リリカルなのはサーガ   作:DFGNEXT

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・・・希望・・・そしてそれからの絶望・・・を書いたつもりですが・・・
なんだか中途半端になったかなぁ・・・まぁ、難しい。

明日から免許取りに行かなきゃならないし・・・

とりあえず今回が闇の書戦の中盤です。

それではどうぞ!!




SAGA 30「砕かれた誇り」

 

 

 

 

「・・・んっ・・・」

 

優しい光が差し込んでくるような感触にフェイトは少し声を漏らす。

目蓋越しに光を感じ、無意識的にゆっくりとその目蓋をあげた。

 

柔らかな陽光にとても暖かな感覚、そして体全体を包み込む感触。

自分がベッドに寝ていると分かるまで、フェイトは少し時間がかかった。

 

体にかかっていたシーツを取って周りを見渡す。

装飾品はそれほど多くはないが、すなおに綺麗な部屋だと思っていた。

しかし、漂う雰囲気はどこか懐かしく、そして心が落ち着くようにフェイトは感じた。

そしてここがどこか気づく。懐かしさを感じるのも当然だった。

 

「ここは・・・・・・時の・・・庭園? どうして? ・・・私は確か闇の書に・・・」

 

自分は確かなのはを庇って・・・そして・・・

わからない。フェイトにはそこから先の記憶はなかった。

 

とりあえずは周りを見渡す。

 

窓の外から見える青々とした森林と緑に包まれた庭。

まるで絵画のように切り取られた美しい風景から吹き込む風が、

僅かに開いている窓の隙間から流れ込みカーテンをゆっくりと揺らしていた。

 

それはとても幻想的なものだった。

 

この風景自体はフェイト自身は直接その目にしたことはない。

しかし、アリシアから受け継がれた記憶の中に映る幸せに感じる情景の記憶が、

ここは自分が生まれ育った時の庭園だと言うことを直観的に感じ取っていた。

 

ここは夢だと頭ではわかっていても、どこか夢であることを否定したい気持ちもあった。

 

「ん~~? もう、あさぁ~?」

 

突然の事態に自分しか見えていなかったフェイトは、

隣で身じろぎしながら寝ぼけた声を出す少女のことを認識していなかった。

 

その姿にフェイトは見覚えがあった。

 

「アリシア・・・・・・?」

「うん、そうだよ? おはよ、フェイト」

 

アリシアはそう言ってフェイトに朝のあいさつを言ったあと、

となりにいた子犬アルフの尻尾を掴んでベッドから飛び降りた。

 

「アルフもおはよ」

「うん、おはようアリシア。できれば尻尾は辞めてほしいかな」

「あっ、ごめん」

 

はたから見れば微笑ましい光景だった。

フェイトもここが夢だとわかっていても少し微笑んでしまう。

そしてベッドから随分遠く見える扉が開く音にフェイトは身を止める。

 

「みんな、ちゃんと起きてますか?」

 

とても懐かしい声にフェイトは吸い込まれるようにそちらを見た。

そこに経っていたのは、かつての魔法の師匠、そして育ての親。

 

「・・・リニス・・・・・・?」

 

もう二度と会えないと思っていた人が目の前にいることに

フェイトは少しだが喜びを感じていた。

 

「さっ着替えて、朝ご飯にしましょう。プレシアはもう食堂ですよ」

「わ~い、ご飯、ご飯」

 

「・・・・・・母さん?」

 

アリシアは喜びの声を上げる。

フェイトはその名前を聞いて複雑な感情を抱いていた。

 

 

 

 

「おはよー、母さま」

「おはよー、プレシア」

「アリシア、アルフ。おはよう」

 

厨房から食堂に温かいスープの香りが漂う中、

アリシアとアルフの声に、プレシアは振り向いた。

 

全く邪気のないその笑顔で我が娘アリシアに微笑みかける。

そして、もう一人の娘の様子が少しおかしいと気づく。

 

「フェイト、どうしたの?」

 

やさしい言葉とともに穏やかなその瞳がはっきりとフェイトの姿を映し出す。

その視線に晒されて、フェイトはまるで条件反射のように身体を硬くさせてしまう。

しかし、フェイトもそう心は弱くはない。自らの・・・幻想の母親に挨拶をする。

 

「おはよう、母さん」

「おはよう、フェイト・・・どうかしたの?」

「どうも怖い夢を見たようで、今が夢か幻のように思っているみたいです」

「フェイト、勉強のしすぎとか?」

 

アリシアのちょっとしたからかいもフェイトの耳には届かない。

ただ、その瞳は目の前のプレシアのほうを見据えていた。

視覚以外――他の五感の情報が全く入っていなかった。

 

「フェイト、いらっしゃい」

 

プレシアにそう言われ、数秒その場に立ち止まった後

フェイトは少しずつ歩いて、プレシアの近くにたった。

 

プレシアのそっと差しのばされる手に反射的に

フェイトは痙攣するように肩を震わせてしまう。

意図したわけではない。ただ単純に反射的にだ。

 

「怖い夢を見たのね・・・フェイト・・・

 でももう大丈夫よ。母さんもリニスもアリシアも皆あなたのそばにいるわ」

「プレシアァ!あたしも!」

「そうアルフもね」

 

平和だ。とても平和だった。

 

「さあ、席についていただきましょう」

「はぁ~い」

 

プレシアの声に応じてアリシアは席に座る。

平和な・・・とても平和な食事が始まった。

 

だが、フェイトはやはりそれが現実と思っていなかった。

そんな曖昧な気持ちを抱きながら食事は終了した。

 

 

 

朝食後、庭園の庭を散歩していた。

 

「そうだ、今度皆で町に行きましょうか?」

「いいですね」

「フェイトには新しい靴を買ってあげないとね」

「あぁ~フェイトばかりずるい!」

「魔導試験満点のご褒美ですよ。アリシアもがんばらないと」

 

そんな会話にも参加できないフェイトにアリシアは話しかける。

 

「ねっ、フェイト。今度の試験までに補習お願いね」

「う、うん・・・」

 

他愛もない会話・・・夢だとわかっている世界・・・

だけれでも自分が望んでいた世界が目の前にあることに

フェイトはどことなく、喜びを覚えていた。

 

 

 

 

◆◆◆◆◆◆◆◆

 

 

 

 

「くっ・・・」

 

フェイトが長い夢を見ている最中もなのはたちは戦いを続けていた。

砲撃や魔力弾が飛び交い。バリアと拳が火花を散らすが、現状に進展はない。

 

「まだ駄目か・・・もう少しダメージを与えないと・・・」

 

現状が今一良くないことに憤りを覚えるユーノ・・・

しかし、それでもなのははあきらめずに戦っていた。

自分を庇ってくれた。フェイトはとても強い子だ。

絶対にあきらめていない。だから自分もあきらめない。

 

「マガジン残り4つ・・・カートリッジ24個・・・

 スターライトブレイカー・・・打てるチャンスあるかな・・・?」

《I have a method.》

 

悩むなのはにレイジングハートが語りかける。

 

《Call me "Blaster mode."》

 

それは禁断の力・・・マリエルからはまだ早いといわれた力・・・

自らの能力の限界を突き破る力の名前だった・・・

 

「駄目だよ!あれは本体のフレームを補強するまで使っちゃ駄目だって

 わたしがコントロールに失敗したら・・・レイジングハート壊れちゃうよ!!??」

 

《Call me. Call me "Blaster", my master.》

 

必死に止めようとするなのはだが、レイジングハートは一歩も引かなかった。

彼女もはやてたちを本当に助けたいのだ。その覚悟はなのはと同じだ。

レイジングハートの決意を感じ取り、なのはも決心する。

 

「わかったよレイジングハート・・・わたし絶対成功させるから・・・」

 

そう言いながらなのははレイジングハートを構える。

もう何も迷わない。全力全開で使う!! 信じる仲間がいるから!!

 

「ブラスタァアアアア!!!!!スリィイイイイイイ!!!!!」

 

《Ignition.》

 

そしてなのはの叫びとともになのはの魔力が膨大な量に膨れ上がる。

戦場に吹く風が・・・変わる。なのはの・・・リミットオーバーだ。

 

 

ブラスターモード・・・それはなのはのレイジングハートに搭載した

リミットブレイク機能を使用するための『前段階』モード・・・

レイジングハートの見た目はエクセリオンモードのままだが、

なのは自身の魔力が大幅に上がる。当然リミットブレイク・・・

つまりは自身の限界を超える以上代償はあり、なのはが操作に失敗した場合。

基礎フレームが魔力カートリッジの使用に耐えきれる程度のレベルでは

フレームがブラスターモードの反動に耐え切れず、レイジングハートが大破する。

 

ましてやブラスター3をいきなり使用したなのはは無謀とも言えるものだったが、

レイジングハートの意地となのはの圧倒的な演算能力が使用を可能としていた。

もっとも、なのはは病み上がり、ちょっとした負担でなのはの演算は止まる。

 

そもそも体を今動かしているのはなのはの魔力で強制的にだ。

希少技能の『魔力散布』も現在全く使えていない状況だった。

 

「・・・なっ!!」

 

そんな事情を全く知らない闇の書の意思は

突然目の前のなのはの魔力が大幅に上がったことに驚く。

 

気が着いた時にはなのはは目と鼻の先まで近づいていた。

 

なのはは間髪入れずに至近距離でエクセリオンバスターを放つ。

チャージなしでも最高威力。エクセリオンバスターの本領を発揮する。

 

「ぐふぅ・・・!!」

 

不意打ち気味に至近距離で食らった砲撃にさすがの防衛プログラムもダメージを受ける。

しかしなのはは止まらない・・・魔力を集束しディバインシューターを連続して作り出し、

闇の書の意思に向けて発射・・・それを続けて行い相手に的確にダメージを与えていく。

 

 

無論闇の書の意思もそれを黙って受けるわけはなく反撃、

なのはもまたガンローダーモードのブレイズハートで受け止め、打ち込む。

なのはと闇の書の意思は高速で戦闘を開始し、その姿は光の線のようなもの・・・

そしてぶつかり合う音とところどころで爆発のような光が見えるだけになっていた。

 

「・・・アルフ・・・なのはたち見える?」

「一応ねぇ、見えるよ・・・フェイトの通常時の戦闘のほうがまだ速いから・・・」

 

アルフはフェイトの嘱託試験での戦闘を観戦していたし、

フェイトの戦闘技術や能力・・・またソニックフォームの最高速度も知っていた。

だからこそなのはと闇の書の意思の戦闘はそれに比べればまだ遅いのだ。

 

そんな会話を二人がしているなか、なのはは現状を冷静に分析する。

早めに方を付けないと自分自身の体が持たないのだ。

 

「・・・わたしの今同時に操作できるディバインシューターの数は64個・・・

 わたしの計算が間違っていなければ・・・ブラスターモードの使用可能時間は

 最大2分・・・早く勝負を決めたいところだけど・・・」

《That's right》

 

「・・・さすがだ・・・だが・・・そんなちまちました攻撃が通ると思っているのか?」

 

闇の書の意思のその言葉になのはが答えようとしたとき

一番信頼できる彼女の相棒が先に答える!

 

《通します!!マスターが私に力を与えています!

 命と心を賭けて、答えてくれています!

 泣いてる子を、救ってあげてと!》

 

「レイジングハート・・・」

 

レイジングハートがそう言ってくれた喜びと先に言われたことに対する嫌悪感が

若干だがなのはの心を強く支配するが、首を振って瞬時に彼女は元に戻る。

 

「うん、そうだね。いくよレイジングハート

 ・・・一か八かだけど・・・やってみよう!!」

《All right. My master!!》

 

そう言うとなのはとレイジングハートはブラスターモードを一時的に解く。

突然なのはの魔力が下がったことに対し、闇の書の意思は警戒する。

 

だが、そのまえに自らの四肢にバインドが食い込む。

 

「なんだと・・・!?」

「悪いけど・・・なのはの邪魔はさせないよ」

「フェイトは必ず返してもらうからな!」

 

その二重のバインドはアルフとユーノのもの。

二人分の強力なバインドに闇の書の意思は身動きすら取れない。

解除を試みるが、まだまだ時間がかかりそうだった

 

そして・・・その隙になのはは動き出す!

 

「行くよ・・・」

《Mode Blazing Heart!!》

 

そのなのはの言葉、そしてレイジングハートの言葉と共に

なのはの手にあるレイジングハートとブレイズハートが虹色に光り輝く。

そしてレイジングハートからカートリッジが二発ロードされる。

 

「な、なにが・・・」

 

その輝きのあまりの眩しさに目を覆う闇の書の意思。

そしてなのはは詠唱する。そのモードの名前と共に!

 

「突き進む不屈の心よ!!我が体に宿れ!!!

 起動せよ!!ブレイジングハァアアアアアアアアトッ!!!」

《Drive Ignition.》

 

そして二つの心の姿が変わっていく。

レイジングハートは先の宝玉がある金色の三角の部分を残して

カートリッジと柄の部分がなくなる。そして白い装甲のようなものが

レイジングハートを包んでいった。

 

ブレイズハートはガンローダーモードからクリーブモードへ

そして持ち手の部分がレイジングハートの部分と一体化する。

 

そう、その姿は巨大な弓。なのはの背丈を越える。

 

白く光り輝く、超弩級サイズの超弓の姿。

 

これが『ブレイジングハート』

ブレイズハートとレイジングハートが合体した姿だった。

 

「・・・なにっ!?」

 

「ブレイジングハート!!!」

《A. C. S., standby.》

 

システム展開と同時にレイジングハートは6枚の光の羽根を大きく広げる。

なのははカートリッジを三つロード。自身の魔力を高めると同時に

足元にミッドチルダ式の桜色の魔法陣を生成する。

 

「アクセルチャージャー起動・・・ストライクフレーム!!」

《Open》

 

合図と同時にレイジングハートだった部分の先端に

半実体化した魔力刃「ストライクフレーム」を形成する。

 

「スターライトバニッシャーA.C.S.!!!!!!ドライブ!!!!」

 

その言葉と共になのははブレイジングハートの間に作られた光の弓を引いていく。

力を込めて引く、硬い・・・2cm引くにも相当の疲労だった。

 

しかし、それだけの疲労の価値はあり、ブレイジングハートの先端には

なのは個人では決して生み出せない強大な魔力エネルギーが溜まっていった。

 

「これが・・・なのはの真のリミットブレイク・・・」

 

そうこれがなのはの真のリミットブレイク。

レイジングハートのブラスターモードはただの通過点に過ぎない。

あくまでもあれはレイジングハートのリミットブレイクだ。

 

これこそレイジングハートのフレーム強度の弱さを

合体することでブレイズハートのフレーム強度で上げる秘策。

ブレイジングハートならばなのはのリミットブレイクはブラスターの優に3倍は行く!!

 

「くっ、くぅ・・・」

 

闇の書の意思はバインドを解こうとするも未だに解けない。

いや、正確に言えば解いたそばからユーノが新たなバインドをかけていく。

これではきりがなかった。抜け出せない。

 

そんななかでも、なのはは弦を引き続ける。

エネルギーが溜まっていくごとにブレイズハートだった上のコアが、

続いて下のコアが光り、その刃の溝を藍色に染めていく。

 

そして―――――――完全にチャージは成功した。

その証としてレイジングハートだったコアもまた紅く光る。

 

なのははそれを見届けると・・・弦を離し、放つ!!

 

『スターライトバニッシャー』

それはブレイジングハートを撃ち出す必殺技。

 

なのはによって力強く打ち出されたブレイジングハートは

その身を高速回転しながら闇の書の意思に向けて高速突撃した。

だが、闇の書の意思はそれをバリアで防ぐ。

 

拮抗している。だが防がれそうだった。

 

「こんなもの・・・」

「・・・届い・・・てぇえええええ!!!」

 

防ぎきられる。ユーノたちがそう思っていた時だった。

 

なのはは叫び声とともに自身の体を回転させながら

回転するブレイジングハートに向けてとび蹴りを放つ!

 

「なにっ!? まさか!!」

 

なのはの予想外の行動に驚く闇の書の意思。

蹴りによって先端に形成したストライクフレームが押し込まれ

敵の強固なバリアを破る。そしてその先端にエネルギーを集中する。

 

「ブレイク・・・シュゥウウウウウウウトッ!!!!!!!」

 

そのまま、なのはは敵の内側へと零距離射撃を撃ち込んだ。

 

 

 

 

◆◆◆◆

 

 

 

 

そして闇の書内部ではドゴーン!!という爆発音を聞きはやてはやっと目覚めた。

 

「ハッ!! な、なんや今の爆音・・・」

「我が主!!やっとお目覚めになりましたか!」

 

はやては声のした方向を向く。そこにいたのは長髪の女性・・・

 

「管制人格・・・さん・・・?」

「はい、そうです我が主。よくぞご無事で・・・」

 

管制人格は自分の主が無事で本当に安堵する。

さきほどまで取り込まれたはやてはずっと眠り続けていたのだ。

 

「私は確か・・・なのはちゃんが召喚されて・・・

 それを見て驚いていたら・・・闇が私を取り込んで・・・

 それから・・・記憶があらへん・・・どうして私寝てたん?」

「それは防衛プログラムが主のもう一つの願いをかなえようと・・・

 誰にも邪魔されない幸せな世界・・・家族と一緒に暮らしている幸せな夢を・・・」

 

管制人格が言おうとするとはやてがそれを続ける。

 

「見させようとしてたわけや・・・でも所詮夢は夢や。

 重要なのは過去を糧に今を生きることや」

 

「我が主・・・」

 

「昔の私やったら夢を見続けようとしたかもしれへん・・・だけど今は皆がおる・・・

 もう夢を見るのは御仕舞いや。ここはどうも落ちつかへん・・・皆が待ってる・・・」

 

「そとで高町なのはが魔力ダメージを与えています。あと一息です」

 

「そうかぁ・・・だったら・・・」

 

なのはに連絡を取ろう・・・そう思った瞬間だった。

はやては闇の書の内部にいたために気付くことができた。

 

闇の書の中で新たな闇が生まれ始めたことに・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「全く・・・これで効いていないっていうのは体にこたえるよ」

 

なのはは肩で息をしながらブレイジングハートを解き、

レイジングハートカノンモードとブレイズハートガンローダーモード切り替える。

 

前方は爆発の粉塵で覆われているが、なのはには気配でわかった。

闇の書の意思は無傷だと・・・

 

やがて粉塵が晴れるとそこに居たのは予想通り無傷の闇の書の意思だった。

なのはの放った一撃でユーノたちのバインドは砕け散っていた。

 

「さすがだな・・・これほどの威力・・・とてもすばらしい」

「お世辞のつもり? まったく・・・」

 

なのはは敵である闇の書の意思がお世辞を言ったかと思う。

しかし、闇の書の意思は突然笑い始めた。

 

「くく、あははははははははは、あはっははあはははははははは!」

「何がおかしいの!?」

 

なぜ笑うのか、なのはが闇の書の意思に問いかける。

いくらなんでも笑い方がおかしい。何か意図があるのかとなのはは思った。

 

・・・しかし・・・闇の書の意思が放った台詞はなのはの予想を遥かに上回っていた。

そして、その言葉がなのはの心を粉々に砕くには十分だった。

 

「お世辞だと・・・お世辞のはずがないだろう・・・」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

・・・・・・・・・我が主よ・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「えっ・・・・・・・・・・・・・・・」

 

今、なんて言った・・・?

 

「なんどでも言ってやるぞ。我が主『高町なのは』よ」

「なのはが・・・あなたの主・・・?」

 

ユーノもアルフも闇の書の意思の言っていることが理解できない。

 

闇の書の主は八神はやて・・・それは間違いない。

守護騎士も管制人格もそう認めている。なのはに精神リンクはない。

だから、今目の前にいる防衛プログラムの主がなのはであるはずがない。

そう考えているとすべてを見越したように闇の書の意思は言う。

 

「当然だ。闇の書の・・・いや、夜天の魔導書の主は確かに『八神はやて』だ。

 だが、防衛プログラム・・・そして私の主は『高町なのは』お前だ」

 

うそだ! なのははそう言い返してやりたかった。

だが、否定できなかった。黙り続けることしかできなかった。

理由は明白だった。それを証明されてしまったからだ。

 

「どうだ?精神リンクでお前と私をつないだ。

 私の感情が少しだが伝わるだろう? これが証拠だ」

 

なのはは身震いする。否定が全くできないだけではない。

伝わってくるのは感情・・・だが、それだけではない

なのはの心の問いに答える悪魔の声も聞こえたのだ。

 

「・・・どう・・・う・・・こ・・・」

 

呂律が回らない。知りたくなかった。

こんな事実・・・なのはには重すぎた。

 

「どういうことだと・・・?そのままの意味だよ」

 

闇の書の意思は答えてしまう。

なのはを・・・そしてその場に居る皆を絶望させる言葉を。

 

「お前は本来はリンカーコアをもっていないただの人間だった。

 お前を魔導師にしたのは・・・防衛プログラムだ」

 

なのはは耳をふさぐ、聴きたくないと

しかし心に響く言葉はそれでは防げない。

なのはの心の問いに闇の書の意思が答えていく。

 

 

 

 

 

―わたしはあの本にあったから魔法に目覚めた!

―それも防衛プログラムが目覚めさせた。お前の力じゃない

 

―わたしの決意はあの怪我があったから・・・

―あの怪我もそうだ。防衛プログラムが仕組み、決意も誘導した。

 

―傷ついた心ははやてちゃんに偶然出会い、はやてちゃんに癒してもらった。

―それもだ。普通の人間が魔法を他人に見せるわけないだろう?

 

―御神流を覚えたのはわたしの好奇心・・・

―それもだ。

 

―誘拐されたアリサちゃんとすずかちゃんを見つけ、助けようとしたのはわたし

―あれもそうだ。防衛プログラムが見つけ、助けさせようとした。

 

 

あれもそう・・・あれもそう・・・

 

防衛プログラムはなのはの行動をすべて制御していた。

なのは自身の心で選んだ道は一つもなかった。

なのはの魔法の才すら、防衛プログラムが植えつけたものだった。

 

 

「ど・・・して・・・」

「どうしてお前を主と選んだかか?

 それは4年前ほどか・・・夜天の魔導書の主『八神はやて』はトラックに轢かれた・・・」

 

知っている・・・はやてからなのははその話を聞いている。

 

闇の書の意思の話を・・・なのはだけでなく

ユーノもアルフもアースラに居る全員も黙って聞いてしまっていた。

 

「そのときに彼女は無傷だった。それは私が守ったからだった。

 しかし、彼女のみに危険が及んだことには違いはない。

 だから防衛プログラムは彼女を『守るため』の新たな力を望んだ・・・」

 

新たな・・・力・・・それはまさかとなのはは思う。

信じたくないし、聴きたくなかったが、彼女は言ってしまう。

 

「そしてそれから少し経った後、防衛プログラムは見つけたのだ。

 途方もない深い深い『心の闇』の持ち主を・・・・・・・・・」

 

そして闇の書の意思はなのはを睨み言った。

 

「そう、お前だよ。『高町なのは』だからお前は防衛プログラムに選ばれた。

 八神はやてを・・・永久に守り続けるための道具としてな」

 

だが、一つだけ誤算があった。そう闇の書の意思は言った。

 

「お前を制御しても周りは制御できなかった。

 現にお前はユーノ・スクライアとフェイト・テスタロッサの導きで

 闇の書を破壊、または封印しようと考えてしまった。

 それは大きな誤算だったのだろう。ただでさえバグの塊だった

 『防衛プログラム』が暴走したのさ。おかげでコントロールを奪うのは簡単だった」

「コントロールを・・・奪う・・・?」

 

ユーノの言葉に目もくれず。

闇の書の意思はなのはに向けて再び白い蛇を放つ。

 

「ひぃ・・・がぁ・・・」

「な、なのはぁああああああ!!」

《Master!!!!》

 

ユーノたちの叫びも空しく、すでに心が折れかけていたなのはに避ける気力はなかった。

白い蛇はなのはの体を噛み付き、そして残りの蛇がなのはの穴という穴に侵入していく。

その白い蛇たちに持ち上げられ、なのはの体は空中に十字に固定されてしまう。

 

「んぐ!?んぐぐ、むぐー、むー!!??」

 

口をふさがれ、身動きもとれないなかで・・・

なのはに向けて、闇の書の意思は・・・伝える。

 

「だが、私はお前にそんなことをしたくはない・・・

 おとなしく・・・我が闇に眠ってくれ・・・心が壊れる前に・・・」

 

そして白い蛇を通して闇を送り込む。

その闇はなのはを包み、その意識を奪っていく・・・

 

(いや、やめて・・・いやだ。消えたくない!!

 守るって約束したのに・・・あれ・・・?それは本当にわたしの意志・・・?

 本当にわたしの気持ち・・・? わからない・・・わから・・・ない・・・)

 

なのはの気持ちは・・・心は折れかけていた。

もう自分を見失っていた。さきほど自分で決意してしまったがために

その意思をすべて壊されてしまったなのはには疑問符に抗う(すべ)がなかった。

 

(・・・助けなきゃ・・・わたしが・・・わたしが消えちゃう・・・)

 

その言葉を最後に・・・なのはの意思は・・・この世から跡形もなく消え去った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「・・・どういう・・・ことだ・・・? なぜ体が取り込まれない?」

 

闇の書の意思は目の前の出来事に驚きを隠せない。

彼女がやったことは、なのはを『肉体ごと』取り込むこと

それを避けさせないためになのはの心を粉砕寸前まで破壊したのだ。

 

なのに・・・目の前のなのはは意識なく頭をグタリと下げながらも

その肉体を維持していた。消滅していなかった。

 

なんだ・・・?何が起こっている?

そう闇の書の意思が思ったとき・・・それは起こる。

 

「くくくっ・・・」

 

不気味な笑い声・・・その音源は目の前の少女『高町なのは』からだ。

 

「・・・なんだ・・・」

「なのは・・・?」

 

闇の書の意思、ユーノ、アルフがいっせいになのはの方を見る。

おかしい。なのははふざけでもしない限りあんな笑い方はしない。

 

その時だった。

 

「ふんっ!」

 

そんな掛け声と共に『なのは』は自分の体に取り付く白い蛇をすべて引きちぎった。

 

「なん・・・だと・・・」

 

闇の書の意思は取り込んだはずのなのはの意思が残っていることに驚く。

体が消えていないのは失敗したからか?しかし・・・

 

そう思っていた闇の書の意思・・・だが、『なのは』は突然・・・

 

「あひゃ・・・」

「!!????」

 

 

「あひゃ、あひゃひゃひゃ、あひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃ!!!あひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃ!!!あひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃ!!!あひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃ!!!あげゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃ!あひゃひゃひゃ!!」

 

 

不気味で、不快で、気に障る大きな笑い声。

今度こそなのはが絶対に出さない笑い声だった。

体を退けぞらしながら、天空に向けて笑い続ける。

 

その後、笑い声をやめたと思うと『なのは』は俯く。

 

そしてニヤリッと笑い。

顔を勢いよく上げて闇の書の意思を向くと『なのは』は言ったのだ。

先ほどと同じく気に障る不快な声で・・・

 

 

「あひゃひゃひゃひゃ!! 待たせたなッ!!!!!!!

 真打ち登場だぜぇえええええええええええええええええ!!!!!!」

 

 

 

 




 
ブレイジングハートは
  /
←<  ⌒*(・∀・ )*⌒
  \

こんな感じです。
ブレイズハートはクリーブモードが刺さった状態で、
レイジングハートは劇場版エクセリオンモードが飛行形態みたいになった感じです。

なのはの心は消え去り、新たな心がその肉体を支配する・・・
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