ウルトラマンティガ―THE PARALLEL WAR―   作:龍気

2 / 8
呪剛怪腕獣・ゴルガ
呪翼怪鳥竜・メバル
登場

オリジナル怪獣登場です・・・まあ、ティガのゴルザとメルバがモデルなんですけどね。


『光・光臨』

「あなたは誰?」

 

「円・・・光牙・・・。」

 

 

彼、円光牙ことウルトラマンティガは、謎の少女の導きにより、地球から異世界のハルケギニアへとやって来た。

 

彼の目の前には、蒼い髪と瞳、美しい顔立ちで眼鏡を掛け、小柄で幼い外見に、マントを羽織って自分の背より長い杖(スタッフ)を持った少女が立っていた。

 

光牙は少女に自分の名を告げ、今に至るまでの経路を思い出していた。

 

 

(俺はあの時・・・・。)

 

 

異次元空間内にて。

 

光牙は異次元空間を浮遊しながら流れに身を任せ、目の前の少女、光牙に救いを求めた謎の少女に話しかけていた。

 

 

「その世界は、どんな世界なんだい?」

 

「それはあなた方自身で見て判断してください・・・。」

 

『どう言う事だ?判断しろとは?』

 

「あなた方の目で見極めてください・・・・救う価値があるかどうかを・・・・。」

 

「・・・それは・・一体・・・?」

 

 

光牙が、どう言う事かと、聞こうとしたが、突如少女の姿は消え、変わりに、それぞれ色の違う光の玉が数個現れた。

 

すると消えた少女の声が聞こえてきた。

 

 

「これからあなた方が行かれる世界に都合のいい形で送ります・・・光の玉を選んで触れてください。」

 

「選んでくれって・・・・。」

 

 

光牙は光の玉に近づくと、光の玉から感情らしき物が流れてきた。

 

 

「!?」

 

『今のは!?』

 

(何だ今のは?傲慢で残忍・・尚且つ気持ちの悪いこの感覚は?)

 

 

光牙は次の玉に近づくと、先ほどと同じ様で少し違う感じの物が流れ込んできた。

 

 

(何だこの玉は?まるで人間の内に秘めた感情や欲を直に感じ取ったような・・・。)

 

 

同じ様に玉に近づいては、似たような感じに襲われ気分を悪くしつつも、玉を選ぶために同じ事を繰り返した。

 

その中で1つ青白く光る玉に近づくと、今までとはまるで違う感情が流れてきた。

 

 

「これは・・・・なんて悲しくそして冷たい・・・それでいて強い殺意と絶望を感じる。」

 

『確かに・・・今までの物と比べると明らかに違う。』

 

 

その玉を前にし、光牙はしばし考えそして決断した。

 

 

「この玉を選ぶ。」

 

『何故だ?』

 

「・・・殺意については違うけど・・・・似てるんだ、この玉から感じた悲しみや絶望が、あの頃の俺が抱いていた物と・・・。」

 

 

それは両親が死んだ時の悲しみと絶望だった、その時に感じた物と似た悲しみと絶望をこの玉は発していた。

 

 

「もしこれが誰かの心を表しているんだったら・・・俺はこの心の持ち主を救いたい・・・・助けてあげたいんだ。」

 

『・・・・分かった・・君が選んだ道だ、私も着いてゆこう。』

 

「うん・・ありがとレンス。」

 

 

そして光牙は玉に触れた。

 

すると玉から眩い光を放ち、光に包まれ光牙はしばし気を失った。

 

そして目を覚まし、今に至る。

 

 

(しかし・・・周りを見渡しても、緑が多いな・・・それと俺と同じか少し上位の年齢の子達、まるで魔法使いみたいな格好だな・・・。)

 

トン・・トン・・・

 

「ん?」

 

 

光牙は背中を押されている様な感じがして、くるっと振り向くと。

 

 

「キュイ?」

 

「うわあああああああああああああああああ!?」

 

 

蒼い色をした、翼を生やしたドラゴンが、光牙の眼前まで顔を近寄らせており、光牙は驚き後ずさる。

 

それを見て周りの光牙と同い年ぐらいの、マントを羽織った美男美女といった少年少女達がゲラゲラと笑い出した。

 

 

「見なよあの変な格好した平民、風竜(ウィンドドラゴン)の幼生見て驚いてるぜ!!」

 

「ほんと、だらしない。」

 

「しょうがないよ、なんせ平民何だから。」

 

 

光牙を笑っている少年少女達を見て、恐らくはこの場にいる者達の責任者だろうか、周りの者達と大差ない格好をし、

眼鏡を掛けた禿げ上がった頭部が特徴の男性が、未だに笑っている少年少女達に注意しだした。

 

 

「はいはい、皆さん貴族が人を指差して笑う物ではありませんよ。」

 

「ミスタ・コルベール、何を言っておられるのですか?我々は人を指差して笑ってはいません、平民という家畜を笑っているのです。」

 

「何だと?」

 

 

金髪の太った少年が、持っている杖で、光牙を指し、光牙を家畜呼ばわりした。

 

それに対し光牙は怒りの表情となるが、コルベールと呼ばれた男性がその少年を先程とは違う強い口調で注意した。

 

 

「いい加減にしなさい!!平民だからと言って家畜扱いは良くありません!!」

 

「・・・・・は~い・・。」

 

 

しぶしぶと返事をしたのを確認すると、男性は光牙の前にいる少女の方へと近づいてきた。

 

 

「さあミス・タバサ、早く彼と契約を、風竜と人間と言う2体同時の召喚は異例ですが、伝統は絶対です。

彼とも契約を。」

 

コク

 

 

タバサと呼ばれた少女は、コルベールに契約するよう言われ頷き、光牙に近づく。

 

 

「待ってくれ!!」

 

「・・・・・・。」

 

「どうしたのかね?」

 

「・・・・俺の了承なしに勝手に契約なんて言われても俺が困ります。」

 

「・・・確かに・・彼の言っている事は正論。」

 

「しかし・・・・。」

 

「それに俺は今自分の身に何が起きているか分からないんだ、それから説明して納得したらその契約に応じるよ。」

 

「・・・分かった説明する、私の名は「タバサ。」・・・。」

 

「さっきその人が言ったろ?もう一度言うけど俺の名は円光牙、光牙が名前で、円が苗字・・ファミリーネームだ。」

 

「変わった名前。」

 

「ここじゃあね。」

 

 

そしてタバサの説明が始まった。

 

此処はハルケギニアと呼ばれる大陸にある四つの国の内の1つトリステイン王国、そしてトリステイン魔法学院と呼ばれる、

メイジと呼ばれる魔法使いを育てる学校施設で、今は行事の最中だと言う。

 

2年生への進級試験、「春の使い魔召喚」と言われる神聖な儀式らしく、タバサの召喚魔法「サモン・サーヴァント」によって召喚されたのが、

光牙と、後ろでキョロキョロと首を動かしている風竜らしい。

 

本来ならドラゴンやグリフォン等と言った幻獣を召喚するのだが、人間である光牙を召喚してしまうと言う異例に加え、

本来は1人のメイジに、1体の使い魔を召喚するのが普通だが、タバサは光牙と風竜の2体を召喚すると言う更なる異例を出してしまった。

 

そして召喚した限り例外だろうと契約をしないといけないらしく、契約まで終えて儀式の全てが終了する。

 

タバサはまだどっちとも契約はしておらず、契約しなければタバサは留年するらしい。

 

 

(あの子が言っていた「都合のいい形。」てのは、こう言う事か、誰かの召喚の儀式に紛れ込めば余計なトラブルを抑えられると考えたんだな、

説明を聞く限り俺の衣食住は彼女任せになるみたいだな、しょうがない此処は背に腹は変えられない、

あの子が言っていた災いについても情報を集めないといけないし、ここは契約に乗るか、それに・・・。)

 

「どうだろうか?彼女の使い「良いよ。」・・・へ?」

 

「契約するよ、元々天涯孤独の根無し草だ、誰も困らねえ。」

 

「・・・・いいの?」

 

「契約しないと君が困るんだろ?」

 

「・・・・・・・・。」

 

コク

 

「じゃあ決まり。」

 

「ありがとうコウガ君、ではミス・タバサ。」

 

「・・・・・座って・・。」

 

「ん?あぁ・・・。」

 

「我が名はタバサ・・・五つの力を司りしペンタゴンこの者に祝福を与え我の使い魔となせ・・・。」

 

 

タバサは「コントラクト・サーヴァント」の呪文を唱え、目を静かに閉じて光牙の顔へ自らの顔を近づけ、唇を重ねた。

 

 

「!!」

 

「・・・・はぁ・・。」

 

 

契約のキスを終え、タバサはコルベールに報告し、次に風竜との契約に向かった。

 

 

「お・・俺の・・は・・・はじ・・はじめ・・て・・・・・・ん!?」

 

 

光牙は突然のキスに精神がぶっ飛び、しばし放心状態となったが、突如として光牙を激痛が襲う。

 

 

「があっ!!ぐがあああああああああああああああああああ!?」

 

「あぁ・・・大丈夫だよ、使い魔の「ルーン」を刻んでいるだけだからすぐに収まるよ。」

 

(そういうのは先に言・・えっ?・・・・・・。)

 

ばた・・・・・

 

「ん?コウガ君?どうしたのかね!?」

 

「コウガ・・・・。」

 

 

光牙は突如精神を侵される感覚に襲われ、意識を失いその場に倒れた。

 

それを見てコルベールと、風竜との契約を終えたタバサが光牙に駆け寄った。

 

 

「ん・・・!!こっ・・此処は!?」

 

 

光牙が目を覚ますと、暗い森の中にいた。

 

ふと光牙は目の前の大木に触れ様としたが、手は大木をすり抜けてしまった。

 

 

「これは・・・一体?」

 

「きゃああああああああああああああああああああああああああああ!!」

 

「何だ!?」

 

 

突然の悲鳴に光牙は、悲鳴の聞こえた方へと走っていった。

 

しばらく走ると、そこには豪華な服装に身を包んだ杖を持った数人の男女と、みすぼらしい格好をした女性がいた。

 

女性は何やら赤く横たわっている物を必死に揺さぶっていた、それは血塗れの男の遺体だった。

 

女性は涙を流しながら、もう魂の宿っていない男の体を揺すり、周りの者達はそれをニヤニヤと笑いながら見下していた。

 

 

「お前たち何をやっているんだ!?」

 

 

光牙は女性を庇う形で前に出た、しかし・・・。

 

「フフフ・・・。」

 

「あなた!!あなたあああああああああああああ!!」

 

「何だ?俺に気付いていないのか?」

 

 

全員光牙の存在に気付いていない、いや自分達の間に誰も存在しないかの様に、動じることも無く、女性が悲痛な声を出し目の前の男に問いかけた。

 

 

「何故?何故です貴族様?私達は何もしておりません!!何も言っておりません!!なのに何故?」

 

「何故と申すか?わからぬのか?お前達が犯した罪を?」

 

「私達の・・・罪?」

 

「お前達はこともあろうことか我等ウェナーズ家行く道を先に歩いていた・・・伯爵である我の道をだ!!これがお前達の罪だ!!」

 

「そんな・・・・たったそれだけの事で?」

 

 

光牙は目の前の出来事、会話に絶句し、走っていた足を思わず止めてしまった。

 

 

「何だ?何なんだこれは?」

 

『光牙!!恐らくこれは何者かの記憶だ、我々は精神だけを何者かの精神世界に引き込まれ、この幻像を見せられているんだ。』

 

「記憶?」

 

『さっき木に触れなかったのも、此処が記憶の中だからだ、ここにある物、人物、全て触れる事も出来ない、君の姿を確認させる事も出来ない。』

 

「そんな・・・。」

 

「父上・・・。」

 

 

男の後ろから、立派な衣装を着た10代にも満たない少年が出てきた。

 

 

「どうしたんだ?」

 

「父上、僕にこの罪人の処分を任せていただけませんか?」

 

「何と!?」

 

「僕もウェナーズ家の気高い血を引く選ばれし者です。その一員として、我等の道を汚したこの罪人を許しては置けません!!

伯爵の息子として、国と神に選ばれた者の息子として、父上に示しましょう上に選ばれし者としての責務を!!」

 

「よく言ったそれでこそ我が子だ!!未来のトリステインを背負って立つ伯爵の子だ!!よろしいこの罪人の処分をお前に任せる。」

 

「はっ!!」

 

 

すると少年は懐から短い杖(ワンド)を取り出し、女性の目の前に立ち、何やら呪文の様な言葉を呟き、詠唱を始めた。

 

 

「お・・・お許しください・・お許しを・・・・。」

 

「・・・・・・・・・・・・・・。」

 

「!!やめろ!!」

 

 

光牙は少年の詠唱を止めようとするも。

 

 

「エアカッター!!」

 

すぅ・・・

 

ザシュ!!

 

ぶしゅうううううううううううううううううぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅ・・・・

 

「あああああああああああああああああああああああああああ!!」

 

 

少年が放った風の刃は光牙をすり抜け、何かが切り裂かれる音のした後、液体が噴出す音と悲痛な身を切り裂く様な悲鳴が聞こえた。

 

女性は右肩からばっさり切り裂かれ、血を噴出しながら這う様に逃げ様とした。

 

 

「しまった!!首を狙ったのに・・・・。」

 

「いや・・・それでよい、この罪人には、己の罪を身をもって知るべきなのだ、あっさり死なせては意味は無い、

罪の重さを幾重に身に刻みつけるのだ。」

 

「分かりました父上、エアカッター!!」

 

ザシュ

 

ザシュ

 

ザシュ

 

「あああああああああ!!くあっ!!がああああああああ!!あああああああああああああああああああ!!」

 

 

少年は風の刃を幾重にも放ち、女性の体を切り刻んでいった。

 

風の刃が女性に当たる度に、血は吹き出し、体の一部は切り落とされ、耳を塞ぎたくなる様な悲痛な叫びとも言える悲鳴を上げる。

 

その様子を少年とその父、周りにいる使いの者達も楽しそうに、嬉しそうに、喜びながら眺めていた。

 

そして、女性の悲鳴はしだいに弱まっていった。

 

光牙はそれを止める事も出来ず、只見ているしか出来なかった。

 

 

「くそっ!!何も出来ないのか?」

 

『落ち着け光牙!!これは言わば幻だ、そして既に起きた事だ、我々には・・・・如何する事も出来ん・・・・。』

 

 

レンスも光牙と同じく、何も出来ない事を悔やみ、やり切れない声で光牙を宥める。

 

 

「だけど・・・だけど・・・・・。」

 

 

光牙は悔しさのあまり、自分の無力さに嘆き、怒り、涙を流した。

 

そして・・・・。

 

 

「あ・・・な・・た・・・・・。」

 

ばた・・・・

 

 

夫の遺体に覆い被さる様な形で、女性は息絶えた。

 

 

「よくやったぞ我が子よ!!」

 

「おめでとうございます。」

 

「立派でした。」

 

「お褒めに預かり光栄です父上。」

 

 

父は人の命を奪った息子を褒め、周りの側近達もそれを称え、少年はそれを喜んだ。

 

そして側近達は、夫婦の遺体に炎の魔法を掛け、まるで祝いの花火の様に爆ぜ、それを見た貴族達は大いに喜び、

何事も無かった様に、その場を浮いた足取りで立ち去っていった。

 

 

「これが・・・この世界の・・・・。」

 

ズワッ

 

「何?」

 

『これは?』

 

 

突如森が消え、辺りは炎の様に赤い空間へと変わった。

 

 

「これは・・・・ぐわっ!?」

 

『光牙!?くっ!?こっ・・これは?』

 

 

光牙とレンスの脳裏に、ある映像が流れ込まれた。

 

それはこの世界、ハルケギニアで行われた、貴族達による身勝手な虐殺や強奪、そしてそれによって苦しむ人々の姿であった。

 

 

(あ・・頭がおかしくなりそうだ・・・・。)

 

『光牙・・・気をしっかりと保て・・・・・・。』

 

「うわああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!」

 

がばっ

 

「はぁ・・・はぁ・・はぁ・・・・こ・・ここは?」

 

 

光牙はベッドから起き上がり、周りを見渡した。

 

まるで学校の保健室の様な内装の部屋、その1つのベッドの上で光牙は大量の汗を流し、しばらくして気を落ち着かせた。

 

 

「今のは・・・・夢?」

 

『いや・・夢ではない、私も君と同じ物を見た。』

 

「レンス・・・・。」

 

『恐らく何者かが、我々の精神に直接あの幻影を見せたのだろう。』

 

「でも・・・誰が・・・。」

 

ガラッ

 

「・・・・やっと起きた。」

 

「タバサ・・・・。」

 

 

ドアが開かれ、そこからタバサが入ってきた。

 

タバサの後ろには、コルベールの他に、赤い髪で、赤い瞳、褐色の肌に抜群のスタイルの美女に、

桃色がかったブロンドの長髪、鳶色の瞳、タバサより少し背の高い、目はつり上がり機嫌の悪そうな顔だが美しい顔立ちの美少女がいた。

 

 

「大丈夫?」

 

「あぁ・・・もう大丈夫だ、心配してくれてありがとタバサ。」

 

ナデナデ・・・

 

「んっ・・・・。」

 

 

光牙はタバサの優しく頭を撫でた、幼い見た目からか、どうも子供扱いしてしまい、無意識に撫でてしまったが、

タバサも満更ではない感じで、大人しく撫でられていた。

 

 

「大丈夫かねコウガ君、いきなり倒れたのでびっくりしたよ。」

 

「・・・大丈夫ですコルベールさん、心配をお掛けしました。」

 

「ふ~ん・・・あなたがタバサの召喚した・・結構いい男じゃない。」

 

「まったく!!これだからゲルマニアの女は見境が無くて嫌なのよ!!たかが平民に色目なんか使って!!」

 

「そう言うあんただって、あんたの言うたかが平民を召喚したじゃないゼロのルイズ。」

 

「ぬぅあんですってえええええええええええええええええええええええええ!!」

 

「静かになさい、二人共!!すまないコウガ君、彼女達は君の主であるミス・タバサの級友で・・・。」

 

「キュルケ・アウグスタ・フレデリカ・フォン・アンハルツ・ツェルプストー、キュルケでいいわ、あなたの主、タバサの友人よ、よろしく。」

 

「フン!!トリステイン屈指の名門貴族であるヴァリエール公爵家の三女、ルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエールよ!!

平民の身で、私直々から名前を聞けた事を光栄に思い、代々に受け継ぐ栄光とすれば良いわ!!」

 

 

お世辞にも在るとは言えない胸を、ここぞとばかり張り、デカイ態度で名乗るルイズに、正直全員引いており、冷や汗を流した。

 

 

「あんた胸が無いからって、その分態度を大きくする必要ないんじゃない?」

 

「うっ・・・うぅうるっさいわね!!大きなお世話よツェルプストー!!態度がデカイは兎も角、胸が無いってどう言う事よ!!」

 

「そのまんまの意味よ!!魔法だけでなく、胸もゼロのルイズ!!」

 

「うがあああああああああ!!なんですってええええええええええええええ!!」

 

「いい加減にしなさい二人とも!!」

 

 

騒ぐ二人を、コルベールが強い口調で二人の喧嘩を止めに入った。

 

 

「・・・・彼女達は何時もああなの?」

 

「・・・・何時もの事。」

 

「大変だね・・・。」

 

「干渉しない方が得策。」

 

「うぅ・・・・うるさいなぁ・・・・・・。」

 

 

光牙の隣にあるベッドから、光牙と同じ黒髪の少年が出てきた。

 

少年は何故か体中に包帯を巻いており、ミイラ男状態であった。

 

 

「やっと起きたわね・・・サイト!!」

 

「ルイズ・・・。」

 

「君は?」

 

「おわっ!?お前やっと起きたのか?俺の名前は平賀才人。」

 

「・・・・円光牙。」

 

 

彼は光牙と違い、純粋にルイズに召喚され、契約(むりやりキスされ)し、ルイズの使い魔となった。

 

彼は契約後、此処が異世界だと気付き、その後「あんたと同じ変な格好をした平民をタバサが召喚した。」とルイズから聞かされ、

同じ世界から召喚された仲間がいると思い、光牙と話がしたかったらしいが、光牙は気を失っていて、話せる状態でない為、

光牙が目を覚ますのを楽しみにしていたのだった。

 

 

「光牙、お前も地球の・・・日本からこの世界に召喚されたのか?」

 

「あっ・・あぁ・・・・そうだけど・・・・。」

 

「そうか・・・・いぃ・・よっしゃあああああああああああああああ!!仲間が出来たあぁ・・いぃ・・痛てて・・・。」

 

「バカ犬!!せっかく治りかけた傷また開かすつもり?」

 

ボカン

 

「痛て!!お前も傷を開かせるつもりか!!」

 

「何よ文句あるの!?」

 

「・・・・・いえ・・・・ありません。」

 

 

ルイズの迫力の前に才人は、それ以上何も言えなくなった。

 

 

「フン!!あんたも異世界から来たなんておかしな事言うの?そんな事あるわけ無いじゃない!!」

 

 

ルイズは光牙達の異世界から来たと言う話を頭から否定、聞こうともしなかった。

 

光牙もそれ以上何かを言うのは得策ではないと思い、話題を変える事とした。

 

 

「はぁ・・・ところで、どうしたんだその大怪我?」

 

 

そう言い、才人の怪我について聞いた。

 

 

「彼の傷は・・・。」

 

 

タバサによれば、才人は召喚された翌日、ある生徒の二股がばれて、その2人の女性に振られ、その原因を作ったメイドに八つ当たりをし、

それを才人が庇い、才人を平民と罵り、プライドを傷付けられたと言い、決闘騒ぎにまで持ち込んだ。

 

その決闘を受けた才人は最初、相手の貴族が練成という魔法で作り出したゴーレムの力の前に成す術も無く、

骨は折れ、顔が腫れ上がるほど痛め付けられたが、相手の貴族が、余裕からか、剣を練成によって作り出して、

才人に使う様に言い、才人はその剣を手にした。

 

すると先程まで劣勢だった状況が一変、常人以上の速さと力で、ゴーレムを次々と倒し、ついに相手の貴族に勝利したのだ。

 

しかし決闘に勝利した後、それまでのダメージが一気に来たのか、その場に倒れ、3日程寝込んだと言うのだった。

 

 

「そんな事があったのか・・・ん?待てよ・・・タバサ・・俺は一体どの位寝ていたんだ?」

 

「今日で4日。」

 

「4日!!」

 

 

光牙は自分が4日も気を失っていた事に驚き、焦っていた。

 

直ぐにでも、あの少女が言っていた災いに関する事を調べたいと思っていたのだが、4日の寝ていた間に、

何かとんでもない事が起きたのではないかと、不安が襲った。

 

しかしその不安は的中した。

 

 

「たく!!さすが平民、のん気よね、あんたが寝ている間に大変な事が起きたって言うのに・・・。」

 

「大変な事?」

 

「トリステインの名のある伯爵の領地が何者かに襲われて、そこに住んでいる全ての人達が・・・死んだの・・・。」

 

「伯爵(まさか!!)。」

 

「「虐火(ぎゃくび)」の二つ名を持つウェナーズ伯爵の領地。」

 

「!!(ウェナーズ・・・。)」

 

 

ウェナーズ、それは光牙達が、精神世界で見た惨劇を起こした者達の名だった。

 

時間は遡り、光牙がハルケギニアに来て2日目の夜、ウェナーズ伯爵家領地にて。

 

 

「ジルよ、先日のお前の働き真に見事であった。」

 

「私も見たかったわ、我が子の晴れ姿を。」

 

「ありがとうございます父上、母上、でも僕は当然の事をしたまでです。」

 

 

一際大きな屋敷の一室で、先日我が子が起こした制裁という名の虐殺を、何所の家庭でもあるような団欒な風景で、楽しそうに話していた。

 

しかしその楽しい時間も時期に絶望へと変わるのであった。

 

 

ゴゴゴゴゴゴゴゴ

 

ずず・・ずずずずず・・・・

 

 

空には雷鳴が轟き、地面は徐々に盛り上がる。

 

すると空からは。

 

 

「ギュアアアアアアアアアアアアア!!」

 

 

緑色のラインの入った紫の体に、黒い翼、鋭く長い嘴と鎌を持った、鳥の様にも見える邪竜、「呪翼怪鳥竜・メバル」が現れた。

 

そして地面からは。

 

 

「ギャゴオオオオオオオオオオオン!!」

 

 

至る箇所に銀色の頑丈な甲殻の様な皮膚に覆われた筋肉質な黒い体に、異常に長い腕を持った怪獣、「呪剛怪腕獣・ゴルガ」が現れた。

 

2体は真っ直ぐウェナーズ伯爵家領地へと向かった。

 

まずメバルが空から口から紫色の火炎を屋敷の周りに向かって放ち、屋敷の周りは紫の炎に包まれた。

 

ゴルガは領地の固定化を掛けた頑丈な外壁を難なく破壊し、領地内へと侵入し、周りの建物を破壊しながら屋敷へと向かった。

 

 

「きゃああああああああああああ!!」

 

「化け物だあああああああああああああああああ!!」

 

「助けてええええええええええええ!!」

 

「坊や!!坊や!!何所にいるの?」

 

「退け!!そこを退け!!踏み潰されるぞ!!」

 

「嫌ああああああああああああああああああああああ!!」

 

 

領地の町は、ゴルガの侵入にパニックとなっていた。

 

屋敷でもこの騒ぎに気付き騒ぎになっていた。

 

 

「何事だ!?」

 

「領主様!!怪物です!!2匹の怪物が領内に・・・。」

 

ガシャアアアアアアアアアアアアアン!!

 

「「「ぎゃああああああああああああああああああああ!!」」」

 

「なっ・・何だ!?」

 

「これは!?」

 

「父上!!母上!!」

 

 

突如天井を破壊し巨大な足が現れ、家来もろ共踏み潰した。

 

 

ゴシャアアアアアアアアアアアアアアアン!!

 

「「「!?」」」

 

「ギュアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!」

 

 

伯爵達のいる部屋の天井がほぼ全体が一瞬で吹き飛び、破壊された穴からメバルが顔を覗かせた。

 

 

「あっ・・あぁ・・・・・。」

 

 

伯爵の子ジルは、メバルの巨体に恐怖し、逃げ出す事が・・・いや逃げる事すら考えられなかった。

 

 

「おのれ化け物!!」

 

「我が領地に土足で入り込むとは身の程知らずめ!!神に選ばれし我が力思い知るがいい!!」

 

「「フレイム・ウインドウ!!」」

 

 

伯爵とその婦人は、「火」「火」「風」のトライアングルスペル、灼熱の風「フレイム・ウインドウ」をメバルの顔に向かって放った。

 

二つのフレイム・ウインドウは1つとなり、巨大な炎の竜巻となり、メバルの顔に直撃した。

 

直撃した事に安心したのか、2人は余裕の笑みで、フンと鼻で笑った。

 

 

「さすがです父上!!母上!!」

 

「ジル情けないぞ!!伯爵の息子がこの様な事で腰を抜かなどと!!」

 

「ジル、よいですか?如何なる時も高貴に振舞うそれが伯爵であり、貴族・・メイジなのですよ、それを肝に「ぐぅぅ・・・。」なっ!!」

 

 

煙が晴れると、そこには無傷のメバルの顔があった。

 

 

「ぎゅああああああああああああああああああああああ!!」

 

「馬鹿な!!くそっ!!」

 

 

伯爵と婦人は驚愕しながらも次々と魔法を放つが、メバルには傷1つ、火傷1つ付くことは無く、次第に恐怖の表情へと変わっていった。

 

メバルは口を開き紫の炎を婦人に向かって放った。

 

 

「ぎゃあああああああああああああああああああああああ!!」

 

「あっ・・・あぁ・・・・・・・。」

 

「母上!!」

 

 

伯爵婦人は忽ち紫の炎に包まれ、悶え苦しみながら倒れ、尚も這う様に伯爵へと這い、手を伸ばす。

 

 

「あ・・・な・・た・・・・・・・・。」

 

 

その声は先程の気品漂う声ではなく、喉が焼け牛蛙の様な声となっていた。

 

それを伯爵は。

 

 

「ひぃ!!来るな!!寄るな!!触るなあああああああああああああああああああ!!」

 

「父上!?」

 

 

炎に焼かれ苦しむ自分の妻の手を払い、風の魔法で吹き飛ばした。

 

 

「あ・・・な・・・・た・・な・・ぜ・・・・・・・・・?」

 

 

そして伯爵婦人は息絶えた。

 

 

「はぁ・・はぁ・・・はっ!!」

 

「ギュアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!」

 

「ひっ・・ひひ・・ひゃはあああああああああああああああああああ!!」

 

 

伯爵は見っとも無い声を上げ、その場から逃げ出そうとした。

 

幼い我が子を置いて。

 

 

「ちっ・・・父上!!私も一緒に!!」

 

「五月蝿い黙れ!!お前は偉大なる父が生き残る為に、その命を賭けてその化け物を相手しろ!!」

 

「そっ・・そんな父上・・・何で?」

 

「その消し炭やお前の代わり等、伯爵である私が一声でも掛ければ直ぐにできるわ、私はこの国に必要なのだ!!

お前みたいな役立たずはせめて、私が生きる為の生贄とでもなっとれ!!」

 

 

そう言い放ち、動けない我が子を置き去りにし、出口へと転びながらも向かう伯爵、その顔は恐怖に歪み、姿にはもう気品や優雅さなど無い、

醜く薄汚い本性を丸出しにして走る、醜い外道であった。

 

出口に手が届きそうになり、笑みを零す伯爵であったが・・・・。

 

 

ドカアアアアアアアアアアアアアアアアアアン!!

 

「ぎゃあああああああああああああああああああああああ!!」

 

ブチ!!

 

 

壁の向こうから伸びた巨大な腕に伯爵は潰された。

 

壁の向こうにはゴルガが腕を伸ばす姿があった、その黒い目に怒りや憎しみを宿して。

 

 

「あっ・・・あぁ・・・・あああああああああああああああああああああああ!!」

 

ズシン・・・ズシン・・・ズシン・・・・・

 

 

ジルは今2体の怪獣に挟まれて奇声を上げ震えていた。

 

メバルがジルに顔を近づける。

 

 

「来るな!!来るな!!来るな来るな来るな来るな来るな来るな来るな来るな来るな来るな来るな来るな来るな来るな来るな来るな来るな来るな来るな来るなあああああああああああああああああああああああああああ!!」

 

 

ジルは叫びながら、メイジの証である杖を振り回し、風の魔法を乱射した。

 

しかしそんな物はいつまでも続くわけでもなく、すぐに精神力が底を尽き、何もかもがなくなった。

 

メバルはその様子を只見ているだけであった、その目にゴルガと同じく怒りや憎しみを宿し。

 

そしてメバルは嘴と腕の鎌でジルを弄び始めた。

 

嘴で突き、鎌の刃の部分で転がす、どれも力を抜いてはいるが、怪獣がどんなに力を抜いても、人間の子供には凄まじ過ぎる力に違いは無かった。

 

 

「ガフッ!!や・・め・・・があ!!ゲブ!!ゲハッ!!ギヒッ!!グブ!!」

 

 

ジルがどんなにこの地獄が終わるのを願っても、メバルはやめない。

 

腸が飛び出そうが、目が潰れ様が、骨が折れそうが、それでもメバルはジルが死なない程度に弄りそして・・・。

 

 

ガシッ!!

 

ブウゥゥン!!

 

「うわあああああああああああああああああああああああああああああああああ!!」

 

 

メバルは嘴でジルを銜え、空へと放り投げ、口内に紫の炎を溜め始めた。

 

ゴルガも額にエネルギーを集中させ始め、メバルと共に空中のジルへと狙いを定め、同時に放った。

 

 

「ひっ!!」

 

ザシャウゥン!!

 

「ぎゃああああああああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁ・・・・・・・・・・!!」

 

 

メバルの炎、ゴルガの光線を同時に受け、断末魔の叫びを上げ恐怖を絶望を抱きながらジルは完全にこの世から消滅した。

 

 

「ギュシャアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!」

 

「グゴガアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!」

 

 

2体は同時に空に向かって雄叫びを上げた、その雄叫びには微かに歓喜の感情が含まれていた。

 

その後2体は破壊の限りを尽くし、領内の全ての人々の命を奪い、ウェナーズ伯爵家領地はたった数分壊滅し、

嘗て領地であった廃墟から消えていった。

 

次の獲物の元へ行く為に・・・。

 

ウェナーズ伯爵家領地が襲撃され、そして今。

 

 

(俺達が見た、ウェナーズが引き起こした虐殺と、気を失っている間に起きたウェナーズ伯爵家領地の崩壊、あまりにもタイミングがよすぎる、

何かの前触れか?)

 

「・・・コウガ、どうしたの?」

 

「ん?あぁ・・・何でもない、気にしないで。」

 

「・・・・・・・。」

 

「ところでコウガ君、君の持っていたそれ、鞄みたいなんだが、何が入っているんだい?どうやっても開ける事が出来ないんだ、

不思議とアンロックを掛けても開ける事は出来ないし、ディテクト・マジックを使っても、詳しく中を探ることが出来ないんだ。」

 

 

コルベールはそう言って、ベッドの下に置いてあるケース、玲奈から貰ったケースを指差した。

 

ケースには複雑で特殊な電子ロックが掛かっており、その為アンロックですら解く事が出来なかったのだ、

中を探れなかったのは、ケース自体にも特殊な細工が施されており、ディテクト・マジックが中身まで届かなかったのだ。

 

気を失っている間にケースを開けようとした事を聞いた光牙は、ジト目でコルベールを見た。

 

 

「なっ・・何だい?」

 

「いや・・・他人の物を、本人の許可無く開け様としたんだと思って・・・。」

 

「あっ!!いや・・それは「平民の持ち物を貴族が如何こうし様が勝手じゃない!!あんた平民の分際で貴族にそんな事言っていいと思ってるの?」、

ミス・ヴァリエール!!そんな事を言う物ではありません!!これは貴族以前に、人としての最低限のマナーをしなかった、私自身の非です!!

あなたが如何こう言っていい事ではありません!!」

 

「・・・・・・はい・・・。」

 

 

ルイズは納得していない表情で、渋々返事をした。

 

その後、コルベールは光牙に対し謝罪し、ケースに関しては、触れない事にした。

 

すると才人は光牙のケースを食入る様に見つめ、ケースに書かれた字を声にした。

 

 

「TPC?それに・・ガッ・・ツか?光牙このTPCとGUTSって何だ?」

 

(GUTSを知らない?こいつ・・まさか同じ地球じゃなく、違う世界の地球から召喚されたのか?)

 

「怪獣防衛隊、GUYS(ガイズ)・・・とは違うのか?」

 

「(GUTSと似た組織があるのか?何とか話を合わせるか・・・下手に行動した時に怪しまれる可能性があるな・・・。)

いやっその・・・。」

 

 

光牙が口を開こうとした時、またしてもルイズが横から。

 

 

「あんた達!!いつまでもグチグチ話なんてしないで、行くわよサイト!!」

 

グイ

 

「痛て!!痛てて・・・何所にだよ!?」

 

「もう怪我は殆ど治ったんでしょ?だから部屋に戻るの!!ほら来なさい!!」

 

「ちょ!!お前最初に言ってた事と、今やってる事と矛盾してるぞ!!」

 

「うるさいうるさいうるさああああああああああああああああい!!サッサと行くわよ!!」

 

「まっ・・・あああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」

 

ズルズルズルズル・・・・

 

 

そして才人はルイズに耳を引っ張られながら、医務室から出て行った。

 

 

「・・・・・何か不安になってきたわ、あの子あのまま彼殺す気じゃないかしら?ちょっと一緒に行って殺さない様に見とくわ・・・。」

 

「得策・・・。」

 

「生徒から殺人犯を出したくは無い、頼みます、ミス・キュルケ。」

 

「じゃあねタバサ、コウガ今度ゆっくり使い間を交えてお話しましょ。」

 

 

そしてキュルケはルイズの後を追い、医務室を出て行き、医務室は光牙、タバサ、コルベールの3人だけとなった。

 

 

「そうだコウガ君、使い魔のルーンを見せてくれないかね?」

 

「使い魔のルーン?・・あぁそういえば言ってましたね。」

 

 

光牙はルーンが刻まれる時、特に痛みが激しかった箇所を見た。

 

レザーフィンガーグローブを外し、両手の甲を見ると、左右とも違う見た事の無い文字らしきルーンが刻まれていた。

 

服を脱ぎ、胸を見ると、ティガの胸の「プロテクター」を思わせる様なラインが背中まで刻まれ、胸の真ん中にカラータイマーに似た模様が刻まれていた。

 

そして額には、ティガの額にあるティガクリスタルに酷似した菱形の模様が刻まれていた。

 

光牙の体の計4箇所にルーンが刻まれていた。

 

 

「ルーンが四つも!?これは又珍しい・・・同じ人間のサイト君でも左手の一箇所だと言うのに、コウガ君は四つ・・・スケッチしてもよろしいかね?」

 

「えぇ・・・構いませんが(このルーン明らかにティガを思わせるような形だ・・・それにこの手の甲に刻まれたルーン・・・。)。」

 

 

光牙には両手のルーンが何と書かれているか、不思議と理解できたのだった。

 

左のルーンは「闇」、右のルーンは「光」と刻まれ、嘗てと今のティガを表す単語が刻まれていた。

 

 

(どこまで行っても・・・闇は俺達自身に纏わり付くのか・・・。)

 

「コウガ君ありがとうもう構わないよ。」

 

「コウガ、行こ・・・。」

 

「んっ?あぁ・・・うっ!?」

 

キイイィィン・・・

 

 

突如光牙の脳裏に音が響き渡り、ある力を感じ取った、その力とは・・・・。

 

 

(この感じは・・・まさか!!)

 

「コウガ?どうしたの?」

 

「早く此処から逃げろ!!」

 

「!?」

 

「きゅ・・急に如何したんだねコウガ君?それに「逃げろ。」とは一体?」

 

「早く他の人達に避難する様伝えて此処から逃げるんだ!!早くしないと・・・・遅かったか・・・。」

 

ズズズズズズズズズズ!!

 

「何!?」

 

「地震か!?」

 

「違う・・・・。」

 

「「?」」

 

「・・・・・来た!!」

 

 

その異変に先に気付いたのは、光牙だけでは無く、トリステイン魔法学院を警備する衛兵達もであった。

 

 

「何だあれは!?」

 

「どうした!?」

 

 

1人の衛兵が指差す先には、地面が大きく盛り上がり、その中からゴルガが現れた。

 

 

「ゴガアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!」

 

「かっ・・かか・・・・怪物だ!!」

 

「おい!!空を見ろ!!」

 

 

衛兵達がゴルガに驚き戸惑う中、1人の衛兵が空を見る様言うと、空からはメバルが学院を目指し、真っ直ぐ降下してくるメバルの姿があった。

 

 

「ギュアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!」

 

「怪物がもう一体現れた!!」

 

「こっ・・ここ・・・こっちに突っ込んでくるぞ!!」

 

 

そう、光牙が感じたのは、この2体の力、「邪心融合体」の力だったのだ。

 

メバルは衛兵達の頭上を通り過ぎたが、通り過ぎた時に突風が発生し、衛兵達は吹き飛ばされ、地面に叩き付けられた。

 

メバルは学院の中庭に降り立ち、学院を攻撃し始めた。

 

 

ズズーーン・・・・・

 

「ギュアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!」

 

「なっ・・・何ですかあの巨大なドラゴンは!?」

 

「・・・・大きい50メイル以上はある・・・・。」

 

「・・・・・・・メバル!!」

 

「えっ?」

 

「それに・・・・。」

 

 

光牙はメバルから視線を反らし、学院の外壁を見た、すると・・・。

 

 

ドガアアアアアアアアアアアアアアアアアアン!!

 

「ゴガアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!」

 

「なっ!?固定化を掛けた頑丈な外壁があっけなく!!」

 

「ゴルガまで・・・・・・ん?あれは!?」

 

 

ゴルガはメバルと共に学院を攻撃し始め、学院に働いている使用人達が逃げていた。

 

しかしその2体に挑もうとする者達が、学園や寮から出てきた。

 

それは勝てる見込みがあるから挑むのではなく、相手と自分のとの実力差も分からない、無能者達による、

魔法の力に慢心し、貴族としての愚かで微塵にも劣るが、彼等には全てで偉大と言ってもいいプライドによって引き起きた、

恐竜とミジンコの戦いであった。

 

しかし、誰もが自分の負けは無い、勝ち誇った顔をしていた、なぜなら自分には神より授かった魔法があるから、

神により選ばれた、優れた人種、メイジなのだからと、言わんばかりの顔を、男性女性関係無く、教師や生徒、その場にいる全員が、

自分の勝利を確信した顔をしていた。

 

 

「我等貴族のいるこの学院を襲うなど、これだから獣は嫌いだ。」

 

「そう言う意味なら、平民の方が髪の毛一本分でもましと言う事でしょう。」

 

「だが衛兵達がもっとしっかりしていれば、この不届きな獣達の侵入を許す事も無かったのに、これだから平民は使えん。」

 

「所詮は平民、私達選ばれし人間の皮を被った家畜に過ぎませんわ。」

 

「皆、僕等の力も分からない愚かな獣達に、僕等貴族の力を見せてやろうじゃないか!!」

 

「そうだそうだ!!」

 

「身の程をわきまえなさい!!」

 

「「「「「「「「「「放てええええええええええええええええええええ!!」」」」」」」」」」

 

 

教師と生徒達は、各々得意な攻撃魔法をゴルガとメルバに放った。

 

 

ズガガガガーーーーーーーーーーーーーーーーン!!

 

「どうだ!!」

 

「我等が選ばれし者達の力思い知ったか!!」

 

「皆!!僕等の勝利だ!!」

 

「「「「「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!」」」」」

 

 

魔法が命中した事で、勝利を確信し、歓喜の声を上げる、しかし・・・。

 

 

「グガガ・・・ガガ・・・・・。」

 

「ギ・・ギギギ・・・・・。」

 

「「「「「「「「「「!?」」」」」」」」」」

 

「ゴガアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!」

 

「ギュアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!」

 

「何!?」

 

「そんな馬鹿な!?」

 

「まっ・・・魔法が効かない!?」

 

「うわあああああああああああああああああああああああ!!」

 

「きゃあああああああああああああああああああああああ!!」

 

 

黒煙が晴れ、無傷のゴルガとメバルが現れ、先程とは打って変わって、全員が初めて目の前の怪獣に恐怖した。

 

そして自分達を睨む2体を前に、腰を抜かす者、恐怖に煽られ狂った様に魔法を乱射する者と別れた。

 

 

「なっ・・・何と言う事だ!!あの2体に魔法は効かないのか!?」

 

「恐ろしい・・・なんて恐ろしく、圧倒的な存在・・・・。」

 

 

医務室でその様子を見ていたタバサとコルベールもゴルガとメバルに恐怖していた。

 

しかし・・・。

 

 

「効かないのは、単に威力が足りないから、木の枝で岩を叩き割ろうとするのと同じです。」

 

「コウガ・・・?」

 

 

光牙はケースのロックを解除し、ケースの中から、ガンベルトを取り出し腰に巻き、GUTSハイパーガンとカートリッジをガンベルトに差し込み、

候補生用の「GUTS」と書かれたバッチを胸に付け、タバサの方を向く。

 

 

「俺があいつ等の気を引く、その間にタバサとコルベールさんはあの人達と残っている人達を安全な所まで避難させて下さい。」

 

「コウガ君!!何を言ってるんだね?そんな銃1つで何が出来るんだい?あの怪物にはメイジが総出で攻撃して傷1つ付けられなかったんだよ!!」

 

「危険・・・行っては駄目!!」

 

 

タバサも珍しく、恐らくコルベールやキュルケでも見た事が無いほどに声を荒げて、光牙に静止を求める。

 

しかし、光牙はタバサに近づき、優しく微笑み、タバサの目線に合わす様屈み、タバサの頭を撫でながら言った。

 

 

「それでも行くよ、命の危険にある人達を見捨てては置けないから、人々を怪獣の魔の手から救う、それが俺自身の誓いにして、GUTS隊員の使命だ!!」

 

「ガッ・・・・ツ・・・・・・。」

 

「・・・・まだ候補生になったばかりだけどね、でも必ず生きて帰ってくる。」

 

 

そう言い残し、光牙は医務室を後にした。

 

 

「ガッツ・・・・・・コウガ。」

 

 

誰も居ない廊下を走りながら光牙はレンスと話していた。

 

 

「何でこの世界に邪心融合体が居るんだよ!?」

 

『奴等は生命の邪な心や魂が実体化した存在、どの世界だろうと、どの惑星だろうと、生命が存在するのなら、

奴等が存在していてもおかしくは無い。』

 

「通りで俺達が呼ばれるわけだ!!」

 

 

そして光牙はゴルガとメバルの2体の元に走るのだった。

 

場所は少し変わり、学院長室には白髪と白髭を伸ばした老人と、緑色の髪に眼鏡を掛けた女性が居た。

 

老人は皆に「オールド・オスマン」と呼ばれる学院長、女性はその秘書「ロングビル」、2人は学院の被害と避難状況について話していた。

 

 

「この際学院の被害は後回しじゃ、生徒達と使用人達の避難はどれほど完了しとる?」

 

「それが避難を告げる様に全教師達に報告したのですが、「敵に背を向けるなど貴族の恥。」と称し、殆どの教師があの2体に挑みに行きました。」

 

「何じゃと!?」

 

「それを後押しする様に、生徒達も教師達に続き、・・・・・あの様な状態に。」

 

 

ロングビルは視線を窓の外に向け、オスマンも外の様子を見る。

 

そこには、勇ましく怪物達に挑む戦士達の姿ではなく、腰を抜かし、逃げ惑い、半狂乱と化し魔法を乱射する、無様で惨めな者達の姿があった。

 

 

「瓦礫に遮られ、怪我をして逃げられない生徒や使用人達がまだ、学院内や寮内にも多数いるもようで、避難は殆ど出来ていません・・・。」

 

「何と言うことじゃ・・・・貴族の傲慢と慢心が、この様な結果になるとは・・・・。」

 

 

オスマンは頭を抱え嘆いた。

 

 

「オールド・オスマン・・・・・・。」

 

「ワシの責任じゃ、貴族としての、教師達の心理を見抜けず、お主だけに事を任せてしまったワシの責任じゃ・・・。」

 

「いえっ!!それを言うのであれば、止められなかった私にも責任が!!」

 

「・・・・・・今思えば、先日のウェナーズ伯爵家領地の崩壊は、あの2体が引き起こしたのかもしれないのぉ・・・・。」

 

 

オスマンは完全に脱力し、椅子に身を任せ、輝きが失せた目で窓の外を見た。

 

窓の外では、ゴルガが1人の生徒を踏み潰そうとしていた。

 

しかしその時・・・。

 

 

バシューーーン

 

ドカーーーーーン!!

 

「がああぁぁ!?」

 

ズシーーーーン!!

 

 

一筋の光がゴルガの顔に当たり、当たった箇所は爆発し、片足を上げていた事もあり、その衝撃でゴルガはそのまま倒れこけた。

 

 

「何じゃ!?今の光は!?」

 

 

オスマンは光が放たれた方を見ると。

 

 

バシュンバシュン

 

「こっちだ!!」

 

バシュンバシュン

 

 

GUTSハイパーガンを構え、レーザーをゴルガとメバルに向って放つ、光牙の姿があった。

 

ゴルガとメバルは、視線をメイジ達から光牙へと移し、光牙に向っていった。

 

 

「何じゃ!?あの少年は?」

 

「彼は確か・・・ミス・タバサが召喚した平民の少年、コントラクト・サーヴァントの最中に気を失い、眠っていた筈ですが・・・。」

 

「彼は一体・・・・ん?あれはミス・タバサに・・・。」

 

「ミスタ・コルベール・・・何を?」

 

 

タバサとコルベールは混乱している教師と生徒達の元に駆けつけ、正気に戻し、避難する様強く告げた。

 

 

「ミスタ・ギトーしっかりして下さい、早く生徒達を避難させないと!!」

 

「はっ!!ミスタ・コルベール!?」

 

「ミスタ・ギトー、ミス・タバサと協力して生徒達を避難させてください!!他の先生方を正気に戻したら私も応援します!!」

 

「あっ・・・あぁ・・・・わかっ・・・た。」

 

「レビテーション!!」

 

「うわっ!?」

 

「きゃ!?」

 

 

タバサはレビテーションを唱え、生徒達を浮かび上がらせ、強制的に安全な所まで避難させた。

 

しかし、1人では一度に運べる人数と回数に限界があり、コルベールは混乱している教師達を正気に戻し、

タバサの援護に回る様に伝えた。

 

 

「ミスタ・コルベール!!」

 

「オールド・オスマンにミス・ロングビルご無事でしたか!!」

 

 

オスマンとロングビルも応援に駆けつけ、協力して教師達を正気に戻して行き、正気に戻った教師達の援護もあって、

タバサの負担も減り、中庭にいた生徒達は次々と安全な所まで運び込まれ、ついに全員の避難が完了した。

 

 

「よし!!次は学院内と寮内、あの怪物達により破壊された場所へ行き、動け無い者、逃げ遅れた者達の救助に回るのじゃ!!」

 

「おっ・・オールド・オスマン正気ですか?あの怪物達がまだいるのに、他の者の救助など出来るわけがありません!!」

 

「そうです我々だけでも逃げましょう!!」

 

 

ゴルガとメバルに完全に恐怖を覚えた教師達は、口々に「逃げよう。」と言い、救助に行こうとしなかった。

 

そのあまりにも不甲斐ない教師達にオスマンは・・・。

 

 

「カーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーッツ!!」

 

「「「「「!?」」」」」

 

 

教師達に向って渇を入れた。

 

 

「お主達には見えんのか?お主達メイジが恐怖した怪物にたった一人で、自ら囮になり、今でも懸命にあの怪物2体を相手にしている、

あの少年の姿が!!」

 

 

今でも光牙は1人、ゴルガとメバルを相手に、GUTSハイパーガン1つで挑み、2体の気を自分のみに集中させていた。

 

光牙はどんなに危険な目にあっても、どれ程ゴルガ達の光線に吹き飛ばされ様とも、何度でも立ち上がり、

学院内にいる、全員が避難を終えるまでの時間を稼ぐのだった。

 

 

「あの少年はお主達が常日頃、無能だと言っておる、魔法が使えない平民じゃ!!だが彼は1人であの怪物に挑み、

結果お主達は助かった!!彼があの怪物の気を自分に引き付けたからじゃ!!それでも貴族か!!本来なら守るべき平民に、

お主等は命を救われたのじゃ!!その恩人の意を無駄にするなど・・・何が貴族じゃ!!」

 

 

オスマンの言葉に誰もが何も言えないでいた、言い返せる言葉が無かったのだ、そして惨めであった、

日々無能と罵っていた、平民のしかも少年に命を救われたと言う事に・・・。

 

 

「・・・・彼は言った・・・・。」

 

「ミス・タバサ?」

 

「命の危険にある人達を見捨てては置けない、人々を怪獣の魔の手から救う、それが俺自身の誓いだと・・・・。」

 

「・・・・・・・・・・・・。」

 

「・・・・・・・・・・・・。」

 

「・・・・・・私は・・・学院の方へ向います。」

 

「では、私は寮へ・・・。」

 

「私も・・・。」

 

「皆の衆・・・・・ありがとう。」

 

 

教師達は其々、学院と寮へと逃げ遅れた者達の救助に向かった。

 

 

「ミス・タバサ・・・彼は君の使い魔だったかの?」

 

コク

 

「では、彼の援護に向ってくれぬか?君のもう1体の使い魔ならきっと彼の力になるであろう。」

 

コク

 

ぴいいいぃぃぃぃぃぃぃ!!

 

「きゅ~~~~~~~~い!!」

 

 

タバサが口笛を吹くと、彼女のもう1体の使い魔の風竜が現れた、名は「シルフィード」ハルケギニアにおける風の妖精の名を意味する。

 

タバサはシルフィードに跨り、光牙の元へと飛んだ。

 

 

「おねえさま・・・本当にあそこに行くの?」

 

「彼を助ける・・・。」

 

「でもでも・・・あの大きいの怖いのね!!気味が悪いのね!!」

 

 

上空でシルフィードは人語でタバサと会話を始めた。

 

シルフィードの正体は風韻竜の幼生。

 

韻竜とは知性を持つドラゴン(普通の竜は賢くはあるが人間には到底及ばない)で、肉体的には普通の竜と差はないが、

高い知性を持ち、人間の言葉を喋り、高度な先住魔法すら操ると言われ、人間の世界では絶滅したと思われている珍しいドラゴン。

 

絶滅したと言われるゆえ、正体が知られると面倒な為、普段は一般種の風竜として人語を解さないふりをしている。

 

本名は「イルククゥ(同族間での名前で意味は「そよ風」)」。

 

シルフィードはゴルガ達から感じる怨念の様な禍々しいオーラに恐怖し、近付くのを嫌がった。

 

 

「・・・・お願い・・彼を助けるのに力を貸して・・・。」

 

「・・・・・おねえさまにそこまで言われたら・・・・・断れないのね!!」

 

 

シルフィードは意をけして、光牙がいる方へと飛んだ。

 

 

「くそ・・・・さすがにこれ以上はきついな・・・・。」

 

 

光牙は壁に追いやられ、完全に逃げ場を失っていた。

 

ゴルガとメバルは、止めを刺さんと、ゴルガは額に、メバルは口内に、エネルギーを溜めた。

 

 

「くっ・・・もうこれしかないか・・・。」

 

 

光牙は懐に手を伸ばそうとしたその時。

 

 

「コウガ!!」

 

「タバサ!?」

 

シュッ

 

ドシューーーーーーーーーーーーーーン!!

 

 

攻撃が当たる寸前、光牙はシルフィードの足に掴まり、ゴルガ達の光線を回避した。

 

光牙はよじ登り、シルフィードの背中へとやって来た。

 

 

「タバサありがとう。」

 

「お礼はこの子に言って、怖い思いを我慢してあなたを助けに来た。」

 

「あぁ・・・ありがとう・・えっと・・・。」

 

「シルフィードなのね!!」

 

「そうかありがと、シルフィードおおおおおおおおおおおおお!!ドラゴンが喋った!?」

 

「きゅい!!しまったのね!!御免なさいなのね、怒らないでほしいの、ねおねえさま!!」

 

「彼はあなたと同じ私の使い魔、別に構わない。」

 

「ふぅ・・・よかったのね・・・改めて、シルフィードなのね、よろしくなのね。」

 

「光牙だ、よろしくシルフィード。」

 

「きゅいきゅい!!よろしくなのねコウガ。」

 

「ゴアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!」

 

「キュアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!」

 

 

空を飛ぶシルフィードを、後方からゴルガとメルバが追いかけて来た。

 

 

「きゅい!!来たのね!!逃げるのね!!」

 

 

シルフィードは全力で逃げようとするが、空に関してはメバルの方が一枚も二枚も上で、ドラゴンの中でも最速を誇る風竜をも遥かに上回る速度で追い抜き、

シルフィードの前で止まった。

 

 

「きゅい!!早すぎるのね!!」

 

「あの大きさでなんて速さ・・・。」

 

「地上にいるゴルガに密着する様に飛ぶんだ!!」

 

 

光牙の提案にタバサとシルフィードは驚き、シルフィードは首を激しく横に振り、嫌がった。

 

 

「やなのねやなのね!!嫌なのね!!そんな事したら捕まるのね!!」

 

「あいつは手が長い分、近づかれたら攻撃が届かなくなる、それに加えてお前のスピードなら大丈夫だ!!」

 

「・・・・名案、今はそれしかない。」

 

「う~・・・もう分かったのね!!その代わり、生きて帰れたら美味しいお肉と魚いっぱい食べさせるのね!!」

 

コク

 

「約束。」

 

 

シルフィードは、ゴルガに向って降下し、密着する形でゴルガの周りを飛んだ。

 

光牙の狙い通り、光線は発射できず、腕による攻撃もシルフィードのスピードによって何とか回避できた。

 

そこにメバルもやって来て、シルフィードに炎を当てようとするが、光牙の指示するタイミングで紙一重で避け、

炎はゴルガに命中した。

 

メバルの炎に焼かれ怒ったゴルガは、メバルに光線を当て、それにより怒ったメバルはゴルガに飛び掛り、

2体は争い始めた。

 

 

「これでしばらくは大丈夫かな?」

 

「危なかったのね、怖かったのね、でも生きてるのね!!」

 

「頑張った、ありがとう。」

 

「きゅい!!おねえさまに、褒められたのね!!褒められたのね!!嬉しいのね!!る~る~る~!!」

 

「避難も殆ど完了しているみたいだし、今は倒す事よりも、生き残る方が先決だ、生きていれば今後の対策も取れる。」

 

「うん・・・。」

 

 

光牙とタバサはひとまず安心し、避難の状況を確認していた時。

 

 

ドカーーーーーーーーーーーーーーン!!

 

「なっ!?何だ!?」

 

「今の爆発・・・・まさか!?」

 

 

突如ゴルガの背中が爆発し、ゴルガの背には傷1つ付かなかったが、爆発は尚も続き、それまで争っていた2体は争うのを止め、

辺りを見渡していた。

 

タバサはその爆発の正体が何なのか予想ができ、中庭を見ると、そこにはタバサが予想していた通りの、桃色の髪の小柄な少女が、

何かを叫びながら、杖をブンブンと振り回していた。

 

 

「ルイズ・・・。」

 

「あいつ何やってんだ!?」

 

「彼女は魔法を発動させると何故か必ず爆発させてしまう、魔法成功率はゼロ、故に周りからは「ゼロ」の二つ名で呼ばれている。」

 

「じゃあ・・・今の爆発もあいつが・・・いけない!!あいつ等ルイズに気付いたぞ!!」

 

 

一方地上では、魔法を唱え爆発を起こしているルイズの元に、才人とキュルケが遅れてやって来た。

 

 

「ルイズ何やってんだよ!?早く逃げるぞ!!」

 

「嫌よ!!貴族の学び舎を攻撃されて、黙っていられる訳無いでしょ!!ファイヤーボール!!」

 

ドカーーーーーーーーーーーーーーーン!!

 

「あなた1人でどうにかなると思っているの!?殆どの教師や生徒達が一斉に攻撃して、傷1つ付かなかった相手を1人で倒せると思っているの!?」

 

「あいつ等には人間1人だけの力じゃ通用しないんだ!!俺の故郷でも、特殊な組織の人達が、力と知恵を合わせて、

何とか倒す事が出来るか出来ないかの存在・・・怪獣なんだ!!」

 

「そんなの関係ない!!あいつ等を倒せばもう誰も私の事をゼロだなんて言わない、皆に認めさせてやるんだから!!

私は立派な貴族!!メイジである事を!!」

 

ドカーーーーーーーーーーーーーーーン!!

 

 

だがその願い虚しく、ゴルガ達には傷1つ付ける事も出来ず、ルイズの精神力は底を尽き、爆発も起きなくなった。

 

 

「何でよ・・・?何でなのよ!?何で倒せないのよ!?」

 

「ゴアアアアアアアアアアアアアアアア!!」

 

「ひっ!!」

 

 

ルイズは恐怖に駆られ、腰を抜かして動けなくなった。

 

3人のもとに2体が迫って来て、キュルケは胸元から杖を取り出す。

 

無駄だとは分かってはいたが、逃げる時間稼ぎにはと、得意の火系統の魔法を放つ。

 

キュルケの魔法が当たるも、2体を止まらせる事すら叶わず、キュルケは恐怖に支配され、動けなくなった。

 

ゴルガが腕を大きく振りかざし、才人達へと振り下ろそうとした。

 

誰もが死を予兆した、その時。

 

 

バシューーン!!

 

ドカーーーーーーーーーーーーーン

 

「ゴオアアアアアアアアアアアアア!?」

 

「フリーズ・スモーク!!」

 

さあああああああぁぁぁぁぁぁぁ

 

 

光牙がゴルガの振り下ろした手にレーザーを当て、怯んだ隙に、タバサが冷気の煙「風」「水」のラインスペル「フリーズ・スモーク」を唱えた。

 

冷気の煙はゴルガとメバルに纏わり付き、散そうとしても、魔力の宿った煙は直ぐに纏わり付いてくる、

そして冷気によって、体の動きが少しずつではあるが、鈍くなっていくのであった。

 

 

「タバサ!!」

 

「光牙!!」

 

「今の内に早く逃げろ!!」

 

「よっ・・・・余計な事しないで!!」

 

「何?」

 

「あいつ等は私が倒すの!!トリステインの公爵家が三女、ルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエールが!!」

 

「ルイズ!!あなたいい加減にしなさい!!」

 

「うるさいうるさいうるさい!!私は貴族よ!!メイジなのよ!!敵の背を向けないのが貴族でありメイジなのよ!!」

 

「・・・・・・・・・・・・。」

 

 

タバサは無言でルイズを睨み、シルフィードから降りて、ルイズに歩み寄った。

 

その表情には明らかに怒りがこもっており、そして・・・。

 

 

パシーーーーーーーーーン!!

 

「えっ・・・・・・!?」

 

「タバサ・・・・!?」

 

「・・・・・・・・・・・。」

 

 

タバサはルイズの頬を叩き、乾いた音が光牙達を包んだ。

 

それにキュルケが特に驚き、あまりもの衝撃にしばし呆然とした。

 

そして叩かれたルイズはと言うと・・・。

 

 

「なっ・・・何するのよ!?」

 

 

タバサに激しい怒りを向けた。

 

しかしタバサはルイズを睨み。

 

 

「あなたは・・・貴族なんかじゃない・・・。」

 

「なっ・・・・何ですって?」

 

「貴族は上に立ち、人を導く者・・・・あなたは、あなた自身の身勝手な理由やプライドで他の人達を命の危険に追いやった、

その時点であなたは・・・・貴族じゃない!!」

 

「うぐっ・・・・・。」

 

「タバサ・・・・・。」

 

 

ルイズはタバサの強く思いの篭った言葉に、何も言えなくなった。

 

光牙はその時のタバサが、どこか悲しんでいる様に感じた。

 

 

ドカーーーーーーーーーーーーーン

 

「何!?」

 

「うわあああああああああ!!」

 

「きゃあ!?」

 

「くっぅぅ・・・・・!!」

 

 

ゴルガとメバルは、互いの光線を衝突させ、その衝撃で冷気の煙は完全に晴れ、光牙達も吹き飛ばされ、壁に強く打ち付けられた。

 

 

「うぅ・・・あっ・・足が・・・・。」

 

「ルイズ!!クソッ・・・。」

 

その時ルイズは足を痛め、立ち上がれなくなり、才人がルイズに駆け寄り、抱かかえて逃げようとするが、

才人も痛みによってうまく動けなかった。

 

 

「才人!!」

 

 

そんな才人に、光牙はGUTSハイパーガンを投げ渡し、才人が受け取ると、左手のルーンが光り輝いた。

 

 

「光牙・・・これは!?何だ、痛みが消えた?体が軽い・・・まるであの時の様な!!」

 

「早くそいつを連れて逃げろ!!」

 

「分かった!!」

 

 

才人はルイズを抱え、先程とはまるで違う、素早い動きでその場を離れた。

 

 

(やはり武器を持ったら身体能力が上がるのか・・・あのルーンの効果か?)

 

「シル・・フィード・・・キュルケを・・・お願い・・。」

 

「きゅ・・・・いぃ・・・・。」

 

ばさ・・ばさ・・・・・

 

「ありがとう・・・・シル・・フィ・・・ド。」

 

 

シルフィードはキュルケを抱えその場を離れた。

 

 

「ゴガアアアアアアアアアアアアアアアア!!」

 

ガラガラガラ・・・・・!!

 

「はっ!!」

 

 

ゴルガは外壁を破壊し、その瓦礫がタバサを目掛け落下してきた。

 

 

(私は・・・死ぬの?あの男に復讐する事も出来ず・・・母さまを救う事も出来ないで・・・ごめんなさい・・母さま・・・父さま・・・・。)

 

 

タバサは静かに目を閉じ、涙を流した。

 

だが・・・。

 

 

ドンッ!!

 

「えっ・・・・・?」

 

 

タバサは誰かに強く押される感覚に思わず目を開け、先程自分がいた場所を見ると。

 

 

「タバサ!!」

 

「コ・・ウ・・・ガ?」

 

 

光牙が自分を押し出したのだと分かり、自分は瓦礫が落下から逃れられたが。

 

 

「ぐっ!!」

 

ガラガラガラガラガラ!!

 

「コウガ!!」

 

 

光牙は瓦礫に埋もれてしまった。

 

そして瓦礫の中で光牙はレンスとある事を話していた。

 

 

『あの2体が現れ、君が埋もれていると、初めて会った時の事を思い出す。』

 

「あの時と違ってお前も埋もれているけどな。」

 

 

一年半前、光牙は登山で、日本のある山に来ていた。

 

そこで現代で初めて表れた邪心融合体のゴルガとメバルに襲われ、光牙は地面の亀裂に落ちてしまった。

 

ゴルガとメバルの目的は嘗ての天敵、「光の巨人」、「ティガの石像」の破壊だった。

 

ゴルガとメバルは石像のある光のピラミッドを見つけ出し破壊、ティガの石像をも破壊した。

 

その時光牙は亀裂の底で、土砂に埋もれ目を覚ました。

 

光牙の目の前には、超古代の遺跡があった。

 

そして遺跡の祭壇らしき所に奉られた、神器らしき物から声が聞こえた。

 

 

『待っておったぞ、我と同じ血を継ぐ者よ。』

 

「誰だ!?」

 

『我は嘗てティガと呼ばれた者の意思。』

 

「ティガ?」

 

 

そして光牙は超古代の戦いを聞いた、邪心融合体の存在、光の巨人と呼ばれる超古代の戦士達の長きに渡る闇との戦いを、

そしてその邪心融合体が現代に蘇った事を。

 

 

『我の嘗ての体は既に奴等に破壊された、だが汝が我を手にするなら、我が体の欠片と融合し、完全な巨人となるだろう。』

 

「俺が・・・光の巨人に?」

 

『我を手にするか?しないか?それは汝が決めよ・・・。』

 

「・・・・・俺は・・俺の様な人間をこれ以上出したくない、そう誓いGUTSを目指し生きてきた、

無力と嘆く人々に希望を与え、命の危機に瀕した人々を助ける為に!!その力で救えるのなら、希望を与えられるのなら、

俺は手にする!!例え人間を捨てる事となっても、心は人間であり続けてみせる!!」

 

『・・・汝は人間だ・・真に強い心の人間だ・・・そして今から人であり、光となる、我は汝を光の伝承者と認め、我が力と名を授ける!!』

 

 

そして神器・スパークレンスは、眩い光を放ち、光牙の手へと渡った。

 

 

『汝名は?』

 

「円光牙!!」

 

『光牙よ、これから君は嘗て我が使った力と名を受け継ぐ、それは長く険しい蛇の道だ、その覚悟はあるな?』

 

「あぁ・・・俺は俺の出来る事をする、今俺がすべき事は、お前と共にあいつ等から人々を・・・命を救う事だ!!その覚悟はある!!」

 

『その覚悟に嘘偽りは無い!!今こそ復活の時だ!!新たなる伝承者、光の超人、ウルトラマンティガ!!』

 

「ティガーーーーーーーーーーー!!」

 

ピキュイイイイイイイイイイン

 

 

光牙はスパークレンスを翳し、巨人の名を叫びスパークレンスを起動させ、スパークレンスから激しくそして暖かな光が溢れた。

 

地上のゴルガとメバルが破壊した、ティガの石像の欠片が光だし、1つに集まり、光の中から超古代の光の戦士、ウルトラマンティガが現れ、

永い時を超え、現代に蘇った。

 

 

「デェア!!」

 

 

これが光牙とレンスとの初めての出会い、そして初めてウルトラマンティガになった時であった。

 

 

「懐かしいな・・・だけど・・今はそんな暇はないか。」

 

『ウム・・・行くぞ光牙!!』

 

 

光牙が懐に手を上そうとすると、タバサと契約した後、自分の精神が侵された時と同じ感覚に襲われた。

 

目を開けると、光牙はある空間の中にいた、そして目の前には彼をハルケギニアへと導いた少女がいた。

 

 

「君は・・・あの時ウェナーズが起こした惨劇の幻影と、様々な惨劇のイメージを見せたのは君か?」

 

「あれは私の記憶・・・・あなたが眠っている間に起きた出来事、そしてこの星の人間が引き起こしてきた真実・・・。」

 

『君の記憶?まさか君の正体は!!』

 

「・・・・私は「星の声」と呼ばれる、この星の意思。」

 

「星の声?」

 

『君も分かっているが全ての物に命がある、もちろん星自体にもだ、そして命があるからこそ意思もある。』

 

「光の人よ・・・貴方方に選択を与えます。」

 

「選択?」

 

「今なら貴方方を元の世界に戻す事が出来ます、帰りますか?残りますか?」

 

「『!?』」

 

 

光牙とレンスは驚愕した。

 

世界を救ってほしいと、自分達に頼んだ本人から、元の世界に戻るかと聞かれたのであるから当然ではある。

 

その時、光牙はハルケギニアに来る前の事を思い出した。

 

どのような世界かと聞いた時、彼女は「見極めて下さい。」と言った事を。

 

 

「貴方方も知っての通り、この世界に人間は貴族と平民、魔法を使う者と使えぬ者に別れています。」

 

 

少女はどこか悲しそうな顔で、語りだす。

 

 

「その所為で、4000年もの間、数多くの悲劇が繰り返され、その為に4000年間に無から、あの闇の存在がこの世界に現れた。」

 

『4000年!?たった4000年で奴等は現れたのか!?』

 

「それにあいつ等、俺達が以前倒したのと比べると、明らかに強くなってやがる。」

 

 

地球でも惨劇等と言った悲劇は数多く行われてきた、それでも邪心融合体の復活には3000万年の長い月日が掛かった、

嘗てレンスがティガとして戦った時の邪心融合体も、人類が誕生する数億年前からの月日で溜まった怨念が実体化した物であった。

 

それをたったの4000年で奴等は現れ、それに地球で現れた個体よりも強いとなっている。

 

それほど強い恨みや怨念がこの世界には渦巻いているのだった。

 

 

「貴方方も分かっている筈です・・・この世界の人間達の醜さを・・・・。」

 

「・・・・・・確かに人は醜い・・・争いは絶えず、自分の欲を満たす為なんでもする生き物だ・・・。」

 

「・・・・・では・・・。」

 

「でも俺はそんな人類に絶望なんかしてない!!この世界の人達にもだ!!」

 

「!?」

 

『私も光牙と同じだ、私達が人を守るのは、今は愚かでも、いずれ希望となる事を信じているからだ!!人には・・・命にはその可能性がある!!』

 

「それにこの世界の貴族にも良い奴はいる・・・俺の主とかな。」

 

 

タバサの事であった。

 

 

「でもそれは偽りの契約・・・そのルーンも本来の契約時のルーンとは違い私が与え、彼女の魔力によって浮かんだ物。」

 

「俺はこの眼で見た物を信じる・・・あの子は他の貴族と違い、痛みや苦しみを知っている、そして優しい子だと、俺は信じる!!」

 

『私もだ、彼女は信じるに値する子だ。』

 

 

そして光牙は懐からスパークレンスを取り出し、前に出す。

 

 

「俺達はこの世界を救う!!まだ少ない希望の火種を守る為に!!」

 

『我々は守ってみせる!!我々が守った火種が輝く未来を創造する事を信じて!!』

 

「・・・・・・・・・・・。」

 

「『俺達(我々)は戦う!!この世界の、盾無き者の盾となり!!牙無き者の牙となりて、滅びの闇から全ての命を守り、希望の光で世界を照らす!!』」

 

 

そして光牙はスパークレンスを構え、天に振りかざしスパークレンスを起動させた。

 

 

「ティガーーーーーーーーーーーー!!」

 

ピキュイイイイイイイイイイン

 

 

光牙はスパークレンスから放たれる光に包まれた。

 

その間際見えた少女の顔は、微笑みながら呟いた。

 

「あ・り・が・と・う。」

 

 

舞台は戻り、トリステイン魔法学院。

 

タバサの前にゴルガとメバルが立塞がっていた。

 

 

「タバサ逃げて!!」

 

「ミス・タバサ早く逃げるんだ!!」

 

 

キュルケやオスマンがタバサに逃げる様叫んでいるが、タバサは動かない。

 

タバサは逃げないのではなく、逃げられないのだ。

 

彼女の後ろには光牙が埋もれたままの瓦礫の山があった。

 

 

「コウガは死なせない・・・。」

 

光牙を守る為、タバサは杖を構え、ゴルガとメバルの2大怪獣の前に立つ。

 

 

「くそっ!!こんな時に彼等が来てくれたら・・・。」

 

「ダーリン!!あいつ等を相手に出来る人を知ってるの!?」

 

「・・・あぁ・・・でもいない・・・この世界には・・・救世主は・・・光は・・・・。」

 

「光?」

 

「ゴガアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!」

 

「ギュアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!」

 

「ミス・タバサ!!」

 

「あぁ・・・タバサ!!」

 

 

タバサにゴルガとメバルの魔の手が迫り、タバサも杖を持つ手に力を込めるも、今度こそ死を予感した。

 

その時・・・。

 

 

キュイイイイイイイイン!!

 

「!?」

 

ズシャアアアアアアアアン!!

 

「ゴア!!」

 

「ギュエ!?」

 

「何じゃあの光は!?」

 

「あれは・・・あの光は・・・。」

 

 

突如現れた巨大な白い光に、タバサは包まれ、光が飛び立つと同時に、タバサの姿はその場から消えた。

 

振り下ろした腕と鎌は、地面に突き刺さり、メルバとゴルガは驚き、光の軌道を目で追った。

 

光はゴルガとメバルから離れた場所に降り、光は徐々に人の様な形に構成されていった。

 

 

「あっ・・・あれは・・・まさか・・・・・。」

 

 

才人は驚愕しながらもどこか歓喜の篭った目で光を見つめた。

 

 

「んっ・・・・・。」

 

 

タバサは光の中で目が覚め、周りを見ると自分は巨大な手の上にいる事が分かり、見上げるとそこには、

額に結晶を埋め込み、乳白色に輝く目を持つ、巨大な銀色の顔があった。

 

 

「はっ!?」

 

 

タバサも最初は驚きはしたが、どこかその瞳からは優しさが伝わり、恐怖は感じなかった。

 

 

「あなたが助けてくれたの?」

 

 

巨人はユックリと頷き、それを見たタバサは無意識に微笑んで。

 

 

「・・・・ありがとう。」

 

 

巨人に感謝の言葉を告げた。

 

 

「きゅ~~~~い!!きゅ~~~~~い!!」

 

「シルフィード?」

 

 

光の周りをシルフィードが主人であるタバサの安否を気遣い飛び回っていた。

 

徐々に光は巨人の中へと入っていき、その全貌を徐々に現していく。

 

巨人はタバサが乗っている方の手をシルフィードの方へと伸ばし、シルフィードにタバサを託す。

 

 

「シルフィード・・・・心配掛けて・・・ごめん。」

 

「きゅいきゅいきゅい!!」

 

 

シルフィードはタバサが無事だった事に大いに喜び、巨人を見た、まるで神を崇める様に見詰め、感謝の意を込める形で、

両手を祈りを挙げる様に合わせ、目を閉じてユックリと頭を垂れ、その場を離れた。

 

シルフィードは今までに無いほど喜んでおり、タバサはその訳を聞いた。

 

 

「どうしたの?」

 

「きゅいきゅい!!おねえさま、もう安心なのね!!あのお方は、どんな精霊よりも高貴で、神様に近いお方なのね!!

だからあんな気味の悪い怪物達なんて怖くないのね!!」

 

 

タバサは巨人のいる方を振り向き、呟く。

 

 

「神様・・・。」

 

 

そして光は収まり、赤・青紫・銀の3色が主体の体の巨人はユックリと立ち上がり、左手を上に曲げ、右手を天に突き出す形で立ち上がった。

 

 

「デュア!!」

 

 

タバサはキュルケ達のいる場所へと降り、降りた途端キュルケに抱きつかれた。

 

 

「タバサ!!心配したんだから!!本当に心配したんだから!!」

 

 

キュルケの瞳にはうっすらと涙が溜まっていた、タバサは嬉しかった、自分をこれほどまでに心配してくれる友達の存在が。

 

 

「でもあの巨人は何なの?」

 

「・・・・分からない・・・。」

 

「ウルトラマンだ・・・。」

 

「ウルトラマン?」

 

「あぁ・・・あの姿、胸のカラータイマー・・・間違いない!!あれは・・・俺達の故郷をずっと守って来てくれた、

正義のヒーロー・・・。」

 

 

才人は涙を流して喜んだ。

 

彼の世界の地球では、彼が生まれるずっと以前から怪獣や宇宙人の脅威にさらされていた。

 

その脅威を幾度となく救ってきた存在、地球では知らない者はいない、不滅のヒーロー、その名も。

 

 

「ウルトラマン!!」

 

「デェア!!」

 

「ウルトラマン・・・・。」

 

 

超古代の光の戦士、地球の救世主ウルトラマンティガは今、異世界ハルケギニアにその姿を現した。

 

今、異世界から舞い降りた光と、異世界の闇との戦いが始まった。

 

 

To be Continued

 

 




明日のこの時間頃に続きを投稿します。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。