ガキーン!
次の瞬間、俺の右腕が勝手に動き奴の拳を阻んだ。
「なにやっている相棒よ。言ったであろう、我が時間を稼いでやると。」
「え?なにしたんだよボンノー?」
「我は伝説の魔剣であるぞ。当然幾多の戦闘の経験がある。奴の攻撃は出来る限り我が防ごう。その代わり少し体を借りるぞ。」
そして、そこからはボンノーが俺の体を操り狩林との激しい攻防が始まった。
・・・あれ、これ俺いらないんじゃね?とか考えていると奴の攻撃が激しさを増した。
「なにをしている相棒!言ったであろう、欲望を溜めろと、幾ら我でもこれがいつまでもつのかわからないのだぞ!!」
ボンノーが珍しく声を荒げて言った。欲望を溜める・・・か。
欲望ってのは何もしなくても自然と生まれてくるものだ。
だが自分から望んで欲望を出すっていうのは聞いたことがねーぞ・・・。
ダメだ、考えれば考えるほど欲望からかけ離れていくようだ。
さっきから激しい攻防が延々と続いているが、俺はまるで迷宮にもはいりこんだかのように、思考が停止しかけた。
「ほらほらほら!さっきからボクの攻撃を防いでばっかりじゃないの?」
ガキガキガキ!ギュイン!!
「ウグ、相棒よ急いだ方が良い・・・。そろそろ奴の剣が通ってきたぞ。」
ボンノーがそう言ったときだった。
ビシュ!!
遂に奴の剣が俺の左ほほをかすり、そこから血が出てるのが確認できた。
「まずいな、このままだと・・・。」
だがさっきから一向に欲望が貯まらねー・・・いや溜めかたがまだわかんねー、どうすりゃいいんだ?俺が迷ってるとボンノーが助言をしてくれた。
「相棒よ、深く考えるな。朝に相棒は欲望を出せただろう」
そうだ、俺は朝モテルにムカついて・・・怒りで・・・。
そう思った次の瞬間ボンノーが奴に弾かれてしまった。
「つまらないな、君も魔剣も、いやニンゲンはつまらないな・・・。」
「怒り・・・怒り・・・」
こんな状況にもかかわらず、俺は朝の出来事を思い出して怒りをつくろうとしていた。
「ククク、おい高司!お前の相棒は向こうに転がってるぜ、取りにいかないのか?」
はっとなった。すぐさまボンノーを取りにいかなくては!
「まあ、取った所でそんなゴミ箱に捨てられた魚の骨なんてなんの役にもたたないだろうけどね。」
ブチン!!
俺の中でなにかが切れる音がした。
「今、お前ボンノーの事を何と言った?」
「おっと、怒るか?何度でも言おう、ゴミの中の魚の骨・・・」
俺は・・・無意識に体が動き、ボンノーを手にしていた。
「うおおおあああ!!」
ギィン!!!
「バカな、さっきとはパワーが格段に違うぞ。」
「キタキタキタ!相棒よソレだ、ソレ!さあここから反撃といこうではないか!」
だがボンノーの声は俺に届いてなかった。
ガキーン!ガキ!キィン!ガキガキガキ!!!
力任せの剣撃だが、だんだんと奴に追い付いてきた。
「く・・・調子に、乗るなあ!!!」
ギュイイン!!!!
再びボンノーが弾かれ、俺の頭上を舞った。
「はあはあ、糞が!てこずらせやがって。」
「まだ終わってねーよ!」
バキィ!
俺が右の拳で思いっきり奴を殴ると、そのまま向こう側の金網に体をぶつけていた。