いろいろと伏線だけ張って、BoA編に行きます。
それではどうぞ!!
そして次回最終回です。
『・・・・・・ここは・・・?』
なんだか白い空間だなぁ、とわたしは思った。
上を見ても下を見ても、もちろん左右を見ても白。真っ白。
そんな空間の中にわたしは一人でここに居た。
『レイジングハート・・・はいないか・・・でも服はセイクリッドモードと同じか』
白と青のコントラストが何気無く気に入っているわたし。
最近では私服よりも気に入り始めているその服を見ながら呟く。
この服ははやてちゃんがデザインしてくれた服。わたしのためだけに
だからこれも一生手放せない、大切な宝物だ。
『それにしてもここは一体・・・?』
「ここはお前の夢の中の世界だ」
突然、後ろからした声に驚いたわたしは振り向く。
そこに居たのは銀髪で長髪で紅い眼をした女性。
はやてちゃんが言ってたリインフォースさんによく似た姿・・・
だけど違う。わたしはこの人を知っている。
『闇の書の・・・防衛プログラム・・・いや、それからわたしを・・・』
「あぁ、そうだ・・・会えて良かった。我が主・・・」
『その我が主って言うのはやめてほしいな。自分でも似合わないと思っているでしょ』
「ふ、そうだな。なのは・・・これでいいか?」
『うん、それで全然OK』
でも、だとしたら・・・なんでわたしの夢の中に・・・
そもそも本当にこれは夢なのかな・・・
「なぜ私がお前の夢の中にいるのか、そもそもこれは夢なのか・・・と考えているな?」
『まぁ、そうだけど・・・よくわかったね』
「言っただろう?私とお前には精神リンクがつながっている。この空間なら丸わかりだ」
『ふふ、なるほどそう言うことだね』
わたしは口元に手を持ってきながら笑った。
「さて、私がお前の夢の中に居る理由だが・・・すまなかった」
『え?』
なんでいきなり謝れているの? なにかわたしされたっけ?
「我が主ながら・・・まぁ、そこは今はおいておこう。
私は・・・あなたを助けるために一番ベターとはいえ・・・あなたの心を壊しかけた。
だから、謝りたい・・・本当にすまなかった」
あぁ、なるほど・・・そう言うこと・・・
だけど、別にそちらは私は気にしていない。
シリアル5の支配から助けてくれたのはあなた。
防衛プログラムからわたしを守ってくれてのもあなた。
一人で何でもしようとすれば、それは一つは失敗するもの、わたしは気にしてない。
「本当・・・なのか?」
『勿論、むしろわたしがお礼を言いたい・・・助けてくれてありがとう・・・』
そう私が言った途端、目の前の彼女が急に涙目になって・・・
そして大粒の涙を流し始めてしまった。一体どうしたの?
「あ、あぁ・・・すまない。まさかお礼を言われるとは思わなく・・・てな・・・」
そんなすすり泣きしながら言わなくても・・・まぁ、言える事は言ったからいいか
『それで話は終わり?』
「いや、もう二つか三つほどあるのだが・・・」
『あっ、その前に聞いていい?』
「何をだ?」
これを聴かなきゃ、始まらないからね。
『・・・名前・・・なんていうの?』
「このタイミングで聞くのか・・・」
はぁ、とため息を吐きながら彼女はそう言った。
確かに名乗っていなかった。
色々いいたい事があって一番大切なことを忘れていたと言って
彼女は話してくれた。自分の名を・・・本当の名前を・・・
「ナハト・・・ナハトヴァール・・・それが私の名前だ・・・」
『ナハト・・・ヴァール・・・それがあなたの・・・』
「あぁ、本来ならば私に意思などなかったのだがな・・・
これは本来ならば防衛プログラムの名だが・・・いいだろう?」
『うん、とってもいい名前。でも本来、意思がなかったって?』
「それは私の出生に関わるのだが・・・構わないか?」
『うん』
ぜひ聴いてみたいね。一応わたしはあなたの主なんだから・・・
「では話すぞ。私が誕生したのはほんの5年前ほどだ。
闇の書の主、八神はやてがトラック事故にあう前だ」
『そんな最近なの!? それじゃあ、あなたは・・・』
「・・・先に話を続けるぞ。その時闇の書の主はやては一人身だった。
すでに両親は他界していたし、お前にも会っていない。
防衛プログラムもお前を感知していない。あのころはまだ暴走してないからな。
そして八神はやては願ったのさ。『友達がほしい』とな」
友達が・・・ほしい・・・?
「思えば、それが最初の・・・今世での初めての防衛プログラムの暴走だった。
あいつはその願いを主と闇の書を守るために必要なものと認識。
そして、管制人格・・・・・・いや、今はリインフォースか・・・・・・
あいつの記憶の一部と姿・・・そして防衛プログラムの力の一部を受け継ぎ
この私は誕生したのさ・・・つまり私は防衛プログラムであってそうではないのさ」
『だから・・・トラックからはやてちゃんを・・・?』
あのときの話し方を今になって冷静に考えれば、はやてちゃんを守ったのは
防衛プログラム本体ではなく、ナハトということになる。
「後はお前に言った通りさ。だから私に本来意思はなかった。
通常ならナハトヴァールは左手に装着する腕部武装としても使用されるもの。
その際は、杭のようなものを内蔵した大型の手甲の形を取る・・・
つまり私は道具だった・・・意思を持った道具・・・・・・」
なるほど・・・それが理由か・・・
『だからわたしを助けてくれたんだね。同じ意思を持った道具であるわたしを』
「あ、いや、そう言う意味で言ったわけでは・・・」
『ううん、いいんだ。これが真実・・・でも受け入れるから。
わたしはそれで迷いたくない。わたしには守らなきゃいけない約束がある』
「そうか・・・」
ナハトはそう言いながら目を瞑り、口元を上げて笑った。
自分の中でも決着がついたんだろう。多分ね
「これが一応、二つ目だな・・・」
『三つ目は?』
「最終確認だ。本当に聴きたいのか? これはさっきまでとはまるでレベルが違うぞ」
『構わない。わたしは全部受け入れるから・・・』
「そうか・・・なら言うぞ・・・お前の心は・・・すでに限界だ・・・
おそらく・・・当分・・・復活はできない・・・」
『やっぱりそうかぁ・・・やっちゃったなぁ・・・
もう、何か大切なものが砕ける音聞いちゃったもの・・・』
「ん?それだけか?もっと絶望すると思っていたが・・・」
『まぁ、そうなんだけどね。受け入れるって言ったし・・・
当分ってことはいつか回復できるでしょ? いつくらい?』
生きている間に回復できるなら、まだ大丈夫だ。約束も守りぬける。
「ざっと・・・十年・・・」
『なら、大丈夫だね。19歳か20歳なら全然大丈夫。』
フェイトちゃんとはやてちゃんには迷惑かけるけどね。
まぁ、10年なら許してくれるよね・・・きっと・・・
あぁ、でもすずかちゃんとアリサちゃん怒るだろうなぁ・・・
・・・許してもらうしかないね。
わたしがそう納得したその時、ナハトの体が徐々に光の粒子となって消えていった。
ナハトもやはり、と言いたげな表情をしながら消えていく自分の体を見ていた。
「時間か・・・もう一ついいたい事があったが・・・まぁ、十分居れた・・・私は満足だ・・・」
『また・・・また、会えるよね!?』
「あぁ、会えるさ。きっとまた・・・必ずな・・・?」
『うん、必ず会おう!!だから、はい!』
そう言ってわたしは自分の手を出し、小指を立てた。
「これは・・・?」
『指きりだよ。必ず会おうって約束するの』
「ふ・・・なるほどな・・・あぁ、いいだろう」
わたしとナハト・・・ふたりで曲げた小指を互いに引っ掛け合う。
そして指を絡め合った状態で上下に振りながら言う。
「『指切拳万、嘘ついたら針千本呑ます』」
約束・・・だが、叶うかどうかは本当はナハトにはわからない。
だけど・・・きっと叶う。そう願いながらわたしたちは約束した。
「・・・なのはこれを・・・」
消えかかっているときナハトはそういいながらとわたしに紫色の小さな石を渡す。
『これは?』
「思い出の品・・・ということにしてくれ、そして必ず会う約束の証として・・・」
『うん、ありがとう! 必ず、また会おうね!』
「あぁ・・・かな・・・ず・・・また・・・あ・・・」
そしてナハトは光となって消える・・・
わたしもまたその意識を闇の中へと埋めて行った・・・
愛を守るために、ナハトは光りある世界の果てへと旅立っていった。
◆◆◆◆
「シャマル・・・なのはちゃんは・・・」
「・・・どうかしら・・・全く目覚める気がしないけど・・・
ユーノくんは怪我はしているけど、4日もすれば完治するわ・・・
でも・・・なのはちゃんは・・・」
ここはなのはが以前、シグナムとの戦いの後眠っていた病室。
ここになのはと傷ついたユーノは寝かされていた。
ユーノはいまだ眠ってはいるが、なのはの治療魔法により、
命には別状はない。怪我もしているが、ミッドの技術で傷跡すら残らないだろう。
だが、なのはは一向に目覚めない。
皆が心配していたその時だった。
突然、なのはの胸にいつの間にか掛けられていた紫色の石が光り輝いた。
皆がその眩しすぎる光に目を腕や手で覆う。
そして、光が晴れるとそこにいたのは・・・長い銀髪と深紅の瞳が印象的な若い女性の姿・・・
「えっ、あれ?リイン・・・フォース・・・??」
「私はこちらにいますよ。我が主」
あまりにもリインフォースに似ていたため、はやては車椅子に乗りながら
リインフォースと目の前の女性を交互に見ながら、頭に疑問符を上げていた。
守護騎士たちも含めて、ほとんどの人間が疑問に思っていたが、
そんななか、アルフがその正体に気づいた。
「アンタ・・・まさか・・・」
『あぁ、フェイトの使い魔か・・・お前とユーノには会っているな・・・
我が名はナハトヴァール・・・お前達には防衛プログラムの一部とったほうがいいか・・・』
「「「「!!!!??」」」」
防衛プログラムという単語に一同が警戒態勢をとる。
そんななかで、アルフだけが皆を制止していった。
「そんな言い方、誰も望んでないぞ。お前は違う存在なんだろ?」
「えっ? どういうことアルフ?」
フェイトがそう言ってアルフに聞く。
彼女は開始早々闇の書に吸収されたので、知らないのだ。
「あー・・・まぁ、こいつは防衛プログラムであってそうじゃないんだよ。そうだろ?」
『あぁ、そうだが・・・まさかお前が味方してくれるとはな・・・』
「まぁ、あれだ。助けてもらったお礼だよ。
フェイトを吸収したことはまだ根に持っているけどね」
助けてもらったと言うのはシリアル5とユーノ戦で
シリアル5がちまちま放っていた流れ弾を触手で防いでいたことだ。
『あぁ、それはすまなかった。許してくれ・・・』
「ちょ、ちょっと待て、話の筋道が一切わからない。
ナハトヴァールといったな。お前は本当はなんなんだ??」
一人、状況が全くできていないクロノが聞いた。
彼は通信障害が発生するアースラの中にいたので、ほとんど事情を知らないのだ。
『わかった・・・時間はないが・・・話しておこう』
そう言うとナハトはなのはに話したこととほとんど同じことを皆に話した。
真実を知り、はやてを中心に驚きの声が上がる。
「そうやったんか・・・あのときの私の願いが・・・」
『そうなるな。誇っていいかもしれない。それが今の状態にしたんだ。
本来だったら・・・このまま闇の書の運命は変わらなかったはずだ。
君が変えたんだ。八神はやて・・・』
「そうなんか・・・ありがとうなぁナハトヴァール・・・
そういえばナハトヴァールって・・・立場上もしかしてリインフォースの妹さん?」
その発言に守護騎士たちとアルフ、ついでにリインフォースが噴出す。
だが、その後の発言が一番爆弾発言だった。
『いや、私の親は実質的に防衛プログラム・・・
そしてこいつの立場はリインフォースからすれば姉妹・・・
だから、こうなるな・・・リインフォース お ば さ ん 』
ピキッ
リインフォースの脳内で何か切れてはいけないものが切れる音がした。
そして、それを聞いた守護騎士たちが笑い出す。
「ぷっ、くくくく・・・お、おばさ、くく・・」
必死で口を手で押さえながら、笑い声を抑える烈火の将。
「おばさん、くく・・・おばさんだってよw」ププッ
何だか発言に草が生えている鉄槌の騎士。
「お・・・おばさん・・・い、いや、私は・・・」
なにやら某少女漫画のように白くなっている風の癒し手
「・・・・・・・・・・・・ぷ・・・」
今笑ったな!?今笑ったよな!?盾の守護獣
「貴様ら・・・」
そう言いながら元凶であるナハトを見るが、
その笑顔が純粋すぎて気持ちが留まってしまう。
実は・・・すべてを想定していたナハトの罠だったのだが・・・
そして一番笑っていたのがはやてだった。
「ぷくく、あーはははあは!!なるほどなぁ、そっかぁリインフォースの姪っ子かぁ
それなら確かにナハトヴァールの言ったとおりやなぁ・・・」
「ま、待ってください。我が主!!
防衛プログラムはもともとこそシステムこそありましたが
そもそもは後付けです。だから仮に姉妹だとしても義理です。義理・・・ハッ」
言ってしまった。自分で認めてしまった。
それを聴いたはやてとナハトヴァールがニコニコしながらリインフォースを見てきた。
続いて、重症のシャマルと冷静を装うザフィーラ以外の
二人の守護騎士もそんなにやにやとした眼で見てきた。
「み、見るな・・・そんな目で私を見ないでくれ・・・」
「いやいや、本人が認めているならええんやないか?なぁナハトヴァール」
『あぁ、本人が認めているなら構わないな。リインフォース伯母さん』
「あぁ、姪っ子は大切にしろよ・・・リインフォース伯母ちゃん・・・くく」
「・・・・・・ふふ・・・」
そんなことを言われてしまい。ついにリインフォースは頭を手で押さえて・・・
「ぐっ、が・・・がああああああああああああああああああああああああああああ!!!!」
撃沈したのだった。
◆◆◆◆
『さてと、楽しいからまだ続けたいが、したい話が二つあるからな・・・』
あまりの精神的ダメージで体育座りをして、
病室の片隅で座って深い闇を放出しているリインフォースを放っておいて
ナハトヴァールはしたい話というものを始める。
「したい話?」
『あぁ、一つ目はなのはについてだ』
「なのはちゃんについて?」
『そうだ。あいつの心は・・・今、修復しているところなんだ・・・』
「修復??どういうこと??」
『あいつの心は最後のコズミック・スターライトブレイカーの反動で完全に砕け散った。
仮に今目覚めても・・・そこにいるのはなのはであってなのはでない・・・』
「「えっ・・・・・・」」
はやてとフェイトはそれを聞いて思考が停止してしまう。
ナハトヴァールは気持ちはわかるといって話を続ける。
『あの技はジュエルシードの力をブラスターモードの力で無理やり引き出して使用した。
だから、あの魔法の反動は心が回復したばかりのなのはには負担が大きすぎた。
仮にブレイジングハートで放てばそうはならなかっただろうがな。
逆にその場合は・・・なのはは一生回復しない肉体的ダメージを負っただろう』
ナハトはそう言うが、現実はそう甘くは無い。
仮にブレイジングハートにした場合。チャージに時間がかかってしまい
防衛プログラムの再生を許してしまう。
さらに今回なのはの肉体的反動が低いのは
ブレイズハートを防御性能の高いガンローダーモードにし、
セイクリッドモードと併用して反動を完全に防いだからだ。
もしそうしなければなのはの体は一生治らない障害を負っただろう。
一生治らない肉体か、最大でも10年経てば治る心か・・・
なのはの選択は間違ってなかったと言える。
『・・・だからなのはを責めないでやってくれ・・・』
「責める気はあらへんけど・・・」
「だけど・・・なのはは・・・なのはの心は・・・」
『安心してくれ・・・といえるのかはわからないが、最大でも10年経てば回復する』
「「そうなの(なんか)?」」
『あぁ、だから二人はなのはを見守ってやっていてくれ・・・』
ナハトはそう言った後、瞳を閉じて頭を下げる。
はやてとフェイトはお互いに頷いて、納得した。
帰ってくるならいつまでも待ってあげようと考えたのだ。
アリサとすずかが納得するか、高町家の皆がどう思うかはまた別だが。
「それで・・・二つ目というのはなんだ?」
『シグナムか、二つ目は闇の書に隠された秘密に関してだ。
これは無限書庫にもおそらくないだろう・・・リインフォースも知らないはずだ』
「管制人格である私も知らないことだと?」
「おっ、リインフォース復活したんか」
はやてにからかわれながらもリインフォースは自分も知らないことと聞き
ナハトヴァールを問い詰める。ナハトは話す。
『夜天の書が闇の書と呼ばれる存在になる前、ある人間が後付した機能がある。
その人物については不明だが、後付された機能・・・
それが『闇の書』の最深部に封印されていた『永遠結晶エグザミア』を核とする
魔導力を無限に生み出し続ける『無限連環機構』のシステム・・・
それが、砕け得ぬ闇『システムU-D』だ。もともとは『紫天の書』と呼ばれるもので
夜天の書を乗っ取るために点けられた。だが防衛プログラム「ナハトヴァール」の
肥大化によって封じられていた存在だ。リインフォースを乗っ取るために
システムを定期的に上書きすることで気づかれないようにしていたようだな』
「なん・・・だと・・・」
リインフォースは自らが管理する夜天の書にそんな秘密が隠されていたと知り驚く。
まさか、そんな機能がいつの間にかつけられていたとは、確かに気づいていたなかった。
「ちょう、待ちぃ・・・今言ったナハトヴァールはあんたやあらへんやろ?
防衛プログラムは今ジェイルさんとマリエルさんが二度と復活せぇへんようにしている。
てことはその紫天の書は・・・・・・・・・」
『あぁ、私が言いたかったのはそれだ。
おそらく1週間もしないうちに復活するだろうな。
私が防ぐことも可能だが・・・
私にはジュエルシードからなのはを守るという使命がある』
「なるほどなぁ、ナハトがさっき言ってた私のことを秘密にしていてというのは」
『そうだ。なのはとは必ず会う約束をしているが、シリアル5が生きている限り無理だ。
だから、秘密にしてほしい。紫天の書については話しても構わないがな』
ナハトがそう言うと同時にその姿が揺らいでいく。
『時間か・・・言えることはすべて言っておいた。頼んだぞ』
「うん、わかった。必ず役立てるよ・・・」
「私もなのはのために頑張るよ」
言葉には発しないが、そこにいる全員が頷いた。
それを見ながらナハトヴァールは微笑んで消えていく。
『さらばだ・・・我が友『八神はやて』・・・そしてリインフォース・・・伯母さん・・・』
「最後にそれで終わるなぁ!!」
リインフォースの叫びも空しく、ナハトヴァールは消えていった。
怒り心頭のなか、リインフォースを宥めながらはやては言った。
「紫天の書、エグザミア、・・・そして砕けえぬ闇・・・いろんな単語が出てきたなぁ」
なのはがいない今、自分も頑張らなければ・・・そう思いながらはやては決意した。
そして、クロノはやる仕事が増えたと嘆きながらブリッジへと報告しに向かっていった。
◆◆◆◆
そして話が終わった後、はやてとフェイト、
そしてリインフォースはマリエルとスカリエッティがいる場所へと来ていた。
取りあえずは二人の無事を安堵しているマリエルにフェイトが言った。
「レイジングハートは大丈夫なんですか?」
あの時粉々に砕け散ったレイジングハート・・・
残された欠片を何とか集めたものの、それは4グラムも満たない小さな量だった。
それで果たしてレイジングハートは無事なのか、と考えていたのだ。
「一応レイジングハートのAIは無事なんだ。
インターフェイスシンクロシステムのちょっとした応用だよ」
《皆さん、お騒がせしました。》
「「レイジングハートッ!?・・・て、あれ?」」
異口同音に二人は驚き、そして気づく。
マリエルが手に持っていたのはレイジングハートではなくブレイズハートだった。
そしてそこからレイジングハートの声が聞こえたのだ。
「インターフェイスシンクロシステムはブレイズハートをレイジングハートが
操ることができるんだけど、それを応用することで、レイジングハートのコアが
破壊される前にブレイズハートにデータを全部移し変えたんだよ」
《もっともブレイズハートには『不屈の心』機能はないため
二度とマスターの心のバックアップは取ることができません。
今回それが吉と出たのか凶と出たのか・・・・・・私にはわかりません》
レイジングハートは複雑だ。自分のマスターは二度とこの機能を使いたくないのに
自分のマスターを最短で助けられる唯一の方法が捨て去られてしまったのだ。
「大丈夫だよ、レイジングハート・・・なのははいつか必ず帰ってくるよ」
《それならいいのですが・・・》
フェイトの言葉にとりあえず納得する。
「それでマリーさん・・・レイジングハートは直るんですか?」
「一応ね。データと本物の欠片があるから。
たださっきも言ったとおりロストロギア『レイジングハート』にはもうできないけどね
普通のインテリジェントデバイスとしてのレイジングハートには戻せるよ」
「「よかったぁ・・・」」
直ることがわかり二人は手を取り合って喜ぶ。
そんななかでスカリエッティはリインフォースに話しかける。
「・・・さて、話題は少し変わるが、リインフォースくん」
「はい、なんでしょうか?」
「おそらくは私の処置で防衛プログラムの修復はなくなる。
だがそれは君の修復能力もかなり落ちることになる。
それこそ我々人間のようにね。寿命もつくだろう。
今回の守護騎士のような復活は二度とできなくなるが構わないね?」
「はい、それはもちろん。我が命は主はやてとともにあります。
おそらく守護騎士たちも同じ考えでしょう。
主はやててともに・・・人間らしく生きたいと」
「ふむ、了解した。それでは君はここに残っていてくれ、
夜天の書も一緒にね。マリエル君にも手伝ってもらおうかな」
「はい、ありがとうございます」
マリエルにそう言った後、スカリエッティははやてのほうを向く。
「はやてくん・・・なかなかおもしろかったよ。
私も科学者として個人的にいいデータが取れた・・・」
「そうですか、それは良かったですね」
「あぁ、他にもいろいろと学ばしてもらったよ・・・
私も覚悟を決めたほうがいいかな・・・」
「・・・??」
三人にはそれが全く意味がわからなかったが、
それを言ったスカリエッティの顔はどこか清々しいものだった。
「そういえば・・・チンクちゃんはどうしたんですか?」
はやての問いにスカリエッティは少し笑いながら答えた。
「ん?チンクはブリッジにいる艦長に報告しに行ったよ?
もう少しで帰ってくるんじゃないかな?」
◆◆◆◆
「さてと、報告も終えたし。ドクターのところに戻るか」
そのころチンクは艦長がいるアースラブリッジから
スカリエッティのいる第二技術室へと向かっていた。
艦長への報告も終えて、あとはデータを手に入れたドクターと一緒に
アジトへと帰れば今回の任務は終了だった。
そんなとき向かい側から人が歩いてきた。
それは紫色の髪の毛を持った女性。どこか自分の妹のひとりに似ている気がした。
(確か・・・クイント・ナカジマ・・・)
「・・・あら、あなたは確か・・・チンクちゃん・・・だったかしら?」
「はい、そうですが? 何か?」
「えぇ、ちょっとこういうの艦は初めてだから道に迷っちゃってね。
道を聞きたいんだけど、ブリッジはこの先でいいかしら?」
「はい、このまままっすぐ行けばそうですよ」
「そう、親切にありがとう」
そう言ってお辞儀をするとクイントはチンクの隣を通っていく。
チンクはお辞儀を仕返して、前を向いて目的の場所へと向かう。
「・・・また、会えるといいわね」
「・・・・・・!?」
そんな声が聞こえた気がして、チンクは急いで振り向いたが
クイントは特に何事もなくブリッジのほうへ向かっていた。
(気のせいか・・・? まぁいい。早くドクターの所へ行こう
そうチンクは考え、ドクターの元へと向かう。
これが二人の・・・最初の会話だった。
◆◆◆◆
「・・・あら、通信?・・・隊長から」
ピッ
「はい、隊長・・・はい、はい・・・はい、作戦は一応成功です。
一名負傷、一名精神的ダメージを負いましたが、本人曰く大丈夫だと
・・・はい・・・はい。はやてちゃんからはありがとうございましたと言っておいてくださいと
・・・・・・はい、メガーヌにも・・・・・・はい・・・はい、それでは」
ピッ
「・・・スバルとギンガには・・・伝えておくべきか・・・」