屋上に着くと奴は何やら魔法を唱えはじめた。
「ボンノー、アイツは何をやってるんだ?」
(恐らく邪魔が入らないように結界を張ってるんだろう。)
「そうか、じゃあ思いっきり暴れてもいいってことだな・・・。」
この会話が終わると同時に結界がはりおわったらしい。天使は正面から立ってポケットからコインを取り出した。
「このコインが地面に落ちたとき・・・そのとき戦闘の合図だ。いくぞ?」
キイィーン
コインが高い音を立ててなり、次の瞬間天は神々しい羽を出した。
「これから、殺される君に僕の名前を教えてあげよう。神速のカリエル・・・この学校では狩林幸太と名乗ってい・・・」
奴が喋ってる間にコインが地面に落ちた。
俺は相手が名乗り終わらないうちに斬りかかった。
名乗り出るなんて日本では、元寇の時代に廃れた文化だぜ!
「相棒よ、話を聞かなくて良かったのか?」
ボンノーがあまりの悪どさぶりに質問してくる。
「良いんだよ、俺らはライダーや戦隊モノの悪役じゃない!相手の変身シーンを見てるうちに攻撃してしまえば・・・」
シュッ!
斬ったという感触は無かったが、それは魔剣であるボンノーの斬れ味の良さ故にだろうと思い、安心して振り返るとそこに天使がいた。
ズン!!!
「っっ!?」
声にならない声が出た 。
ドガッ!!!
俺は奴から蹴りを受け、気づけば落下防止の金網に打ち付けられていた。
「言っただろう・・・僕は神速のカリエル。君の動きじゃ神速には追いつけない!あと、人の話はちゃんと最後まで聞け!!」
怒り混じりにそう説明されたが、最後の部分が本題な気もする、だが確かに奴に不意打ちの攻撃は当たらなかった。
「ボンノー、あいつ初手にしては強すぎじゃないか?」
「仕方無い、天使とは人よりも数段も強いモノだからな。」
「勝つ手はないのか?」
俺は運動神経は割とあると言っても武術や剣術を習ったわけではない。まして今の攻撃が外れた俺に為すすべはなかった。
「くそ、どうすりゃ良いんだ?」
「欲望を溜めるのだ。相棒、中等部二年の時「俺の煩悩は余裕で108以上ある除夜の鐘如きでは傷一つけられぬは、ハッハッハ」と言ったことがあるであろう、相棒ならできる。」
俺の黒歴史が一つオープンされていた。
「なんでお前がそれを知ってんだよ!人の黒歴史勝手に公開してんじゃねえよ!」
俺が文句を言っているとボンノーは
「何を言っている相棒よ。我は伝説の魔剣だぞ。」
・・・と、さも当然の様に答えた。
「なに?魔剣て、なんでもありなわけ?・・・まぁいいや、それで欲望を溜めるって言ったってそんな暇あんのかよ?あいつ神速らしいぞ。」
「なに、時間なら我が稼いでやろう。」
俺の問いにボンノーは答えた。
「話しは終わったかい?なら、バイバイだ!」
狩林が話しかけてきた。なんとこいつは俺とボンノーの話しが終わるのを待っていてくれたらしい。腐っても天使っててとこか・・・。
刹那、狩林の姿が消え俺の目の前に奴の拳が迫ってていた。ヤバ、俺死んだわ。死ぬ前に一度くらいモテたかった。