いろいろあって分けました。
それではどうぞ!
「さて、と・・・何から話そうか?」
公園に着いた後、わたしはフェレットにそう問いかける。
「えぇと・・・まずは名前を・・・」
名前?・・・あぁ、そういえば自己紹介してなかった。
「あぁ、そうだね。わたしは高町なのは、なのはでいいよ。あなたは?」
「あ、はい。僕の名前はユーノ・スクライアです。
スクライアは部族名なのでユーノと呼んでください。
それで高町さん、あなたはいったい・・・?」
「名前呼びで、呼び捨てでいいよ。なのはって呼んで。
タメ口でもいいよ。敬語はあまり好かないから・・・」
学校の後輩のような年下からならともかく基本的にわたしは敬語は好まない。
自分に自信がないというか、ちょっとした自己嫌悪感がある。
他の人からすれば生意気なこと言ってると思われるかもしれないけど、
わたし自身、敬語で話しかけられる資格はないとも思っていた。
「あぁ、うん。それじゃあなのは・・・どうして君は魔法を使えるの?」
そんなことを思っているとユーノくんがそう質問してきた。
うーん、なんて答えよう。特別何かやったわけでもないし・・・
「うーん・・・いろいろやってたらなんかできた」
「へ、へぇ・・・そうなんだ・・・」
(むちゃくちゃ天才じゃないか!!?)
なんだかユーノくんが驚いてるけど・・・
まぁ、あんな力がいきなり使えるようになったら普通驚くよね。
とはいえ、その後の道のりはちょっと険しいものだったけど・・・
「もっともいろいろあったけどね・・・」
「そうなの?」
「まぁね・・・いろいろ・・・」
そう言いながらわたしは過去を思い出していた。
あの本にあったから・・・いや、あのお兄さんに会ったから
わたしはこの『魔法』の力を使い始めた・・・
あの本に会ったから、はやてちゃんに会うことができた。
『魔法』の力を舐めて見ていたから・・・大怪我をした・・・
そして・・・それを全部ユーノくんに話した。
なんで話したのか、自分でもあまりよく分かってないけれど、
ユーノくんなら話してもいいと思っていたことは確かだった。
最初はユーノくんも信じていなかった・・・というより信じたくなかったみたいだけど。
わたしの傷口を見せたら、納得してくれた。
ユーノくん曰く、『魔法』には殺傷設定、物理破壊設定・・・
そして非殺傷設定というものがあるらしい・・・
わたしが怪我をしたのは、その設定を知らないで使用したからとのことだった。
なるほど魔法とはなかなか奥が深いもののようだ。
ちなみにあの時の胸の痛みについても聞いてみたが、魔法とは関係がないみたい。
少なくとも通常の使用で胸が痛むようなことはまずないらしい。
そう言う話をある程度した後に、次はユーノくんの話を聞いた。
曰く、さっき回収した『ジュエルシード』と言うものの発掘者で、
ここ、地球は日本、海鳴市にわざわざユーノくんが来たのは
それを運んでいた艦が途中事故にあい、ジュエルシードがこの地球に落ちたためらしい。
ユーノくんは別世界の人間・・・まあ、魔法を知ってるから信じるけど
そしてユーノくんが住んでる世界にもこういう事に対処する
軍隊みたいな組織・・・「時空管理局」という組織はあるらしい。
ただ万年人手不足で対処が遅れそうなので、
発掘してしまった責任として、この世界に先に来たとのことだった。
「ごめんなさい・・・本当は誰も巻き込む気はなかったけど
この世界の魔力素が合わないから、今はこの姿で居るしかない。
この姿だと戦闘は難しいから、こんな醜態さらしちゃった・・・」
フェレット姿のユーノくんがそう言いながら謝ってきた。
わたしは彼に頭を上げるように促した後に、自分の本心を伝えた。
「ううん、いいよ。むしろお礼を言わなくちゃ・・・
ずっとこの力が何か気になっていたから・・・
便宜上魔法といっていたけど、これが何か・・・
この力をなぜ持っているのか、それが気になっていた・・・
ユーノくんのおかげで謎が解けた。ありがとう」
わたしはそうお礼を言った。
思い返せばわたしはこの魔法という得体のしれない力に喜びながらも、
どこか恐怖を抱いていたことは確かだった。
もしかしてわたしは化け物のような存在になってしまったのではないか、
もう人間ではなくなってしまったのではないか・・・
根拠のない考えだったが、心の奥底でずっとわたしを縛っていたのは事実だった。
そんななかで魔法という存在を一般的に使っているという
ユーノくんの話を聞いてわたしは安心していた。
わたしは化け物ではなく、人間『高町なのは』なのだと。
「それは僕の台詞だよ。助けてくれてありがとう」
そういってフェレット状態のユーノくんがペコリとお辞儀をする。
ちょっとその行為がかわいいと思ったのは内緒だ。
そんなときに、ふと気付いて時間を確認してみる。
時計を見ればすでに出かけてから30分は経過しようとしていた。
さて、と・・・まずは家に帰らないと・・・話したいこともある。
ユーノくんに全部言ったことで、大分気が楽になった。
すべて話そう・・・そう心に決めてわたしたちは帰宅した。
帰ってみると我が家の前に家族の皆がいた。
表面には至って普通の表情があったのだが、
身に纏ったオーラには明らかに怒りのオーラが見えていた。
「一体こんな時間帯に何をしていたんだ?」
お兄ちゃんがそういう。まあ仕方ないね。
いきなり出かけたし、こんな子供が補導されるような時間だし。
むしろ怒られなかったらどうしようかと思った。
さて、どうやって話を切り出そうか・・・と考えていたら、
「まぁ、可愛いフェレットじゃない」
そういったのはお姉ちゃん。このタイミングでそれを言うのですか。
普通ならこの空気にあわせてごまかすところなんだけど・・・。
全部話すつもりだから誤魔化す気はわたしにはない。
「あの・・・お父さん、お母さん、お兄ちゃん、お姉ちゃん。大事な・・・お話があるの」
わたしは至って真剣な顔でそう言った。
「どうした?そんな真剣な顔して」
そんな私の顔を見て、お父さんがそう言った。
顔もわたしと同じで普段はあまり見ない真剣モードだった。
少しその顔に緊張して言うのを躊躇しているとお兄ちゃんが溜息を吐きながら言った。
「とりあえず中で話を聞こう。家に入って」
お兄ちゃんにそう言われてわたしを含めて、皆は家の中に入っていったのだった。
そして・・・わたしはすべてを話した・・・
魔法の事、怪我の原因、今日出かけた理由、ユーノくんのこと。
そのすべてを
「なるほど・・・あのときの怪我も魔法・・・こんな夜中に出かけたのも魔法か・・・」
腕を組み、お父さんは顔を強張らせながらそう言った。
「いろいろ黙っていてごめんなさい」
「僕も・・・なのはを巻き込んでしまってすみません」
そう謝罪の言葉を重ねながら、わたしととユーノくんが頭を下げる。
それを見たお父さんは強張らせていた顔をやさしげな表情に変えて言った。
「あぁ、そのことはもういいさ。
もともと私が怪我したことが原因のようだしな
ユーノくんに関しても事情が事情だ。仕方ないさ」
その言葉を聴いて、わたしは少し気が楽になった。
半ばわたしの逆恨みのようなものなのにお父さんはしっかりと事実として受け止めてくれたのだ。
そんな感情を噛み締めつつも、わたしは説明を続けた。
ちなみに今、わたしは魔法の説明のためにバリアジャケットを纏っている。
わたしががレイジングハートを詠唱なしに起動させたときに
隣に座っていたユーノくんが驚いていけれど気にしないでおこう。
「だからお父さん。ユーノくんのお手伝い・・・しちゃだめかな?」
ある程度の説明をした後に、わたしはユーノくんの手伝いをしたいという思いをぶつけた。
今のユーノくんは一人ぼっちで助けてくれる人いない。
わたしは一人ぼっちは淋しいものだということを身に染みて理解している。
困っている人がいて、助けてあげられる力が自分にあるなら、
ユーノくんは困ってて、わたしはユーノ君を魔法の力で助けてあげられるから。
だからこそわたしは手伝いたい。
「む・・・・・・・・・」
でもやっぱりお父さんはまだ悩んでいるみたいだ。
ある意味で当然だ。魔法の力はわたしに力を与えてくれたと同時に
わたしに一生残る傷を着けさせた異能の力でもあるのだから。
「あなた折角なのはがわがまま言ってるのよ。聞いてあげたら?」
「お母さん・・・」
そんなお父さんをまさかのお母さんが説得してくれた。
これはちょっと予想外だったな。
「そうだな、それにそのジュエルシードを放っておくと地球がやばいんだろ?」
お兄ちゃんがそう言う。これもちょっと予想外だったかな?
この説明を聴いた上でだから。まだぎりぎり後戻りはできるから・・・
さっき皆から自分達に手伝えることはないかとまず聞かれていた。
ユーノくん曰く、ジュエルシードが魔力のない人間を取り込む危険性があるので
自分とわたし以外にできることはないらしい。
「うん、なのはが折角言ったんだし」
お姉ちゃん・・・その発想はおかしい。
わたしが言うのもなんだけど・・・魔法でわたし大怪我してるんだよ?
普通は止めないかな? あれ?もしかして家の家族っておかしいのかな。
わたしもその一員だけど、はやてちゃんや
アリサちゃん、すずかちゃんの家族を見ていると何かがおかしな気がしてきた。
・・・まぁ、いいか
「・・・わかった。構わない。
だが本当に私達にできることはないのかい?」
「はい、なのはから聞いて、あなたたちの強さは大体理解しましたが、
ジュエルシードを封印できるのはなのはと僕だけなんです。
それにジュエルシードがもしもあなた方に対して発動したら・・・」
とりあえず納得してくれたお父さんが再び、自分たちにできることはないか再確認する。
そしてやはりしてもらえることはないとユーノくんがフェレット状態で言った。
「わかった。ありがとう。それでなのは」
「なに?お父さん」
ユーノくんの言葉を聞いた後、お父さんは一呼吸置いて、わたしの目を見る。
そして、静かに・・・しかし力強く思いを込めて一つお願いごとをしてきた。
「決して無理はしないでくれ。これが私の願いだ」
「・・・・・・はい!」
その言葉にわたしは今ある思いを込めて返事を返した。
お父さんもわたしも無理と言うか、無茶をして怪我をしている。
だからもう、それに関してはきちんと覚悟はできている。
魔法は危険な力・・・それは体で理解している。
だからこそ、わたしはジュエルシードを回収するんだ!
「よし、それじゃあも遅いから寝なさい」
「うん、わかった」
「・・・ところで・・・ユーノはどうする? 一応人間の男の子なんだろ?」
話題は変わってお兄ちゃんがそう言ってきた。
わたしは特に迷わずに素直に言い返した。
「別にわたしの部屋でいいんじゃないの?
ユーノくんはフェレットモードで居るからベッドとか嵩張らないし」
実際、部屋に一人でいるようなものだし問題ないでしょう。
「あ、いや・・・あの・・・そう言うものではなくてな・・・」
「ユーノくんも別に困らないでしょ?」
「えっ? まぁ、フェレットモードで寝泊りすることは困らないけど」
「・・・いや、ユーノ。論点はそこじゃないと思うぞ・・・」
その後、ユーノくんをどこに泊めるかで家族全員で議論した結果。
ジュエルシードが何時発動しても言いようにわたしの部屋でユーノくんは寝泊りすることになった。
そして地球の環境に慣れて常時人型で居られるようになったのなら
何個か空いている部屋の一つをユーノくんように使わせてくれるらしい。
うん、良かった。
いろいろとあったけれど何事もなく参加できそうだ。
◆◆◆◆
なのはたちが家族でそんな話をしていたころ・・・
とあるビルの屋上に人影があった。
その人影の正体は一人の女の子だった。
「第97管理外世界・・・現地名称「地球」・・・
母さんの探し物、ジュエルシードは此処にある。
行こうバルディッシュ」
《Yes,sir》
少女が呟くと、手に持っているプレート『バルディッシュ』がそれに答える。
そしてその呟きは誰に聞かれる事なく夜の空に消えていった。
いや、なのはにユーノ・・・論点そこじゃねぇよな回でした。