なのはと違って、クロノ戦があるので二、三話の予定。
ただ時系列に関しては、三部作でずれているので注意。
それではどうぞ!!
いろいろな事があった『闇の書事件』。
事件のすべてが終わりを告げてから、もうすぐ一週間。
わたし、フェイト・テスタロッサは、今まで通り、
リンディ提督のおうちでお世話になっています。
「闇の書事件の事後処理も、もうほとんど終わりだねぇ」
「そーだよねぇー」
『闇の書事件』厳密にはこれは、あのナハトヴァールとジュエルシード・シリアル5
この二つの戦いによって発生した次元震に関する名前である。
あくまでもこのときに同時進行で闇の書の処理が行われていたと言うことになっている。
これに関しては通常のロストロギア回収作業とほとんど変わらないからだ。
そのため事件といっても厳密にははやては関わっていないのだ。
代わりに被害者として高町なのはとユーノ・スクライアの名前があるのだが。
「ただ、あれだけの大魔力を消し飛ばしたからな。
現在もアクアボリスの監視は続いている。なのはの無茶もあるからな。
少なくとも年内いっぱいは警戒を続けないと」
現在、アースラメンバーは3交代制でアクアボリスの監視を行っている。
ちなみに闇の書事件を担当していた特務五課はその役割を終えて解散している。
もともと闇の書の修復が目的のため、今回の『闇の書事件』に関しては立場上対象外だったのだ。
結果的には地球に拠点を持つ、アースラチームが担当することになったのだ。
そしてさらに艦長であるリンディの代わりにグレアム提督とリーゼ姉妹が総責任者として
監視を行っているため、リンディたちもこうして休暇もどきをゆっくりと味わうことができるのだ。
「このままなんにもなく年が明けて、観測チームに引き継げるといいんだけどね」
フェイトの言うとおり、年内いっぱいはアースラチームが監視を行う。
観測チームが引き継ぐのはあと4日といったところだ。
「だよねー、旅行とか行きたいもん」
「まあ、大丈夫よ、きっと」
「ナハトヴァールの言っていた紫天の書のこともあるが、
何かあっても、細かい案件なら、僕とランディ達が残ればいい。
よほどのことがない限り、フェイトやエイミィ達の旅行は動かないさ」
「えー。クロノも一緒がいいよ。せっかくの合同旅行なんだから」
「ね」
「そーだよ」
フェイトの意見にエイミィとアルフも賛同する。
それを聞いてクロノが少しだけ笑みを浮かべたあとにリンディが聞いてきた。
「そういえば、なのはさんと・・・あの子・・・リインフォースは元気なのかしら?」
今回の事件でなのはは心を失い、リインフォースはスカリエッティの処置を受けて少し調子が悪かった。
リインフォースはナハトヴァールによって無理やり『闇の書』から分離させられたために
もともとユニゾンの調子が悪かったところをはやてとユニゾンした。
そのためその代償として、ユニゾン能力が現在使えなくなっていた。
融合騎としてそれは致命的であり、そのバグのようなものがリインフォースの体調が少し優れない理由だった。
「うん、元気ではあるみたいだよ」
「さすがにまだ二人とも体調は戻らないみたい。
なのはは旅行は楽しみって言ってくれたたけど」
フェイトは昨夜、一緒に街を歩いていたときになのはが行っていたことを報告する。
心がない以上、それが建前のようなものだということはわかっていたが、
やはり楽しいと言ってもらえるとうれしいのだ。
早く、なのはの心が戻ってきてほしいと今も願っている。
「そう、それなら良かったわね」
リンディはそう言い切った後、お茶を一口のみ話を続ける。
「旅行、はやてさん達も一緒に行けたら良かったんだけどね」
今回の旅行ははやてたちは来れない。
闇の書の主だったことに関しては解散した特務五課への協力があったためそこまで問題はないが、
ヴォルケンリッターは今までの主のもとで行った罪の清算が残っていた。
はやては無関係でも彼女達はそうは行かないのだ。
今も裁判は続いているが、判決はおそらくこのまま行けば数年間の保護観察処分だろう。
それは今までの罪の重さからすれば、とても軽いものだったが、
これは司法省が闇の書の遺族から受ける迫害を考慮した結果であり、実際にすべてを考慮すればかなりきつい判決でもある。
「彼女達は闇の書の主とその守護騎士として、いろいろとやることがありますからね。
レティ提督が、いろいろ落ち着いたらミッドを案内してあげると仰っていましたよ」
そう言いながらクロノは羊羹を一口頬張る。
「そう。じゃあこっちはこっちで、ゆっくりしましょ。ね、フェイトさん」
リンディは微笑みながらフェイトに向けてそう言った。
フェイトも頷きながら返した。
「はい、リンディ提督」
(ほんとうに色々な事があった、この一年だけど・・・・・・
今はわたしもアルフも、平和で幸せ・・・桃子さんとも約束しているし)
そんなことを考えながら羊羹を食べる。
最近は料理のレパートリーも増えてきた。
お菓子もやっと翠屋名物のシュークリームに挑戦させてもらった。
結果としては失敗してしまったが、とても楽しかった。
(そして、母さんを亡くしてひとりぼっちになってしまったわたしを・・・
リンディ提督が家族として・・・養子として迎え入れてくれる、という話もいただいてて
まだ、答えは出せてないけど・・・一生懸命、考えています)
そんななかでクロノが話を切り出す。
「さて、今日も食事の前に・・・・・・」
「あ、練習!? 私もやる!」
クロノは食事の前に魔法の練習を行う習慣があった。
フェイトも時々それに参加させてもらったことがあるので、
クロノのその言葉の一部で何が言いたいかを理解したのだ。
フェイトの発言にクロノは了承の意を顔に出しながら問いかける。
「あぁ、アクアボリスの観測のついでにやるから、少し遠出するんだが、それでもいいか?」
「うん、もちろん!」
そして二人は出かける準備をした。
準備も完了し、クロノがフェイトに問いかける。
「よし・・・じゃあフェイト、準備はいいか?」
「ばっちり!」
「ふたりとも、気をつけてなー」
「はあい。それじゃあ」
フェイトとクロノは転送装置の上に立つとアースラにいったん転送した。
そして、アースラにつき、メンバーに挨拶をした後、再び転送装置に乗り
アクアボリスへと行く。フェイトとクロノはバリアジャケットを纏う。
「バルディッシュ・アサルト セーーット、アーーップ!」
《Get set.》
その言葉と共にプレート状から閃光の戦斧の形態へとバルディッシュが変わる。
フェイトは魔力の流れなどを肌で感じ、そして言った。
「うん!今日も絶好調! 魔法の練習、がんばろう!」
そして空中にて向かい合うクロノとフェイト。
クロノはS2Uをフェイトはバルディッシュ・アサルトを構える。
「君もずいぶん強くなってきているが
年長者の意地として僕も早々簡単に負けるわけにはいかないからな」
「私だって頑張るよ。・・・なのはやアルフともずっと練習してるんだから」
「まあ、まずは軽く一本だ。始めるか?」
「うん、お願いします!」
《Zamber form.》
そう言うとフェイトはフルドライブを発動。
バルディッシュをザンバーフォームにして構えた。
それを見てクロノは一瞬顔をゆがめた後、はぁ、とため息をついて言った。
「そうか・・・そういえば君の場合、通常のフルドライブは『軽い』だったな」
そう、フェイトがライトニングフォームでフルドライブをすることは
フェイトにとっては軽い運動に等しい。もともとあったソニックフォームの処理のほうが
フェイトの体には負担がかかるのだ。そしてその制御が完璧にできる今、
通常のフルドライブ使用の模擬戦はフェイトにとっては「軽く一本」に当たるものだった。
JSエンジンを積み込んでいるのもその一つと言える。
未だに通常の方法では起動してくれない、駄々っ子だったが。
「まぁ、だからといって年長者の意地としてすぐに負けるわけには行かない」
そして構える。クロノも負ける気はない。
年上として、魔法の先輩として、管理局執務官として・・・
静かにお互いを見据える二人。
アクアボリスの水分を多く含み、そして潮の香りが漂う空気が漂う中、
二人はお互いに攻撃のチャンスを窺う。正直言ってすでに軽く一本ではない。
そして一陣の風が、二人の間を駆け巡る。それが合図だった。
「はああああーッ!」
「くぅ」
まず最初に攻撃を仕掛けたのはフェイト。
クロノに向けて一目散に突撃するが、クロノはラウンドシールドで防ぐ。
フェイトはその反動を利用し、急旋回しもう一度クロノに攻撃する。
クロノは慌てず騒がずにS2Uを振るう。フェイトはとっさにバルディッシュで防ぐ。
クロノも下手にザンバー部分に触れることはなく、バルディッシュの基部の部分を重心的に狙う。
フェイトも攻撃を受け続けるつもりは毛頭ない。
ザンバーの角度を変えながら、非殺傷の一撃をクロノに向けて浴びせていく。
もっともS2Uで上手く捌かれてしまった。接近戦では状況は変わらない。
そう考えたフェイトはいったんクロノから距離をとり、
フルドライブを解除、そしてクロノに向けてフォトンランサーを数発牽制に打つ。
クロノはフォトンランサーを、二つは避けて、残りはシールドで防ぐ。
そこへ動きを一時的に止めたクロノに向けて、フェイトは放つ。
「ハーケン、セイバー」
ハーケンフォームの刃を飛ばして攻撃する魔法「ハーケンセイバー」。
射出された三日月型の刃は、飛翔しながら高速回転して円形状に変化する。
クロノは迫り来るそれが来る前にフォトンランサーを多少残してギリギリ避ける。
すかさずフェイトはクロノが避けて向かった方向目掛けて飛ぶ。
もう一度、牽制。今度はプラズマランサーを放つ。
「くっ・・・」
避けて動きを一瞬止めていたクロノに直撃する。
チャンスとばかりにフェイトはクロノ目掛けて飛び込む。
「まだだ!」
飛び込んできたフェイトに対しクロノが放ったのはスティンガーレイ。
高速な光の弾丸を発射するその魔法に飛び込もうとしていたフェイトは
とっさに上空に向けて、避ける。
そのまま横滑りをするように斜めに旋回しながらクロノの後ろに回りこむ。
そして、その状態のまま至近距離でプラズマスマッシャーを放つ。
「プラズマスマッシャー!!」
「ぐはっ・・・!」
至近距離+雷撃攻撃を受けてクロノは吹き飛ぶ。
爆煙が周りを包む中、フェイトは追撃のハーケンセイバーを放つ。
クロノはまたも避けて、スティンガーレイを放つがフェイトもまた避ける。
フェイトはクロスレンジに持ち込みながら、バインドをかけるが
クロノはかかったバインドをすぐさま解除し、こちらもクロスレンジを挑む。
「はあああッ!!」
バルディッシュをハーケンモードのままフェイトが突撃する。
だが・・・
「・・・なっ、バインドッ!?」
「設置型のディレイドバインドだ」
バインドの解除にもがくフェイトに向けて数回、S2Uによる打撃攻撃を加えていく。
そしてフェイトが一撃で吹き飛んだところに向けて砲撃を放つ。
「ブレイズキャノンッ!」
熱量を伴いながら、対象を破壊する直射型砲撃魔法がフェイトに向けて発射される。
吹き飛ばされていたフェイトは反応が遅れ、直撃は避けたが左半身には当たってしまう。
クロノが追撃を掛けようとする。だが、フェイトもまだまだあきらめていない。
「まだだよ、ここからが私だよ」
《Sonic form.》
フェイトはバリアジャケットをパージ、そしてソニックフォームになる。
パージの衝撃を利用し、後ろへと飛び出した後空中で後ろ側に一回転しながら
そして体勢を立て直した後、再び発動する。
「フルドライブ」
《Zamber form.》
再び、巨大な魔力刃を発生させる。
そして、それを振るうことで物理的ダメージを与える衝撃波をクロノに向けて放つ。
この衝撃波が命中すると同時に不可視のバインドが展開され、クロノをその場に固定する。
「撃ち抜け、雷神!」
《Jet Zamber》
形成した魔力刃に雷撃が落ち、魔力が刃に溜まる。
そしてそれを振りかぶり、真上からクロノに向けて斬り落とした。
クロノは直撃してしまい、勝負はフェイトに軍配が上がる。
「とと・・・・・・しまった。取られたか」
「うん!!今日は調子いいかも」
「そうだな。いい動きだった」
「うん!」
ピピピピピッ
『クロノくん、フェイトちゃん一緒に居る?』
その時、突然エイミィから通信が入る。
「エイミィ?」
「一緒に居るぞ、どうかしたか?」
『さっき市内で結界が・・正体不明の結界が発生したの
なのはちゃんとアルフが調査に出てくれたんだけど通信が途切れがちで・・・・・・』
「そんな・・・なのはも?」
そしてリンディが通信に参加する
『それに、二人が今居る世界でも結界が現れているの』
「わかった。フェイト手分けしよう。僕はこちらの結界を確認しに」
「わたしは戻って、なのはとアルフに合流する。必要があれば助ける!」
「ふたりとも気をつけて。何か、妙な感じよ」
「「はいっ!」」
リンディからの忠告に二人は力強く返事をする。
クロノはアクアボリスの結界を、フェイトはなのはたちがいる海鳴の結界を・・・
お互いに行くべき道を見極め、進んでいった。
どうやら、休暇にはまだ早いようだ
追記:特務五課のその後が分かり難い気がしたので修正。
特務五課の役割は闇の書に対して具体的な対応をする組織であって、
次元震を発生させた片方がジュエルシードのため、立場上「闇の書事件」そのものには関われないのです。
そのため闇の書事件はジュエルシードも担当したアースラチームが後処理も担当しています。
グレアム提督たちはあくまでも志願してサポートに来ただけです。
他のメンバーは本来の仕事や生活に戻っている人がほとんどです。