不死の旅~in the Drangleic~   作:追星 翔

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とある不死の記憶 1

「はぁ……はぁ……っ!」

 

 街のはずれにある森の中。

 日はすでに落ちており、辺りは闇で埋め尽くされている。

 そんな中を、俺は一人で走り回っていた。

 

「畜生……っ! 何で、俺がこんな目に……!」

 

 愚痴を漏らすが、そんな愚痴は誰の耳にも届かないだろう。

 ここは、森なのに生物が何にもいない、ということで有名だからだ。

 仮にいたとしても、”不死”の呪いを受けた俺の姿を見たら、一目散に逃げだすか、襲い掛かるかのどちらかだろう。

 

 不死の呪い。

 それは、人が人ではなくなってしまう呪いだ。

 この呪いにかかった人間は、ただ”ソウル”というものを求める”亡者”になってしまう。

 大昔から存在していた呪いのようだが、今までそんなものは見たことも聞いたこともなかった。

 だが、そんな呪いに俺はかかってしまった。

 

 初めて気づいたのは、俺がトラックに轢かれた時だろうか。

 病院で、家族に手を握られながら息絶えたはずなのに、気づけば、見知らぬ場所で座っていた。

 座っていた場所のすぐ近くに、炎があった。

 骨粉や骨で作ったような、小さな山の頂上に、錆びたように見える剣が刺さっている。

 不思議と、この炎を見ていると、癒される気がした。

 

 しばらく炎を見つめ続けていたが、現状を確認しなければと思い、体を起こした。

 起こした時に気づいたのだが、俺は服をまとっていなかった。

 それだけじゃない。

 肌が、腐ったかのように黒く染まり、所々肉が無く、骨が見えている部分もあった。

 

 このままではさすがにまずいと思い、まずは服を探そうと、すぐ近くにあった街へ向けて歩き出した。

 

 ……今思えば、それがそもそもの間違いだった。

 何故、何も着ないで街へ行こうと思ったのだろうか。

 

 案の定、街について初めて会った人には”化け物”と呼ばれ、年老いた男性からは”不死”と呼ばれた。

 呼ばれて、自分の体に起こったことに気づいた。

 

 不死の呪いは、絵本にもなっており、この呪いを基にしたゲームもある。

 どちらでも、不死の呪いは不吉なものとして扱われてきた。

 だから、現実に目の当たりにした不死に対しての反応としては、正しいものなのだろう。

 ……ただ、それなりにキツいものがあるな……他人に化け物と呼ばれるのは。

 

 そして、街から走って逃げだしてきて、今に至る。

 

「くそ……本当に、何で不死なんかになっちまったんだ……っ!」

 

 いくら後悔しても、なってしまったものは仕方がない。

 そう割り切るのは、まだ16歳の俺には無理だった。

 できる人間もいるのだろうが、チキンな俺には不可能だ。

 

 走る、走る、走る、走る。

 

 どれだけ走ってきただろうか。

 気づけば目の前には、月の明かりに照らされている、大きな湖があった。

 ……その湖に落ちかけたのは、やはり日ごろから運が悪いとばかり言っているからだろうか?

 

「……はぁ、はぁ……」

 

 走り続けたことに対する疲労のせいか、息遣いも荒くなってしまっている。

 足の力が抜け、座り込んでしまったその瞬間、不意にめまいが走った。

 視界が表現しがたい色に染め上げられ、次の瞬間には、湖に黒い霧のようなものがかかっていた。

 

「え、え、えっ、ちょっ、待て待て待て待てっ! 何だよこの黒いのっ!」

 

 何処から現れたかもわからず、黒に染められている霧なんて、生まれてこの方見たことがないため、今、かなりビビってます。

 

 やがて霧は渦を巻き、その中心は霧の色よりも更に黒く黒く染まっており、中二病だったら何かダークネスとか叫んでいる頃だろうか?

 ……黒歴史を何故ほじくってしまったのだろうか。

 そんな疑問もあるのだが、それよりなにより……なぜか、この中心に飛び込みたいという衝動が起きた。

 その衝動は強かったのか、気づけば体は宙を舞い、渦の中心に向かって落ちていた。

 

「あ、ああああああああああいきゃんふらいじゃねええええばあああああああああっ!!!!」

 

 ……ツッコミ交じりの叫びも空しく、俺の意識は刈り取られた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 閉ざされたまぶたの上から、ぼんやりと明るい光が見える。

 

「……ん、んん?」

 

 目を開けると、最初は目の前の景色がぼんやりとして見えたが、しばらくすると目が慣れたのか、次第にはっきり見えるようになった。

 

「こ、ここは……?」

 

 遠くのほうでは、何か眩しい光が見える。

 だが、周りは岩で囲まれており、その光以外の光源は見当たらない。

 

 ということは、ここはどこかの洞窟の中なのだろうか?

 

 だが、意識を失う前は、こんなところにいた覚えはない。

 あの渦の中心に落ちたからここに来た?

 

 だが、体を起こして上を見上げても、穴のようなものはまったく見えなかった。

 

「……とりあえず、明るい場所に行こう」

 

 ここに居ても何もわからない。

 そう思い、俺は光の出所に向かうことにした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ぬおおおおおおおおわああああああああああっ!!??」

 

 出発してから数分後。

 

 光に向かって歩いていたのはいいのだが、民家が道をふさいでいるせいで通ることができない。

 見ず知らずの人がずかずかと入るわけにはいかないので、仕方なく周りを探索していたら、岩でできた門のような場所があった。

 その先には大きな足跡が見えていたが、何がいるのかが気になったので、その先を見に行くことにした。

 

 それが、大きな間違いだったようだ。

 

 少し進んだ先には、とてつもなく太った、白い一つ目の化け物がいたのだ。

 

 その時に俺は驚いて叫び声を上げてしまい、そのせいで化け物に気づかれてしまったのか、俺と化け物の鬼ごっこがスタートしてしまった。

 

 そして、今もなおその最中である。

 

「うわああああああ誰か助けてくれぉおあああああああああ!!!」

 

 ……しかし、その声に答えてくれる人はいなかった。

 

 あっ、そうだ! つり橋に逃げればいいじゃないか!

 あいつがあのまま追ってくるなら、きっとつり橋がぶっ壊れてくれるはず!!

 

 広いほうに逃げようとしていた体の向きを、つり橋に無理やり向かせ、そのまま足を動かした。

 当然のように化け物は追ってきている。

 

「ふっ、バカめっ!!」

 

 つり橋を渡り切った後に、そう宣言してやった。

 

 そのまま俺を追いかけ続けて、死を迎えるがいいっ!!

 

 ……しかし、あの化け物は賢いのか、それ以上俺を追ってこようとはしなかった。

 

「……何だ、賢いでやんの」

 

 そして、化け物は元の位置に戻るように、岩の門をくぐって去っていく。

 それと同時に、一気に腰が抜けて、俺はその場に座り込んだ。

 

「ふ、ふぅ……危なかった……。いくら不死とはいえ、死にたくはないしな……」

 

 ……少し、休むとしようか。




さて、いかにぶち壊せるだろうか((
ちなみに、主人公は異国シリーズも持たず、素性も持たざる者設定です。
見てるだけで寒々しいですね。
ちなみに、デスムーミン(化け物)さんは、ゲームでは岩の門からは出てきません。
……まぁ、体がつっかえるんでしょうね、きっと。
で、でもあっちのムーミンさんよりこっちのムーミンさんはちょっと小さい、は、ず!!
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