その後最後まで行きたくないと駄々をこねていたエピロを無理矢理つれて、図書館に来た俺たちはなぜかあっさりとドラゴンの孵化に関する本を見つけれていた。
「なんか氷水にいれるって書いてるぞ。」
という俺の言葉がよほど信じられないのか漫画を読んでいたエピロが俺の持っていた本を凄い勢いで取り上げて読みはじめた。
「本当ね…卵って普通温めるものだと思うんだけど……この種族は変なやつなのね」
「変とかいってやるなよ・・・。」
「この変な種族凄いみたいよ。うまく育てれば言葉も話せるみたいだし、魔法がつかえるようになったり、人化なんかもできるようになるみたい」
「人の話を聞け!」
俺はつい怒鳴ってしまった。無論これが原因で俺たちは1週間ほど図書館から出禁をくらった。
「あーあ、漫画がいいところだったのに続きが読めなくなったじゃない!どうしてくれるの!」
帰宅途中からエピロはずっとぶつぶつと文句をいっている。俺はエピロを無視して洗面器に水を張り氷を浮かべて冷やしはじめていた。
「ちょっと、無視しないでよ!」
とエピロが騒いでいるがとりあえず無視をして卵を氷水の中に入れた。
「えっと。たしか卵は1週間ぐらい冷やしっぱなしだったな。……てことはまさか1週間徹夜して氷の追加をしなきゃいけないのか!おいエピロ夜手伝ってく………」
エピロの方をふり向きながら手伝ってほしいと言おうとして止めた。エピロが耳を抑えてうずくまっていたからだ。
「はぁ…おいエピロ聞けよ。」
「夜遅くまで起きて卵の世話をするなんていやよ!夜更かしは美容の天敵なんだから!」
と力説されてしまった。悪魔って夜行性じゃねーのかよ・・・。
「じゃあ俺が学校にいっている間だけでいいからやってくれないか?」
俺がため息交じりにそういうとエピロは渋々ながら同意してくれた。
こうして結局一日目がすぎていった。
数日がたった。俺はいつものように担任の白羽糞ババアからの罵倒を浴び、帰宅した。
「はあ~今日も散々な1日だったぜ。」
「うむ、特にあの金剛寺とか言う奴に弁当箱を振られて中身が台無しになる奴は酷かったな。」
「全くだぜ、俺がちょっとモテルの糞野郎にぶつかっただけなのによー。」
そんな他愛もない会話をしていると、エピロが興奮気味に走ってきた。
「高司!見て!」
「なんだよ?って」
そこには若緑色のドラゴンがまさに今殻を破ろうとしていた。
「うお!生まれそうじゃん。」
「うむ、そろそろだな。」
その様子が何となく鳥に似ていたのかエピロが1つボンノーに質問した。
「やっぱりドラゴンも初めて見た人が親と認識するのかな?」
「む?いやこのドラゴンの知能は人間の9~10歳程度の知能を持つらしいからそうとも限らんぞエピロよ」
「あれ、ボンノー結構詳しいな。」
なんだかんだやってると、殻の音が激しくなってきた。
バキバキビキ、バキィ!!!
「相棒よ、生まれるぞ!」
ボンノーがそう言った後、数十秒経ってついに完全に孵化した。
しかし生まれたてなのか、うまく立てないみたいだ。それにしても可愛い見た目のドラゴンだ。
「キューン、キュキュ・・・」
「可愛い!」
エピロが興奮してドラゴンに飛びかかろうとした。
「おい、待て!」
その瞬間ドラゴンは急に走りだし。そのままエピロは床と濃厚なキスをした。
ゴン!
「ん?なんだアイツ、ビニール袋を掴んだぞ。」
あれには前回カリエルから取り返したエピロの魔力が入ってる。微妙な光を放っていて、夜に本を読むときちょうどいいから実はまだエピロに返していなかった。
「そして、玄関から出たぞ。」
「相棒よ、あ奴は中々やるドラゴンだな。」
「そうだなボンノー。」
「「あはははははは」」
「っじゃないわよ!!!さっさと追いかけるわよ!」
いやーたまにはボケるってのもいいもんだ。てか、ボケてる場合じゃないな、このままだと街がパニックになってしまう!!!急いで追いかけなければ!
「あっ、ちょっと待って鍵閉めてねーや」
俺は鍵を閉めてないのを思い出して玄関にかけ戻ろうとした。
「そんな暇ないでしょうが!!」
呪いで俺に触れられないため、エピロは俺の襟首を日除け傘の取手で引っ張って阻んだ。
苦しい!グェェ・・・
「やめろよ!!鍵閉めは超大事だって!空き巣入られるって!」
「空き巣なんて、そんなに簡単に入られないわよ、それよりもこっちの方が危険だしね。」
「そうだぞ、相棒ドラゴンとは一歩間違えたら100の村を滅ぼす力を秘めているのだぞ、空き巣の比ではないのだ」
そう言いながらもエピロはどこにそんな力があるのかって言う力で俺を引きずって、俺の体が玄関からドンドン離れていった。
「鍵閉めーーーーー!!!」
俺の悲痛な声が住宅地に木霊した・・・・