ダンジョンに紺野姉妹が居るのは間違っているのだろうか? 作:ヴィヴィオ
この世界に転生してから15年。ボクは母ちゃんや父ちゃん達と楽しく過ごした。そして15歳の誕生日の次の日、母ちゃん達と別れてボクと姉ちゃんはダンジョンがあるオラトリオという都市にやって来た。ここに来た目的は当然、ダンジョンに潜る為だよ。
「やって来ましたオラトリオ! さあ、どうしようか姉ちゃん」
道行く人の中には色んな人種がいて面白い。まあ、姉ちゃんはヒューマンだけど、ボクは妖精種。ヒューマンと精霊のハーフなのか、エルフとヒューマンのハーフなのかはわからない。
「それでどうしますか?」
「まずは冒険者登録?」
「いえ、ファミリアが先ですね」
「そっか。じゃあ、言ってみよ~!」
元気にファミリアを回った結果、いい所が無かった。門前払いされたり、こちらから願い下げだったりした。ボクの姉ちゃんを邪な目で見て来る奴なんてこっちから願い下げだ。姉ちゃんはボクのものだ。誰にも渡さない。
「ロキ・ファミリアは良かったと思うのですが……」
「絶対駄目。姉ちゃんのお尻に触ろうとしたんだから」
「それは……」
「しかも、アレが主神だよ? つまり、姉ちゃんの柔肌を見せるんだから絶対駄目。何をされるかわかったもんじゃないもん」
「そうですね。ですが、どうしますか?」
「とりあえず寝床を探す?」
「そうしましょう。目星は付けて起きました」
「ああ、あそこだね」
「ええ、行きましょう」
商店で晩御飯と掃除道具を買ってから裏路地へと入って進んでいく。少しすると誰も住んでいない古びた教会に到着した。姉ちゃんとボクはここを拠点にするつもりだ。
「教会が朽ちるままに放置されているなんて許せません」
「そうだね。ちゃっちゃっと直しちゃおう」
「まずは掃除です」
中に入って掃除を行う。
「ユウキは飛んで上の埃などを落としてください。私は椅子などを外に出しますから」
「了解!」
翼を広げて浮かび上がり、雑巾とハタキで埃を落としてステンドグラスを綺麗に拭いていく。
「うわ、雨漏りもあるや」
「補修材料は……椅子を壊して作りましょう」
「だね」
剣で長椅子を解体して使える部品にして雨漏りを補習していく。数時間かけてようやく住める程度には整えられた。
「ユウキ、下にも部屋がありました」
「ん?」
姉ちゃんに案内されると廊下があった。廊下には複数の扉があり、その一つには埃が被ったベッドが置かれていた。昔はここに人が住んでいたのだろうと思える場所だ。ただ、他の部屋はゴミや木箱などで塞がってしまっている。
「これを片付けるのはしんどそう」
「でも、やるしか有りません。最低限、ベッドだけでも使えるようにしましょう」
「ん~わかった。それじゃあ、姉ちゃんはご飯を作ってよ。ボクが片付けるから」
「わかりました」
直ぐに片付けていく。少ししたら姉ちゃんが美味しい料理を作ってくれる。流石はボクのお嫁さん。ボクの料理は斬る焼く食べるだけだよ。
食事を終えたら姉ちゃんと一緒に抱き合ってベッドで眠る。姉ちゃんの胸が気持ちいい枕になってくれる。
朝起きて、朝食を食べたボク達は早速掃除を再開させる。まずは地下からどんどん片付ける。ガラクタは廃棄して使える物は使う為にわける。その日一日で地下は使えるようになった。
「さて、これからどうしましょうか」
「お金を稼ぐためにも、ダンジョンに潜るよ」
「確かに貯蓄はあまりありませんしね」
「色々と入用だし、直したい所や追加したい所が多い」
「少なくとも調理場とお風呂は欲しいです。ダンジョンに潜りましょうか。私達なら恩恵が無くともどうにかなるでしょう」
「ある意味では別の神様に恩恵を貰ってるしね」
「ええ。しっかりとお祈りをしてから行きましょう」
ボクと姉ちゃんはお祈りをしてからバベルの塔と呼ばれる場所に入り、地下ダンジョンへと降りていく。
ダンジョン内は洞窟型で気にせず進んでいく。
「ユウキ、モンスターです」
「うん」
姉ちゃんは銀色の装備と純白の衣装に身を纏い、槍を持っている。剣も持っている。ボクは剣だけだ。ボクは剣を持っている。直ぐにコボルトが合われた。ボクは瞬時に接近して抜剣しながら撫でるように切り裂く。コボルトの首は何事もなく跳ね飛んで、黒い霧となって消えた。
「一階層は余裕だね」
「そうですね」
姉ちゃんは背後に現れたゴブリン数体を槍のひと振りで纏めて切り倒した。
「このまま先に進もうか」
「構いませんが、その前に魔石を回収しましょう」
「あ、そうだった」
「主な換金アイテムですから、忘れないでくださいね」
「えへへ」
ボクがコボルトのを拾う間に姉ちゃんもゴブリンのを拾って渡してくれる。それをアイテムストレージに入れて仕舞う。ボクはALOのアバターの姿と力を持っている。それにはアイテムストレージや、ALOで使っていた装備も含まれているのでそれを装備している。黒曜石の剣とナイトリークローク、ナイトリーボトムス、ナイトリーバンド、ナイトリーブーツだ。姉ちゃんはジャンヌ・ダルクの時の装備らしい。今は髪の毛を結ばずにボクと同じように流している。ちなみに姉ちゃんも装備は何処からともなく呼び出している。姉ちゃん曰く、魔力で作り出しているらしい。
「どんどん行こう~」
「慢心は駄目ですよ」
「うん♪」
姉ちゃんとのダンジョンアタックは前みたいでとても楽しい。だから、出てくるモンスターを瞬殺してどんどん進んでいく。
気付いたら7階層まで来ていた。出て来たモンスターは赤いアリが出て来た。さっさと斬り殺す。流石に少し固くなっているけど、まだまだ平気だ。
「あら、これは……仲間を呼んでますね」
「そうなんだ。じゃあ、おびき寄せようか」
「それは関心出来ませんが……」
「手っ取り早くお金を稼ぐためだよ。お家を早く直さないと」
「仕方ありません。しかし、ここでは迷惑になりますから」
「うん」
少し移動すると額に鋭い角を生やした兎のモンスターを斬りながら移動すると、アリがいっぱいる場所に到着した。
「いっぱいだね」
「背中は任せます」
「うん! ファイア・ボール」
先制に魔法を放ち、爆炎で吹き飛ばす。そのまま突撃して手足を切り落としていく。
「ユウキ、こっちです」
「うん!」
壁を背にして斬って斬って斬りまくる。湧いてくるそばから殺していく。アリ以外にも兎も湧いてくる。
「姉ちゃん、ちょっと遊んできていいかな!」
「仕方ないですね」
「やった! 突撃~~!」
アリの中に自ら突撃して斬る。即座にアリもボクを食い殺そうと牙を向けてくる。身体を回転させながら纏めて斬り倒す。空いた隙間を埋めるように新たなアリが襲いかかる。
「吹っ飛べ、ヴォイド・ディストーション」
大きな闇エネルギーを放つ。エネルギーは敵を飲み込みながら進んでいく。蹴散らせながら壁にぶつかり、大爆発が起こる。
「あははは、やっぱり楽しいや! ウィークネス! ウィンド・カター!」
広範囲の敵の防御力を下げ、範囲魔法で纏めて殲滅する。直ぐに移動して高速で剣を振るう。敵と敵の間を高速で移動しながら斬りつつ、詠唱を行う。更に羽を展開して飛びながら三次元機動で敵を翻弄して倒していく。狭い中での高速移動は危険だけど、楽しい。体術を利用して壁に現れたアリを蹴って更に加速しながら方向転換を行う。
「楽しそうですが、そろそろ帰りますよ」
「え~」
周りを見ると大量の魔石が転がっている。姉ちゃんの周りには大量にあり、ほかの場所には沢山の魔石が満遍なく転がっている。姉ちゃんはあんまり動かずに襲ってくる敵だけ殲滅したからだろう。呼び寄せる為のアリを殺して処理した。
「全部で8489個かな」
「随分狩りましたね」
「うん。久しぶりに暴れられてすっきりしたよ。昔の感覚が戻ってきた感じ」
「ブランクが長いですからね。これくらいにして帰りましょうか。既に二日が過ぎています」
「そんなに!?」
「狩り尽くす勢いでしたから」
「でも、これだけあれば窓とかも修理できるよね」
「そうですね」
ボクと姉ちゃんはダンジョンから出てギルドで換金して貰う。予想通り、かなりのお金になった。
「お受け取りください」
「ありがとうございます。一つお聞きしたいのですが、建物を修理したいのですがいい所を知っていますか?」
「ええ、知っています。こちらで手配しておきましょうか?」
「お願いします。ステンドグラスなども割れているのでそちらの修理もお願いします」
「畏まりました」
姉ちゃんが色々としている間にボクはじゃが丸君を買って食べている。食べながら剣を手入れしている。すると白い髪の毛をした少年が走っていた。
「終わりましたよ」
「ん、じゃあ行こうか。次、どうする?」
「まずは帰りましょう」
また食材を買って移動していく。教会の前に立つと、中に気配がある。
「姉ちゃん」
「ええ、もしかしたらここの持ち主かも知れません」
「でも、盗賊かも知れない。行くよ、姉ちゃん」
「気をつけて行きましょう」
扉を開けて入り、瞬時に侵入者に近付く。相手は反応も出来ずにボクに押し倒された。ボクは剣を彼女の首筋にあてる。彼女の口にはボク達が置いていった食糧がくわえられている。
「ひっ、ひぃぃぃぃっ!! ご、ごめんなさい、ぼくは泊まる所が無くて、それでそれで……」
「姉ちゃん、どうする?」
「ユウキ、無礼ですよ。剣を引きなさい」
「ん?」
「そのお方は神様です」
「え!?」
「ちょっ、そのえって何!! ボクが神様に見えないとでも!!」
「……」
ぷいっと目を反らしながら剣を戻す。
「ちょっとちょっと!」
「妹が失礼いたしました。神様」
「いいよ。ボクも昨日から誰もいなかったから空家だと思ったんだし」
「ボク達はダンジョンに居たからね」
「そうなんだ」
「それで、家がないとの事でしたが……」
「うん。実は居候していた所を追い出されてね。ぼくもファミリアを持つようにって。あ、君達は冒険者なんだよね?」
「いえ、違いますよ」
「え? でもダンジョンって……」
「ダンジョンなんて恩恵がなくてもどうとでもなるよ?」
「ならないから!!」
小首をかしげて答えてあげると突っ込まれた。
「いいファミリアが無かったのです。それに修理費が必要でしたからダンジョンに潜りました」
「そうなんだ。それじゃあ、ボクのファミリアに入らないかい? 今なら君達が最初のメンバーだし、自分達の自由にできるよ。なにせ団長は君達だからね」
「いいでしょう。ユウキはどうしますか?」
「ボクもそれでいいよ。姉ちゃんが団長ね。面倒だからボクはやだし」
「わかりました。それではよろしくお願いします」
「うん」
「でも、条件をつけよう」
「うえ!? じょ、条件?」
「そう。ボク達以外のファミリアを一人見つけてくるんだ。それでボク達の主神と認めてあげるし、ここにも住まわせてあげる」
「ユウキ」
「それとしっかりと働いて貰うからね。働かないから追い出されたんだろうし」
「わ、わかったよ……」
「仕方ないですね。恩恵は先に貰っておきましょう」
「ダンジョンでしっかりと稼いでくるからね」
「うん、頼むよ」
それからベッドに寝転がって背中に恩恵を刻んでもらう。まずは団長である姉ちゃんから。
「なんだこれ~~~~~!! 輪廻転生・ジャンヌ・ダルクって、ジャンヌ・ダルクって!」
「問題はありますか?」
「いや、ないよ。うん、ステータスも色々とおかしいけど、ないよ、うん。レベル1じゃ有り得ない」
「私で驚いているようではユウキはもっとすごいですよ」
「うぅ……見たくないな……でも、やらないと」
「早く早く」
「わかったよ……」
次はボクに刻んでもらう。何が出るか楽しみ。
「えっと、絶剣に妖精魔法、完全回復魔法、平行世界への接続、英雄殺し……デタラメすぎるよ!!」
「えっへん」
ボク達の力は色々と凄いよ。吸血鬼化すればもっとだけど、流石にしたくない。ガングニールは少し欲しいけどね。カッコイイから。でも、暗視とかは欲しいな。