リリカルなのはサーガ   作:DFGNEXT

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なのフェイなんてものがこの作品で果たして発生しうるのか・・・
車椅子のあの子が登場です。

それではどうぞ!!


SAGA 3「親友との出会い」

 

 

傷跡は残ったものの怪我が完治したなのはは退院した。

けれどもあんなことがあったので早朝ランニングも兄と一緒だ。

もともと今は『力』は使う気にはなれないのでそれ自体は良かった。

 

毎朝、兄妹そろってランニングをしたり、兄の訓練を見れたりして意外と楽しかった。

 

さらに携帯電話も防犯のため持たされた。

もうすぐ小学生になるので持たされた感もあるが、

そのおかげで、人通りが多い昼間などに

一人で図書館へ行くことなどは許可された。

 

力は使えないものの、平和な日々をなのははすごしていた。

そしてあの出来事から約二年。小学二年生の夏休みのことだった・・・

 

 

 

 

◆◆◆◆

 

 

 

 

わたしは海鳴市にある図書館『風芽丘図書館』に来ている。

ここは広さも十分あり、結構多種類の本がおいてあるうえ、

子供向けから大人向けの難しい本までいろいろとある。

 

そのためここにはよく足を運んでいるのだ。

 

 

わたしは入り口に入るとまず受付のお姉さんに挨拶する。

ここに来たのはあの本を受け取ってからずっとだ。

 

良く通うようになったので、受付のお姉さんには顔を覚えられた。

まあこの年齢では難しい本を借りるというのもあるけど。

 

「こんにちは、雨宮さん」

「こんにちはなのはちゃん。今日も来てくれたね」

 

こちらがそのお姉さん。名前は「雨宮可奈」

年齢は禁句とのこと。まぁ、仕方ないね。

初めて会ったときは転任したばかりの新米さんだったらしいけれど

今ではベテランといったところ。どこにどんな本があるか大体覚えているとか

 

挨拶をした後はいつもの数学の本がある場所へ行こうとする。

だけど今日はいつもの道が清掃中で通れなかった。

しかたなくわたしは別のルートで行くことにした。

 

数分後、本を選び終わったわたしは通路を戻っていた。

 

「ふう、今日はこれぐらいにするか。」

 

そういうわたしの手には厚めの本が3冊あった。

すべてが数学に関する本である。本当は限界である10冊まで借りたいのだが、

そこまで借りてしまうと手が完全にふさがるのでこの数で抑えている。

鍛えていても8歳の体では少しつらいものがあるのだ。

 

本を借りに受付へ行こうとするが、いつものルートではないので、

少しきょろきょろしながら戻ろうとしていると・・・

 

「く、うー・・・」

 

そんな声がしたのでふと声がしたほうを見る。

するとそこには栗色のショートヘアーに、年相応の幼い顔立ち。

その表情をほんの少しばかり歪め、必死に本棚に手を伸ばしている少女がいた。

 

どうやら上の棚の本を取ろうとしているが、車椅子に座っているせいで取れないらしい。

手を伸ばしているが、全然届く気配がない。見ていて少し不憫に思ってくる。

わたしはその姿を見て、周りを見るが台などは近くに見当たらなかった。

 

(・・・ちょっとだけだけど、力も使えるようになったし・・・

 この子は同い年っぽいし話しても大丈夫だろう・・・)

 

よし、わたしが取ってあげよう、と思い彼女のそばに近寄る。

そして力を使い本を浮遊させて、取ってあげる。

 

「これかな?」

「えっ、あっ、ありがとうな・・・て、今どうやって取ったん!?」

「ううん。気にしないで、他に取りたい本とかある?」

「え、っと・・・。それじゃあアレとアレを・・・・・・・・・」

 

なんだかその子は慌てていた。まぁ、それ覚悟で力を使ったのだけど

わたしは言われた本を、力を使い順々に取っていった。

一通り借りたいのが済んだのか、そのまま本を持ってカウンターに行った。わたしもそれに付き合う。

 

「あ、あの、ありがとうなぁ」

「どういたしまして」

 

わたしはそう言うと本を借り、図書館を出る。

車椅子は見ていてわたしがハラハラしたのでお節介を焼くことにする。

 

「よかったら家まで押していこうか?」

「え、ううんえぇよ。そこまでして貰わんでも」

「気にしなくていいよ。今日は暇だし、それに話したいこともあるし」

「そ、それじゃあ送ってもらおうかな。さっきのことも聞きたいし」

「うん、了解」

 

そういうとわたしは彼女の車椅子を押して帰り道を行く。

 

 

 

 

帰り道はお互いに自己紹介をしながら歩いていた。

 

「今日はホンマにおおきにな。あっ私の名前は八神はやてや。あなたは?」

「へぇ~。名前は八神はやてって言うんだ。

 わたしの名前はなのは。高町なのはだよ」

「なのはちゃんかぁ。あ、私のことははやてでええよ」

 

はやてちゃん・・・うん、いい響きだな

 

「じゃあ、そう呼ばせてもらうよ。はやてちゃん」

「今後ともよろしくな。なのはちゃん」

「こちらこそ」

 

そして八神家の前にたどり着く。

 

「うちはここや。ホンマありがとな」

「ううん。大丈夫だよ。ところでこんな大きな家に住んでるの?」

 

庭もあり、道場も有る家にわたしも住んでいるが、

はやてちゃんの家族が住むには大きすぎるような気がしていた。

だけど、それは少し踏み込んだ質問だったようだ。

 

次にはやてちゃんが話した内容を聞いて、そう思ってしまった。

 

「そうやで、でも一人暮らしなんや。ちょっと寂しいかな」

「えっ?一人暮らし?」

 

わたしはそのことを聞いて本当に驚く、

こんな小さな子が一人で暮らしてるなんて・・・。わたしが言うのもなんだけど

 

確かに小さい子でも一人で家にいたり、家事をしたりすることもある。

わたしだって一人で目玉焼き作ったりしてるし。

 

でもそれは保護者がいることが前提だ。

 

こんな小さい子がいくらお金があったって、一人で暮らすなんて日本じゃまずありえない。

普通は施設に入るなり、親戚の家に行くなりするはずだ。確か

 

ましてや、はやてちゃんは見ての通り障害持ちだ。

わたしはやっぱり信じられなかった。

 

今は笑顔を見せているが、本当の気持ちはどうなんだろうか。

わたしは・・・そう感ぜざるを得なかった・・・

 

「小さいころ親が亡くなっていてほんでずっと一人暮らしなんや・・・」

 

少し顔に曇りが出てきた。やっぱり寂しいんだ。

 

「あっごめんな。暗い話してしもうて」

「あっううん。大丈夫・・・わたしはお父さんもお母さんも居るけど

 前にお父さんが大怪我して・・・すこしはわかる」

 

わたしはお節介にもほどがあるが、

気持ちがわかる。ということをアピールしていた。

我ながら卑怯だが、やっと同じ気持ちがわかる人に出会えたと思った。

 

「そっか・・・。なのはちゃんも大変やったんやな。

 それじゃあ、ありがとうな。送ってってもらって」

「うん、こっちもありがとう」

「そや、さっきの話も聞きたいから家に上がってってよ」

「いいの?」

「もちろんや」

「それじゃ、お言葉に甘えて」

 

そう言うとわたしとはやてちゃんは八神家に入っていった。

その様子を・・・一匹の猫が眺めていたことなど・・・まだ知る由もなかった。

 

 

 

「はい、お茶どうぞ」

「ありがとう」

 

はやてちゃんからお茶を受け取って、お礼を言いながら一口つける。

おいしい・・・市販のお茶なのにわたしが入れたのとぜんぜん違う。

 

「とってもおいしいよ。はやてちゃん」

「ありがとなぁ。なのはちゃん」

 

はやてちゃんは今は先ほどとは違う車椅子に乗っている。

この家は大きかったものの、すべてがバリアフリーになっており、

玄関以外で段差があるのはせいぜいトイレくらいで

お風呂は出入口の幅は目測650mm以上確保されていて、

ドアは引き戸か外開き戸にし、外からも解錠できるようになっていた。

他にも浴室の出入りを助ける手すりがあったり 脱衣所と浴室の段差はない。

浴槽も跨ぎやすい高さになっていたりした・・・

 

何で知ってるかって?

お風呂どうしてるの?って聞いたら、さっきついでに案内してくれたからだ。

 

目側での数値の判断はかなり面白かった。

 

話を戻すと、はやてちゃんは外用と中用で車椅子を使い分けていた。

当然と言えば当然で、家に一人しか居ないのだから

車輪を拭く作業は困難でしかない・・・というか無茶だろう。

だからはやてちゃんは中は手動の車椅子。

外は電動で動くことも可能な車椅子を利用していた。

 

「それでさっきのはなしだけど・・・」

「そうや、そうや。なんかなのはちゃんよりも

 若干高い位置にあった本が浮いていたような・・・」

「うん、わたしにはそんな不思議な力があるんだ」

 

そういうとわたしは目の前の湯飲みに力を込める。

するとその湯飲みはふわふわと浮かび始めた。

それを見たはやてちゃんは凄く喜びながら叫ぶ。

 

「すごい!まるで魔法やな」

「魔法・・・?」

「そうや、力なんて名前じゃなくて今度から魔法って言わへん?」

「はやてちゃんが言うならね。わたしも気に入ったよ『魔法』」

 

そんなことがあってこの力をわたしは魔法と呼び始めた。

後にそれが正しかったと知るが、それはまた別の話。

 

「他にも空を飛んだり・・・光の球を出したりしたかな」

「すごいやん。空飛べるなんて!!今できるん?」

 

はやてちゃんが期待を込めた目で私を見てくる。

でも・・・・わたしは・・・

 

「・・・・・・できない」

「・・・?どうして?」

「・・・はやてちゃんには見せておこうかな」

 

そういうとわたしは上半身の上着と下着を掴んで首まで上げた。

はやてちゃんは一瞬だけ、手で目を覆ったものの

わたしの体についている傷を見たのか、顔が唖然としていた。

 

「どうしたん!?その傷跡!?」

「・・・前に魔法を使ってたらヘマしちゃってね・・・

 木に光の球が当たって・・・大怪我しちゃった」

「もしかしてそれが理由で?」

「うん、トラウマなのかな・・・うまく魔法が使えないんだ。

 最近やっと他のものに使えるようになったけど・・・

 自分に対してはまだ使えない。使おうとすると手が震える・・・」

 

今もあのときのことを思い出して震える手を押さえる。

未だに治まる気配はしていなかった。

 

「・・・大変やったんやなぁ・・・」

「死にかけたけれどね・・・生きてるだけわたしもいいかなって思ってる」

「実は・・・私も昔、トラックに撥ねられたことがあるんよ」

「はやてちゃんも?」

 

怪我は大丈夫だったの!!??

 

「うん、幸い怪我はなかったんやけど・・・」

「もしかしてそれが原因?その足?」

「それは違うよ。足が麻痺してきたのはそのずっと後やから・・・」

「そう・・・なんだ・・・」

 

なんだか空気が悪くなっちゃったなぁ・・・

時間も時間だし・・・

 

「それじゃあ、そろそろ帰るね」

「そうかぁ、それじゃあね。なのはちゃん」

「うん、はやてちゃん」

「私はあそこの図書館か海鳴大学病院ってところにおるから、そこに行けば会えると思うよ」

「そう、わかったよ。はやてちゃん。それ・・・じゃあね!また会おう」

「ほな、さよなら。また会おうな」

 

そういうとはやてちゃんは飛び切りの笑顔を返してきた。

とても真白い肌にほんのりとしたピンク色の頬・・・

その笑顔に少しだけドキッとした後。

わたしは家へと向かって走り始めた。

 

 

 

 

 

わたしは家に帰ると玄関の戸を開ける。

そして玄関で靴を脱いでリビングへと向かう。

ちょうどそこにはお母さんが居た。

 

「ただいまぁ」

「おかえりなのは。いつもよりちょっと遅かったわね」

「うん、友達ができたんだ!八神はやてちゃんっていうの」

「そう、良かったわね。なのは。友達は大切にしなさいよ」

「は~い」

 

これが・・・10年以上の付き合いとなる親友との出会いだったのだ。

そして・・・一年が経った・・・

 

 

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