なのはさんはエロスとは無縁です。
そして・・・これでも発想が重要なんです。
それではどうぞ!!
その日は海鳴温泉に2泊3日の旅行の日。
参加メンバーは、わたしたち高町家は全員。
月村家は忍さん、すずかちゃん、メイドのノエルさんとファリンさん。
それにアリサちゃんとユーノくんという大人数での旅行となっていた。
乗っている自動車も大型のものを2台使っている。
はやてちゃんも誘おうと思ったけれど、いろいろあって駄目だった。
どうやら通院の日が重なるらしい。残念。
ちなみにユーノくんは予定していた通り、元の人間に戻っている。
高町家の遠い外国の知り合いだと他の皆には伝えておいた。
途中、自己紹介のときにフェレットと同じ名前だったことで
「ユーノがなのはの初恋の人?」と言う話題が発生し大分盛り上がっていた。
わたしとユーノくんは何でそんなに盛り上がれるかさっぱりだったけど・・・
約数時間の車での移動の末、わたしたちは旅館にさっそくたどりついた。
「というわけで! さっそく温泉に入ろう!」
ついて早々の忍さんの提案におー、というように腕を振り上げながら、
テンションを上げているわたし。しかし別に忍さんの意見に賛成しているわけではない。
はたから見れば幼い少女が温泉テンションが上がっているように見えるんだろうけど、
あくまでもわたしはあの金髪の女の子にどう謝るか考えているのだ。
そしてわたしの目の前には男湯と女湯、それぞれの温泉の脱衣所に繋がるのれんが下がっていた。
周りにはわたしの他に、アリサちゃん、すずかちゃん、お姉ちゃんがいる。
そこで、早速女湯の暖簾をくぐろうとする。
「それじゃあ、なのは」
「うん、わかった。それじゃあね」
わたしはそういうと女性陣がいるずんずんと脱衣所に踏み入った。
ユーノくん達男性陣も男湯の暖簾をくぐっていった。
昔は肌を露出させるから、銭湯系統は苦手だったけど今は大分大丈夫だなぁ
◆◆◆◆
わりと広々とした空間とその大部分を占める温泉が入った湯船が印象的な男湯。
その中でユーノと士郎は体をよく洗っている。
本来、温泉に入る場合は薬理成分が含まれている分肌への刺激が強いので
入浴前に石鹸やボディソープで肌の角質をとると、温泉の刺激に負けることもあるため
かけ湯程度で済ますのが普通なのだが、マナー意識が強い二人は体をよく洗っていたのだ。
体を洗いながら、二人はちょっとした雑談をしていた。
普段はなのはとよくいるうえフェレットモードが普通なので、
こうして人間形態のユーノと二人きりで向かい合うのは士郎は初めてだった。
だからこそなのはがいないここでしかできない会話が弾んでいる。
「・・・ほぉ、ユーノくんは意外としっかりした体をしているんだな」
「はい。これでも遺跡発掘をしているスクライア一族だから
鍛えておかないと罠に引っかかったりするんです」
士郎の言葉にユーノがそう答える。
スクライアの面々は基本的に遺跡発掘などの際に事故が起きないよう
日ごろから体を人によって程度の差はあれ、ある程度は鍛えている。
ユーノもまたその一人で筋肉がそれほどあるわけではないが、
体は細いながらも、無駄なものが無いだけでかなり理想的な体つきだった。
「なるほどね。そうだ、どうだユーノくん。
君も一緒になのは達と私達の訓練に参加するというのは」
ユーノに向けて、士郎はそう問いかけた。。
その顔は裏のあるはずのない純粋な笑みだった。
純粋にユーノのためを思ってのことだ。
なのはと違って御神流自体を教えるわけではないが、
それでもこの訓練に参加すればユーノの実力はもっと上がるだろう。
「え、えぇ~と・・・。え、遠慮させていただきます」
だが、ユーノは少しの葛藤の末、その申し出を断った。
「なぜだい?」
断ったユーノに対し、士郎は別に不快感を示さずに純粋に興味を持ってユーノに問いかける。
ユーノは若干士郎の目線にビビったものの、自分が持つ確固たる意志を話し始めた。
「た、確かに参加して強くなりたいと言うのもありますが、
今はなのはと協力してジュエルシードを集めています。
僕がなのはと同じことをして、同じように疲労したらだめだと思ったんです。
だから、お断りさせていただきます」
つまりはなのはと同じことをして、同じ疲労感を持つわけにはいかないということだった。
ただでさえ自分は魔力不適合でなのはたちに迷惑をかけているのだから、
余計なことをしてさらに迷惑をかけるわけにはいかないと考えたのだ。
そんな筋の通ったユーノの言葉を聞いて、士郎は若干寂しがりながらも返した。
「・・・そうか・・・。返答ありがとう。それじゃあ入ろうか」
「はい!」
ちなみに中に入ると会話に参加しなかった恭也が一人ゆったりと湯船に浸かっていた・・・。
頭に冷やしたタオルをのせるなどわりと被れていた。
◆◆◆◆
少し遅れて女湯の脱衣所に入ってわたしは服を脱ぎ始める。
そんなわたしの視界の端に、他のみんながきゃっ○ゃう○ふ的な(出典元はやてちゃん)
スキンシップをすでに始めているのが目に映った。
・・・正直言えばどうでもいい・・・
わたしはとりあえず無視しかけ湯をした後に温泉に体を浸ける。
何度も言うが、わたしにとってそういう方向のスキンシップは興味がない。
胸の傷を見られるのが恥ずかしいという気持ちは今は特にはない。
だけどなぜかそういうスキンシップには抵抗があったのだ。
浸かった温泉のその暖かな感触と温度が日ごろの訓練などの疲れを癒してくれる。
「はぁ~う~ん、気持ちいの。ひと時の平和なの・・・!」
訓練は訓練でとても楽しく、充実している。
それでも疲れるものは疲れるのだ。わたしはひと時の平和を素直に過ごしていた。
その後、早めに温泉をあがったわたしは誰も居ない部屋に戻って、寛いでいた。
一人ではとくにやることもないので、適当なテレビを見ていた。
『でね、水面走りって言うのはある意味、男の浪漫だと思うんですよ』
『いやいや、男の浪漫て普通はロボットとかドリルやろ!?』
見ていたのはちょっとしたバラエティ番組だ。
特別面白いとも思ってはいなかったけれど、今の言葉を聴いてわたしは少し閃いた。
・・・もしかしたら、魔力を下に向けて散布すれば浮けるのではないか・・・と
理論上は問題ないはずだ。浮遊魔法の力を下に向ければ言いだけの話だから。
問題は実際に演算できるかと言うことだが、やってみなければわからない。
・・・それに・・・もしできたら、体に負担をかけない良いトレーニングになる。
魔力の一定放出は空を飛ぶのとは少し違う。
足裏から絶妙な量の魔力を放出すれば誰でもできる。
ただし多すぎても少なすぎてもダメだろう。
微妙な調整が必要な魔力制御の訓練にはぴったりだ。
そんなことを真剣に考えているといつのまにかテレビはコマーシャルに入っていた。
洗剤のコマーシャルや自動車のコマーシャル・・・そんな見慣れたコマーシャルの中に
一つだけ気になるものがあった。
『3のRで地球の未来を守ろう!』
それは見る限りではデフォルメされた人間がいろいろと喋っているだけのもの
『Reduce!!ゴミを♪減らそうよ♪
Reuse!!物は繰り返して使おう♪
Recycle!!資源を大切に使いまわそうよ♪
3Rで世界を救おう!!』
そしてただそれだけを言うコマーシャル。
だけどその特徴的な音楽と『3R』という単語が妙に印象的で頭に残ってしまった。
3Rって・・・いったいなんだろう?
そんなことを思っているとちょうどお母さんがお風呂から戻ってきたところだった。
「あら、なのは。テレビを見ていたの?」
「うん、あっ、そうだお母さん。聞きたいことがあるんだけど3Rって何のこと?」
模範的な主婦であるお母さんならきっと知っているはず!
「3R? 知ってるわよ。3Rっていうのは
ごみの発生を減らす『リデュース』
繰り返して再使用する『リユース』
資源として再び利用する『リサイクル』
という三つの単語の頭文字をとっているの。
地球の環境を守るための標語の一つよ。
家ではもちろん。翠屋でも守っているわよ」
へー、そういう意味があったんだ・・・
「そうなんだ。ありがとうお母さん」
「どういたしまして」
わたしはお母さんにお礼を言うと再び思考の海に落ちていく・・・
3R・・・もしかしたら使えるかもしれない・・・
またわたしの悪知恵が働き始めたのだった。
◆◆◆◆
そのころお風呂を上がったユーノ、アリサ、すずかは三人で歩いてた。
風呂から上がってきたユーノにアリサが会話を持ちかけたのがきっかけだ。
なのはとの関係などを質問が中心だったが、ユーノが素直なのであまり良い結果はなかった。
そんなときだった。目の前から赤髪の女性が歩いてくる。
ユーノが真っ先にそれに気づく。そしてその女性のあることにも気づいた。
(魔力反応!? しかもこれは・・・!)
ユーノはとっさに身構えるが、その女性はアリサたちの横を素通りする。
だがその時、ユーノを横目で鋭くにらみ付け、念話で話しかけてきた。
【あんたが例の白い奴の仲間か?
あいつはいないようだね。フン、だったら伝えときな。
もうあたしらの邪魔をするな・・・! 今度会ったらガブッといくよってね】
それは警告。しかも口ぶりからすればあの金髪の少女の知り合いだと考えられた。
【・・・君達の目的はなんだ・・・・・・】
【ふん】
女性は返事をせずにそのまま通り過ぎた。
多少珍しい外国人の見た目だったからか、アリサとすずかが話題にして話し始めていた。
ユーノにも話が飛んでくるが、マルチタスクを駆使し当たり障りのない会話をしながら
(とにかく、なのはに知らせないと!)
ユーノは慌ててなのはに念話を送る。
【なのは、聞こえる?】
【うん。なに?】
念話に答えたなのははどこか上機嫌だった。
ユーノは若干気に留めるもすぐに用件を話す。
【この前会った魔導師の仲間らしい人がこの旅館にいたんだ!
もう関わるなって警告されたよ・・・多分、反応から使い魔だと思う。
使い魔が来てるなら、あの女の子も一緒に来てるかもしれない。
また・・・・・・何かあるのかな・・・?】
【あるかもしれないね。
ユーノくんも、心構えだけはしておいて。
それと・・・アリサちゃん達にはそのことは言ったの?】
【いや、言ってないけど・・・。やっぱり言った方がいいかな?】
【まだ言ってないんなら、やっぱり言わない方がいいかな。
せっかくの旅行なのに、そんなこと言ったら楽しむどころじゃなくなっちゃうし】
【そうだね。・・・・・・うん、分かったよ】
そういうとユーノは念話を切った。
今はなのはの言うとおり、この場を楽しむことにしよう。
まだ戦うことのできない今の状態では一人でうじうじしていても仕方がない。
なのははそのころ部屋から出て浴場へ向かっていた。
そしてその途中、件の使い魔らしき女性に遭遇していた。
もっとも魔力反応を限りなく消して、かつ後ろから見ているので気づかれては居ないが・・・
(あっちには温泉しかない。あの人これから入るんだ・・・・・・。
ちょっと話してみようかな。話す機会なんてそう何度もないだろうし・・・。
それにもう一回お風呂に入りたいし・・・)
なのははアルフと話すのともう1回温泉に浸かるという目的でもう一度風呂に入ることに決めた。
なのはは少し間を空けてから、温泉へと向かった・・・が、、
その前に近くの自動販売機でミネラルウォーターを買う。
それでこれまで失った水分を補給する。
なのははペットボトルに口をつけるとゴクゴクと体に流し込んでいく。
そしてペットボトルの中身すべてを一気に飲み干した。
「ふ~」
水を飲み終わった余韻を感じるとともに息を吐き出しながらなのはは歩いていた。
するとそんなとき再び彼女の姿を見ることになった。
「なんだ、フェイトも来てたのかい?」
「うん、アルフ。私もお風呂入ろうと思って」
あのとき戦った金髪の少女の姿。それを見てなのははあの女の子も来ていた!と思った。
名前は『フェイト』っていうんだ・・・何だか悪いし、今のうちに謝っておこう。
そう考えなのはは二人に忍び足で近づいていった。
「そうかい。そ「あれ?奇遇だね。」っ!な、お前は!」
アルフと呼ばれた女性の話を遮るようになのはは二人に声をかけた。
「久しぶり、元気だった?」
「あ、あんたおかしいんじゃないのか? 普通戦った敵に元気なんて聞かないだろ!」
「そんなこと言われても・・・あっ、それよりも!」
なのははそう言うと二人の目の前でビシッと身構える。
アルフは一瞬、攻撃かと思って構えるが、なのはが行ったのは二人にとって驚くべき行動だった。
「あのときはごめんなさい!怪我させちゃって」
それは頭を大きく二人に向かって下げて言った謝罪の言葉だった。
「は?」「えっ・・・」
いきなり謝られて、どうすればいいか悩む二人。
そして反応がない二人に対してなのははさらに続ける。
「あの、その・・・わたし、非殺傷設定にしたつもりだったんだけ・・・」
「ちょちょちょ、ちょぉっと待った! 一体アンタ何の話をしてるんだ!?」
突拍子もないなのはの言葉にアルフは話をいったん中断させ聞いてきた。
「えっ、わたしのディバインバスターでフェイトちゃんに怪我させちゃったから・・・」
なのはは理由を説明するが、二人は全く意味が解らなかった。
「・・・私・・・別にあなたの砲撃で怪我していない」
そもそもなのはの砲撃で彼女は怪我などしていなかったのだ。
それを聞いたなのはは驚きながら言った。
「ふぇ? そうなの?・・・でも確かあの時・・・赤いあざがあったような・・・?」
「「ッ!!!???」」
なのはのその一種の爆弾発言に二人はひどく驚いていた。
特にアルフの驚きは内心いっぱいだった。
(コイツ・・・あの糞ババァの怪我を自分がやった怪我と思っていたのか?
しかも、律儀にも謝りに来た!? なに考えてんだ!?)
「まぁ、いいか・・・怪我させてないならないで気が楽になったし・・・」
(さて、と・・・となるとこの状況はきついかなぁ・・・
さっきついでに魔力散布したら近くの森にジュエルシードあったし・・・)
なのははそう思いながらどうやってここを乗り越えるか考える。
とりあえず外に出てもう一度戦うか・・・?
そう考えて一歩踏み出そうとしたときだった。
ズキンッ
「・・・ッ!!?」
突然襲う、左足の痛み。顔には出さないようにしているが、激痛だ。
まるで鉄骨に足を挟まれたような。そんな激痛だった。
そのせいで左足は全く動かなくなってしまう。
(こんなときに・・・いったい・・・なに・・・)
原因は全くわからないが、痛みはいまだに収まらない。
そして・・・こんな足ではきっと戦えば負ける・・・いや、戦うという行為などできない。
ここは引くことにしよう。そうなのはは考えて顔は笑顔にしながらフェイトに言った。
「ところで話は変わるけれどフェイトちゃん・・・
向こうの森のほうにジュエルシードあるから回収をしておいてくれない?」
「・・・なんでそんなことを教えるの・・・?」
「別に・・・気分の問題。あなたたちが何に使うか知らないけど
今の私は気分が乗らないから、あなた達に任せる・・・」
あまり得意ではないが、ちょっとした演技を交えて嘘を二人に伝えた。
足に激痛が走っているだなんて、とてもではないが他人には言えない。
「・・・・・・わかりました・・・情報ありがとう・・・行こうアルフ」
「っ・・・わかったよ、フェイト・・・」
そう言って二人は風呂に入るのを止めて部屋へと戻っていった。
その姿は少し戸惑いと迷いがあるようだった・・・。
◆◆◆◆
そしてわたしの足の痛みが治まったのはフェイトちゃんたちが去ってから少し経った後だった。
・・・一体この痛みはなんだったんだろう・・・前の胸の痛みと関係があるのかな・・・
まぁ、過ぎたことは仕方がない。謎は深まるけど今は気にしない方がいいと思う。
フェイトちゃんとの再戦のための特訓をしないと・・・
そう考えを纏め、わたしは体を洗ったあと大浴場へと向かう。
時間帯が時間なので人は誰も居なく、中はシーンとしていた。
好都合・・・そう思った私は足裏から魔力を放出しながら大浴場の水面に足をつける。
まだ少し未熟なマルチタスクを使い、わたしは演算を開始する。
水面の向きに応じて、魔力の反射を調節しつつ魔力を放出する。
すると水面に美しい波紋が出現していた。
そして意を決して両足を水面に乗せる。
「・・・やった・・・やった! 浮いた!」
わたしは予想通りに水面に浮くことができた。
ありきたりな台詞だけど言いたい。「わたしの才能が怖い」
やっぱり魔法というのはこうでないと。
その後・・・わたしは水面に伝わる美しい波紋を見ながら
温泉を満喫していたのだった。