リリカルなのはサーガ   作:DFGNEXT

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番外編のつもりで書いたら、いつのまにかストーリーが急展開に
今回はなのはVSシグナム!一対一のガチバトル!
まぁ、いろいろ制限はありますがね。

それではどうぞ!!


SAGA 24「二つの誇り」

 

 

 

「はーい、なのはちゃん。久しぶり

 とりあえずレイジングハートとブレイズハートは完成したよ」

「ありがとうございます。マリーさん」

 

あれから二週間。なのはは再び呼び出されてアースラへと来ていた。

頼んでおいたデバイス改造の内、なのはのデバイスのほうは

シグナムとの約束もあるので優先的に進められていたのだ。

マリエルから紅と蒼の宝玉をなのはは受け取った。

 

「それにしてもやっぱり凄いよ。本当に素人なのかなってくらい。

 図面もシンプルだし、コンセプトもわかりやすいし」

「前回はともかく、今回は無限書庫でデバイスの情報を得ていたので」

「それでもだよ。あんなので二三日できるものじゃないからね。

 基礎理論がしっかりしてるし、謙遜しなくてもいいよ」

「そうですか、ありがとうございます」

 

なのはは取りあえずはお礼を言った。

やはり褒められるのは小さなことでも嬉しいと彼女は再認識していた。

 

「それじゃあ、起動してみてよ。使用者の意見も聞きたいから」

「はい、わかりました。レイジングハート、セットアップ」

《All right. My master.》

 

なのはの支持にレイジングハートは了解の意を示し、セットアップする。

そしてなのははバリアジャケットを纏う。

 

新たなるレイジングハート用バリアジャケット「セイクリッドモード」

 

外観の変更点は少ないが、ブレストプレートの追加や

防御用積層構造が8層から22層へ向上し、物理装甲やプロテクトレイヤーも増加されている。

さらに両肩へフィールドジェネレーターを追加など上半身を強化されている。

レイジングハートの戦闘方式が射撃、砲撃のため

スピードを殺す代わりに防御性能を限界まで上げたバリアジャケットだ。

 

そしてレイジングハートもまたその姿を変えていた。

まず目立つのはコアと柄の接続部に新たに設置されたベルカ式カートリッジシステムCVK792-A。

性能を説明すればは6連装オートマチック型カートリッジシステム。

マガジンラックに入ったカートリッジを消費することで魔力の強化ができる。

一つのマガジンラックにつき装弾数6個。保持できるラックの数は全部で12個。

 

またベルカ式のカートリッジシステムと違い、あくまでも魔力量の総上げが目的のため

デバイスも使用者も制御しやすくなっており、体への負担を通常よりも抑えてある。

 

そしてこのモードはなのはが行う中距離射撃と誘導管制、

強靭な防御力を含めた中距離高速戦専用モードとなっている。

 

その名を「アクセルモード」

 

なのはが魔力弾を加速させることに特化したところからこの名称をつけた。

もっとも魔法操作を使えば速度は変えられるのだが、レイジングハートが・・・(以下略

 

なのはは大体性能を確認してから、バリアジャケットを解いた。

今回のデザインははやてのものをベースに自分好みに変えたものだ。

そのため実際にデッサンを見た前のバリアジャケットに比べてイメージが正確か心配だったが

どうやら問題は全くないようだ。

 

「うん、レイジングハートは問題なし。次はブレイズハートっと・・・セットアップ」

 

なのはが今度はブレイズハートに登録されたバリアジャケットを展開させる。

以前は時間の関係もありレイジングハートと同じものを使用していたが、

今回からはブレイズハート専用のバリアジャケットを構築しておいた。

 

その名は「ストロングルナモード」

 

見た目は今までのバリアジャケットとほぼ同じ。

ただしスカート部分を腰ぐらいまでにし、薄手のズボンとして構築。

さらに上半身部分も一部分の防御特化にすることでセイクリッドモードと違い、

機動力を上げている。もっともフェイトのものほど特化していないため

スピードは前とそこまで変わらない。多少は早くはなっているが。

 

そして何よりも変わったのはカラーリング。

白の部分を減らし、黒色と青色を増やし若干クールな印象を受ける。

また手袋を指まで覆うタイプに変更してある。

 

ブレイズハートもまたレイジングハート同様見た目が多少変わっている。

もっともこちらにはカートリッジは積んでいないし、フルドライブ形態への変換もない。

リミットブレイク機能はついてはいるが、レイジングハートとは違い

強化したのはフレーム強度。ストレージでありながらアームド並みの強さを持つ。

 

変わった見た目はレイジングハートに比べれば少ないが、

片方が短かった小太刀が両方とも同じ長さとなっていた。

ただしもともと短かったほうの小太刀はもう片方よりも軽量化されている。

減った重さは両方の小太刀を合わせて21gで大幅な軽量化に成功している。

バリアジャケットとあわせてより攻撃的なデバイスへと進化した。

 

そしてその名は「クリーブモード」

 

すべてを切り裂き、前へ突き進む心。という意味を込めて名づけた。

 

 

なのはは数回ブレイズハートで素振りをした後、魔力を流したりして確認する。

 

「うん、全部完璧だね。あとは・・・レイジングハートどう?」

《Please wait until the connection》

 

レイジングハートの言う接続とはかつてブレイズハート製作時に

設計図を書く際にレイジングハートが拗ねないよう考えたシステム。

 

「インターフェイスシンクロシステム」

 

レイジングハートがブレイズハートのAIとしても機能するためのシステムで

これが発動すればブレイズハートの意思はレイジングハートそのものといえる。

訳なのだが、フェイト戦では未完成であり、あまり成果は出ていなかったのだ。

そのため今回はもう一度、改良し今度こそ正常に作動するようにしたのだ。

これが成功すればブレイズハートを使用していてもレイジングハートが

とっさの魔法発動を可能にすることができる。

 

というわけでただ今レイジングハートはブレイズハートと接続しているわけだ。

そして・・・

 

『Connection was complete. Systems all green.』

 

接続は完了。システムも正常に作動しており、レイジングハートの声が

ブレイズハートのコアから聞こえるようになっている。

予定していた機能がフルドライブとリミットブレイク以外確認できたなのははマリエルにお礼を言う。

 

「ありがとうございました。マリーさん」

「ううん、私もいろいろ試せたからこっちこそありがとう。

 ただ忠告しておくけど、まだフレームは完璧じゃないからね。

 フルドライブはまだしもリミットブレイクはギリギリまで使わないように」

「わかりました」

 

なのはもあくまでも保険として用意してもらっただけなので

素直にその忠告には耳を傾けて頷いた。

それを見て納得したマリエルは再び自分の職場へと戻っていった。

なのははそれを見届けると自信の胸にある二つの宝玉を見る。

 

レイジングハートとブレイズハート・・・

新たな姿を得た二つの力でなのはは闇の書事件に挑むのだ。

そして・・・今から行うことは・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

さて、時は少したち場所はとある無人世界。

砂漠のような地形であり、今は時期もあり砂嵐はほとんどない。

 

そこで相対するは、蒼き魔導服を見に包む『高町なのは』

そしてもう一人は己がデバイス「レヴァンティン」を構え佇む烈火の将『シグナム』

二人の間の距離は10弱といったところだ。

 

二人が今から行うことは一種の・・・決闘だ・・・!

 

ルールはいたってシンプル。一対一で戦う・・・ただそれだけだ。

ただしなのはは勝つためには手段はあまり選ばないので細かい範囲での使用制限はあるが、

シグナムが望む戦闘状況にあわせるためのものでなのは自身にも不自由はない。

 

お互いに静かに己のデバイスを構え相対する・・・

 

観客はこの場には居ないが、上空に待機しているアースラにて

アースラ職員とフェイト、アルフ。守護騎士とはやて、グレアム提督とリーゼ姉妹。

以上のメンバーが今回の決闘をサーチャーの映像を解して観戦する。

開始の合図をするのは・・・管理局執務官クロノ・ハラオウンだ。

 

『それでは二人とも、準備は良いか?』

「うん、大丈夫だよ」

「こちらはいつでも問題ない」

 

お互いに戦闘準備はできていた。あとはクロノが開始の合図をするだけ。

この決闘は実質的に形式だけ、どちらが勝っても結果はそこまで変わらない。

シグナムがあくまでもなのはを心から信用したいがために戦うだけなので、

なのはが負けても守護騎士たちは協力するつもりだった。

ただしその場合は全面協力というわけではないので終わった後に多少の問題があるのだが、

となのは自身は思っていた。

 

「戦う前に名乗っておきます。剣士としての名を・・・

 永全不動八門一派・御神真刀流、小太刀二刀術。剣士、高町なのは!!」

「ならば私も名乗ろう・・・守護騎士(ヴォルケンリッター)は烈火の将 シグナム!!」

 

お互いがお互いに名乗りあう。それがこれが決闘だと言うことを認識させた。

クロノはそれを見届けると、戦いの始まりを告げた。

 

『それでは・・・始めるぞ、レディ・・・ゴー』

 

そして、その合図とともに二人は突撃した。

 

「レヴァンティン!!」

《Explosion.》

 

シグナムは突撃しながら告げて、白い大剣を振りかぶる。

そしてガコン、と音をさせてカートリッジをロードした。

 

レヴァンティンからその言葉が発せられ、その刀身に炎が宿る。

 

「紫電・・・一閃!!」

 

レヴァンティンのシュベルトフォルムから出されるシグナムの必殺技。

レヴァンティンの刀身に魔力を乗せた斬撃で、威力もさることながら、強力なバリア破壊力を併せ持つ。

また、魔力の炎熱変換による効果で辛苦に輝く炎が燈っていた。

 

「ならこっちも!レイジングハート!」

『All right.』

 

その言葉とともにブレイズハートの刀身のラインに藍色の光が燈る。

 

パッシブレード・ディフェンダー

なのはがレイジングハートに指示し、使用した魔法の名前である。

ブレイズハートの刀身に圧縮魔力を流し、魔力刃をある一定の波長で形成。

そしてその状態となったブレイズハートで相手の攻撃を防御する技である。

 

なのはは紫電一閃の魔力パターンを演算、そしてその対となる波長を導き出し

その二つをぶつけ合うことでシグナムの紫電一閃を防ぐ。

 

ガキン! とデバイスとデバイスがぶつかり鈍い音がする。

紫電一閃の防御自体は成功、しかし・・・フレーム強度は別だ。

 

ピキピキッと音を立ててなのはのデバイスにひびが入った。

 

(なっ! うそ!? 予想以上に硬い!)

 

なのはは驚いて後方に飛びつつ、ブレイズハートに魔力を流し修復。

 

《Divine Shooter》

 

そしてすぐさま魔法操作で『音』に変えたディバインシューターをシグナムに向けて放つ。

しかしシグナムはなのはが放ったすべての魔力弾に避けるそぶりすら見せない。

避ける代わりに行ったのは、カートリッジをもう一発使うことだった。

 

《Panzergeist!!》

 

レヴァンティンの言葉とともにシグナムの体が赤紫の魔力に包まれる。

パンツァーガイストはシグナムが使う防御魔法の一種だ。

ベルカ式には本来ミッドチルダ式にあるオートガードシステムがない。

そのため通常騎士が使うのは全身を纏うタイプの装身型バリアであることが多い。

シグナムもまたそれを使う一人だった。

 

魔力弾が体のいたるところからぶつかるが騎士甲冑に傷ひとつつかなかった。

 

「効いてない!?」

 

ノーダメージ。なのはにとってそれはかなり衝撃的だった。

音速で進むディバインシューターの威力は魔力ダメージすらかなりのものだ。

その威力はなのはのセイクリッドモードですら、完全には防ぎきれない。

それを清清しく防ぎきったシグナムはなのはに向けて言った。

 

「どうした? その程度では私にはかなわんぞ?」

 

(これが、カートリッジシステムとベルカ式か・・・ッ!

 攻撃が通らないなんて・・・。でも・・・こっちだってまだ手はいくらでもある!)

 

「だったら・・・今度はこれ!」

 

なのはは再びシグナムに向けて駆け出した。

そしてシグナムに斬りかかるが、受けとめられる。

 

ガキンッと音が鳴るが、先ほどと状況は違っていた。

今度のブレイズハートには皹一つ入らない。

 

シグナムは驚く、さきほどのは紫電一閃は防がれたもののフレーム強度の違いが

なのはのブレイズハートに皹を入れていたはずだ。なのに今度は入らない。

 

「魔法操作『石化』。厳密に言えば強度強化って言うべきかな。

 ブレイズハートに流す魔力の性質を変えた。とっても頑丈にネ!!」

 

なのはは笑みを浮かべて再び斬り込む。

対象はレヴァンティン。やられた分はやり返す!

 

「はぁあッ!」

 

まず右の小太刀で一閃、そして続けて左でもう一閃。

そしてとどめに両者を振りかぶり『徹』で剣内部に衝撃を与える。

その攻撃は両者ともレヴァンティンに直撃する。

 

「・・・砕け、ブレイズハートッ!!」

 

バリンッという音とともについにレヴァンティンが破壊され、

その破片がシグナムの頬をかすめた。つぅぅと血が垂れる。

レヴァンティン自体には非殺傷設定はあってもアームドデバイス。

その硬度によってシグナムの顔に傷をつけた。

 

そしてレヴァンティンは真ん中から上は砕け散っていた。

なのははそれを見やるが、当然攻撃の手を緩めない。

 

「そこっ!」

 

なのはががら空きのシグナムの左の胴に斬りかかる。

二刀のブレイズハートを同時に振りかぶり、そしてそれは直撃する。

戻す勢いでもう一撃をさらに与えようとする。

 

「・・・ッ! これは!」

 

しかし、突如としてシグナムの左手に現われた大剣を納める巨大な鞘で受け止められる。

だがなのはの攻撃は止まらない。構わずに鞘へと攻撃を加え続ける。

シグナムの動きを予測し、シグナムの向かうところへと太刀を振るう。

シグナムも鞘で裁くものの、なのはの剣術は悪くはない。ある瞬間に弾かれてしまう。

 

「もらったッ!!」

 

今度こそ無防備になったシグナムに攻撃を見舞う。

だがその瞬間、彼女の手元にあったのは修復が終わったレヴァンティン。

 

なのはの攻撃に合わせ、猛烈な勢いで斬り上げた。

右手の小太刀がはじき上げられ、なのはは思わず声を上げる。

右腕だけ上空に上げた状態でバランスを崩し、半ば背中を向けるように半身になってしまう。

シグナムはその瞬間を逃さず、両手でレヴァンティンを思い切り振り上げる。

そしてカートリッジがロードされて、その剣が再び灼熱の炎を纏った。

 

「紫電、一閃!!」

 

掛け声と共に、一気に炎を纏う剣を振り下ろす。

体勢を崩したなのはは剣で防御することができない。

 

「くぅ」

『Protection』

 

とっさにレイジングハートに指示し、バリアを張るが、

あのときの通常の斬撃とは威力がまるで違った。

コンマ数秒程度のの抵抗の後にあっけなく破壊される。

 

シグナムはもらったと思いながらそのまま振り続ける。

しかし・・・突如として下の砂からディバインシューターが

地面を突き破って現れ、彼女の米神に命中し仰け反らせる。

 

何とか姿勢を保ち、耐え切ったものの攻撃自体は失敗してしまう。

なのはもまた素早く体勢を立て直し、シグナムと相対する。

 

手には斬り上げられたときの痺れが残っていて、少しの間は使い物にならなさそうだった。

もっとも・・・それは利き腕ではない右手だったのが幸いしていた。

そこにシグナムが声をかける。

 

「すばらしいな。これほどの強敵に(まみ)えることは、そう多くない」

「あなたも強いですよ。その剣技、うちの家族とどちらが上か・・・」

 

そのなのはの言葉を聴いたシグナムは「ほぉ」と漏らし、

 

「ならば、その者たちとも一度剣を交えてみたいものだ」

「家の家族は魔法なんて使えませんからね」

「かまわないさ・・・若いお前がここまで強いのだ。さぞ名のある流派なのだろう?

 これほどの強者だ。改めて名乗っておこう。

 

 ベルカの騎士、ヴォルケンリッターの将シグナムだ。

 そして我が剣、レヴァンティン」

 

再び名乗った。もう一度きっちりと。なのはを強者だと認めた証だった。

 

(・・・経験はともかく、見た目だったらシグナムさんも十分若いと思うけど・・・)

 

なのははそう思いつつも、対抗してもう一度名乗った。

なのはもまた改めてシグナムを強者と認識したのだ。

 

「永全不動八門一派・御神真刀流の使い手にして、

 ミッドチルダ式魔導師・・・高町なのは。それとレイジングハートとブレイズハート」

 

そう言ってなのはブレイズハートを待機モードにし、レイジングハートを起動する。

できれば剣術で戦いたいが、まだ右腕は回復していない。無茶はなのははしない。

 

「そうか、高町なのは。まだまだ粗いながらも見事な太刀筋、魔法の冴え。

 ・・・・・・お前との勝負は、心が躍る。どちらが上か・・・決着をつけよう!」

「そうですね・・・」

 

なのはは冷静だった。カノンモードに変えたレイジングハートを構え

ガチャリッと高速でシグナムを照準に捉える。そしてトリガーを引いた。

 

「くっ・・・!」

「ディバィィィィィィィィン」

《Buster!》

 

素早く桜色に脈打つ砲撃が発射され、シグナムを飲み込まんとする。

溜めのない速射型だが、かなりの威力があった。

 

「レヴァンティン!」

 

シグナムも一声かけ、カートリッジを一発使うとともに、防御魔法パンツァーガイストを再び発動した。

やがて、砲撃が終わる。シグナムの防御魔法に直撃したため、下にある砂とともに爆煙が広がる。

そして間髪なく、シグナムは自らの周りに発生した爆煙を突っ切りなのはに飛び込んだ。

そしてレヴァンティンを振り上げ。カートリッジをロードする。

 

「紫電・・・一閃!!」

 

シグナムの攻撃にとっさになのははレイジングハートをかかげて防御する。

だがシグナムはデバイスごと断ち切らんとして振り下ろした。

受け止めるレイジングハートの強度はブレイズハートほどもない。

 

炎の魔剣はそのままなのはを一刀両断した。なのはが縦に真っ二つに斬られた。

シグナムは妙な手ごたえに驚く。斬った感触がまったくなく、なのはも平然としている。

その時なのはがニヤリッと笑うとともに顔がグニャリと崩れた。

 

「――ッ!?なんだ・・・これは!?」

 

そしてシグナムはその正体が何か気づいた。

 

それは『水』だった。

 

厳密には水の性質を得たなのはの魔法。

その名は『ディバインシューター・ウォーターウォール』

ディバインシューターを大量に作成。

それらをまるでレンガを積むように重ねたものだ。

そして性質を水にすることでまるで鏡のようになのはの姿を映していたのだ。

 

なのはは爆煙の中でも魔力散布で関係なく動ける。

なのはは迫りくるシグナムの動きを感知し、避けた上で先ほどの演技をしたのだ。

 

「わたしの魔力散布はこんな状況も関係ない。

 そして今でも3R作戦は続けているんだ。わたしの魔力は・・・まだある!!」

 

現在なのはが使用している3R作戦はReduceとReuseの二つ。

Recycleはシグナムがベルカの騎士なので相性が悪いので使用はしていない。

さきほどのディバインシューターはReuseによってさらに魔力消費を抑えたものだ。

まともに自分の魔力だけを使ったのはプロテクションとディバインバスター。

そしてパッシブレード・ディフェンダーだけだ。

 

なのははそう言いながら空中へと飛び立つ。

なのはにとって空とは憧れ・・・海に続く自分のテリトリー

 

「おもしろい、実に面白いな・・・やはり心が躍る!」

 

シグナムは再びレヴァンティンを構え、なのはの方へ飛び立つ。

戦いは・・・まだ終わらない・・・

 

 

 

 

 

 

そのころアースラで観戦していた者たちはほとんどが二人の対決に唖然としていた。

 

 

「相変わらず、えげつない戦い方をする・・・」

「確かにな。しっかしまぁ、フェイトと戦ったときよりも剣術のレベルは高いねぇ」

「そうだねアルフ。私ももっと頑張らないと・・・。一回くらいは勝ちたいもの」

 

唖然としていなかった組はかつてのフェイトとの戦いを直に観戦したことがあるものたちだ。

逆に今回はじめて見た守護騎士の面々はなのはの力量に改めて驚くほかない。

 

「あ、あいつシグナムとあんなに互角に戦ってやがる」

「防御も硬いな。私も少し見習いたいほどだ」

「私、シグナムとここまで戦える魔導師は初めて見ました」

 

そんな守護騎士たちの反応を遠くのほうで見ていたロッテが言った。

 

「あいつら・・・あんな反応できるようになってたんだね・・・」

「この数週間、はやてちゃんからいろいろと学んだんだろうね・・・

 何だか複雑かな、今まではやてちゃんすら犠牲にしていいと思うくらい

 闇の書に恨みがあったのに・・・手段なんて選んでいなかったのに・・・」

 

別に彼女達二人に闇の書に対する恨みがなくなったわけではない。

仮に今回の事件が万々歳に終わったとしても、二人は守護騎士たち

果ては管制人格とも打ち解ける気は全くない。今までやったことを許す気もない。

ただ、今見ている守護騎士たちの姿を見て同情していただけだ。

 

二人はこれからも彼女達を許さないだろう・・・また、それも彼女達が追うべき贖罪だ。

 

そして二人は目の前の画面に映るシグナムとなのはの戦闘を見て各々感想を言った。

 

「近接が得意なあたしからすれば、二人ともとんでもないね。

 不意打ちなら勝てる・・・いや、それはシグナムだけだな。

 なのはには魔力散布があるから、多分気づかれるだろうね。

 家が剣術教えていて、なのはも習っていると言っていたけど・・・

 なのはの家系はNINJAかね。ハハ」

 

リーゼロッテはそう言いながら背中を壁につけて寄りかかる。

近接戦が得意な身としては遥かに年下のなのはの実力には空笑いするほかない。

無論、近接戦"だけ"ならばこちらとしても負ける気もないのだが・・・

 

「私からすれば、魔法制御が本当にうまい・・・一体どれだけの努力をしたのか、

 クロノも努力はしたけれど、それは才能があまりなかったから・・・

 魔力量も当時のクロノを遥かに上回り、才能も十分・・・

 そして絶え間ない努力・・・一体彼女のなにがそこまでさせるのかしらね」

 

クロノはもともと魔力量自体はは両親譲りでそこそこあったものの、

魔法に関しては遠隔操作も出力制御も下手で、フィジカル面も弱かった。

 

さらに言えば覚えも悪い生徒だったが、一途で頑固な性格ゆえに

文句を何も言わずにそれを猛特訓で着実に学習し、補い、覆し、

現在のAAA+クラスの実力者にして時空管理局執務官になった。

いわゆる「努力の天才」であった。

 

しかし、なのはは違う。

魔法に出会ったのも偶然、その使用理論も自ら思いつき、

独自の訓練方法で伸ばした天才児・・・というのが二人の認識だった。

 

リーゼたちははやての家の監視はしていたものの、

その中の会話までは盗聴していたわけではない。

あくまで闇の書が起動したかどうか、それを監視していただけなのだ。

 

そのため、二人にはなぜなのはがここまで力をつけたのか、

彼女が魔法に対して何を思っているのか、

どうしてここまではやてのために戦うのかは知らなかったのだ。

 

彼女達の疑問はそれを知らない限り解けることはない。

解けぬ疑問が渦巻く中、二人はただなのはとシグナムの決闘を観戦していた。

 

そして・・・心友と家族が戦う中、一人複雑な気持ちで見ていたのが

シグナムたちの主にしてなのはの大親友「八神はやて」だ。

 

「・・・・・・」

 

彼女は見ている間何も話さない。

二人が戦っているのはどちらも自分のため、

それを知っていながら応援やら戦闘解析やらをする気持ちにはなれない。

 

はやてはチラリッとグレアムの方を見た。

久々に会った「グレアムおじさん」が実は父親の知り合いでもなんでもなかった。

そのことを先日会った時に謝られた。

 

はやてにとっては複雑な気持ちだが、この戦いが無事に終わったらすべて話す・・・

そうグレアムは言ってくれた・・・はやてにとっては今はそれだけでよかった。

 

理由がどうあれ、今の自分が居るのは・・・グレアムのおかげ・・・

なのはとこのような出会いができたのも・・・きっと・・・

 

だからはやてはこの戦いを見届ける・・・きっとここからすべてが始まる・・・

戦いは・・・そろそろ終局へと向かっていた。

 

 

 

 

戦局はなのはとシグナムが互角に戦っていたが、ついに変化が見られた。

シグナムが切り札の一つを取り出したのだ。

 

《Schlangeform》

 

シグナムのレヴァンティンからそう発せられカートリッジが一つロードされる。

 

その言葉とともにレヴァンティンはいくつもの節に分かれ、なのはに襲い掛かってきた。

 

この形態は使用者の防御力が下がる代わりに中距離攻撃の他

シュベルトフォルムにおける斬撃の死角を補ったり、

立体的な攻撃が可能となり、戦闘の幅を大きく広げることができる。

 

「くっ・・・動きが、読めない!?」

 

試しに脳内で126通りの攻撃パターンを予測演算するが、そのどれもが当たらない。

完全なデータ不足。フェイト戦でもなのは本人が言っていたが、

「切り札は先に見せたほうが不利」なのだ。

 

逆にシグナムはなのはの切り札はすべて理解していた。

このシュランゲフォルムもなのはの魔力散布を防ぐ意味合いが強かった。

 

レヴァンティンの蛇腹状になった刃の節がなのはを襲う。

 

「魔力散布が・・・ッ!だったら先に本体を・・・ディバイーン・・・」

《Buster》

 

発動させているシグナム本人に向けて、なのははディバインバスターを放つ。

しかし、その桜色の砲撃はレヴァンティンの刃によって拡散されて

まるでシグナムに向かって当たらなかった。

 

このなのはですら予測不可能。太刀筋が読めない攻撃の中

なのははシグナムを攻撃することは叶わず、避ける事に専念する。

 

試しにディバインシューターも撃ってみたが、思うように当たらないからだ。

当たったとしても、弾かれる。『音』も『硬質化』も・・・今使えるコマが全部・・・!

なのはのコントロール、予測演算をすべて上回る一撃だった。

 

避けること事態はなのははぎりぎり可能だった。

なのはとて剣士、珍しくめったに使わないが『勘』というものはある。

完全には難しく頬を掠めたり、バリアジャケットに傷をつけてはいたが。

 

だがそれによるわずかな隙をシグナムは逃さない。

彼女が持つレヴァンティンの連結刃が再び連結される。

 

《Explosion》

 

レヴァンティンからその言葉が発せられ、その刀身にもう一度、炎が宿る。

レヴァンティンのシュベルトフォルムから出されるシグナムの決め技。

レヴァンティンの刀身に魔力を乗せた斬撃で、威力もさることながら、強力なバリア破壊力を併せ持つ。

また、魔力の炎熱変換による効果で炎が燈っているその技の名前は・・・

 

「紫電・・・一閃!!」

 

バキンッ

 

「ぐぁっぐ・・・」

 

完全に隙を狙われたその一撃をなのはは持っていたレイジングハートで咄嗟に防ぐ。

だが、ブレイズハートでも強度が足りないのだ。防いだレイジングハートの柄が砕け

そして勢いを失わずにそのままなのはの体を直撃した。

 

耐え切れなかったなのははそのまま地面に叩きつけられた。

再びなのはは立ち上がろうとするが・・・体が全く言うことを聞かず

・・・そのまま・・・・・・その意識を手放した・・・

 

 

 

 

(なんとか勝ったか・・・。しかし、あの剣技に、魔法操作を使った魔力弾、

 どんな状況でも相手を補足できる魔力散布、そして先ほどの砲撃か)

 

シグナムの騎士服はところどころ、袖の端っこなどが破れていた。

魔力を使って回復は一切していない。それだけ彼女自身の防御力は高い。

もっともこれがなのはがシグナムより劣っていると言う意味には厳密にはならない。

 

(あの技量・・・確実に一朝一夕に覚えられるものではないな。

 今回は本当の実力で戦ってはくれなかったが仕方あるまい)

 

今回の対決・・・なのはは本気で戦っていたが、それは本当の力ではなかった。

御神流は具体的な技を出す暇がなかっただけだが、

レイジングハートに"関して"言えばカートリッジもフルドライブも使用していない。

 

シグナム自身もそれを使わない理由は知っていたし、だからこそある条件も飲んだのだ。

心が高ぶる戦いをしながらも、物足りなさを感じた自分に嫌気が差し

シグナムはため息をつきながらレヴァンティン・・・

そしてカートリッジの残りを確認し、ポツリとつぶやいた。

 

「あと5発。長期戦に持ち込まれていたらどうなっていたか・・・」

 

今回なのはが本当の力を出せないので、シグナムはカートリッジの制限があった。

といっても今回シグナムがあまり躊躇せずに使っていた通り、速攻で決めるならば問題ない量だ。

カートリッジ自体も貴重なのでその条件は飲んだのだが・・・

 

「とりあえずは戻るとしようか・・・約束どおり協力しよう・・・

 共に戦い・・・主はやてを救うことを・・・」

 

シグナム自身はあくまでも勝負してほしいといっただけで勝敗はあまり関係なかった。

もっとも・・・自分を満足できないほどの実力だったら負けた瞬間見限ったのだが・・・

 

シグナムにとっては未だに管理局は信用できない相手・・・

しかし、これほどの戦いを繰り広げたなのはが味方するのだ・・・

信用しよう、そうシグナムは誓った・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

そのころ観戦していたアースラのメンバーはなのはが負けたことに唖然としていた。

 

「まさか、あのなのはが負けるとはな・・・これが守護騎士の・・・実力」

 

クロノがそういう。それを聴いてヴィータが自慢げな顔をするが、

そこへ実際になのはと戦ったことのあるフェイトが話しかけた。

 

「でも、今回なのはが負けたのはそれだけじゃない。

 ・・・さっきなのは・・・余裕が全くなかった・・・」

「それがどうかしたのか? 余裕がないから負けた・・・ではないのか?」

「うん、なのはは前に言ってたんだ。

 どんな状況でも余裕を持って戦うのが自分のポリシーだって・・・

 言い換えれば、どんな状況でも冷静に自分のできる限りの行動を行うってこと」

「それで・・・余裕がなかったと言うのは?」

「多分、さっきのシュランゲフォルムの動き・・・

 なのははいつもどおりに動きを予測しようとしたんだと思う。

 いたって冷静に・・・だけどそれが仇となった・・・

 予測したとおりに動かない攻撃になのはは焦ってしまった。

 そこからのなのはの戦いは見るに耐えなかった・・・

 焦って砲撃を放ち、聞かないとわかったら性質を変えた魔力弾・・・

 最後は慣れない魔力弾・・・そしてブレイズハートは実力を出し切っていない・・・

 なのはらしくない戦いだったんだ。だから負けたのはある意味で当然かな」

 

フェイトの・・・実際に戦ったことのある人物の戦闘考察には

アースラに居る守護騎士以外の全員が納得するほかなかった。

そこへシグナムが気絶したなのはをつれてやってきた。

 

「・・・少しダメージを与えすぎた。ベッドに寝かしておいてくれ」

 

そう言ってシグナムは近くに居た職員へとなのはを渡した。

なのはを受け取った職員は急いでアースラ医務室へと連れて行った。

 

「・・・本当の力を使ってなかったとはいえ・・・これほどとはな・・・」

 

できれば本当の力を完全に使った上で戦いたかったが、

お互いに無理をして主であるはやてを助けられなくても困る。

今回は楽しめたし、仕方なかった。とシグナムは一人納得していた。

 

「それで・・・シグナム。管理局に協力はしてくれるのか?」

 

そんなシグナムにクロノは言った。

無論、シグナムが答えることは一つ。

 

「もちろん協力しよう。共に主はやてを救ってくれ」

「わかった。我々特務五課・・・全精力を持って戦おう」

 

そう答えたのはグレアムだった。

 

「あなたは、主はやての・・・すみません。いろいろと思うところはあるでしょうが・・・」

「リーゼたちはわからないが、私は闇の書の被害が終わればそれでよい。

 協力すれば終わる確率が上がるのなら、協力は惜しまない」

 

自分が真に思っていることは隠す。ただしそれは守護騎士に対する憎しみと言うよりは

はやてに対する罪悪感だ。グレアムは今はただそれだけを思っていた・・・

 

そんななか・・・アースラのブリッジの扉を開けるものが居た。

それは紫の髪を持った男性となのはたちよりも幼く見える小柄な銀髪の少女・・・

そして男性が話し始めた・・・

 

「初めまして、最高評議会の勅命で来た。ジェイル・スカリエッティだ」

 

物語は・・・さらに進んでいく・・・

 

 

 

 

 

 

 

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