Scribed a bullet hole   作:byとろ

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ジョジョ!読まずにはいられないッ!

遅ればせながら『ジョジョの奇妙な冒険』アニメ化おメメタァ。

私は『ジョジョリオン』だけ持ってないんですよね。買わなくちゃなぁ……。


Bloody lord

対戦の順番は、まず一夏とセシリア。その次にセシリアと弾。最後が一夏と弾、というように決まった。弾からしてみればおおよそ期待通りの順番である。

 

そして今日はその対戦当日。なのだが、肝心の専用機が届かない。後で戦う弾はともかく、一夏としては気が気でならないだろう。さっきからそわそわしている。

 

関係者以外はいれないピットになぜ箒がいるのかは置いといて、一夏と弾は専用機が来るのをじっと待った。

 

 

「……」

 

「……」

 

「……こねぇな」

 

「……こないな」

 

「……」

 

「……」

 

「……帰っていいか?」

 

「いや、だめだろ……」

 

「だよなぁ……」

 

「……素数でも数えれば?」

 

「俺は神父じゃないし、あれは落ち着くためにやるもんだ」

 

「なら、ロードローラー持って来い」

 

「ああ、そいつはいいな」

 

「千冬姉がプッツンするだろうけど」

 

「はぁ……。おまえらはさっきから何を話しているんだ?」

 

 

収拾がつかなくなり始めたところで箒が割り込んでくる。当たり前だが、知らない人はついてこれない。

 

弾との会話は途切れるが、一夏には一つの懸念があった。

 

 

「ていうか、俺らISの操縦方法知らないんだけど?」

 

 

この一週間、ISの操縦を箒から学ぶ算段だったはずだ。それがなぜ、弾対剣道部全員+一夏になったのだろうか?

 

いや、百歩譲ってそれは良いということにしよう。ではなぜ、それ以外の時間にも操縦を学べなかったのか?

 

 

「……」

 

「箒、目をそらすな」

 

「……仕方ないだろう」

 

「実はISのことよく知らないなんてオチねぇよ……」

 

 

そう実は、箒さんはISのことをよく知らなかったのです。

 

姉である束を嫌っている節があるし、そしてISがその姉によって作られたものなら知らなくても不思議はないのかもしれないが、一夏に教えるといった手前それはどうなのだろう。

 

疑問が尽きないが、真耶がやってきたので会話は終わりだ。

 

どうやらやっと専用機が到着したらしい。さっそく専用機のもとへ。

 

――それは『白』だった。

 

兵器とは思えぬほどに綺麗な、まるで芸術品のような『白』い機体。

 

それが一夏を待っていた。

 

 

 

>>1

 

 

 

ピット内のリアルタイムモニターで、弾とその他もろもろは一夏の試合を見ていた。

 

開始から十分、一夏はセンスがあったらしく、大方の操縦法を体で覚えたようだ。ただ、武器が近接ブレードしかないようで、五機のビットとレーザーライフルを繰るセシリアとの相性は最悪。今も何とか耐え忍んでいるという感じである。

 

真耶は「初めてなのにすごい」と褒めていたが、弾からすれば一夏の動きは稚拙に限る。ISを使っているという事実もあるだろう。だが、慣れない銃を扱っているというわけでもないのだ。明らかに冷静さを欠いている。

 

例を挙げるのならあのビット。あれが自分の反応が一番遠い角度をついてくるのは、少し考えればすぐ分かるだろう。セシリアがビットを動かしているときに動くことができないのは、一分もすれば見当がつくはずだ。

 

それに気づかない。

 

平凡な一般人ならともかく、一夏は弾が認め、そして三年間つるんだ奴だ。この程度なわけがない。

 

あるいは、やはりISというぬるま湯が一夏の温度を下げてしまったということか。

 

 

「……」

 

 

モニターの中でやっと、一夏がセシリアのビットについて気づいた。得意げに語り、見破られたセシリアがあからさまに動揺している。

 

 

「……茶番だ」

 

 

吐き捨て、弾はモニターに背を向けた。

 

 

「おい五反田。どこへ行く?」

 

「機体の調整を終わらせます。すぐ、終わりますから」

 

 

特に止められるわけでもなく、弾は自身の専用機のもとへ行く。あの試合がそう長くならないということは、千冬も感じているのだろう。

 

弾がモニターの前から去った十分後、試合はセシリアの勝利で幕を閉じる。一夏の敗因は、技の特性を考えず、エネルギー残量の注意を怠ったことであった。

 

弾が言ったように、それはぬるくなったということだろう。だが、弾は肝心なところを見逃していた。あるいは、らしくもなく忘れていた。

 

織斑一夏のバカは感染する。

 

 

 

>>2

 

 

 

ピットに降り立った一夏は、拳を壁に叩き付けた。負けたから悔しくて、なんて理由じゃない。己の不甲斐なさにだ。

 

さっきの試合はなんだ?あの無様はなんだ?

 

思い出すだけで腸が煮えくり返る。

 

ISに乗って気分が昂揚していたことは認めよう。途中やられそうになって、漫画のように進化し、尊敬する姉と同じ剣を持って戦うことに胸を躍らせたのも認める。

 

それで冷静さを欠いた、とでもいうつもりか自分は。

 

なんて、恥知らずな。

 

 

「……くそッ!」

 

 

ISを解除して、素の拳で壁を殴った。何度も何度も。止められるまでずっと。

 

千冬の止め方は乱暴だった。出席簿で叩く、それだけ。

 

一夏を止めた千冬が言う。

 

――そろそろ五反田の試合が始まるぞ。

 

弾。魔人と称されたあの男が戦うか。

 

頬を叩いて、一夏は気合を入れなおす。それが終われば、次は自分だ。弾に不甲斐ない格好は見せられない。

 

かつてを取り戻すために、一夏はリアルタイムモニターを食い入るように見つめた。

 

 

 

>>3

 

 

 

弾がアリーナへ出たとき、それを見ていた人間は全員息をのんだ。

 

誰もがISを纏っていないことに疑問を浮かべ、そしてISを纏っていることを理解して驚愕した。

 

弾のISは、もはやISではなかった。

 

第一に、体を覆う装甲がない。

 

あるのは黒い籠手と脚絆、体にぴったりと合う袖のない戦闘衣に、ゆったりとしたズボン。ただそれだけ。

 

次に、装備がない。

 

武器もスラスターも、ハイパーセンサも無かった。

 

異様すぎる。異質すぎる。

 

当然、対戦者であるセシリアも驚きを隠せなかった。

 

 

「なんなんですの、それ……?」

 

「さあな、俺にもよくわからん。こんなものもできちまったし」

 

 

弾は自身の右肩を指差す。そこには赤黒い刺青があった。見るだけで総毛立ちそうな、烈火のごとき刺青だ。

 

それはただのISの待機状態であるが、なぜ展開しているのにあるのか。

 

セシリアはハイパーセンサで刺青を見て、理解した。

 

それは血だ。間違うことなく、弾自身の血である。

 

セシリアはある意味納得した。さっきからセンサが送ってきていた敵機の名称に合点がいったのだ。

 

弾の繰る機体の名。

 

――『ブラッディ・ロード』。

 

なんという皮肉か。貴族(ブルーブラッド)であるセシリアと戦うのが魔人だとは。

 

まったく笑えない。笑えなくて笑えなくて、笑ってしまいそうだ。

 

ほんの少しだけ男という生物を、セシリアは理解したから。織斑一夏から、ほんの少しだけ垣間見ることができたから。

 

ゆえに、淘汰して見せよう。

 

それが、純潔(ブルーブラッド)の誇りだ。

 

 

「へぇ、いい顔してくれるじゃねぇか。一夏も伊達じゃなかったってか」

 

「ええ。なかなか、刺激的でしたわ」

 

 

また一夏に惚れたやつが出たらしい。どんどんライバルが増えていっていることを知ったらあの娘はどんな顔をするだろうか?

 

おそらく蹴られることになる一夏にはご愁傷様といっておこう。

 

 

「言っておきますけれど、さっきまでの私ではありませんわよ」

 

「はっ。なら少しは、本気を出せそうだ」

 

 

一夏はぬるくなったが、他を温める程度の温度はまだ保っていた。嬉しい誤算だ。惜しむらくは、一夏が以前のようであったならば、セシリアはさらに飛躍したであろうということ。

 

それでも、退屈だと思っていたものが芳醇な香りを漂わせてきた。それだけで弾は良かった。

 

弾に課せられたハンデは腕一本だけの使用。今となっては、余分なハンデかもしれない。

 

 

「叩き潰してあげますわ」

 

 

笑う弾を前に、セシリアは見栄を張る。

 

魔人を前に啖呵を――切った。

 

 

「セシリア・オルコットの本気の全力、魅せてあげますわ!」

 

「いいぜ、来いよ。――テメェに弾痕を刻み付けてやるッ!」

 

 

開幕、セシリアは手に持つ『スターライトMkⅢ』で弾を狙撃する。弾のISは装甲がない。ということは、それだけ『絶対防御』が発動しやすいということだ。ビーム一つでも喰らえば、たちまちエネルギーを馬鹿食いしてそれが発動する。

 

当たればの話だが。

 

迫るビームを、弾は叩き落とした。拳でビームを叩き落とすなどあまりにも非常識だが、弾はこともなげにやってみせる。

 

 

「ああ、まったく。規格外ですのね、あなたは」

 

 

セシリアは顔をひきつらせてつぶやいた。まあ、正面からの一撃はすべて無効化されるのだから、やってられないだろう。

 

 

「諦めんのか?」

 

「馬鹿なことを言うもんじゃありませんわ……!」

 

 

だが、闘志は消えない。彼女の瞳に満ちるのは、勝利への渇望だ。

 

弾はそれがたまらなくうれしい。ISが絶対防御などという無粋なものを搭載していなければ、さらに高みへ至ってくれただろうに。

 

それが無理でも、今は楽しもう。やっと彼女は敵になりえたのだから。

 

 

「はっはァッ!気合入れてけよォッ!」

 

 

地を蹴って跳ぶ。この機体にはPICすら存在しないので、浮遊も飛翔もできない。

 

だが、それでいい。それがいい。

 

一瞬でセシリアの前へと躍り出た弾はそのまま殴る。もちろん、右腕一本でだ。

 

超音速の一撃を出せることを考えれば遅い一撃だが、それでも威力は十二分にある。セシリアは抵抗もできずに吹き飛び、そのまま壁に激突した。

 

今のでどれだけ削れただろうか?ハイパーセンサがない弾にはよくわからないが、そうそう終わらせる気はない。加減に加減をして、遊んでやろう。

 

久しぶりに昂揚しているのだ。もっと長く味わっていたい。

 

おそらくセシリアは分かっているだろう。分かっていなずとも、今ので理解したはずだ。

 

セシリアでは弾に勝てない。

 

右腕一本だろうが指一本だろうが、セシリアは勝てない。

 

それで心が折れるか?しっぽを巻いて逃げ出してしまうのか?

 

 

「簡単に終わってくれるなよ、セシリア・オルコット」

 

 

弾は、ただそれを願うのみである。

 

 

「終わりませんわよ……そう簡単には!」

 

 

六機のビットから一斉にビームが射出された。一夏に使った死角からの攻撃ではない、文字通りの一斉掃射だ。空中での移動方法がない弾は避けようがない。

 

だからといって甘んじて受ける弾でもない。微妙な発射タイミングのずれを見切り、コンマの差で早く来たビームから叩き落としていく。

 

 

「当たりなさい!」

 

 

六機のビットを操る中で、セシリアが『スターライトMkⅢ』を撃った。ビットとの並行攻撃。この短時間でものにして見せたらしい。

 

 

「はっはァ!そう来なくっちゃあな!」

 

 

叫び、ビームを蹴る。その反動でセシリアへ駆け、その銃身を掴んだ。

 

そのままハンマー投げの要領で振り回して、上空に投げた。

 

 

「きゃああぁぁぁぁッ!?」

 

 

高速戦闘の訓練は受けているだろうが、高速でぶん投げられることなどなかっただろう。セシリアは悲鳴を上げて飛んで行く。

 

その隙にビットを破壊していく。命令がなければ動かないのだから、攻撃するわけでもなく止まっているビットを潰すのはたやすい。一つを残して、全部壊す。

 

我に返ったセシリアからの狙撃を難なく避けて、弾はそれ以上の追撃をしない。

 

 

「くっ……馬鹿にして!」

 

 

激昂するセシリアの攻撃を、弾は何もせずに回避していく。

 

まだ何かあるだろう。出しきって見せろ。

 

 

「魅せてくれるんだろう、セシリア……!」

 

「ああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁッ!」

 

 

その時、変化が起きた。弾の横を通り過ぎたはずのビームが曲がり、さらに襲ってきたのだ。

 

他のビームも全て考えられないような軌道で弾に迫る。

 

『偏向射撃(フレキシブル)』。BT兵器の行きつく先。

 

ビームの軌道を変えるそれは、決して読ませぬ射撃を可能にする。

 

 

「ヒャァハァァァァァッ!いい、いいぜ!最高だ!」

 

 

弾はさも嬉しそうに笑う。悪魔のような凶悪な笑みだ。

 

そして、弾の姿が掻き消えた。

 

瞬間、セシリアのハイパーセンサから上空へ警戒が鳴る。反射的に上を見て、セシリアは驚愕した。

 

弾がいる。魔人が拳を握ってそこにいる。

 

 

「刻み付けろ。これが俺のッ!

 

――一撃だァァァァァッッ!」

 

 

 

――瞬拳。

 

 

 

音速を超えた拳がセシリアをとらえた。阻むものを尽くに破壊する魔人の拳。それが寸分たがわずセシリアの体を貫いた。絶対防御が発動し、シールドエネルギーの残量がゼロになる。

 

そして試合の終了を知らせるブザーが鳴り、ここに勝敗は決した。

 

 

 

>>4

 

 

 

一夏がアリーナへ出る。弾は当然のように、そこの王として君臨していた。

一夏は白く、弾は黒い。対照的な二人の姿がアリーナに描かれた。

 

 

「お前のおかげで楽しめたぜ」

 

 

弾が一夏に言う。そう言われて救われた気持ちになるが、しかし腑抜けた姿を見せたことには変わりがない。

 

「無様を晒した側として耳が痛い」

「無様はぬけたか?」

「……どうかな。そうだといいけど」

 

一夏は苦笑して、頬をかく。締まった顔ではないけれど、眼光は鋭かった。

 

「だから、ちょっと借りてきたんだ」

 

そう言った一夏の手には本来の白式の武器である雪片弐型の他に、もう一降りブレードが握られていた。ただの近接ブレードであるが、これで一夏得意の二刀流が使える。

 

それはすなわち、瞬剣が使えるということだ。

 

「弾。一撃だ。一撃で終わらせよう」

「いいのかよ?」

「ああ。そうしないと、俺は腑抜けたままだ」

 

それは、事実上の敗北宣言。一夏と弾の一撃決殺に、一夏の勝つ余地はないのだから。

それを承知で、一夏は提案した。勝ち負けではなく、行うことに意味があるのだ。

 

「へぇ、格好いいじゃねぇか」

「……そうか」

「褒めてやったってのにひどくねぇか」

「言葉に心がこもってたらな。で、どうなんだ?」

「わかりきったこと聞くなよ。答えはYESだ」

 

一夏は二刀を交差するように構える。対して弾は自然体だ。

 

瞬剣、あるいは瞬拳というものに構えは存在しない。音速又はそれに準ずる速度での攻撃を、総じて『瞬剣(瞬拳)』という。

 

一夏の瞬剣は、二刀で攻撃しているように見えるが、実際は一刀だけで斬りつけている。それは斬りつけない片方が速度を生み出すための触媒として使われるからだ。

 

踏み出しの速さに体の各所で生み出した速度を乗せ、さらに刀の反発力を利用した加速をつける。

 

その果てに繰りだされるのが一夏の『瞬剣』だ。

 

ISのスラスターを使える今、一夏の瞬剣は更なる高みへと昇る。

 

それができてこそ、腑抜けを返上できるというものだ。

 

 

「……」

 

 

力を溜める。まだ、解放の時じゃない。

 

相手の出方を見切ること。一撃で決まる戦いにおいて、これ以上に重要なことはない。

 

やがて時間が経ち、ギャラリーが一様に生唾を飲み込んだ瞬間、

 

 

「おおおおおおおおおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉッ!」

 

 

疾走。最高の一撃を放つために練り上げた力を一気に爆発させる。同時に『零落白夜』を発動、あわよくば弾すらも切り裂いてみせんと咆哮を上げた。

 

 

「――瞬剣ッ!」

 

「――瞬拳ッ!」

 

 

拳と刀がぶつかり合い、甲高い音と共に衝撃波が吹き荒れる。数瞬の拮抗の後、弾が雪片弐型を強引に吹き飛ばした。

 

がら空きになった一夏の胴体に、弾は次の一手を叩き込む。

 

 

 

――瞬閃。

 

 

 

その速度は瞬拳の倍。超音速の拳が一夏を穿ち、その体を木の葉のように吹き飛ばした。

 

吹き飛ばされながらも、一夏は悪い気分ではなかった。

 

一夏の一撃は音速を超えることができたのだから。手加減されてなお数瞬だとはいえ、弾と拮抗できたのだから。汚名返上には十分だろう。

 

そう考えたら、笑いが出てきた。こんな晴々とした気分はいつ以来だろうか?少なくともここ一年内にはない。

 

アリーナに大の字で倒れながらも、一夏は笑いをこらえることができなかった。

 




ヒャァハァァァァァッ!

弾のテンションがやばいぜ。総じて俺のテンションもやばい。

書いてて『スクライド』思い出した。
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