鎮守府への道   作:ariel

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前話の山野提督の根回しが、いよいよ効果を発揮する回になります。そして…こちらも現実世界ではよくある話ですが、勝負が決まった後でも絶対に立場を変えない抵抗勢力の人達。とはいえ、こういう人達が居るからこそ、ある程度安定した運営が出来る訳で…実はこのような抵抗勢力の皆さんは、非常に重要な立ち位置にある…と私は思っています。そんな事で、このような抵抗勢力の役割を、古参艦の皆さんが引き受ける事に…。


第二十話 新司令長官

横須賀鎮守府 小会議室  長門

 

 

「やはり…届かないか。」

 

「長門?やっぱり、米田中将は難しそうなの?」

 

「そうだな…陸奥。私の読みでは、お互い過半数には届かない。」

 

私達戦艦娘が推している米田中将は、艦隊勤務の叩き上げで真の武人でもある。そのため、戦艦娘の全てが米田中将を推していれば、米田中将の次期司令長官職は確定しているのだが…。やはり金剛達は、山野提督を推すのだな。いや…山野提督と金剛達の関係を考えれば、そのほとんどを山野提督と過ごしている金剛と榛名が、山野提督を支持する事はまだ理解出来る。しかし、比叡と霧島は米田中将を支持すると思っていたのだがな…。

 

比叡と霧島に話を聞いた限りでは、あの二人も確実に山野提督を支持するだろう。先日まで、あの二人は迷っていた筈なのだが、一体何があったのか…。いや…相手候補の山野提督は、米田中将とは異なり、赤レンガの住民でもあった提督。おそらく裏から何か手を回して、私達が比叡と霧島の支持を取り付ける前に、自陣営に取り込んだ…ということか。

 

「長門、陸奥?やはり届かないようですね…。」

 

「敷島様…危惧していたとおり、米田中将を支持する艦娘は、私達の他に、伊勢、日向、扶桑、山城、そして敷島様と朝日様…おそらくこの8票になるかと…。」

 

「私の考えと同じですね。流石に富士さんにお願いするのは、難しいでしょうし…困りましたね。いえ…おそらく山野提督は、自陣営からの脱落は絶対にさせないでしょうから、此方の方が不利かもしれませんね…。」

 

敷島様がこちらに付いた事で、自然と朝日様もこちらに支持を表明してくれている事は、ありがたい事だが、それでも届かないか。それに敷島様が懸念している通り、山野提督は自陣営を完全に固めているようだ。山野提督がここまで育て上げた空母娘達からの造反はありえない、それに金剛姉妹を完全に取り込んだ今、山野提督が持つ8票を切り崩すのはほぼ無理だろう。…となると、可能性としては富士様が持つ最後の1票の行方だが、これも敷島様が考えているとおり、責任を負うことが出来ない富士様が、自身の票で決定する事は絶対に避けるだろう…いや、これは富士様に良識がある…という事でもあるのだがな。

 

それに引き換え、こちらは山野提督程、自陣営が固められているとは思えない。勿論、私や陸奥は最後まで米田中将を推そうと思って居るし、おそらく敷島様と朝日様も最後までこちらに付くだろう。しかし伊勢、日向、扶桑、山城については、そこまで固い支持と断言は出来ない。いや、あの山野提督のことだ。ここから間違いなく、こちらに揺さぶりをかけてくる事は火を見るより明らかだ。

 

「敷島様…一応、富士様に話をしてもらえないだろうか?それと、私は米田中将にもう少し票の取り込みをするように伝えてくる。」

 

「分かりました、長門。私から一応、富士さんにお願いをしてみますが、あまり期待しないでくださいよ。流石に富士さんの意思を変えさせる事は、私でも難しそうです。それに…富士さんの考え方は、ある意味正しいのですから。」

 

敷島様の言っている事は、いつもそうだが、非常に正しい。たしかに富士様をこの状態で説得する事は困難だろう。だがそれでも一応、敷島様としては話を持っていってくれるという事か。ありがたいことだ。

 

…しかし、私も米田中将にお願いはするつもりだが、こちらも難しそうだ。米田中将は、山野提督とは異なり小細工が嫌いな方。間違っても、山野提督のようには動かないだろう。…いや違うな。そのような実直さに惹かれたからこそ、私も含めて戦艦娘達は、米田中将を信頼しているのだからな。だからこそ、私としては是が非でも米田中将を司令長官職に就けてやりたいのだが…。

 

「敷島様、陸奥。とりあえず一度、私は米田中将のところに行ってみる。お互い、最後まで頑張ろう。」

 

 

 

横須賀鎮守府 談話室  扶桑

 

 

まさか私達に山野提督が接触してくるとは思いませんでした。私達戦艦娘の多くは、既に米田中将を支持する事を決めていますから、今更山野提督の説得を受ける事は無い…と私は思います。ただ流石に私も立場的に、山野提督の話を聞かずに無視をする…という事は出来ません。一応、妹の山城にも同席してもらっていますし、お話だけでも聞いてみましょう。

 

「扶桑さんも、山城さんも、急がしい時に時間を作ってもらって、すいませんね。」

 

「山野提督?来週の投票でしたら、山城も姉様も米田中将の支持は決めています。今更旗色は変えないわ。」

 

「山城?山野提督に、あまり失礼な事を言っては駄目よ?ですが山野提督?妹の山城の言うとおり、私達は立場的にも旗色を変える訳には行かないのです…ご理解ください。」

 

「おや、警戒させてしまいましたね。勿論、本心としては私への支持に切り替えて欲しいというのは確かです。ですがそれが難しい事も理解していますよ。私としては、その妥協点が作れる提案を持ってきたつもりなのですがね…。一応聞きませんか?」

 

あら…これは私も山城も少し早とちりしていたのかもしれませんね。山野提督は、本音も言っていますが、それが難しい事もご理解されている様子。それにしても、妥協点というのはどういう事なのでしょうか。こればかりは聞いてみるしかなさそうですね。

 

「申し訳ありません、山野提督。私達姉妹の早とちりでした。しかし、その妥協点…というのはどのような事でしょうか?」

 

「扶桑さん、それに山城さん?今回お二方が米田中将を推している目的、これは米田中将の許で二人とも働きたい…という事ですよね?そして、米田中将と共にこの横須賀鎮守府を守っていきたいと思っている…違いますか?」

 

「そ…そうですけど。」

 

山野提督は、何を言おうとしているのでしょうか。山野提督が言っている事は当然そうですし…だからこそ、今回のような投票による司令長官候補の選出を行っています。山城も不思議そうな顔をしています。

 

「扶桑さん、山城さん。もし私が司令長官となった場合、私は呉を本拠とした鎮守府を作る予定ですし、基本的に機動部隊を中心とした部隊で赴任予定です。そして次に深海棲艦との戦いが始まるまでの平時は、横須賀に戦艦部隊、呉に空母機動部隊を置く態勢にするつもりです。おそらく横須賀鎮守府の事は、米田中将に任せることになるでしょうね。そして、この案は既に軍令部の内諾も得ていますから、間違いなくこのような形で動くでしょう。」

 

「えっ…それじゃ、もし山野提督が選ばれたとしても、私達の配置はそのまま横須賀鎮守府で、米田中将が横須賀で指揮を執るのですか?しかも軍令部も認めているなんて…。姉様、どうしましょう。」

 

「山城、落ち着いて。山野提督、それは本当の事でしょうか?そうだとすると、今回の投票そのものにほとんど意味が無くなってしまいますが…。」

 

…まさか、こんな事になっていたとは、私も山城も驚いています。いえ、山野提督は花頂宮軍令部総長と懇意である事は知っていますし、おそらく既にその方向で軍令部と調整も済んでいるのでしょう。そして海軍省は、山野提督が佐官時代まで過ごした古巣。当然こちらにも根回しが終わっている筈です。そうなると、山野提督を次期司令長官として選び、新たに呉に鎮守府を立ち上げる事が、帝国海軍の総意…という事でしょうか?いえ…一点確認があります。

 

「山野提督…一つ教えてください。山野提督は、平時は二つの鎮守府に分ける事を言っていますが、戦時はどうなるのでしょうか?」

 

「扶桑さん、戦時の大規模な戦いでは、当然司令長官である私の許に戦艦娘など、多くの艦娘が集中的に配備される事になるでしょう。しかし小回りが必要な作戦も当然出てくるでしょうから、全てを一つの鎮守府に統合…という形にはならないでしょうし。軍令部もそのような考えはないでしょうね。ですから戦時になったからと言って、米田中将が完全に外される…という事はありえませんよ。」

 

「戦時であっても、横須賀鎮守府が無くなる事はない…という事で、お約束してもらえますか?」

 

「当然ですよ、扶桑さん。戦時であっても、新艦娘の訓練や、小規模作戦用の艦娘の分散配置、海上護衛任務用の艦娘の整備…そしておそらくあると思われる、外国からの艦娘の受け入れ。これらを横須賀鎮守府で行い、最適な時期に連合艦隊司令部がある呉鎮守府に回航する…などの使い方が想定されます。それに…横須賀鎮守府は、三笠が居る場所です。また南郷提督も予備役や相談役として、この辺りに居るでしょうし…帝国海軍の根拠地が、ここから無くなる事は想定できませんね。」

 

なる程…。新たな鎮守府が呉に出来る事は、既に帝国海軍の決定事項のようですね。しかし、全てを一つの鎮守府に纏めてしまう事も、軍令や軍政の観点から望ましくない…という事。そうなれば、呉と横須賀の二箇所に、それなりの規模の鎮守府が残る事は不思議ではありませんね。そして…新司令長官は呉で指揮を執る事が、ほぼ決まっている以上、そこに赴任するのは機動部隊の司令官でもある山野提督の方が望ましいと、私も思います。

 

「山野提督。この事、他の艦娘にもご自身で伝える予定ですか?」

 

「…それについては、扶桑さんにお任せします。また米田中将にも、それとなく伝えておいてください。立場的に私が直接米田中将に伝える訳にはいきませんから。」

 

「うふふ…分かりました。それでは私から、皆さんに伝えておきますね。…それにしても、山野提督?噂に違わない策士ですね。私達は、どのようにして富士様を説得して、米田中将を司令長官職に就けるかを悩んでいたのですが、提督は投票自体を無意味な物にしてしまったのですから。」

 

「姉様、なにか山野提督に騙されているような気がするのは、気のせいでしょうか…。山城は少し不安です。」

 

山城、その不安は私にもありますよ。ですが、山野提督が持ってきたこの提案、少なくとも矛盾はありませんし、それを実行するだけの政治工作は既に終わっている事は確かです。おそらくその不安の源は、山野提督が赤レンガの住民でしたから、どうしても信用出来ない…という事なので、山野提督個人への信頼の問題のような気がするのです。しかし、山野提督は少なくともこの場では、私達姉妹を信頼して様々な事を教えてくれました。

 

やはり信頼には、信頼で返すのが筋でしょうから…私達も、山野提督を一度信頼するしかないのでしょうね。それに…私は、他の艦娘や米田中将に話を伝えるだけで、それぞれの判断は、それぞれがする事になるでしょう。私としては…この話を聞いた以上は、山野提督に司令長官になってもらう形が帝国海軍にとって望ましいと感じましたから、投票では山野提督を支持する事になりそうですが…。

 

「山城、そんなに不安に思うことはありませんよ。山城も私と同じ話を聞いたのだから、後は山城自身が、山野提督を信用するかどうか…それだけよ?」

 

「…分かりました、姉様。山野提督、少し考えさせてください。…ですが、おそらく私は、姉様と同じ結論になると思います。提督…これからも、よろしくです。」

 

 

 

横須賀鎮守府 海防艦「富士」居室  敷島

 

 

「敷島…そうですね、もう勝負はついていますからね。そういう事でしたら、私も最後は、旧世代の頭の固い艦娘の一人として、米田中将に投票しましょう。」

 

…全てが終わった…という事ですね。山野提督…お見事でした。私としては、なんとしても米田中将に勝たせようと思い、富士さんへの投票の説得に躍起になっていたのですが、その間にあのような手を打ってくるとは、思いませんでした。

 

昨夜、扶桑と山城から、私や朝日も含めて、米田中将を推す戦艦娘を集めた場で、山野提督から伝えられた案が説明されました。どうやら扶桑達は、既にこの事を米田中将にも伝えていたようで、その場で米田中将から山野提督の案に対するご自身の考えも示されました。

 

米田中将は、山野提督の案に賛同され、自分は山野提督の指揮下で、横須賀鎮守府を守る司令官として海軍に奉職する…とのお言葉がありました。そして、当面の間指揮する事になる戦艦娘達に、改めて協力を要請することが伝えられました。この米田中将のお言葉で、次期司令長官は投票を待たずして、山野提督に決まったと考えても良さそうです。

 

「申し訳ありません、富士さん。それにしても、山野提督がここまで大きく動いてくるとは、私も予想していませんでした。…いえ、海軍次官のあの人に聞けば、教えてくれたのかもしれませんが、私が聞かなかったミス…かもしれませんね。」

 

「敷島、それ程肩を落すような事ではありませんよ。むしろ、新世代の司令長官は、南郷提督以上の策士だという事が証明された訳なのですから、喜ぶことでしょうね。…ですが敷島も、最後まで米田中将に投票する予定なのですね?」

 

…愚かな事だ…という事は、勿論承知しています。しかし帝国海軍の伝統を考えれば、年次が上の米田中将が、次期司令長官候補の筆頭です。そして、あそこまで政治的に立ち回れてしまう山野提督よりは、艦隊勤務生え抜きの米田中将を推す…。実際には山野提督の方が司令長官として優れている事は百も承知ですが、やはり旧世代の艦娘として、海軍の伝統にのっとった候補を推す事が、私の役目です。

 

「富士さんまで巻き込む事になってしまい…申し訳ありません。朝日も巻き込んでしまっていますが、あちらは何も考えずに、私に従っているだけですから、本人もそれ程問題には感じていないでしょう。」

 

「敷島、別にいいのですよ。私も敷島と同じように、先の大戦を戦った旧世代の艦娘です。ここまで完全に勝負がついているのであれば、私がどちらに投票しても問題ありません。旧世代の艦娘らしく、物分りの悪い抵抗勢力になりましょう。それにしても…三笠がもし投票権を持っていたら、一体どちらに投票していたか、見られないのが残念ですね…うふふ。」

 

たしかに、三笠にもし投票権が残っていたら、どちらに投票していたのでしょうね。旧世代の代表として最後まで抵抗勢力を演じたか、それとも新世代の山野提督を、自分の力の及ぶ限り全力で推していたか。私は三笠の性格からして、後者だと思いますけどね。

 

…いずれにせよ、既に勝敗は決しており、山野提督が次期司令長官となる事は確定しています。あの少尉が、紆余曲折を経て自分の鎮守府を作る事になるのですね。一体どのような鎮守府になるのか、楽しみではあります。私も…もう少しの間は現役として留まり、横須賀の地からその行く末を見守りたいところですね。

 

 

 

横須賀鎮守府 大会議室 山野少将

 

 

ついにこの日が来たか。大会議室には、投票権を持たない艦娘も含めて、候補者である俺や米田中将、そして現司令長官の南郷大将を含めて、ほとんど全ての将官も集まっている。もっとも、投票前ではあるが、既に票固めは終わっているから、この投票は半分セレモニーのような物。しかし、やはりこの瞬間は緊張するな。

 

「それではこれから、次期司令長官候補の投票を行う。投票は記名投票という事だが、秘書艦の敷島からの提案で、今回の投票は口頭で行う事とする。そして過半数の投票を得た候補者を、わしが次期司令長官候補者として海軍省に届ける事とする。異論はないな?」

 

ん?口頭で投票?記名投票なのだから、どうせ誰が誰に投票するかなど、直に分かる筈。それに今回の勝負は既に終わっているのに、何故こんな面倒な手続きをとるんだ?いや…別に異論はないけどな。

 

「異論はないようだな。それでは早速投票に移る。最初は敷島。意見を述べよ。」

 

「はい。私は米田中将を推薦します。米田中将は年次からも、経歴からも次期司令長官に相応しい人物です。またこれまでの艦隊勤務の実績から信用に足る人物であるという点も、司令長官として得がたい資質。そして帝国海軍は軍の伝統を大事にしなくてはいけません。以上の事から、私は米田中将に、次期司令長官候補として投票しましょう。」

 

…敷島、最後までやってくれたな。いや…最後まで抵抗勢力になる事は分かっていたから、予定調和なのかもしれんが、ここまで勝負が決まった後も、その信念は曲げなかったか。敷島らしいといえば、敷島らしいよな。まぁ、本心はどうであれ、最後まで自分の立場を守ったという事か。

 

「朝日、お前の意見は?」

 

「おぅ!あたいも、敷島の姉貴と一緒で、米田中将を推すぜ。どうも山野は軟弱そうだからな!あたいは、武人でもある米田中将に一票だ。」

 

朝日も相変わらずだな。だが俺は、お前のその単純明快な部分は好きだったぞ。それにお前には、一番重要な場所で救われたよな。あそこで長門達と打ち解ける事が出来たからこそ、今回のこの策が有効になったのだからな。

 

「富士、お前はどうするのだ?」

 

「そうですね…私も米田中将に投票しましょう。山野少将も悪くはないのですが、やはり帝国海軍の伝統は重要です。年次からいっても、米田中将が指揮を執る事がふさわしいでしょうから。」

 

お?富士様、投票するのか?てっきり棄権だと思っていたんだが…。皆そうだと思っていただろうから、富士様が米田中将に投票すると発言した時、ざわついたぞ。…敷島が原因か。どうやら敷島が、前大戦時の古参艦娘の票を全て取りまとめた…という事だな。本当に最後までやってくれるよな。つまり、俺があの案を持ってきていなかったら、危なかった…という事か。本当にヒヤヒヤさせられるぜ。

 

「長門、投票は?」

 

「私は…山野提督を支持する。」

 

「陸奥」

 

「私も、山野提督を支持します。」

 

「伊勢」

 

「山野提督に投票します。」

 

「日向」

 

「山野提督に一票」

 

「扶桑」

 

「私は…山野提督でいいかしら」

 

「山城」

 

「姉様と同じで、山野提督に投票します。」

 

これで決まりだな。元々米田中将を支持していた艦娘達の投票で、6対3。残りの8票は俺を支持している艦娘達。長門達の回答を聞いて、全ての艦娘や将官も今回の投票結果がよめたのだろう。次々と俺に挨拶してくる。

 

「静まれ!まだ投票は終わっておらん。次、金剛」

 

「私は、山野提督を支持しマ~ス。敷島様達は、さっき伝統とか言っていたけどサ~、やっぱり実力が第一ネ。だから私は山野提督についていきマ~ス。」

 

「比叡」

 

「お姉様と一緒です。比叡も山野提督を支持します。」

 

「榛名」

 

「榛名も山野提督に投票します。」

 

「霧島」

 

「勿論、霧島も山野提督に一票入れます。」

 

金剛には本当に感謝だよな。今回の投票にあたって、姉妹艦の票を全部取りまとめてくれたばかりか、後から聞いたが長門達の説得工作まで手がけていてくれたんだよな。出来ればあいつをなんとかしてやりたいが、俺は現第一航空艦隊の司令であり、今後は機動部隊を率いて新鎮守府に赴任予定の身。鳳翔を捨てる訳には絶対にいかない。それに鳳翔には返せない恩があるからな…すまん。

 

「投票数からすれば、既に結果は判明しておるが、やはり最後まで投票は続けるべきであろうな。次、鳳翔。」

 

「勿論、山野提督に投票いたします。提督は、失礼ながら南郷提督にも勝ちぬいた司令官です。そして私達空母部隊の生みの親。新時代の司令長官にふさわしい人物だと確信しています。」

 

鳳翔…お前の艦長職を拝命してから、俺の海軍生活は大きく変わった。金剛にも感謝しているが、俺を提督にしてくれたのは、お前のおかげと言ってもいい。お前のおかげで俺は、新しい艦隊の編成も出来たし、あの南郷提督に勝つ事も出来た。本当に感謝している。…それと、これからもよろしく頼むぞ。

 

「龍驤」

 

「うちも、山野はんを推薦させてもらうわ。」

 

「赤城」

 

「山野提督を支持します。」

 

「最後に加賀」

 

「赤城さんと同じで、山野提督を支持するわ。」

 

…新世代の艦娘は、全て俺を支持してくれた…という事だな。ある意味、例の提案で米田中将を説得できたという事が、一番大きいかもしれないが、これなら何も問題なく、俺も司令長官として奉職出来そうだ。

 

「以上だな。結果は今更言うまでもない事だが、山野が14票で過半数をとっておる。この結果をもって、わしは次期司令長官として山野を推薦する。山野…あとは頼むぞ。」

 

「はっ…閣下。後は私にお任せください。」

 

…いよいよ、俺の時代が始まるんだな。小堀…まず、俺は夢を叶えたぞ。次は貴様の番だ。先日の貴様からの借り、きっちり利子をつけて返してやる。俺が艦娘の司令長官、貴様が海軍大臣。俺達の兵学校時代の夢が叶うところまで来たぞ。

 




ついに山野提督が新司令長官になる事になりました。とはいえ、そのために払った犠牲も大きく、山野提督が指揮する艦娘達は、平時は機動部隊のみ。とはいえ、戦時になれば「鎮守府の片隅で」の呉鎮守府のように、多くの艦娘が集まる形になっていますから、ある程度納得はいく形で、司令長官になる事が出来たかも…。

個人的には、この物語を書く際、この結論は決めて書いていました。やはり年次の壁は大きいですから、このような形にしない限り、なかなか主人公を司令長官にする事は難しいだろうな…と。それに艦これのゲームでも、艦娘が次々鎮守府に赴任してくる訳ですから、このような形でもいいだろうな…と。それにこの物語では、三笠様達も居ますから、横須賀鎮守府が無くなってしまうと少し困ってしまいますし(笑)。

という事で、いよいよ次回が最終話になります。最後までよろしくお願いします。
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