とアルジェント」

 

とりあえず、声をかける。

 

「あれ?ゼノンさん、どうしてこちらに?」

「え、え?なんで教会側の人間がここに?」

 

そして、当然の反応をいただいた。説明するのが面倒なので悪魔の翼を出す。

 

「部長、貴重な駒をいいんですか?」

 

すると、わかったのか兵藤は部長に質問する。

 

「ええ、デュランダル使いが眷属にいるのは頼もしいわ。これで、祐斗と共に剣士の二翼が誕生したわね」

 

と、満足気にいう部長。すんなり納得してくれたので俺も嬉しいです。

 

「そういえば、イリナは?」

 

すると、兵藤が思い出したかのように俺に問いかけた。

 

「イリナなら、既に私のエクスカリバーを合わせた五本とバルパーの遺体を持って本部に帰った。砕けているが、奪還の任務は成功。芯があれば錬金術で再び聖剣に出来るしな」

 

じゃなきゃ、俺もあんな事はしない。もうする気も起きないがな……今度は死ぬだろうしな。

 

「……教会を裏切って良かったのか?それに、エクスカリバーも返しちゃって良いのか?」

 

……そこを指摘されるとはな。

 

「裏切り……か、一応悪魔になった事は、上からは許可は得ている。しかし、一応エクスカリバーは返さないと不味い、デュランダルとは違って、使い手は他に見繕えるからな」

 

ミカエル様がまさか許可するとはな……何故だ?

 

「教会は今回の事で悪魔側……つまり魔王に打診してきたそうよ。

“堕天使の動きが不透明で不誠実のため、遺憾ではあるが連絡を取り合いたい”と。それとバルパーの件についても過去逃した事に関して自分達に非があると謝罪してきたわ」

 

さらに、部長が続ける。

 

「今回の事は、堕天使の総督アザゼルから、神側と悪魔側に真相が伝わってきたわ。

 

エクスカリバー強奪はコカビエルの単独行為で他の幹部は知らない事だった……とね。

 

あと、近い内に天使側の代表と悪魔側の代表と堕天使総督のアザゼルが会談を開くらしいわ。なんでも堕天使総督から話したい事があるみたいで、その時にコカビエルの事を謝罪するかもしれないなんて言われているけれど、あのアザゼルが謝るかしら」

 

なんだ、そこまで毛嫌いするのか?なんか個人的に因縁でもあるのか……?面白い奴だとは思うし、決して悪い奴では無いのにな……堕天使総督としてはどうかと思うが。

 

「私たちもその会場に招待されているわ。事件に関わったから、報告をしないといけないの」

 

成る程、だからか。俺が死んだらコカビエルの件で一番功績を上げた奴がいないのは不味いからか。

 

「ということはどちらにせよ、私は出席する必要があるのか」

 

一応、カモフラージュに言っておく。いずれ話す事にはなるとは思うが。

 

「ええ、そうね。コカビエルを倒した張本人が欠席なんてあり得ないわ」

 

まあ、何時になるかわからないがそう遠くはないだろう。俺の勘がそう告げている。

 

「そうだ、ゼノン……さんに聞きたいんだけど、白い龍(バニシング・ドラゴン)は堕天使側なのか?」

 

話が終わった所で、兵藤が訊ねてきた。……何故、さん付け?

 

「そうだ。アザゼルは神滅具

(ロンギヌス)を持つ神器(セイグリット・ギア)所有者を集めている。私が知る限りだと後は『黒刃の狗神(ケイネス・リュカオン)』の刃狗(スラッシュドッグ)が堕天使側に協力しているよ。あと、白い龍(バニシング・ドラゴン)は「神の子を見張る者(グリゴリ)」の幹部を含めた強者の中でも上位クラスで、現時点で宿敵のお前よりも断然強いだろう、と忠告もしておこうか」

 

これくらいは、喋っておくか。ただ、アザゼルが神器(セイクリッド・ギア)の所有者を集めている理由は話す必要はないだろう。

 

「それでは、私は失礼する。転校するにあたって、まだまだ用意が終わってない……それに、今回は顔見せが目的だったしな」

 

これ以上、質問も無いみたいなので部室を出ようとするが……

 

「あ、あの!」

 

突然、アルジェントに引きとめられた。アルジェントに視線を向ける。

 

「今度の休日、みんなで遊びに行くんです。一緒に行きませんか?」

 

屈託のない笑顔で言うアルジェント。今度か……微妙だな。

 

「今度、機会があればお願いしよう。今回は気が乗らないな……そうだ、忠告しておこう」

 

そして、俺は少し意地の悪い笑顔を浮かべる。

 

「え?」

 

突然の俺の言葉に首を傾げるアルジェント。

 

「そういう笑顔は好きな人にだけ向けるといい……まあ、それが君の魅力なんだとは思うがね……」

 

と言って、笑顔を浮かべたままチラとアルジェントにわかるように兵藤をみる。

 

「え!?……あう……」

 

理解したのか、アルジェントは真っ赤になる。……これが、愉悦か……!(違います)

 

「ではまたな、学園でまた会おう」

 

アルジェントが狼狽えているのを眺めていて俺を視界にすら入れてない兵藤や苦笑している木場やあらあら、と言っている姫島、興味がないのか羊羹を食べ続ける塔城にまた驚いている部長を尻目に更にアルジェントを狼狽えて俺は部室を出て行った。

 

 

 

 

 

こうして、俺の悪魔生活が幕を開けたのである。

 

 





どうも、この作品を読んでいただきありがとうございます。

連載についてはUA10000orお気に入り件数150のどちらかを越したら、連載にしようかと考えています。

越しましたら、活動報告にて。




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