・・・まぁいつものことでもありますが・・・
とりあえず次回でBoA編は最終回の予定。
次々回からはGOD編に行きます。
ただ、前半はゲームとそう変わらないのでかなり省くかもしれません。
それではどうぞ!!
クロノたちと連絡をとった後、はやてとリインフォースは
二つある大型の反応のうち、一番近い一つのほうに向かっていた。
分散して叩くことも考えたが、本調子でないリインフォースと
未だに魔法初心者のはやてを分断するわけにも行かないため、
先に二人で近いほうから攻めることにしたのだ。
そして、二人で向かった先で出会ったのは・・・・・・
◆◆◆◆
「防衛システムの再生が遅い・・・・・・阻んでいるのは、お前か」
「ああ・・・・・・」
【リインフォース・・・あれってもしかして・・・】
【はい、我が主・・・おそらくあれは・・・】
そこで出会ったのは銀色の長い髪と深紅の瞳の女性。
ナハトヴァール・・・今回ははやてもその存在に気づいた。
ただし、やはりといってよいのか、そこにいるのは本物ではなく闇の欠片だった。
「闇の宿命も、果てない呪いも・・・終わらんよ。どこまで逃げても追ってくる」
「かもしれないな。私も分かっている」
【リ、リインフォース、なんで闇の欠片ナハトヴァール。こんなにネガティブなん?】
【おそらくあのときの・・・高町なのはが闇の呪いに囚われていたときの彼女なのでしょう
どんなに頑張っても・・・決して報われなかった・・・あのときの・・・・・・・・・】
「ならば・・・・・・何故運命に抗う?
逃れられないならば、自我も願いも・・・無くしてしまえば楽になる」
闇の欠片ナハトヴァールの言葉・・・
自我を持ったがために、なのはを闇の書の呪いから助けられないことに後悔し、
願いから誕生したために、はやてと友人として接することのできなかった悲しみ。
それらを無くしてしまえば、楽になれる。彼女はそう言いたかったのだ。
「ああ・・・・・・昔の・・・主はやてと初めて話す前の私なら、
そう言っていたろうな・・・・・・。だが・・・私には、それはできんよ」
「―――――何故?」
リインフォースの答えにナハトヴァールが疑問符を投げかける。
それを受け止めたリインフォースは語っていく、自分の思いを
「終わらない呪いをこの手で断ち切るため。
それは今、私にしかできないい・・・私が何より、なすべきことだ」
「リインフォース・・・」
「無理だ・・・そんなことできるはずがない・・・」
「できるか、できないかではない。やるか、やらないかだ」
ナハトヴァールの言葉に、リインフォースは自らの言葉を授ける。
だが、闇の欠片の彼女にはどうやら聞き届けてはくれなかったようだ。
「無駄だ・・・・・・すべては、闇の狭間に消えていく・・・
夢も・・・決意も・・・・・・・・・そして、悲しみも!」
それは・・・かつてなのはの夢も決意も踏みにじったことへと皮肉か・・・
本人は気づいてはいないが、その目から一筋の涙を流しながら彼女はそう言った。
その悲しげな姿を見て、はやては言い放つ。
「だったらその呪い!私達二人が断ち切る!いくよ!リインフォース!」
「はい、我が主!!」
悲しみの闇を広げるナハトを助けるために・・・
はやてとリインフォースは魔導をこの手に立ち向かっていった・・・
◆◆◆◆
「いくで!ブリューナク!!」
まずははやての溜めに溜めた魔力弾で牽制。
ナハトヴァールに見事、直撃する。しかし・・・
「効いてない!?」
牽制とはいえ、かなりの魔力を込めたはずだがナハトは無傷だった。
特に何かしらの防御魔法を使用したわけでもないのに・・・だ。
その秘密は闇の書の一部だったリインフォースが気づく。
「わかりました、我が主。彼女は元々防衛プログラムの一部。
その圧倒的防御力を闇の欠片ながら、彼女はフルパワーで使用できるのです」
「そ、そんな・・・!だってあれってフェイトちゃんのファランクス防ぎきったんやで!?
そないな硬い鎧を纏ったナハトになんか手はあるんか?」
「えぇ・・・おそらく・・・」
「おお、それで!?私はどうすればええ?」
可能性があるならば、それに賭けてみよう。そう思いはやては問いかける。
ナハトヴァールから放たれる暗黒の火球を避けながら、リインフォースは答える。
「はい。まず私があの防御システムに干渉します。
闇の欠片とはいえ、おそらく可能でしょう・・・
そうすれば二分はあの圧倒的防御性能を落とさせることができます」
「なるほどなぁ、そしてその間に私達の一撃を・・・
ナハトの呪いを解く一撃を与えるんやな!」
「はい、そうです。我が主」
「よっしゃ、のったで!私が隙を作るから、リインフォース!」
「はい!我が主!!」
はやての言葉に、リインフォースは力強く頷く。
それを見届け頷き返したはやては闇の欠片ナハトへ振り向き、そして放つ。
「いくでぇ!バルムンク!!」
射程は短いが威力の高い放射弾をナハトに向けて、広範囲に向けて発射する。
そしてそれは、ある一点で急速に方向転換をしてナハトヴァールに直撃する。
だらにはやては左側へ流れるように飛びながら、ブリューナクを数段当てていく。
ナハトヴァールの意識がはやてのほうへ向いた瞬間を逃さずにはやては叫ぶ。
「リインフォース!!」
「はい、我が主!!」
「!!!?」
瞬間的にナハトヴァールに近づいたリインフォース。
彼女は自身の右手に己の魔力のすべてを込めて、ナハトを殴りつける
そして勿論、それはただ殴ったわけではない。
「ぐっ、き、貴様・・・ッ!」
「防衛システム干渉・・・解析完了!」
見事、リインフォースはナハトが駆使する防衛システムに干渉に成功。
それは遠目から見るはやての目にも分かるくらいに見た目にも変化が現れる。
さきほどまでナハトの体を覆っていた闇が少しだけ晴れて、
その強固な鉄壁の障壁がほんの少しだけ薄くなっていた。
だが、それだけで十分。はやては自身の最強魔法を放つ準備を始める。
足元にはミッドチルダ式の、放射面にはベルカ式の魔法陣が展開する。
そして、正三角形のベルカ式魔法陣の各頂点上でエネルギーをチャージ、
それぞれ効果の異なる三連撃の貫通破壊型砲撃を放つ。
「響け!終焉の笛!ラグナロク!!」
はやての白銀の砲撃がナハトヴァールに迫る。
ナハトヴァールは残された障壁をそれに対して、一点に集中させた。
拮抗する障壁とラグナロク。
火花を散らしながら、力と力がぶつかり会う中、
その隙を狙ってリインフォースがナハトヴァールの真横から突撃する。
脇ががら空きになったところに魔力を込めた右拳を命中させる。
「なっ!」
「はぁぁぁっ!」
そしてそこから雷のような強力な魔力を放出させる。
「撃ち抜け、夜天の雷!」
その言葉と共にリインフォースはさらに魔力を放出する。
それは闇の欠片ナハトヴァールに直撃し、確実にダメージを与える。
だが、その一撃だけでは終わらない!
「ぐわぁああああああああああああっ!!!!」
放出された膨大な魔力は回復をし始めていた
ナハトヴァールの障壁のバリアに閉じ込められて、
ナハトヴァールと障壁の間の閉鎖空間で乱反射。
ナハトヴァールに更なるダメージを与えたのだ。
乱反射をし続ける夜天の雷の光・・・それはナハトヴァールに宿る闇を消し去っていった・・・
◆◆◆◆
「お前は何だ・・・? なぜ・・・これほどの力を・・・」
それに対し、リインフォースは力強く答える
「私は!夜天に響く、祝福の風!リインフォースだ!!」
「・・・・・・そうか・・・なるほど・・・そういうことか」
その言葉を聞いた闇の欠片ナハトヴァールは瞳を閉じ、静かに頷いた。
「ナハトヴァール・・・お前も、自らの主の為に戦ったぞ・・・」
「・・・・・・・・・あぁ、先ほど思い出した・・・お前達のおかげだ・・・」
そして・・・ナハトの体が徐々に光の粒子となって消えていく。
ナハトは名残惜しげな表情をしながら消えていく自分の体を見て、そして言った。
「ふふ、私もお前達のように戦いたかったが・・・仕方ないか・・・
オリジナルの私は・・・・・・今もなのはのために戦っているのだからな・・・」
「ナハトヴァール・・・」
はやてが同情の目をナハトヴァールに向ける。
闇の欠片だとは分かっているが、彼女の立場になって考えてみると・・・
それはとても重いものだった。
ナハトヴァールは「気にするな」と口ずさんだ後、語る。
「だが、
「・・・先ほどのハラオウンとの通信で今回の事件の切欠が何かを少しだけ悟った。
記憶を思い出したなら、最後に聞きたい。
今回の事件・・・オリジナルのお前が言った『紫天の書』は関係しているのか」
「・・・・・・関係はしている・・・が、今回は彼女達は被害者に当たる。
本来のナハトヴァール・・・つまりは闇の書の闇・・・
あれに存在そのものを乗っ取られたかわいそうな子羊。
今の紫天の書について語るのならば・・・それが一番相応しいだろうな」
「紫天の書は闇の書の闇を逆に利用して、
砕け得ぬ闇を復活させるつもりではないのか?」
「最初はその気だったのだろうが・・・今は目的が挿げ替えられているな・・・
おそらく・・・・・・本人達も・・・闇の侵食度にもよるが・・・自覚していないだろうな」
「そうか・・・ありがとう・・・」
自身に残されていた最後の力を振り絞り、
情報をくれた闇の欠片ナハトヴァールにリインフォースはお礼を言う。
そして、ナハトヴァールの下半身がだんだん白いキューブとなって消えていく。
「中枢部・・・マテリアルの『王』には・・・気をつけろ・・・あれは・・・・・・凄まじく・・・・・・」
ナハトヴァールは最後にそれを言い残して、消滅した。
「・・・・・・また・・・会えるとええなぁ・・・」
「はい、いつか必ず・・・ですね・・・」
二人は消え行くナハトヴァールを最後まで見届け、そう言った。
その後、二人はアースラのメンバーへと今回の事件の元凶を告げ、
残された最後の結界・・・マテリアルの王がいる空間へと向かっていった。
◆◆◆◆
「はぁ、はぁ・・・まったく・・・行く道に闇の欠片多すぎやろ!!」
「そうですね・・・まぁ、なんとか魔力は温存できてはいるのですが」
ホンマに多すぎや!闇の欠片!
中枢部のマテリアルに近づく度に増えてきよるし!
ピピピピピp
ん?通信・・・?フェイトちゃんか
「はい、はやてです」
『こちらフェイト。はやて大丈夫!?』
「こっちはへーきや。リインフォースもやで」
「はい、私も大丈夫です」
『そうなんだ、良かった・・・』
フェイトちゃん、顔が大分やつれてるなぁ・・・
こっちも多少は疲れとるけど・・・フェイトちゃんも大概やなぁ
『それではやて、さっき私はマテリアルの子と戦ったんだけど・・・そっちは戦った?』
おろ?フェイトちゃんも戦ったんか?
「ん~?マテリアルの子?戦ったよぉ。
紅い服を着たなのはちゃん似の子と、水色の髪の毛をしたフェイトちゃん似の子』
フェイトちゃんはどっちと戦ったんやろ?
「紅い服のほうはさっき戦ったよ。名前はシュテル。あの子が言っていた通りなら
その水色の子はレヴィ・・・だと思う。私似ってシュテルと同じで見た目?」
マテリアルに名前あったんか!?
まぁ、紫天の書のいわば守護騎士ポジションのようなものやって考えれば当然かぁ
シュテルに・・・レヴィ・・・レヴィかぁ・・・見た目は・・・確かにそっくりやけど
「そうやよ。見た目は凄いそっくりや。見た目・・・はな・・・」
『???』
そう・・・見た目・・・はな・・・
フェイトちゃんが困惑しとるから、取りあえず話題を変えよう。
「・・・そっかぁ、あの紅い服の子シュテルちゃんいうんやぁ
私の時は名乗ってもらえなかったんやけどね」
『私のときも最初は名乗ってくれなかったけどね。途中で教えてくれたんだ。
それで戦いに勝ったら、他のマテリアルの子の事も教えてくれた。
水色の子がレヴィ。あと王のディアーチェって言ってたかな?』
マテリアルの王ってディアーチェっていうんかぁ・・・
ん・・・?・・・ちょう待ちぃ・・・まさか・・・まさか・・・
「レヴィにディアーチェやね。了解。・・・あれかぁ・・・もしかして・・・」
『どうかしたの?』
隣にいるリインフォースもフェイトちゃんを改めて見て、あれを思い出したのか
顔が多少凄いことになっとった。本人が目の前におるとさすがにキッツいなぁ
「ほら・・・なぁ・・・シュテルって子はなのはちゃん似やろ?」
『そうだね。本人は見た目と魔導はなのはから得たって言ってたし』
「そうなんか、だったらレヴィはフェイトちゃんのデータからやろ?」
『うん、そうだね』
はぁ・・・やっぱりそうなるんかなぁ・・・
だって今までのマテリアル・・・闇の書に取り込まれたメンバーやし・・・
『・・・だったら消去法的にいって・・・ディアーチェって私のデータ使ってへん・・・?』
搾り出すように私はフェイトちゃんにそう言った。
あぁっ、フェイトちゃんでも、そんなに嫌がることなのかな・・・?って顔しとる!
実際に本人に会ったらそんな顔すぐに吹き飛ぶで!!
『そんなに嫌がること・・・かな?』
やっぱりか!あとで会ってみぃ!
「フェイトちゃんもレヴィに会えばわかる・・・自分の闇の欠片以上にキツイんや・・・」
「それには私も同感ですね。おそらくあってみればわかるかと・・・」
珍しく、リインフォースまで必死に言ってくる。
まぁ、無理もないねんけど。
そんな感じで、私達はフェイトちゃんとの通信を切った。
そして、マテリアルの王・・・ディアーチェやっけ?
その子が居ると思う結界へと二人で向かっていったんや。
その時やった。
エイミィさんから緊急の連絡が再び入る。
「海上に、異常反応!!特殊結果以内魔力反応が・・・大きくなってる!!」
ここからでも分かる!なんて魔力量や!
正直皆に唯一勝てる私の魔力量より、3倍くらいは上やった。
急がへんと!!!
「急ぐよ!リインフォース!!」
「はい!我が主!!」
スレイプニール魔力放出・・・フル稼働でいくで!!!
◆◆◆◆
さきほどまでの結界とは違い・・・深い・・・暗黒の闇に包まれた空間・・・
「ふふ・・・・・・はは・・・・・・・・・・・・ッ! 力が漲る・・・・・・魔導が滾る
集え、闇の欠片よ・・・・・・我が身に捧げる贄となれ・・・・・・ッ!!」
そこに居たのは八神はやてを髪の色は銀色で前髪以外は先端に黒いメッシュを入れて、
瞳の色を緑にし、全体的に黒や紫といった印象を受けるように色を変えたような存在。
ぶっちゃけて言えば、闇統べる王さんがそこにいた。
周りを漂う、まるで幽霊のような闇の欠片が・・・正直痛い雰囲気を醸し出す。
「あれが
「ほんまやぁ・・・ほとんど私の姿であんなことせーへんでほしいわぁ・・・」
はやてとリインフォースは闇統べる王のそんな姿になんともいえない感情を持っていた。
あまりの莫大な魔力にかえって冷静になれているというのも理由だ。
正直言って、今の闇統べる王の魔力量は桁違いだ。
はやてやかつてのシリアル5を軽く上回っている時点で
その多量の魔力量が持つ異常さが理解できるだろう・・・
闇の書の闇の圧倒的魔力を闇統べる王は手にしているのだ。
その時、はやては気づいた。闇統べる王の周りを纏わりついている闇。
さきほどのナハトヴァールに取り付いていたものとは違う。
しかし、それはどこか見覚えがはやてにはあった。そして気づく。
(あの闇・・・私を取り込んだ闇の書からでてきたのと同じ闇!?)
そう、それは闇の書を起動したとき・・・なのはが召喚魔法陣から召喚された瞬間に
はやてを包み込んだ闇と全く同じだったのだ。そしてそれが意味するのは・・・
(あの子の力は・・・闇の書の闇と同じってことやんか・・・)
あまりの敵の壁の大きさに、絶望してしまうはやて・・・
しかし、リインフォースが小さく紡いだ言葉を聞いて思う。
「・・・あの凶悪な魔力・・・・・・壊れかけたこの拳で・・・止めること、かなうか・・・?
いや、先ほどナハトに言ったばかりではないか・・・かなう、かなわないではない。
やり遂げるんだ・・・祝福の風・・・リインフォースとして・・・」
リインフォースは諦めてはいなかった。
その顔は決意に溢れていた。だが、同時に無茶をしてでも食い止める。
そんな気持ちがあるようにも見えてしまう。
そんなのは絶対いや、そう思ったはやてはリインフォースを見て・・・
そして、思い出した。あの親友が始めて無茶をしでかしたときのことを・・・
(そうや・・・あのなのはちゃんが無茶したんはなんのためや・・・
約束を守る・・・そのためや。私を助ける・・・守る・・・ただそれだけのために
いや、フェイトちゃんとの約束もあるかぁ、どっちにしろなのはちゃんは
自分の心を犠牲にしてでも守ろうとしてくれたんや・・・
だったら・・・リインフォースが無茶をするゆーんなら・・・)
「駄目やないか、リインフォース」
「我が主・・・?」
「夜天の主と祝福の風は一心同体・・・無茶するんも、一緒にや」
「我が主・・・・・・はい、そうですね。行きましょう。
早く帰らないとと皆が心配しますから」
リインフォースのその言葉にはやてはただ頷く。
そして、左手をリインフォースに差し出す。
リインフォースは一瞬、呆けた顔をした後、すぐに安らかな笑顔に変え
その手を自らの右手で握り返した。
「さ、行こか。リインフォース」
「はい!」
その手にお互いの暖かさを感じあいながら、
二人は闇統べる王の元へと飛び立っていった。
◆◆◆◆
「来たか、我が写し身」
「って、こっちがニセモノみたいな言い方やな。この劣化コピペ」
「闇の書の主である事・・・闇統べる王の玉座を、自ら棄てたのは、うぬであろうが」
「よくまぁ・・・操られているくせに抜けぬけと・・・」
はやてがそう言うが、闇統べる王は一切気にしない。
彼女の闇の侵食はシュテルやレヴィの比ではなく、完全に意識を乗っ取られていたのだ。
そのため彼女は自分がしている事に対して全く違和感を抱いていなかった。
「フフ・・・使い物にならない小虫と塵芥が組んだとてなんになる・・・?」
「闇の書の運命はもう終わりだ・・・甦っても、もう何も・・・誰のためにもならない」
リインフォースの忠告を闇統べる王は軽く受け流す。
今の彼女にとって他の人間にほとんど興味はなかった。
「誰のためなどではない・・・我は我のために。
心地よき暗黒を永遠に生きるためにここにある
さあ・・・・・・貴様等も、我が糧となれ」
エルシニアクロイツを構え、ただ塵を見るような冷たい目で闇統べる王は二人に言った。
だが、二人も引くわけには行かない。闇の書の悲劇を・・・これ以上起こさせるわけには!
「そうはいかん・・・夜天の主とその翼が」
「ここで全部、終わらせるッ!」
「戯言を・・・」
そんな二人の決意の言葉すら、軽く受け流す。
そして、闇統べる王は手に持つ紫天の書から魔法を引き出す。
引き出す魔法・・・その名はアロンダイト。
直撃すれば当たった周囲に衝撃波となる魔力乱流を引き起こし、
広域にダメージを与えることができるその砲撃を二人に向けて放つ。
「リインフォース!!」
「はい!我が主!」
はやてとリインフォースはその砲撃に対し、二人で同時にパンツァーシルトを張る。
正三角形の魔法陣型のシールドを二枚重ねで、アロンダイトを防ぎきる。
「ぐぅがぁ・・・・ぐぎぎ・・・・・・」
だが、その攻撃はとてつもない威力だった。魔力量の差が大きすぎたのだ。
高々砲撃魔法一つを防ぐのに相当の疲労を二人は強いられていた。
なんとか、すべてを防ぎ、受け流すことに成功する。
肩で息をしながら、それでも力強い眼差しで闇統べる王を二人は見据える。
「ほう・・・これを受けてまだそのような態度が取れるとは・・・」
「言った・・・はずやろ・・・闇の書の運命は・・・ここで終わらせるって!!」
はやてはブリューナクを三発、闇統べる王に向けて放つ。
未だになのはのように複雑な軌道を描ける訳ではないが、
高速で突き進む魔力弾は確実に闇統べる王に向かう。
「ふん、このようなもの・・・避けるまでもないわ!!」
闇統べる王はその攻撃を避けるような真似をせずにシールドを展開、
そのシールドに当たったブリューナクは何の抵抗もせずに消滅する。
「・・・ッ!?」
「効いていない・・・?」
「はははッ!!こちらも言い返してやろう。言っただろう?
使い物にならない小虫と塵芥が組んだとてなんになるとな」
続いて、闇統べる王が放ったのはドゥームブリンガー
性質として、射程は短いが威力の高い魔力の刃を広範囲に向けて発射する魔法だ。
それがはやてとリインフォースの周りに拡散した後、二人に向けて集束する。
二人は再びパンツァーシルトで防御する。
今度はあくまでも時間稼ぎ、一撃分だけ耐えた後はすぐさま避ける。
このままでは防戦一方。こちらも攻撃しなおさなければ
「いけ!クラウ・ソラス!!」
はやてが使う、高威力の直射型砲撃魔法『クラウ・ソラス』
白銀のその砲撃は寸分違わずに闇統べる王を狙う。
「ふん、幾度やっても無駄だ・・・」
闇統べる王は再びシールドを展開、クラウ・ソラスを難なく防ぐ。
ふんっ、と声を上げながらはやてを見る闇統べる王。
だが、その時気づく。先ほどまでいた融合騎がいない事に
そして、それに気づいたその時だった。
「はぁああああッ!!」
自分の斜め下左後ろからリインフォースが右拳に力を込めて突撃してきたのだ。
タイミング、角度、速度・・・・・・すべてにおいて完璧な攻撃。
闇統べる王も絶対に防御魔法を張れない速度の攻撃を打ち込んだ!
・・・だが・・・
「ふんっ、惜しかったな」
「なっ、それは・・・!」
その攻撃はあるものによって完全に防がれた。
それは闇統べる王が左手に持っていた夜天の書に良く似た「紫天の書」
紫天の書は外部からの攻撃では何をしようと破壊されないという特性を持っている。
闇統べる王はそれを利用してリインフォースの決死の一撃すら防ぎきったのだ。
「まぁ、まぁ、と言ったところか・・・だが所詮塵芥の浅はかな考えよ」
そのまま闇統べる王は体を回転させ、エルシニアクロイツで
リインフォースのがら空きのわき腹に強力な一撃を与えて吹き飛ばす。
「ぐふっ!?」
「リインフォース!!くっ、バルムンク!!」
はやては咄嗟に魔力刃を広範囲に発射。
闇統べる王に向けて魔力刃が大きく広がった後に、目標に向かって収束する。
だが、闇統べる王にはそれすらも通じない。
今度は防御魔法すら展開せず、エルシニアクロイツの一閃ですべて消し去ってしまった。
「あーははははッ! 愚か、愚か!!貴様の攻撃が我に効くはずがなかろう!!!」
「な、なんちゅう・・・魔力量や・・・」
「く・・・これほどとは・・・」
「ふん、今更自らの愚考を後悔し始めたか!だが遅い!はるかに遅いわ!!」
次の瞬間、リインフォースとはやてを真白のバインドが縛る。
「「なっ!?」」
「あははは!いいぞいいぞ!! 泣け!喚け!!そして・・・死ぬがいい!!!」
その言葉と共に、闇統べる王は巨大な魔法陣を二つ形成する。
そして・・・そこに圧倒的な魔力を込めていく・・・世界を白銀に染める一撃・・・
はやてのラグナロク、なのはのスターライトブレイカーをはるかに上回る力!
そして・・・それは放たれる。
「絶望に足掻け塵芥、エクスカリバー」
魔法陣から放った3本の白色の光を収束させ、
魔力の奔流がはやてとリインフォースを飲み込んでいった。
◆◆◆◆
「・・・・・・? なんだ・・・?」
闇統べる王は目の前の光景に疑問符を上げる。
間違いなく必殺のエクスカリバーは二人に直撃したはずだった。
だが、彼女の目の前に広がるのはそれを受けて砕け散る二人ではなかった。
・・・・・・光だ
さきほどまで二人を飲み込んでいた闇統べる王の
エクスカリバーを強力な光が防ぎ、反射していたのだ。
その光は左に渦を巻き、エクスカリバーを弾き飛ばしていく。
いや、それだけではない。
その光はエクスカリバーの攻撃エネルギーを逆に吸収して増幅させ、
そのパワーを利用してエクスカリバーを押し戻していたのだ。
「なんだ・・・?・・・・・・なんなのだこれは!!!??」
目の前の現実が理解できない闇統べる王・・・
そして、エクスカリバーは光に完全に弾き飛ばされ粉散する。
眩い光はエクスカリバーを防ぎきったこの瞬間も輝いていた。
やがて、光が弾けた・・・そしてその光が消え去ったとき、その場に一つ影があった。
影はやがて一つの姿を作り上げる。
それは・・・背中に三対六枚の黒翼と騎士甲冑を備え、
銀色からクリーム色へと変わった長髪を静かに靡かせ、
紅き瞳ですべてを見据え、金と銀の光の粒子を身に纏う光の魔導騎士・・・
「まさか!?貴様ら・・・・・・子鴉が融合騎に融合したとでも言うのか!!?」
その現象の名は『逆ユニゾン』
それは術者がマスター権限により起こす、疑似融合事故とでもいうべき現象。
融合騎が術者にユニゾンするのではなく、デバイスが主体となり術者が融合するものだ。
本来のリインフォースがはやてにユニゾンするのではなく、
術者であるはやてがリインフォースにユニゾンすることによって、
夜天の書の管制人格リインフォースはかつての力を取り戻す・・・
いや、それすらを上回る究極の力を手に入れたのだ。
「くっ、だがそんなことをすれば子鴉だけだなく貴様自身も只ではすまんぞ!?」
闇統べる王の言うとおり、この逆ユニゾンはとても危険なものだ。
逆ユニゾンは通常のユニゾンとは比較にならないほどの術者へ負担がかかるのだ。
魔力の制御に失敗すれば術者ごと消滅しかねないのだ。
『かまわへん・・・多少の無茶は承知の上や!』
「夜天の翼は・・・主と共に!!」
その言葉と共に彼女は背中のスレイプニールを広げる。
いや、それはもはやスレイプニールといってよい代物ではなかった。
普段は黒いそれは白銀に染まり、光を纏いながら巨大な翼を広げたのだ。
そして、この世界を光で包みこむように、その巨大な翼が広がっていく・・・
その光はこの結果の空間内に蔓延る暗黒の闇を弾き飛ばし、
透き通るような青みを帯び、明るく晴れ渡った青空を出現させた。
「な、な・・・あ・・・・・・」
その幻想的で、神秘的で、綺麗で美しい姿を見て
闇統べる王は言葉を発する事ができないでいた。
翼の付け根から広がる光の翼が、まるで天使のような印象を与えていたのだ。
ある意味で、闇統べる王は逆ユニゾンしたリインフォースとはやての姿に見惚れていた。
そのために体を硬直させ、空中で呆然と突っ立ってしまっていたのだ。
少し卑怯かもしれないが、リインフォースとはやてはその隙を逃さなかった。
彼女達は闇統べる王の元へと急速で突撃し、彼女の胸に魔力を込めた右拳を打ちつける。
「なっ!?き、きさ、貴様ぁああああ!!??」
『行くよ!リインフォース!』
「はい!我が主」
突き出され闇統べる王の胸を貫く右拳に二人はさらに魔力を込める!
「はぁぁぁぁぁぁッ!!」
『夜天の祝福!』
「今!ここに!」
稲光が激しく飛び散り、膨大な光が闇統べる王を包み、そして消滅させていく。
「ぐ・・・うああぁあああああああああああ~~~~ッ!!!!」
(そんな、バカな・・・我が力が・・・・・・ッ!!
ぐぅう・・・・・・ッ・・・あと少し・・・あと少しで、
決して砕け得ぬ力を・・・手にできたものを・・・)
断末魔の叫びと共に・・・・・・闇統べる王の体は光となっていった・・・
その光がはじけ飛ぶと共にアクアボリスを、海鳴の空を覆っていた結界が消滅していった。
後に『闇の欠片事件』と呼ばれる事件は・・・こうして終わりを迎えたのだった。
◆◆◆◆
「とっ・・・・・・・・・と――!?」
「大丈夫ですか!?我が主!」
空中で倒れ掛かっていたはやてをリインフォースがお姫様抱っこのように支える。
八神はやてが気がついたのはあの戦いから少し経ってからだった。
魔力を完全に放出しきり、負担がかかっていたはやてはガス欠で倒れていたのだ。
それはリインフォースも同じで、気がついたときには目の前で倒れ掛かっているはやてがいたのだ。
「あ、あれ?リインフォース・・・さっきのマテリアルの王様は?」
「わかりません・・・私も気がついたときには、結界がすでに解けていて・・・」
「確か、あのラグナロクみたいな攻撃を受けて・・・そんで・・・あれ?」
はやてとリインフォースは先ほどの戦いの記憶がばっさりと抜け落ちていた。
具体的にはやてが最後まで覚えているのは
闇統べる王のエクスカリバーの直撃を受け、それに飲み込まれたことのみ。
一体自分達はあの後どうなっていたのか、闇統べる王はどうなったのか・・・
そんなことを二人は考え続けたが、結局は答えは出なかった。
実は逆ユニゾン時、彼女達は一種のトランス状態だった・・・
そのために逆ユニゾンしていた時の記憶がなかったのだ。
いくら考えても答えの出ない中・・・エイミィから入ってきた通信により、
彼女達二人は、この事件の終わりを認識したのだった。
取りあえず、伝えたい事があるというので
二人はアースラへと向かっていったのだった・・・。
◆◆◆◆
「どうゆう・・・ことですか・・・?」
私は・・・今目の前で言われた事が理解できていなかった。
厳密に言えば・・・理解をしとーないと頭が否定していたんや・・・。
それだけ、今目の前で伝えられた現実は私に衝撃を与えた。
「なのはちゃんが・・・帰ってきていないの・・・」
エイミィさんから伝えられた事実は私を絶望させるには十分やった・・・
なんで・・・なんで・・・みんなが無事に帰って来れたのに・・・
なんで・・・なのはちゃんだけが帰ってきてへんの・・・?
「こっちの連絡にも全く応じないし、
本人がかけているとしか思えないジャミングのせいで、
なのはちゃんの位置情報もつかめないんだ・・・」
なんで、なんでなん?なんでなのはちゃんはそんなこと・・・
錯乱している私を見かねてか、クロノくんが気を利かせてくれたようだ。
「はやて、とりあえず落ち着いてくれ。君は極度に疲れているし、
とりあえずリインフォースとともに家に帰っても構わない。
なのはのことは僕達に任せてくれ」
確かに・・・すぐにでも探したいけど・・・
なんだか、体が凄く重い・・・
「主はやて、高町のことは我々に任せてください」
「あぁ、必ず見つけ出してやるよ」
シグナム・・・ヴィータ・・・ありがとうな・・・
でも・・・やっぱり・・・私は・・・・・・・・・
「さぁ、主はやて。我々は先に戻りましょう」
そう・・・やな・・・とりあえず家に帰ろうか・・・
◆◆◆◆
そして、家に帰った私達やけど、やっぱりどこか心が重かった。
なのはちゃん・・・一体どこへ行ったんや・・・
ソファに寄りかかって体を休めていても、心は落ち着かへんかった。
「主はやて・・・」
「あ、うん・・・大丈夫やリインフォース・・・うん、大丈夫」
本当はとっても辛い・・・けど・・・リインフォースには心配かけられへんもん
だから・・・夜天の書の主として、頑張っていかなあかん
そう私が思っていたとき・・・
プルルルルル
ん?電話・・・?
「はい、八神・・・あっ、桃子さんですか」
リインフォースが出てくれた電話は・・・桃子さんからかぁ
桃子さんは知ってるのかなぁ・・・なのはちゃんが居なくなったこと・・・
「はい・・・はい・・・主はやてにですか?」
私に・・・?なんやろ
「はい・・・はい・・・わかりました」
そう言ってリインフォースは電話を切った。
「主はやて、桃子さんがこちらに急いできてほしいとのことです」
「え?なんやろ?私は大丈夫やから、すぐ行けるけど」
「そうですか、ならば行きましょう。向こうもなにやら慌てていたようですし」
慌ててた?どういうことや・・・って考えるまでもないかぁ
なのはちゃんが行方不明なんやからな。大方それのことについてやろ
「ほんなら行こうか、リインフォース」
「はい、我が主!」
◆◆◆◆
「いらっしゃい・・・はやてちゃん」
「お邪魔します。桃子さん。今日は・・・なのはちゃんのことでですか?」
「・・・えぇ、その通り、さっきリンディさんから連絡があってね・・・
今日は家には私しか居なかったから、私も驚いちゃって・・・
それで、何か手がかりがないかって、さっきなのはの部屋にいったの」
「それで!何か見つかったんですか!!?」
もしかしたらなのはちゃんの居場所が分かるかも!!
「それが・・・見つかったのは・・・これなのよ・・・」
そう言って桃子さんが出したのは・・・手紙・・・?
「読んでみる?私としてはあまりお勧めできないんだけどね」
「はい、何か分かるなら・・・読みます」
何か知れるなら、今は情報がほしい!
「・・・わかったわ・・・はい」
桃子さんから手紙らしきものが渡される。
私は急いでそれを開いて、読んで・・・そして・・・
「あ、あぁ・・・あ・・・」
絶望した・・・
みんなへ
わたしはわたしを探しに行きます。さがさないでください。
たいせつなものです。見つけるまでかえりません
もし、それが見つかって・・・わたしが心をとりもどしてかえってきたら・・・
そのときは「わたし」をめいいっぱいおこってあげてください
それでは・・・さようなら・・・
高町なのは
手紙には・・・そう書かれとった・・・
なんで・・・なんで・・・なんで・・・なんで居なくなるん・・・
なのはちゃんの心くらい・・・10年くらい・・・私は待っていられたのに・・・なんで・・・
「う、うぅ・・・あ、あ・・・・・・ぅ・・・・・・あっ・・・っく・・・・・・」
気がついたら・・・私は・・・泣いていた・・・
親友の苦しみに気づいてあげてやれなかった・・・そういう思いも浮かんでしまったから・・・
「はやてちゃん・・・」
「主はやて・・・・・・」
桃子さんとリインフォースが心配する声は聞こえる・・・
だけど私は・・・ただただ声を上げて泣いていた。
「あっあっ・・・あ・・・・・・」
「はやてちゃん・・・良いのよ・・・?もっと大声で」
桃子さんはそう言うと私の頭を優しくなでてくれた・・・
その温もりが・・・とても暖かくて・・・涙腺が、不意に緩んでしまい・・・
溜め込んで、張り詰めていた想いを・・・爆発させてしまった・・・
「う、うぅ・・・わぁぁぁ うわぁー・・・うわぁああああああー・・・!」
私は、大声を上げて、泣いた。
桃子さんの腕に抱かれながら、その暖かな胸の中で命一杯泣いていた・・・
その涙が枯れるまで・・・ずっと・・・ずっと・・・
その日、私は・・・大切な何かを――失った気がした・・・・・・