ウルトラマンティガ―THE PARALLEL WAR―   作:龍気

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宇宙忍者・バルタン星人
登場




『侵略者を撃て!!・出現編』

 

「ハアハア・・・・・。」

 

ザッザッザッ・・・・

 

「ハアハア・・・・ハアハア・・・。」

 

ザッザッザッ・・・・

 

 

草木も寝静まる、真夜中のトリステイン王都トリスタニアにて、1人の中年位の男が、何かから逃げる様に、

恐怖に顔を歪め、走っていた。

 

皆さんはこの男、貴族を覚えているでしょうか?

 

前回の話の最後の方で、金を払えと言われ、その店に火を放ちそれを笑い合っていた2人組みの貴族の1人です。

 

貴族=メイジ、魔法使いである彼が何から逃げているのだろうか?

 

 

「ハアハア・・・何故だ?何故魔法が効かない!?・・・あの・・あの虫みたいな亜人は何だ!?」

 

「フォッフォッフォッフォッ・・・・・。」

 

「はっ!!ひいいぃぃ・・・・!!」

 

 

男は逃げた、ただ只管に逃げた。

 

男を追う足音は次第に近づいて来る、それに連れて男の恐怖は上がっていくのだった。

 

すると・・・。

 

 

「ハアハア・・・ハア?」

 

 

突然として足音は聞こえなくなり、男は疑問に思うも、同時に安心するのであった。

 

 

「はぁ・・・・・フンッ・・あの亜人め私にこんな醜態を晒しおって・・・次にあったら私の魔法で・・・。」

 

「見せてもらおう・・・。」

 

「何!?」

 

 

男が振り向くと、目の前には黄色く光る丸い目があった。

 

 

「うわあああああああ!!」

 

「・・・・地球人と同じ構造で、地球人に無い力を使う民・・・・実験動物としてはぴったりだ・・・。」

 

「あっ・・・・あ・・あああぁ・・・。」

 

 

それは男に歩み寄り・・・そして。

 

 

「ああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!」

 

 

夜のトリスタニアに男の叫びが響き渡り、夜は更けていった。

 

翌朝、トリステイン魔法学院にて。

 

 

「あんたの銃を渡しなさい!!」

 

「・・・・・・・はい?」

 

 

ルイズは突如として光牙に、腰に挿してあるGUTSハイパーガンを寄越す様に言って来た。

 

 

「いいから早く寄越しなさいよ!!」

 

(このピンク頭は何を言ってるんだ?髪だけでなく中身まで常にピンクですか?・・・と言うかなんでこんな事になってるんだ?)

 

 

光牙は今朝、起きた時からの行動を振り返った。

 

今朝は日頃の習慣から来る、早朝・・・地球の時間なら5時頃からの起床、眠っていたタバサ・・・シャルロットには悪いが、

起きてもらい朝の挨拶を済ませ、日課である筋トレをしてくると言い部屋を出る、この時シャルロットは再び眠りに付いた、

そして誰も居ない学院の中庭で筋トレと空手の型を2時間程した後、シャルロットを起こしに部屋に戻る為移動、

そしてシャルロットの部屋の前でルイズと遭遇、光牙の姿を見るなり先程の一言を放ち今に至る。

 

 

(・・・・うん、この様な状況になる要素は1つたりとも無い。)

 

「何黙ってんのよ!?早く寄越しなさい!!」

 

「・・・・・理由を聞かせてくれないか?」

 

「良いわよ、私の使い魔のサイトが、あんたの銃を持った途端に強くなったの。」

 

(そう言えばそうだったな・・・才人はルーンの効果で武器を持つと身体能力が上がってたな。)

 

「それに加えて、あんたの銃は、このトリステインどころか、ハルケギニア中を探しても見つからない、

連射が出来て、尚且つ強力な光を放つ、正しく私!!の使い魔が持つに相応しい銃よ!!」

 

 

何故か「私」の部分を強調し、銃を欲する理由を話す。

 

 

「さあ言ったわよ、早く渡しなさい。」

 

「断る。」

 

 

ルイズの要求に即答で答える光牙、もちろんそれを聞いて黙る・・・まず黙ると言う事を知っているかどうか疑問だが、

黙っているはずが無かった。

 

 

「何でよ!?」

 

「当たり前だ!!そんな理由で渡せるか!!」

 

「私は貴族よ!!貴族の言う事を聞きなさい!!」

 

「関係ないわ!!第一子供に銃を渡せるわけがないだろうが!!」

 

「私は16だからもう大人よ!!」

 

「嘘!?」

 

「そこ一番驚くの!?」

 

 

そんな騒いでいる2人の下に、1人の人物が、異臭悪臭を放ちながら近づいてきた。

 

 

「光牙にルイズ・・・何やってんだよ?」

 

「さい・・・・臭っ!?」

 

「何なのよサイト?・・・・この臭い・・・。」

 

 

それは才人であった。

 

何故彼がこんな臭いを放っているかと言うと。

 

 

「昨晩コルベール先生の所で寝たんだけど・・・その部屋が物凄い臭いで・・・一晩で服だけじゃなくて、体にまで臭いが染み込んじゃったよ・・・。」

 

 

昨晩シャルロットに言われ、コルベールの部屋に行って訳を話したら、コルベールはすんなりと泊めてくれた。

 

しかしコルベールの部屋は、彼自身の趣味の研究の産物等で、部屋はかなり汚れていた、別に彼が片付けが下手でダラシナイ男と言う訳でない、

ただもう部屋に臭いが染み込んで、手の施しようが無いのだ。

 

そんな部屋に一晩泊まれば、臭いが染み付いてもおかしくは無い。

 

 

「ところで2人は何してるんだよ?」

 

「お前の主人が、俺のハイパーガンを寄越せってしつこいんだよ・・・。」

 

「何だって!?ルイズ!!何でまたそんな事?」

 

 

光牙の言葉に驚き、才人はルイズに事の成り行きを問いだした。

 

 

「何よ?あんたに遣る為にやってんのよ?」

 

「俺に?」

 

「それよりあんたその臭い何とかしなさいよ?」

 

「昨晩お前が、部屋から出て行けって言うからだろ?」

 

「しょうがないじゃない!!ツェルプストーと同じ部屋にあんたなんか居たら、あの女に何されるか分かったもんじゃないわ!!」

 

「別に、俺が誰に何されようとお前には関係ないだろ?」

 

「ツェルプストーには小鳥だろうと、領内の小石だろうと、使い魔だろうが取られたくないのよ!!」

 

「何でそうムキになるんだよ?」

 

「まずあの女はトリステインの人間じゃないの!!隣国ゲルマニアの貴族よ!!それだけでも許せないわ!!

私はゲルマニアが大嫌いなの!!」

 

「知るかよそんな事。」

 

「右に同じ。」

 

 

キュルケの出身国、帝政ゲルマニアは、トリステインの北東に位地する広大な国で面積はトリステインの10倍程、

もとは都市国家だったが、周辺地域を併呑して版図を広げ、貴族が利害関係の上で寄り集まって国ができたという経緯上、

皇帝に対する忠誠心はあまり高くなく、また皇家が始祖ブリミルの血を引いていない為に、ハルケギニアの他国の王よりも格下に見られている。

 

社会風習や政治制度も他国とは一線を画しており、メイジではない平民でも金があれば領地を買い取って貴族になることができ、

この事から他国に「野蛮」と言われ、これが最もルイズがゲルマニアを嫌う理由であった。

 

また恋愛に関しては積極的にアプローチするのが当然という気風があり、慎み深いとされるトリステイン人にとっては、

それがしばしば「ゲルマニア人は好色で多情」と思われる原因になっている。

 

ルイズからゲルマニアに関する説明を聞き、光牙は素直な意見を述べた。

 

 

「気風に関してはなんとも言えないが、良い国じゃないか、金を払えば貴族になるって事は、努力すればそれだけ認められるって事だろ?

それの何処が野蛮なんだ?」

 

「あんた何言ってんのよ!?貴族とは神に選ばれた神聖な存在なのよ!!その名誉をお金で買うなんて野蛮以外の何者でもないじゃないのよ!!」

 

(神聖な存在ねえ・・・あんな事を平然とする奴等を神聖と呼ぶなら、俺の世界の犯罪者達全員も神聖な存在だよ。)

 

 

光牙は口には出さなかったが、前日星の声に見せられた、ウェナーズ伯爵の息子が遣らかした惨殺行為を思い出しながら、

ルイズに聞こえない様に、溜息をついた。

 

そしてルイズは、聞いても無いのに、彼女の実家ヴァリエール家と、キュルケの実家ツェルプストー家との長きに渡る因縁を語りだした。

 

両家の領地は、トリステインと、キュルケの出身国ゲルマニアとの国境沿いに位置しており、戦争の度にお互いの領地が真っ先と殺し合いとなってきた。

 

それだけ聞けば、確かに両家との間には、只ならぬ因縁と言う物がある。

 

それは光牙と才人も感じた。

 

しかし、次のルイズの言葉で、それも下らない物へと変わった。

 

 

「それだけじゃないわ!!キュルケのひいひいひいおじいさんのツェルプストーは、私のひいひいひいおじいさんの恋人を奪ったのよ!!」

 

「「・・・はっ?」」

 

 

両家との争い話より、自分のひいひいひいおじいさんが恋人を奪われた事の話に、何故か力を入れ話すルイズに、

光牙と才人の2人は、揃えて頭上に?マークを浮かべた。

 

 

「・・・・・ちなみに・・・それは何年前の話なんだ?」

 

「今から200年前よ!!」

 

((古!?))

 

「それからと言う物、あのツェルプストーの一族は、散々ヴァリエールの名を辱しめたわ!!」

 

 

それからと言う物、やれひいひいおじいさんは、キュルケのひいひいおじいさんに婚約者を奪われただの。

 

ひいおじいさんのサフラン・ド・ヴァリエールは、キュルケのひいおじいさんの、マクシミリ・フォン・ツェルプストーか、

彼の弟デゥーディッセ男爵のどちらかに奥さんを取られた等と。

 

最初に比べるとシリアスさに欠ける両家の昔話を、力一杯大声で力説するルイズであった。

 

それは、大声で辺りの人達に、自分の家系は代々、キュルケの家系の者達に恋人を奪われまくっている恥ずかしい家系であると言いふらしている物なのだが、

力説するあまり、それに気付かないルイズ。

 

そしてそれを聞かされている、光牙と才人は、それに気付いているので、苦笑いしながらルイズの話を聞いた。

 

すると背後から突如。

 

 

ゴン!!

 

「いぎゃ!?」

 

「・・・うるさい。」

 

 

寝間着姿で寝惚け眼にいつもの様に無表情ながらも、明らかに不機嫌さが篭った顔のシャルロット・・・いやルイズと才人が居るのでタバサが、

ルイズの頭部に杖でボカンと一叩きして立っていた。

 

ちなみに光牙は、2人の時や他にシルフィードが居る時意外、周りに人が居る時はタバサで呼ぶ様にと約束されていた。

 

 

「タバサ!!」

 

「いった~~い!!何すんのよタバサ!?」

 

「昨日の騒ぎで疲れてまだ寝ている生徒達が居る、迷惑行為。」

 

「でもいきなり叩く事ないでしょ!!」

 

((それしかないよな、こいつを止めるには。))

 

 

光牙と才人は同時に頷き、目を合わせた。

 

そんな光牙にタバサは近づいてきた。

 

 

「何の騒ぎ?」

 

「いや・・・ルイズが・・・おっ!!」

 

 

光牙は何か閃いたか、ニヤッとし、タバサを見て、テレパシーを送った。

 

 

「?」

 

『シャルロット話を合わせて。』

 

『・・・・・うん。』

 

「なあルイズ。」

 

「何よ?」

 

 

ルイズは不機嫌に答えるが、光牙は余裕の表情で質問をする。

 

 

「ルイズ、使い魔というのは、いわば主人であるメイジの所有物だよな?」

 

「そうよ。」

 

「つまり、その使い魔の身に付けている物も、才人の着ている服とかも、主人であるお前の物とも言えるよな?」

 

「・・・・・そうなるわね。」

 

「じゃあ俺のこの銃も、俺の物だけど、俺の主人であるタバサの物でもあるって事だよな?」

 

「・・・・あっ!!」

 

 

ルイズは光牙が何を言いたいか理解し、タバサを見た。

 

 

「タバサ、彼女は俺の銃を渡せと言っているんだけど、どうする?」

 

「駄目、それはコウガに必要な物。」

 

「分かった、と言う事だ、例え君がどれだけ偉い貴族の人間でも、俺の主人はタバサだ、彼女の発言を何よりも優先する、

残念だけど諦めてくれ。」

 

「何よ!!私は公爵家の三女よ!!」

 

「関係無い、それを言うのなら君の使い魔である才人も、君よりも位の高い貴族の命令を、君の指示無しで聞いても良い事になるけど、

そんな事例作ってもいいの?」

 

「うぐっ・・・。」

 

(まぁ・・・もっともシャルロット自身も、国は違えども元は王族、今は騎士団にいるが爵位を持っているから、

ルイズよりは上である事には違いないんだけどね。)

 

「それにあなた自身は爵位を持っていない、いわば同列、あなたに命令されそれに従う義理は無い。」

 

「ぐぐぐ・・・。」

 

 

光牙とタバサの言葉に、次第に追い詰められ何も発する事が出来なくなっていくルイズに、才人がルイズに声をかける。

 

 

「なあ・・・ルイズ、俺に渡そうとしてやってくれているのは嬉しいんだけど、俺は要らないよ。」

 

「なっ・・何でよ!?」

 

「だって俺銃の扱い方なんて知らないだぞ、あの時だって、タバサの放った魔法のおかげで当たったようなもんだったし。」

 

「それにあの銃は特別製でな、手入れの仕方は俺しか知らない。」

 

「それにどっちかって言うと剣の方が良いな。」

 

「剣の経験でもあるのか?」

 

「無いけど、あれならまだ体全体を使うから、俺の性に合ってるんだ。」

 

「成程、俺は剣道やってるから、教えてやれん事は無い。」

 

「本当?じゃあ頼むよ。」

 

 

2人は約束を交わし、握手をした後、光牙はハイパーガンを手にルイズの方を見た。

 

 

「と言う事だ、才人もこう言っている事だし、こいつは諦めてくれ。」

 

「ううぅ・・・分かったわよ!!剣を買えばいいんでしょ!?剣を!!サイト!!今から剣を買いに行くから準備するわよ!!

馬を取りに行くからあんたは川に行ってその臭いを何とかしてきなさい!!」

 

 

そう言い残し、ルイズは早足にその場から去って行った。

 

その後を追う様に才人も、光牙達に謝罪のジェスチャーをした後、ルイズの後ろに付いて行く。

 

 

「ごめんな。」

 

「何が?」

 

「いや・・・こんな事に巻き込んだ上に、使い魔としての立場を利用したから・・・。」

 

「いい・・・気にしてない、それにあの場合そうするしかなかった。」

 

「・・・ありがとう。」

 

 

シャルロットは着替える為に部屋に戻り、少し後に光牙が部屋に入り、ベッドにタバサが腰掛けていたので、

光牙は椅子に腰掛けた。

 

朝食までまだ時間がある、と言うよりは、今学院の食堂はまともに使えず、使える食材もそんなに無い状態なので、

時間になったら、部屋にいる生徒達のみ、学院が雇ったメイドが持ってくる事となっていた。

 

そして当然、学院の修復の為授業も無いので、2~3日程休みである。

 

なのでシャルロットは、この期に光牙に使い魔の役割や、魔法、そしてハルケギニアに関する事を説明しようとしていた。

 

そしてそれから1時間位経った後、一先ず使い魔に役割やルーンについての説明を終えた。

 

光牙のルーンは特別で、星の声が与えた物で、シャルロットとの契約時の魔力によって浮かび上がった物だと説明した。

 

その為に光牙のルーンはどの書物にも載っておらず、どのような効果を秘めているのかも不明であった。

 

2人がそんな話をしていると、部屋の扉を叩く音がした。

 

音からして、朝食を持ってきたメイドではない事は分かった。

 

するといきなり扉が開き、キュルケが入ってきた。

 

 

「タバサ!!今から出かけるわよ!!早く支度してちょうだい!!」

 

 

そう言いながら、キュルケはタバサの肩を掴みガクガクと揺らした。

 

それでもタバサはいつもの無表情で。

 

 

「理由。」

 

 

短く質問をする。

 

何でもルイズが才人を連れて、馬に乗って何処かへ出掛けたらしく、それを追いかけるのに、タバサのシルフィードで追いかけてほしいのだと言うのであった。

 

 

「そう言えば剣を買いに行くとか言ってたな。」

 

「おそらくトリスタニアに行った。」

 

「じゃあ急ぎましょ!!あぁ~~ん・・・私ダーリンがギーシュを倒した時からもう夢中なのよ・・・あの姿勇ましく、

まるでイーヴァルディの勇者の様だったわ!!」

 

ピクッ

 

「・・・・・・。」

 

「タバサ?どうしたの?」

 

 

タバサはキュルケの「イーヴァルディの勇者」の単語に反応し、光牙をじっと見詰める。

 

 

(・・・・キュルケに知られたらいけないかも。)

 

 

タバサはそんな事を思っていた。

 

普段から惚れ易いキュルケの事だ、もし光牙の正体がウルトラマンティガだと知れば、光牙に猛烈で熱烈なアプローチをしかねない。

 

 

「・・・・・・。」

 

 

そしてタバサは、自分とキュルケの体を見比べた。

 

幼児体系なタバサに対し、キュルケはいかにも男が好きそうな、女性の理想的なスタイルであった。

 

 

「・・・・はぁ・・・。」

 

 

知っていた事ではあったが、やはりタバサも女の子、少しショボンとし、光牙に背を向け、壁の方を向き正座をしながら、

光牙に気付かれない様、両手で自分の胸をポムポムと触り、深い溜息を吐いた。

 

 

「タバサ・・・・本当にどうしたんだ?」

 

「・・・何でもない・・・・そう・・何も無い。」

 

 

それは自分の胸の事を言っているのかどうかは分からないが、取り敢えずその時のタバサの声のトーンは低かった。

 

そんなタバサにキュルケは近づいて、ひっそりと耳打ちをした。

 

 

「大丈夫よ、私は本当の一番は奪わない主義だから。」

 

「!!」

 

 

キュルケの言葉に一瞬ビクッとしたタバサであったが、キュルケは続けて言う。

 

 

「フフ・・・昨日の一件であなたがコウガにお熱なのは知ってるわよ。」

 

「ちが・・・。」

 

「じゃあ何でそんなに彼を気にするの?」

 

「それは・・・。」

 

「・・・・まあいいわ、その気持ちが何なのか自分でもよく分かってないみたいだし、でもこれだけは覚えといてね、

自分の気持ちに嘘をついちゃ駄目よ、その時になって後悔しない為に・・・ね?」

 

 

キュルケの言葉にタバサは、何故か妙に嬉しく感じた。

 

その原因は分からないが、取り合えず嬉しい、そう心が感じているのである。

 

タバサは微妙にだが微笑み、キュルケに向き合い。

 

 

「・・・・・うん・・・。」

 

 

そう言い頷く。

 

 

「うん・・・もうタバサったら可愛い!!」

 

 

キュルケはタバサに抱きつき、頭を撫で始めた。

 

はたから見れば、仲の良い姉妹の様に見える、のほほんとした空間に1人残された光牙が口を開く。

 

 

「で?行くのか?」

 

「行く・・・ついでにあなたに必要な物も買いに行く。」

 

 

そう言いタバサは光牙の服を指差した。

 

昨日の騒ぎで光牙の服は所々、破けていたり、焦げていたり等と多少ではあるがボロボロであった。

 

なのでタバサは光牙の日常品もついでに買いに行くと言い出したのだ。

 

 

「えっ?でも・・・。」

 

「コウガ、折角の女の子からのお誘いを断るのは失礼よ。」

 

「だけど・・・。」

 

「それにタバサや、タバサの使い魔が、そんなボロくなった服しか着させない、着れないなんて思われたくないの、

だからここはタバサの為だとも思って、甘えちゃいなさい。」

 

「・・・・・分かったよ、タバサがそんな風に思われるのも確かに嫌だし、お願いするよ。」

 

コク

 

ピューーーーーーー

 

「きゅ~~~~~~い!!」

 

 

タバサが窓を開け、指笛を吹くと、シルフィードが何処からともなく遣って来て、窓から顔を入れ停止する。

 

 

「きゅいきゅいきゅい(おはようなのね、おねえさま、コウガ、レンスのおじさま)!!」

 

『おじ・・・。』

 

 

シルフィードはレンスの事を「おじさま」と呼び、レンスはそれに何気なく傷付くのだった。

 

 

『まぁ・・・3000万年も生きてんだ、シルフィだけじゃなく俺等からしても、お前は十分おじさんだよな、

おじいちゃんと呼ばれないだけマシだと思いなよ。』

 

『・・・・まあよい・・・3000万年も生きていればそう呼ばれてもおかしくは無いか・・・。』

 

「おはようシルフィ。」

 

「早速だけど、トリスタニアに行く。」

 

「きゅい(分かったのね)。」

 

 

そう言いうとシルフィードは窓から少し離れ、窓から少し下の位置で停止した。

 

そこへタバサ、キュルケ、最後に光牙が順番にシルフィードの背中へ飛び乗り、一同はトリスタニアへと向かった。

 

それから十数分後、トリスタニアに到着した光牙達は、ブルドンネ街と呼ばれる、トリステインで一番大きな通りへと向っていた。

 

 

「ここがトリステインの城下町、王都トリスタニア、ブルドンネ街通り。」

 

「へぇ・・・・狭いんだな。」

 

「あなたの故郷からしたら当然。」

 

 

トリスタニアは人で賑わい、そこは地球と同じであるが、人が行き交う大通りは5mも無く、地球人である光牙からしたら狭く感じた。

 

タバサは昨晩、光牙から聞かされていたので、その感想にも納得がいった。

 

 

「ルイズ達はまだ着いてないみたいね、学院の外出用の馬がいなかったわ。」

 

「馬でもここに着くまで3時間は掛かるから当然。」

 

「じゃあそれまでコウガの服選びと行きますか、私良いお店知ってるからそこへ行きましょ。」

 

 

3人は大通りを通り、キュルケお勧めの服屋へと向った。

 

光牙はキョロキョロと物珍しそうにトリスタニアの町を見回していた。

 

ゲームや御伽噺の中で出てくる様な作りの店、白い石造りの街、町の中央に聳え立つトリステインの宮殿、そしてそこで生活する人々の姿を、

光牙はそれを何処か嬉しそうに眺めていた。

 

 

「何だか嬉しそうだけど、どうしたの?」

 

「いや・・・活気のある町だなと思ってな。」

 

「ふ~ん・・・あっそうそう、スリには気を付けてね。」

 

「まぁ・・・居るだろな、そんな輩はどの世界にも。」

 

「魔法を使って、スリを働くから気をつけて。」

 

「ん?魔法を使えるのは貴族・・・平たく言えば金持ちがスリなんてするのか?」

 

「メイジの全てが貴族じゃない、色んな理由で勘当や家を出たり、領地を受け継げなかった次男や三男が、

傭兵や犯罪者になる。」

 

「成程・・・甘やかされて育てられた坊ちゃん譲ちゃんが、社会の荒波に負け、自棄になって唯一の魔法頼みに暴れ回ってる訳か。」

 

「・・・結構毒舌ね、気を付けなさいよ、落ちぶれだけじゃなく、プライド高い貴族が聞いたら即刻火炙りすらしかねからね、

特にこのトリステインは。」

 

「はいよ、気を付けるよ。」

 

 

そんなこんな会話をしているうちに目的の服屋に到着した。

 

店はお世辞にも綺麗でも、煌びやかな服を扱っていない、何処にでもある普通の服屋であったが、

料金を出せば、注文通りの服を仕立ててくれる事で、貴族達の間でも有名な店であった。

 

光牙は、平民の男性が着る様な動き易くそれでいて安そうな服を3着選んで、タバサと共に会計を済ませに行った。

 

キュルケは店の主人と何やら話し込んでいる様だ。

 

 

「何してんだ?」

 

「もうじき学院で「フリッグの舞踏会」があるから、それにむけて新しいドレスを新調するのよ、

ついでにタバサのドレスも仕立ててもらおうと思ってね。」

 

「私は別に・・・。」

 

「だ~~め、あなたが良くても私が良くないの、タバサは可愛いんだから、それなりの場ではそれなりに着飾らないと、

それに・・・綺麗なドレスを着たタバサを見たら、コウガも喜ぶかもしれないわよ。」

 

「!!・・・・・。」

 

 

タバサは頬を赤らめかせ、光牙を見る。

 

 

「?」

 

 

だが光牙はそれに気付かず、「どうした?」と言った感じで、タバサを見る。

 

 

「・・・・・お願いする。」

 

 

しばし黙り、タバサはドレスを新調すると決めた。

 

 

「決まり、じゃあご主人この子のもお願い。」

 

「かしこまりました・・・ではサイズをお計りしますので、奥の方へどうぞ。」

 

 

タバサは女性の店員に連れられ、店の奥へと入っていった。

 

その間にキュルケは店の主人と、ドレスのデザイン等の話をしていた。

 

光牙は得にする事も無いと、店の外で待つ事にした。

 

 

「・・・・暇だな。」

 

『女性の買い物は長い。』

 

「だよな・・・。」

 

「お待たせ。」

 

 

店からタバサとキュルケが、ようやく出てきた。

 

 

「どうする?才人達が着くにはまだ時間があるぞ。」

 

「そうねえ・・・・・。」

 

 

才人とルイズがトリスタニアに着くまでまだ時間があったので、どうするか考えていると。

 

 

ぐぐぐぅ~~~~・・・・

 

「「あっ・・・。」」

 

「何?今の音」

 

「・・・・・俺達の・・・腹の虫が鳴いた音です・・・。」

 

コク

 

「あぁ・・・成程。」

 

 

光牙とタバサは揃って腹を押さえた。

 

今思えば、タバサはまだ朝食を食べてはいなかったが、光牙に関しては色々ありすぎて、この世界に来てから一食たりとも食事をとってはおらず、

そろそろ限界に達していた。

 

 

「やばい・・・。」

 

「じゃあ食事でもとって、時間を潰しましょうか、何処か良いお店は・・・。」

 

「こっち・・・。」

 

「タバサ?」

 

 

タバサに連れられて歩いて行くと、1つの食事処に着いた。

 

 

「ここ?」

 

「良い匂いがする・・・当たり。」

 

「確かに良い匂いがするな・・・まあ食えればいいか。」

 

「しょうがないか、2人共私の所為で朝食とり損ねたから、文句は言わないわ。」

 

「入る。」

 

 

店に入ると、そこは平民だらけで、タバサとキュルケの貴族2人が入ってきた事にビックリし、一斉に食事をしている手を止めた。

 

2人はそれを気にもとめなかったが、光牙は多少の気まずさを感じながら、2人の後ろを着いて行き、

空いていたテーブルに腰掛けた。

 

そこへ一目散で店主が光牙達の座っている席へ駆けつけ、注文をとり始めた。

 

光牙は取り敢えずメニューを見た、そのメニューには見た事も無い文字で料理名を書かれていたが、

何故か不思議とその文字の意味が分かった。

 

 

「どうしたの?」

 

「いや・・・この書かれてある文字なんだが、解らない筈なのに、何故か理解できるんだ・・・。」

 

「額。」

 

「ん?」

 

「額のルーンが光ってる。」

 

「あら本当だわ。」

 

 

自分では確認できないが、額のティガクリスタルに酷似したルーンが輝いているらしい。

 

おそらく額のルーンの効果によってハルケギニアの文字が理解出来るのであろうと判断した。

 

 

「こいつは便利だな・・・。」

 

「でも其の度に額が光るんじゃ目立ってしょうがないわね・・・。」

 

「・・・・・・。」

 

すっ・・・・・

 

「タバサ?」

 

「これを額に巻いたら良い。」

 

 

そう言いタバサは一枚の大きめのハンカチを取り出した。

 

それを受け取り、光牙はそのハンカチを額に巻きつけた。

 

 

「ありがとタバサ。」

 

「・・・・・・別に・・・当然の事をしただけ。」

 

(・・・素直じゃないんだから・・・・これはまだ時間が掛かりそうね。)

 

「あのご注文はお決まりでしょうか?」

 

 

取り敢えず注文をするが、文字は読めるが、どんな料理かは分からなかったので、光牙はキュルケと同じ物を頼む事にした。

 

何故タバサと同じ物にしなかったと言うと、キュルケに「やめといた方がいい。」と言われたからである。

 

その理由は数分後に分かった。

 

数分後、テーブル一杯の料理が運ばれて来て、光牙は目を丸くした。

 

 

「あの・・・タバサさんこれは?」

 

「この店のメニュー一通り。」

 

「この子・・・見た目に反してよく食べるのよ。」

 

「よく食べるって・・・・限度があるだろ?」

 

 

しかし数十分後、タバサはテーブルの10分の9を占めていた料理を、その小柄な体へと収めた。

 

残りの10分の1はキュルケと光牙の分で、3人は粗同じタイミングで食べ終えた。

 

 

「・・・・・満足?」

 

「腹八分目。」

 

「・・・・さいですか・・・。」

 

 

光牙はタバサの食事量に若干の恐怖を感じつつ、3人は会計を終え店を出た。

 

その際、店の主人が満面の笑みで「3ヶ月ぶりの黒字だ!!」と叫んでいるのが見えた様な見えなかった様な。

 

店を出た後、光牙は店の料理について、ブツブツと何やら呟いていた。

 

 

「美味かったが・・・やはり多少油っこかったな・・・あの魚は塩で焙るのが一番・・・。」

 

「何ブツブツ言ってるのコウガ?」

 

「ん?いやな・・・俺は此処に来るまで1人暮らしだったから、毎日自炊しててな、その所為かどうも料理に対して色々考えちゃうんだよ。」

 

「あなた・・・男でその歳なのに料理できるの?」

 

「あぁ・・・食べに行くよりは安く済むからな。」

 

「・・・今度作って。」

 

「ん?俺の料理?」

 

「うん・・・・コウガの故郷の料理・・・気になる。」

 

「成程ね・・・分かった・・・材料があるか分からないけど近い物は作ってみるよ。」

 

「楽しみ。」

 

「あっ!!ルイズとダーリンを見つけたわ!!」

 

 

キュルケの指差す先には、裏路地へと入って行く、才人とルイズの姿があった。

 

 

「あの裏路地に鍛冶屋か武器屋があるのかな?」

 

「・・・・・行く。」

 

「そうね後を着けましょう。」

 

「コウガに合う武器を探す。」

 

「え?」

 

「俺に?」

 

「武器が銃だけじゃ不安。」

 

「確かにな・・・遠い場所に居る奴ならこれで十分だが、接近戦だとナイフか剣があった方がいいかもな。」

 

「決まり。」

 

「何でもいいから行きましょ、ルイズに先を越されちゃうわ。」

 

 

そう言い、3人は尾行(キュルケのみ。)を止め、光牙の武器探しとして武器屋に行く事とした。

 

表通りと違い、異臭の漂う裏路地を進んで行くと、剣が描かれた看板を見つけ、いかにも武器屋だと分かりやすい店の前に着き、

3人は入っていった。

 

3人が入ると、ルイズがそれに驚き、眉間にしわを寄せて怒鳴り始めた。

 

 

「あんた達!!何でここにいるのよ!?」

 

「あらルイズ、奇遇ねえ・・・ちょっと剣を物色しに来たの、ある殿方に贈るね。」

 

「その贈る人って、うちの使い魔じゃないでしょうねえ!?」

 

「それはあなた次第よルイズ・・・あなたが私の手に届かない程の剣をダーリンに贈れば、私は何もしないわ、

でも・・・鈍を贈る様なら私が彼の為に剣を贈るわ・・・主人の選んだ剣の所為で、彼が死んじゃったら彼が可哀想過ぎるものね。」

 

「だったら誰が一番良い剣を選ぶか勝負よ!!」

 

「望むところよ!!」

 

 

2人が火花を散らしている間、才人は光牙とタバサの方へと来ていた。

 

 

「お前等本当は何しに来たんだよ?」

 

「最初はキュルケがお前達の後を尾行しようと、タバサの部屋に来たんだが・・・。」

 

「コウガの日用品もついでに買いに来た。」

 

「そうなの?いいな光牙は・・・俺なんか何時の間にかルイズの見え張り合戦の題材に変わってんだぜ。」

 

「まあまあ・・・その分良い剣を買ってくれるかもしれないじゃないか・・・。」

 

「だといいけど・・・。」

 

「コウガは何か無いの?」

 

「ん~~~そうだな・・・。」

 

 

光牙はそう言い、店内を物色しだした。

 

ナイフや剣を手にとっては、軽く振るい、刀身の部分を指で弾く等し、自分に合う及び良い剣がないか探すのであった。

 

 

「う~~ん・・・。」

 

「あった?」

 

「いや・・・そこそこ手に馴染むのは幾つかあるけど、刀身がな・・・。」

 

『これはただ鉄を溶かして、形に流し込んだだけの物だな、鍛えられた様でもないから、鈍らもいいところだ。』

 

 

ちなみにレンスの声は、光牙とタバサ、そして才人にしか聞こえていない。

 

これは只単に、この3人に念話を飛ばしているだけであるが、普段の声は光牙にしか聞こえない様になっている。

 

 

「兄ちゃん・・・うちの商品にケチ付けるきかい?」

 

「いや・・・そう言う訳じゃ・・・。」

 

「だはは!!オヤジ図星突かれたからって、ガキとは言えお客にいちゃもん付けちゃ、この店ヤベエぞ。」

 

「何だ?」

 

「此処から声が聞こえたけど・・・。」

 

 

才人は声がしたほうへ歩み、雑に入れられていた、錆びれてボロボロの剣の1つを手に取った。

 

 

「なんでえ小僧、気安く触んな。」

 

 

すると刃の根元の鎺の部分がカタカタと動き、そこから声が発せられた。

 

 

「剣が喋った!?」

 

「タバサあれは?」

 

「インテリジェンスソード・・・意思を持った剣。」

 

 

光牙と才人は、いきなり喋った剣、インテリジェンスソードに驚くも、興味しんしんにそのインテリジェンスソードを見る。

 

 

「こらデル公!!お客様になんて失礼な口を!!」

 

「手前だってそこの兄ちゃんにいちゃもん付けてたじゃねえか!!」

 

「おもしろいなこいつ。」

 

「こいつじゃねえ!!俺にはデルフリンガーって言う立派な・・・・。」

 

 

そのインテリジェンスソードは、「デルフリンガー」と名乗った。

 

先程まで騒いでいたデルフリンガーは、突如才人を観察するかの様に黙り、少ししたら小さな声で話し出した。

 

 

「お前・・・「使い手」か?」

 

「使い手?何だそれ?」

 

「それは・・・・忘れた。」

 

「何だそれ!?」

 

「まあいい・・・お前俺を・・・「サイト!!」「ダーリン!!」・・・何だ!?」

 

 

何時の間にか店の奥に入っていた(店主に無断で。)ルイズとキュルケが、それぞれ剣を持って、才人の方へと走ってきた。

 

 

「貴族様!!勝手に店の奥に入られては・・・「「これなんてどお!?」」・・・聞いちゃいねえよ・・・。」

 

 

店主の声はあっけなく2人に無視され、気付かれない様に涙を流し、ボソッと呟くのであった。

 

ルイズは自分の身の丈以上の太くてゴツイ大剣を、キュルケはルイズのには劣るが、煌びやかに色取られた装飾を施された大剣を持ってきた。

 

 

「サイトこれにしなさい!!これだけ大きくて太いのならどんな物でもぶった切れるわ!!」

 

 

ルイズは貴族の娘らしくない言葉を吐き散らし、才人に自分の持って来た・・・いや、あまりもの大きさと重さに引きずって持って来た大剣を薦める。

 

 

「あら・・・それじゃあ只の鉄棒と変わらないじゃない、やっぱり見た目も大事よ!!ダーリンこれはゲルマニアで高名な、

錬金術師シュペー卿が鍛えた業物よ、加えて魔法も掛かっているから鉄も切断できるわ。」

 

 

シュペー卿が誰なのかどれ程高名かは知らないが、明らかに城や屋敷の一室に飾る為だけの大剣に、お情けで魔法を掛けた大剣を薦めるキュルケであった。

 

 

「(くっ!!あんな剣があったなんて・・・。)でもこれなら振り回せば、100人は一遍に切り倒せるわ!!剣はやっぱり大きく長くて太くて硬いに限るわ!!」

 

「(威力ならあっちに分がありそうね・・・。)あら・・・公爵家の娘が、そんな装飾も何もされてない、みすぼらしい只大きいだけの剣を使い魔に持たせるの?」

 

 

2人は険悪な雰囲気をかもし出し、杖を取り出し、今にも魔法を唱えそうであった。

 

それを店主もハラハラと見ていた。

 

 

「コウガ・・・。」

 

「・・・・はぁ・・。」

 

 

光牙はヤレヤレと言った感じで、睨み合っているルイズとキュルケの方へ行き、2人から大剣を取り上げた。

 

 

「ちょっと!?何すんのよ!?」

 

「コウガ?」

 

「おっちゃん、ちょっと振り回すけどいいか?」

 

「あっ・・・あぁ・・・構いませんが・・・。」

 

 

それを聞いて光牙は、周りに置いていた物を退かし、キュルケが持って来た大剣を振るった。

 

 

「・・・・・・・・・ふむ・・・。」

 

 

次にルイズの持って来た大剣を手に取り、同じ様に振るい、大剣を置いた後、才人の方へと近付いた。

 

 

「ちょっと借りるぞ。」

 

「おっ・・・おぉ・・・。」

 

「なんでえ兄ちゃん?気安く触んな!!」

 

「まあまあ・・・・・。」

 

「何よその錆びた剣?」

 

 

光牙はデルフリンガーを才人から受け取り、デルフリンガーの刀身を指で弾いたり眺めたりした後。

 

 

「フン!!」

 

ブウウウン!!

 

「はっ!!」

 

ブン!!

 

 

光牙は先程とは違う、力強く、そして滑らかな、剣術の動きでデルフリンガーを振るう。

 

その動きに誰もが見惚れ、静寂が生まれた。

 

 

「おでれーた!!兄ちゃん剣を扱えるのか?」

 

「まあ多少はな・・・才人これにしなよ。」

 

「えっ?あっ・・あぁ・・・。」

 

「はっ!!ちょっと!!何勝手な事言ってんのよ!?」

 

「お前の選んだ大剣は重すぎて素人には扱えないし、型に流し込んで作られただけの鈍ら。」

 

「なっ!?」

 

 

ルイズは、自分の選んだ大剣を鈍らと呼ばれ、目を見開く。

 

 

「私のは?」

 

「確かにそれっぽい魔法が掛かってはいるが、同じく型に流し込んで作られただけの鈍ら、その高名な錬金術師ってのは、

装飾の方で高名なんじゃないの?」

 

「・・・・そう言えば武器作りで高名な錬金術師でシュペー卿なんて聞いた事無かったわね・・・。」

 

「剣は初めて持つなら、なるべく手に馴染む方が良い、これなら重さも丁度良いし、長さも良い、素人にいきなりそんな大剣はやめといた方が良いよ。」

 

「だからってそんなボロ剣・・・。」

 

「俺が見る限り、この剣が一番良い剣だと思うよ。」

 

「そうなのか?」

 

「ああ・・・何か力みたいな物を感じるし、錆さえ取ればかなり良くなると思うよ。」

 

 

光牙がそこまで言うと、店主がカウンターから口を開く。

 

 

「その錆ですけども、私も落そうと思って磨いたんですが、どう言う訳か全然取れないんですよ。」

 

「じゃあ意味ないじゃない!!」

 

「ルイズ・・・。」

 

「何よ?」

 

「俺この剣にするよ。」

 

 

才人はそう言い、デルフリンガーを光牙から受け取り、デルフリンガーを前に出す。

 

 

「えぇ~~そんなボロいのじゃなくて、綺麗で喋らないのにしなさいよ。」

 

 

ルイズは明らかに嫌そうな顔をして、デルフリンガーを見る。

 

 

「でも喋る剣なんて面白いし。」

 

「それだけじゃないの!!・・・はぁ・・・まあいいわ、おいくらなの?」

 

 

ルイズはぶつぶくさと文句を言うが、冷静に考えれば、以前の才人の大怪我を治すのに使用した、水の秘薬に殆どの持ち金を使用したので、

そんなに高い買い物は出来なかったので、渋々見るからに安いデルフリンガーを買う事にした。

 

 

「あれでしたら100で結構でさ。」

 

「思ったより安いじゃない。」

 

「こちらも厄介払いみたいなもんでさあ。」

 

 

店主はそう言うが、何処かがっかりした感じで、ルイズとキュルケが勝手に持って来た大剣を見た。

 

 

(あの二本が売れれば、20・・・いや・・30年は遊んで暮らせたか、ゲルマニアだったら貴族になってたかもな・・・・。)

 

 

ルイズは才人から財布を受け取り、会計を済ませようと店主の方へと近づく。

 

その様子をキュルケが悔しそうに睨んでいた。

 

どうやら才人が自分にではなく、ルイズに剣を買ってもらおうと頼んだのが、悔しいらしく、キュルケはルイズには気付かれない様に、

ルイズと才人の様子を不機嫌そうに睨んでいた。

 

 

「・・・・コウガ。」

 

「・・・・しゃあないな。」

 

 

光牙は一本のナイフを手にし、キュルケに近づく。

 

 

「キュルケ。」

 

「何コウガ?」

 

「あのな・・・・ゴニョゴニョ・・・。」

 

 

光牙はキュルケの耳元でゴニョゴニョと囁いた。

 

すると先程まで、不機嫌だったキュルケの表情は一変、満面の笑みへと変わり、光牙の手にしたナイフを受け取り、

「ありがとう。」とお礼を言い残し、才人とルイズに近づく。

 

 

「このナイフもお願いするわ。」

 

「何よキュルケ?いきなり現れてそんなナイフで私に対抗する気?」

 

 

ルイズは余裕の表情でキュルケを見た。

 

例えボロ剣でも、ナイフには勝っていると言う事が彼女に余裕を齎していた。

 

しかしルイズの予想に反し、キュルケの表情は余裕に満ち溢れていた。

 

 

「確かにナイフじゃ剣には敵わないわ・・・でもね、あなたは言ったわよね?「剣はやっぱり大きく長くて太くて硬いに限る。」って。」

 

「それが如何したのよ?当たり前の事じゃないの?」

 

「でも・・・もし狭い通路や、剣を振るえない様な場所で戦う事になったら如何する?」

 

「あっ!!」

 

「そんな時にナイフなら振れるわ・・・私はあなたみたいに、ただ大きくて強そうな物を選ぶだけじゃないの、

彼自身の身を守るのに必要な物を考えて選んであげるの、お解かり?」

 

「くうぅ・・・。」

 

 

本当は光牙から教えられた事だが、あたかも自分の言葉の様に話、見事ルイズを悔しがらせるキュルケに、

光牙は呆れつつも、ある意味感心し、2人のやり取りを見ていた。

 

 

「コウガは武器如何するの?」

 

「う~~ん・・・じゃあこのナイフでいいよ。」

 

 

そう言い、ソコソコ使えそうなナイフを5本選び、タバサに見せる。

 

 

「分かった・・・いくら?」

 

「・・・・あの御2人には内緒ですが、50で結構です。」

 

「安い・・・何故?」

 

「何・・・そちらのお兄さんのおかげで、店が壊されなくてすみましたから、サービスです。」

 

 

買い物を済ませ5人は武器屋を出た。

 

(B)

 

武器を買い済ませ、表通りまで行くと、ルイズが才人を連れて何処かへ行こうとし、キュルケがそれを阻止、道の真ん中で言い争いが始まり、

道行く人達の注目の的となっていた、正直視線が痛い。

 

 

「タバサ!!コウガ!!私は私で帰るから、あなた達は帰っていいわよ。」

 

 

そう言うが、キュルケはタバサの方へ近づき、耳打ちをする。

 

 

「私の事はいいから、コウガとデートでもして来なさい。」

 

「!?」

 

 

タバサはキュルケが何を言っているのか理解できなかった。

 

デートとは付き合っている恋人同士が一緒に出かける事であって、自分と光牙は恋人同士ではなく、

偽りとは言え、使い魔と主の関係であって、確かに契約時にキスをしたし、昨晩は一緒のベッドで寝たが、

間違っても恋人同士ではない・・・・そう思うも、そう思うと心のどこかが熱くなり切なくなるのは何故だろうと、

タバサは人知れずに、その思いが何なのか疑問に思うのであった。

 

 

「なんでもいいのよ、あなたの好きな本を一緒に買いにいくでも、トリスタニアの街を案内するでも、

兎に角一緒に街を散歩するだけでも、デートみたいな物よ、それに私が無理につき合わせたみたいな物だったから、

あなたも折角街に来たんだし、楽しんでいきなさい。」

 

 

キュルケはタバサから離れ、才人の腕を無理やり引っ張り、人込みの中へと消えていった。

 

ルイズもそれを慌てて追いかけて行き、人込みへと消えていった。

 

残された光牙とタバサは、互いの顔を見合わせ、これから如何するか話し合う。

 

しかしタバサは先程キュルケに言われた事が頭の中で駆け巡っており、顔には出していなかったがテンパっていた。

 

 

「・・・・本・・・。」

 

「ん?」

 

「本・・・探しに行ってもいい?」

 

 

キュルケが言った様に、本を探しに行こうと、俯きながら光牙を誘うタバサ。

 

その時、光牙はもちろん、タバサ自身も、自分の顔が赤くなっていた事に気付いてはいなかった。

 

 

「いいよ、俺の服とか買ってくれたんだ、お付き合いさせていただきますご主人様。」

 

「うん・・・。」

 

 

光牙は紳士の様にお辞儀をし、タバサのお誘いを受け、2人は才人達が消えていった方向とは反対の方向へと歩いていった。

 

2人は本屋に着くまでの間、所々で目に入る特徴的な建物の説明や案内を受けながら歩を進めた。

 

そして目的の本屋に着いたタバサは、一目散に新作の本が置かれている棚の方へと向った。

 

 

(・・・今日一番楽しそうだな。)

 

 

無表情だが、その様子から楽しんでいる事が伝わった。

 

光牙もルーンの効果でハルケギニアの文字が読めるので、近くの棚から面白そうなタイトルの本を見つけ、手に取り読み始める。

 

内容は数人の杖を無くした魔法使いの少年少女達が、未開の地を友達となった魔物と冒険しながら魔物と戦い成長していく、

冒険記物で、思いのほか面白く、夢中で読みふけていた。

 

 

「終わった。」

 

「おっ・・・面白そうな本見つか・・・・。」

 

 

タバサは両手一杯に・・・と言うか、新刊用の棚にあった全ての新刊を持って、店から出てきた。

 

本が好きだとは思ってはいたが、まさか新刊全てを買って来るとは思ってもいなく、そしてチラッと見えた本のタイトルからすると、

小説とかではなく、魚や草木等図鑑の様な本まであった。

 

 

「・・・・・タバサ・・・なんだか図鑑みたいな物もあるけど・・・・。」

 

「興味。」

 

「・・・・さいですか・・・ほら重いだろ?持ってあげるよ。」

 

「え?」

 

 

光牙はそう言い、タバサの持っている本を持ってあげた。

 

 

「女の子にこんな重い物持たせられないよ・・・この後如何する?」

 

「えっと・・・。」

 

(トリスタニアの街を案内するでも、兎に角一緒に街を散歩するだけでも、デートみたいな物よ。)

 

 

徐にキュルケが言った言葉が頭をより、その言葉を口に出そうとしていた。

 

 

「・・・・コウ「タバサ。」えっ!?」

 

「この街の事どれ位知ってる?」

 

「・・・一通り。」

 

「じゃあさ・・・案内してくれないか?」

 

「!?」

 

 

まさか自分が言おうとした事を、光牙から言って来るとは思いもよらなかったので、タバサは、目を・・・少し・・・ほんの少しだが見開いた。

 

 

「ほら、俺の作った料理食べたいんだろ?学院の食堂に材料が無かったら此処まで買いに来なきゃいけないからな、

その時迷ったら意味無いだろ?」

 

「・・・うん・・・じゃあシルフィードに荷物を先に持って帰ってもらってから、案内する。」

 

「分かった。」

 

 

2人は一度街の外に出て、シルフィードを呼び出し、荷物と、学院の使用人に荷物を部屋に持って行く様にと書いたメモを持たせ、

シルフィードを飛び出させ、2人は再び街の中へと入った。

 

2人はトリスタニアの商店街にあたる通りを歩きながら、色んな食材を見て周り、どんな料理が出来るなどと話しながら進んでいた。

 

さながらその光景は、お似合いのカップル・・・とは言えない(主にタバサの容姿が原因で。)が、両者の髪の色が同じなら、仲の良い兄妹の様に見えた。

 

そして商店街を通り抜けると橋が有り、その橋の辺りで人集りが出来ているのを発見した。

 

2人は気になり、人集りに近付き、近くに居た男性に話を聞いた。

 

 

「何があったんですか?」

 

「おぉ・・・昨夜店に火を付けた2人組みの貴族の内の1人が、水死体で発見されたんだ。」

 

「何だって!?」

 

 

男性によれば、その貴族は外傷も無く、何者かと争った形跡も無い、まるで何事も無く、自ら川へ落ちた様だと言う。

 

自殺かとも思われたが、その貴族は自殺する様な悩みなど無く、昨夜その貴族は酔っていた事もあり、

誤って足を滑らして川に落ちたのだろうと思われていた。

 

 

『・・・光牙。』

 

『あぁ・・・。』

 

「如何したの?」

 

「少し待ってて。」

 

 

だが光牙とレンスは少し気になる事があり、人混みを掻き分け、貴族の水死体が見える位の所まで移動した。

 

 

『どうだ?』

 

『・・・・間違いない、この者の体から僅かにだが魔法とは違う力が感じられる。』

 

『・・・・俺は邪心融合体の力なら感じられるがそれ以外だとすれば・・・。』

 

『おそらくは異星人の仕業か・・・。』

 

『だとしたらもう1人、一緒に居た貴族の方も気になるな・・・とりあえずシャルロットの所に戻って、事情を話すか。』

 

 

光牙とレンスは、貴族の男が死んだのは、異星人が関係していると予想し、タバサの所に戻ろうとした時。

 

 

『フォッフォッフォッフォッ・・・・・。』

 

「『!?』」

 

バッ!!

 

 

自分達に向けられたテレパシーの様な物と視線を感じ、視線を感じた方へと視線を向けると。

 

 

「・・・・・・・・・。」

 

 

人混みに紛れ、全身を覆うボロ布と頭全体をフードで覆い顔を隠している人物が、光牙の方を見ていた。

 

その人物は光牙が自分の方を振り向き、自分と一瞬視線を合わせると、その場から離れようとした。

 

 

『光牙!!今の者からは人間とは違う気を感じた、逃がすな!!』

 

「待て!!」

 

 

光牙はその人物を慌てて追う。

 

 

「コウガ?」

 

 

無理やり人混みから出て、謎の人物を追う光牙を見て、タバサは急いで光牙が走って行った後を追う。

 

光牙は謎の人物を逃がすまいと、必死に追いかけていた。

 

途中で通行人や出店の商品等にぶつかりそうになるも、何とか避けるなりして、謎の人物を視界に入れながら追いかけていた。

 

 

「・・・・・・・・。」

 

すっ・・・・

 

「裏路地に逃げやがった!!」

 

 

光牙も逃がすまいと、裏路地へと入って行く。

 

一瞬見失うも、すぐ近くに同じボロ布を纏った人物が1人、何やらゴソゴソとしているのが目に入るといなや、

光牙は即座にその人物に掴み掛かった。

 

 

「そこまでだ!!」

 

「!?」

 

ガシッ!!

 

ガッ!!

 

「ぐっ・・ぅ!?」

 

 

その人物はあっさりと捕まり。

 

光牙は壁に押し遣り、肩を掴み、首に腕を押し付け動けない様にし、GUTSハイパーガンを引き抜き、その人物の顎下に押し付けた。

 

 

「貴様は何者だ?あの貴族と何か関係あるのか?」

 

「ぐぅ・・・うぅ・・・。」

 

「答えろ!!」

 

 

強く押さえ付けられ苦しそうな声を漏らすも、光牙は構わずハイパーガンを更に強く押し当て、押えている腕にも力を籠める・・・すると。

 

 

むにゅ・・・

 

「・・・・むにゅ?」

 

「あっ・・・・あああぁ・・・・。」

 

 

光牙の腕に何か柔らかい感触を感じた。

 

押さえ付けられた人物も、何やら恥ずかしがっている様な声を漏らしていた。

 

 

『・・・・光牙・・こいつはあの者ではない、まったく違う気を感じる。』

 

「・・・・何!?」

 

『しかもこの者・・・・。』

 

びゅうううう・・・

 

バサッ・・・

 

 

突如強い風が吹き、光牙が押さえ付けている人物のフードが取れ、その素顔を露にした。

 

 

「!?」

 

 

光牙がその人物の顔を見て驚く中、少し時間を遡り、トリステイン宮殿では、先日のゴルガとメバルによるトリステイン魔法学院襲撃の報せが届き、

宮殿では重役者達を急遽集める大騒ぎとなっていた。

 

 

「マザリーニ殿・・・本当なのですか?トリステイン魔法学院が謎の怪物2体に襲われ壊滅し掛けたと言うのは?」

 

「はっ、トリステイン魔法学院長、オールド・オスマン殿の報せによれば、その様に書かれております。」

 

 

宮殿のとある一室で、年齢差を感じさせない程の美貌と貴賓溢れる貫録を持つ女性と、痩せこけた男性が神妙な顔で話し合っていた。

 

女性はトリステインの王妃であるマリアンヌ王妃。

 

男性は民衆や貴族から「鳥の骨」と揶揄されている、マザリーニ枢機卿であった。

 

 

「聞けば先日のウェナーズ伯爵の領地を壊滅させたのも、その2体の怪物だとも・・・。」

 

「オスマン殿の報せによればその可能性が高いかと・・・2体とも50メイルを超える巨体に、魔法学院のメイジ総出で放った魔法でも、

傷1つ付ける事が出来なかったと・・・。」

 

「そんな!!魔法が効かないなんて・・・。」

 

「そして魔法学院を救ったのは何処からともなく現れた巨人だとも・・・。」

 

「巨人?」

 

「はい・・・魔法学院にその巨人の知識があるものが居たらしく、その名を知る事が出来たそうで。」

 

「その巨人の名は?」

 

「ウルトラマンと・・・そしてその巨人は他に何体も居るらしくその1体として、ウルトラマンティガと名を付けたそうです。」

 

「ウルトラマン・・・ティガ・・・。」

 

「詳しくは重役者達とそして・・・アンリエッタ様を交えてからと言う事で「大変です!!」・・・何事だ!?今大事な話の最中ですぞ!!」

 

「もっ・・・申し訳ありません!!」

 

 

突如部屋の扉が開かれ、息を切らせた使用人が入ってきた。

 

大事な話をしている最中だったので、その使用人に激怒するマザリーニだが、それをマリアンヌが宥める。

 

 

「それより如何したのですか?」

 

「はい!!それが・・・アンリエッタ王女様が宮殿から居なくなってしまったのです!!」

 

「何ですと!?」

 

「お部屋にこの様な書置きが残しておりました。」

 

 

そう言い使用人はマリアンヌに紙を渡す。

 

その神には「街へ遊びに行ってきます。」と、あまり王女らしくもない子供染みた事が書かれていた。

 

 

「アンリエッタ!!」

 

 

そして今、宮殿では王女が居なくなった事で更に大騒ぎになっている時、光牙はと言うと。

 

 

『女だぞ。』

 

 

そう光牙が押さえ付けている人物は女性であった。

 

フードが取れ中からは、宝石を付けたティアラの様な王冠を頭にのせた、美しい顔立ちの光牙と同年齢位の少女の顔が見えた。

 

そして光牙は気付いた、自分の腕が少女の胸に当たっている事に。

 

 

「うわっ!!ごっ・・・ごめん!!」

 

 

光牙は押さえていた腕を離し、謝罪をするも。

 

 

「あっ・・・・あぁ・・・ぶっ・・・無礼者!!」

 

 

少女は羞恥から顔を赤らめて、当然ながら激しく怒りをあらわにした。

 

光牙は如何した物かと悩んで居ると。

 

 

ゴン!!

 

「グワッ!!」

 

「えっ!?」

 

 

突如後ろから頭を強く叩かれ、痛みから頭を抑えながらも、後ろを振り向くと。

 

 

ゴゴゴゴゴゴ・・・・・・

 

「・・・・何やってるの?」

 

「た・・・タバサさん?」

 

 

そこには、いつもの無表情だが、何処か激しい怒りと何故か黒いオーラを纏った、杖を振り下ろしたままで止まった、

タバサが立っていた。

 

 

「何かあったのかと思って追いかけてみれば、こんな所で女性を・・・。」

 

「違う!!違うぞ!!思いっきり誤解しているが違うぞ!!」

 

『タバサよ本当だ、こいつは怪獣に立ち向かう勇気はあるが、女性を襲う以前に、女性と付き合う度胸も無い情けない男だ。』

 

「うるせえ!!」

 

「あの・・・・。」

 

 

すっかり空気となった少女は、タバサに声を掛けた。

 

 

「あの・・・ひょっとしたらあなたはガリア王家の・・・。」

 

「違います。」

 

「でもその蒼い髪と瞳は・・・。」

 

「確かに私はガリア出身ですが、王家とは関係ありません・・・アンリエッタ王女。」

 

「・・・何!?」

 

 

目の前の少女はこの国の王女にして、今宮殿で大騒ぎの原因となっているアンリエッタ・ド・トリステインであった。

 

その王女が何でこんな所に居るのかと疑問に思う中、光牙は大事な事を思い出した。

 

 

「しまった!!奴は!?」

 

 

光牙は表通りに出て、辺りを見渡すも、自分が追いかけていた人物の姿を見つける事は出来なかった。

 

 

「くそっ!!逃げられたか・・・。」

 

『気も感じられん・・・してやられたな・・・。』

 

 

後からタバサが出て来て、光牙に何があったのか聞き出そうとする。

 

 

「コウガ何があったの?」

 

「・・・・怪しい奴があの現場に居てな、明らかに人間じゃなかった。」

 

「どう言う事?」

 

「おそらく・・・邪心融合体の力に引き寄せられた異星人だ・・・もし侵略行為の為に来たのなら厄介だ・・・なのに・・・。」

 

「取り逃した・・・。」

 

「面目無い・・・。」

 

「あの・・・何かあったんですか?」

 

「・・・先程は失礼しました、しかしこれはあなたには関係無い事です、王女様がこんな所にいると、

あなたを利用しようとするゴロツキ共に目を付けられますから、早く宮殿に帰った方がいいですよ。」

 

「なっ!?」

 

 

アンリエッタは驚き、信じられない顔で光牙を見た。

 

王女である自分に、あの様な口の聴き方をする平民が居るとは思えなかったからである。

 

 

「あの・・・あなたは一体?」

 

「・・・円光牙、こちらの国で言えばコウガ・マドカ、彼女の使い魔です。」

 

「使い魔?人間の?」

 

「彼はこの国とは違う国から、召喚された為、この国の事を知らないのです。」

 

「そうでしたか・・・しかし先程の言葉に「侵略行為」と聞こえました・・・それならば関係があります、

この国は私達が治める国ですから。」

 

「・・・しかし『「この国の代表か・・・ならばその立場を利用させて貰おう。」』!!誰だ!?」

 

 

突如何処からとも無く、人間の声と人間とは全く違う声が重なった様な声が聞こえ、3人は辺りを見渡す。

 

だが誰も居ない、すると先程まで誰も居なかった裏路地の陰から、ボロ布を身に纏った人物が出てきた。

 

そう光牙が最初に追っていた人物であった。

 

 

「お前は?」

 

『「その娘を渡してもらおう・・・。」』

 

「あなたは誰ですか?王女である私に、顔を隠してその様な言葉無礼ではありませんか?」

 

『「お前が誰であろうと私には関係ない、只お前の立場を利用させてもらうだけだ。」』

 

「何ですって!?」

 

 

その言葉に怒り、前に出ようとするアンリエッタだが、光牙が彼女の前に腕を出し静止させ、謎の人物を問質そうとした。

 

 

「あの貴族を殺したのはお前か?」

 

『「あれは実に残念だった・・・動きを止めようとしたが誤って川に落ちてしまってな、モルモットは多い方がいいのだがな・・・。」』

 

「・・・モルモットだと?」

 

『「貴様は地球人だな?」』

 

「!?」

 

 

人物の口から地球の名が出て来て、驚愕する光牙であったが、平静を装いその問いに答える。

 

 

「・・・・そうだとしたら?」

 

『「・・・なら分かる筈だ、この世界の人間の一部は、地球の人間とは違い、魔法と言う力を使う、その力を解明し、操り、

増やす事が出来れば、似た様な種族が繁栄する星に忍ばせれば、すばらしい生体兵器として使える。」』

 

「生体兵器?あなたは何を言っているのですか?」

 

「やはりお前は異星人か?」

 

『「我が名はバルタン・・・この世界の新たなる支配者だ!!」』

 

「バルタン?」

 

「新たなる支配者・・・。」

 

『初めて聞く名だが・・・地球を知っている限り、我々か才人の世界の異星人かもしれん。』

 

 

光牙とタバサは目の前の人物、バルタンの目的が侵略目的、それもこの国の人間を利用し生体兵器製造の本拠地にしようとしている事が分かると、

GUTSハイパーガンと杖を構え、バルタンに向けた。

 

しかしアンリエッタが、光牙が構えた事によって、静止させていた手がなくなり、不用意にバルタンに近付くのであった。

 

 

「そんな事はさせません!!この国を治める王族として、そして始祖ブリミルの加護の元、あなたの思い通りにはさせません!!」

 

 

普通ならこの言葉である程度の人間は多少怯むかもしれない、しかし相手は怯む事は無く、むしろ獲物が自ら近付いてきた事に、

喜びの声を上げた。

 

 

『「まさか自分から近付いて来るとはな、手間が省ける・・・フン!!」』

 

パーーーーーー!!

 

「危ない!?」

 

「きゃっ!?」

 

ドカーーーーーン!!

 

「うわっ!!」

 

「コウガ!!」

 

 

バルタンは懐から杖を出し、詠唱無しで青白い光を杖から発し、アンリエッタを襲おうとしたが、

間一髪光牙がアンリエッタを押し出して何とかかわしが、光牙は爆発に巻き込まれ吹き飛び、壁に強く打ち付けられた。

 

タバサは光牙の身を案じるも、アンリエッタと共に相手が詠唱無しに杖から光線を出した事に驚愕した。

 

 

「先住魔法!?」

 

『「それが何かは分からぬが、魔法使いの体を通せば我の力の一部を使えるとは、ますます面白い体だ。」』

 

「あっ・・・あぁ・・・。」

 

『「さあ・・・我に従え人間よ・・・。」』

 

「アンリエッタ王女!!」

 

 

バルタンはアンリエッタに近づき、その手がアンリエッタの顔に届きそうになるその時。

 

 

シュッ!!

 

グサッ!!

 

『「ぐうっ!!」』

 

「させるか!!」

 

 

光牙が投げたナイフが、バルタンの腕に刺さり後退る。

 

 

「うおりゃあ!!」

 

ドガッ!!

 

『「ぐうっ!!」』

 

「はっ!!とおりゃあ!!」

 

ガス!!ゲシッ!!

 

『「ぐうあ!!」』

 

 

バルタンがアンリエッタから少し離れるのを見ると、光牙はバルタンに跳び蹴りを当て、続けて裏拳や回し蹴りを喰らわせると、

バルタンは更に後退し、アンリエッタとの距離を離す。

 

 

『「くっ!!おのれ!!」』

 

 

バルタンは再び杖を振るい攻撃しようとしたが。

 

 

バシュン!!

 

ジュイン!!

 

『「ぐあっ!!」』

 

 

光牙がハイパーガンでバルタンの持っていた杖を打ち抜いた。

 

 

「エアハンマー!!」

 

ズドン!!

 

『「ぐわああああああああ!!」』

 

 

そこへすかさずタバサが空気の塊を放つ魔法、「エアハンマー」を唱え、バルタンを吹き飛ばした。

 

 

「ナイス、タバサ!!」

 

コク

 

 

2人は吹き飛ばされたバルタンに近付く、しかし・・・。

 

 

「これは?」

 

「どう言う事?」

 

 

タバサのエアハンマーにより、纏っていたボロ布は吹き飛ばされ、その中を見る事は出来た、しかしそれは豪華な服装を纏った貴族の死体であった。

 

それも今さっき死んだ様な新しい死体ではなく、亡くなってから一日は経った様な死体であった。

 

この死体こそが、昨晩バルタン星人に襲われ、川で亡くなっていた貴族と一緒に居たもう1人の貴族であった。

 

 

『おそらくこの死体を操っていたのだろう、だがさすがに限界が来て、捨て去ったみたいだな。』

 

「なら操っていた本体は・・・はっ!!しまった!!」

 

 

光牙は慌てて、アンリエッタの方を向いた。

 

 

「フォッフォッフォッフォッ・・・・・。」

 

「あっ・・・・うぅぅ・・・・。」

 

 

巨大なハサミ状の手を持った、蝉の様な怪人、正体を現したバルタン星人がアンリエッタをその巨大なハサミで捕まえていた。

 

 

「その娘を離せ!!」

 

「断る・・・・・。」

 

「くっ・・・。」

 

「コウガ・・・あいつは何て言ったの?」

 

「えっ?」

 

『「当然だ・・・貴様は例外だが、貴様の世界の言葉はこの世界の人間には伝わらない。」』

 

「「!?」」

 

 

先程まで苦しんでいたアンリエッタが、突如目の輝きが消え、まるで人形の様に脱力し、話し出した。

 

 

「アンリエッタ王女?」

 

『バルタンが王女の体を使って話させているんだ。』

 

『「この世界の言語は難しいのでな、先程の会話も、この世界の人間の体を通し話させてもらった。」』

 

「そうか・・・俺や才人は召喚のゲートを通ってこの世界に来た、そして契約もしているから、

この世界の言語を理解そして伝える事が出来るのか。」

 

『「やはり貴様は私の知る地球の人間ではないな。」』

 

「何故そう思う?」

 

『「これでも私は地球では有名でな・・・それを知らない地球人だとすれば、別次元の世界の地球の者だとすぐに分かる。」』

 

「・・・・やはりお前も・・・。」

 

『「そうだ・・・数日前から我等の世界とこの世界との次元の境界に揺らぎがおきた、そしてある強力なエネルギー反応を探知し、

揺らぎをこじ開けこの世界にやって来たのだ。」』

 

(となれば才人の居た世界から・・・数日前だと使い魔召喚の儀式や、邪心融合体が出現したのと同じ時期だ・・・チッ・・アスアが言っていた通りになったな・・・。)

 

 

光牙は、昨晩アスアの言っていた事が現実になってしまった事に対し、小さく舌打ちをした。

 

 

『「だが所詮人間に我等の計画を止める事は出来ん!!」』

 

 

バルタン星人の体が発光し、アンリエッタの体の中へと入り、アンリエッタの体に乗り移った。

 

 

「アンリエッタ王女!!」

 

『「最早この娘の体は私の物だ!!貴様等は指を銜えてただ見ているがいい!!」』

 

「させるか!!」

 

『「ムン!!」』

 

カッ!!

 

ドカーーーーン!!

 

「くっ!!」

 

「うぅ・・・。」

 

 

バルタン星人が乗り移ったアンリエッタは、杖から怪光を放つと、突如爆発が起き、それに怯んでいる内に、アンリエッタの姿は既になくなっていた。

 

 

「しまった!!」

 

「何処に?」

 

「何だ今の音は?」

 

「この辺りから聞こえてきたぞ。」

 

 

爆発音に引き付けられ、人が集まってきた。

 

光牙とタバサは面倒事を避け、アンリエッタとバルタン星人を追う為、人に気付かれない様その場を後にした。

 

その直ぐ後、街の中に突如50メートル以上の巨体となったバルタン星人が現れた。

 

 

「フォッフォッフォッフォッ!!」

 

「何だあの巨大な亜人は!?」

 

「早く王宮に報告しろ!!」

 

 

バルタン星人の出現にトリスタニアの街は大パニックとなる。

 

 

「何よあの亜人は!?」

 

「昨日に引き続き今日も!?」

 

「何じゃありゃ!?あんな亜人、長い事生きてるけど見た事ねえ!!」

 

「あれは!!」

 

「何よサイト!!あんたあれ知ってるの!?」

 

「あれは・・・ドキュメントSSSP、ドキュメントMAT、ドキュメントSDA、ドキュメントUGM、ドキュメントWINRでも同族が確認され、

俺の故郷で最も多く侵略の為に攻めて来た宇宙人・・・「宇宙忍者・バルタン星人」だ!!」

 

「フォッフォッフォッフォッ!!」

 

「バルタン星人?宇宙人?何の事か分からないけど、侵略者なのね?」

 

「多分・・・。」

 

「なら話は早いわ、行くわよサイト!!」

 

「ルイズ・・・あなたまさか・・・。」

 

「あいつを倒すのよ!!トリステインを侵略するなんて許せないわ!!」

 

 

才人とキュルケはやっぱりと言った感じでルイズを見た。

 

昨日の事でも分かる様に、ルイズは自分の国に対し大きな誇りを持っている。

 

それはルイズだけでなくこの国、トリステインに住む殆どの貴族に言える事でもある、目の前に侵略者が現れたのなら、

考え無しに挑もうとするのは予想が出来た才人達は、即座にルイズを押さえ込んだ。

 

 

「離しなさいよ!!トリステインを侵略しようとしている無礼な賊を倒すのはトリステイン貴族として当然じゃないの!!」

 

「昨日の事覚えているのか!?昨日だってお前1人どころか、学院に居るメイジ総出の攻撃に傷1つ付けられなかったじゃないか!!」

 

「うるさい!!敵に背を向けるぐらいなら、私は名誉ある死を選ぶわ!!それが貴族の「ヴァリエール!!いい加減にしなさい!!」!!

何よキュルケ・・・あんたには関係ないでしょ!!」

 

「落ち着きなさい、あんた1人じゃ無理な事はあなた自身も分かっているはずよ・・・なら今は時を待つべきよ。」

 

「そうか・・・この街はお城に近いし、他にも沢山の貴族が居る、城の兵隊とこの街の貴族の力を合わせれば何とか「うまくいくかね?」デルフ?」

 

「あれ見てみな、あのバルタン星人とか言うヤローの肩を。」

 

 

デルフの言葉通り、バルタン星人の肩を見ると、そこには王冠を頭に乗せた美しい女性が立っていた。

 

 

「あれは?」

 

「アンリエッタ様!?」

 

「アンリエッタってこの国の王女じゃない!?」

 

「何でそんな人があそこに?」

 

「やっぱり王族か・・・それも王女となれば下手に攻撃できないな。」

 

「でも偽者って可能性も・・・。」

 

「となれば本物って可能性も有るな。」

 

 

デルフの言葉に、ルイズは持っていた杖を落し、膝をつき項垂れた、もし本物の王女だったら、攻撃するわけには行かない、

かと言って敵に背を向けるなど貴族としての恥と、貴族のプライドと、王女に遣える貴族の娘としての心境が、

彼女の中で激しくぶつかっていた。

 

そしてそれは宮殿でも起きていた。

 

 

「アンリエッタ・・・何故あのような所に?」

 

『「この国の代表達よ、よく聞け、我が名はバルタン、貴様達の新たな指導者だ!!」』

 

 

アンリエッタが口を開くと、街全体にアンリエッタの声と重なりバルタン星人の声が届き、街の人々は困惑した顔でアンリエッタを見た。

 

 

「王女様!!何を言って!?」

 

『「この娘は貴様等も知っている様に、この国の王女だ、貴様等の言語は我等には難しいので、この娘の体を使い話している。」』

 

「王女の体をだと!?なんと無礼な!!」

 

「龍騎士隊を出せ!!なんとしても王女を救い出すのだ!!」

 

『「我々の要求は只1つ、人間共よ我に従え!!」』

 

「何ですって!?」

 

 

マリアンヌ王妃はその要求に驚き、バルタン星人を睨む。

 

その頃街中の裏路地で、人知れずにバルタン星人とアンリエッタを見上げる光牙とシャルロットが居た。

 

 

「コウガ、早くティガに変身を。」

 

「駄目だ。」

 

「!?・・・どうして?」

 

 

シャルロットは光牙の意外な返答に驚愕の表情を微かにするも、直ぐにいつもの冷静な無表情になり、その訳を聞く。

 

 

『シャルロットよ、今変身して戦うのは簡単だ、しかし奴の手中に人質が居る限り、こちらも迂闊には攻撃できん。』

 

「奴は隊等に戦える者が出てきたら迷わずあのお姫様を盾に使う、それにこの様子だと街の住人は避難できていない、

それでは巻き込んでしまう。」

 

「確かに・・・じゃあどうするの?」

 

 

光牙とレンスの返答に納得し、頷くシャルロット。

 

ならばこれから如何するのか、策が有るのか問うのであった。

 

 

「まずは、あのお姫様を救う・・・手を貸してくれシャルロット。」

 

「当然!!」

 

 

そして光牙はシャルロットに自分のたてた作戦を説明する。

 

その間にも、バルタン星人はアンリエッタの体を使い、まるで演説の様に街中に向って声を発していた。

 

 

『「我々のバルタン星は爆発してしまった・・・戦争が原因で。」』

 

すううぅぅぅぅ・・・・・・・

 

「なっ!?何だあれは!?」

 

「何!?」

 

「あれは一体!?」

 

 

突如トリスタニアの上空に巨大な飛行物体が現れ、街の人々は恐怖した。

 

それは明らかに、トリステインはおろか、ハルケギニア全土を探しても存在しない物であった。

 

バルタン星人の円盤であった。

 

 

『「あの円盤の中には20億の仲間がバクテリアサイズで眠っている、何時か生存可能な天体の惑星を見つけるその日まで。」』

 

「20億もの!?」

 

「そんな馬鹿な!!」

 

『「そして我々は無限に広がる壮大な宇宙を旅し・・・遂にある1つの美しい惑星を見つけた、この惑星と大して変わらぬ惑星を・・・。」』

 

「ならその惑星って所に行けばいいじゃないの!!何でこの国に来るのよ!?」

 

「その惑星って・・・まさか!?」

 

 

才人はその惑星に心当たりがあった・・・というよりは知っていた。

 

その惑星の名を、そしてその惑星ではなく、何故のこの世界に来たのかをなんとなくだが、予想でき始めていた。

 

 

『「その惑星には貴様等とよく似た種族が繁殖し、我々には大分と劣るが大きな文明が栄えている、1つの違いは魔法が存在しない事。」』

 

「魔法が存在しない?そんな馬鹿な話が・・・。」

 

「ありえるかも知れませんよ・・・。」

 

「王妃様?」

 

「今この様な事が無かったら、この様な考えは出来なかったでしょう・・・我々はこの大陸の事しか知らない、

あの壮大な海の向こうに何があるか、エルフ達が支配する砂漠に・・・我々が聖地として崇める場所に何があるのか、

我々は誰一人知る者は居ないのです。」

 

「つまり・・・・世界は我々が思ったよりも広く、その様な国があるとでも?」

 

「あくまで予想ですがね・・・。」

 

 

王妃はそこまで言うと、黙って再びバルタン星人の言葉に耳を傾けた。

 

 

『「しかし、その惑星には我々を邪魔する者が居た、そいつの所為で我々の数多くの同胞は命を失い!!

未だにその惑星を手にする事が出来ない!!」』

 

 

バルタン星人は突如恨みや怒りが篭った口調となり、そして片手のハサミを大きく広げ、そして・・・。

 

 

ドシューーーーーーーン!!

 

ドグアアアアアアアアアアアアアアアン!!

 

「「「「「「「「「「!?」」」」」」」」」」

 

 

バルタン星人はハサミから、白い弾の様な物を、トリスタニア外の平地に放つと、大きな爆音が鳴り響き、

平地には巨大なクレーター状の穴が開いていた。

 

 

「あっ・・・・ああぁ・・・・。」

 

「なんと・・・なんと言う威力だ・・・。」

 

 

そのクレーターを確認できたのは、今まさに飛び立ちアンリエッタを救出に行かんとする龍騎士隊のみであった。

 

そのあまりもの物威力に、龍騎士隊の誰もが絶望を抱いた。

 

 

『「十分力を抑えたのだが、あれなら貴様等の言うスクウェアメイジ100人分の威力と言ったところだ。」』

 

「なっ!?」

 

「そっ・・・そんな化け物に勝てるのか?」

 

 

龍騎士隊の全員が士気を失い、只呆然と飛龍に跨り、バルタン星人の作ったクレーターを見ているのであった。

 

 

『「これだけの力がありながら、何故この娘を人質にとるか分かるか?」』

 

 

それは誰もわからなかった、確かにあれ程の力があるのなら、初めからその力を振るい、攻めれば良かったのではないかと、

何故人質をとる様な真似をするのか誰にも分かるはずがなかった。

 

 

『「簡単だ、家畜とする動物を無駄に減らさぬ為だ。」』

 

「何!?」

 

「我等が・・・。」

 

「家畜だと!?」

 

『「この地は我等が、ある惑星を侵略する為の生物兵器の製造プラントとする、貴様等はその為の材料であり、

産ます為の家畜だ。」』

 

 

その言葉を聞いた貴族の沸点は一気に頂点を超え、殆どのメイジが今にも飛び掛る勢いで杖を取り出し、

アンリエッタが人質にされている事も忘れ、詠唱を唱えだす。

 

もちろんあの娘も。

 

「なんて・・・なんて侮辱を!!」

 

「落ち着けルイズ!!」

 

「離しなさい!!貴族を!!歴史あるトリステインに住まう人間を!!家畜扱いだなんて、侮辱にも程があるわ!!」

 

「だからと言ってあなた1人が言ってどうなる訳でもないのよ!!」

 

「それに今攻撃したら、王女様に当たるだろ!?」

 

「はっ!!姫様!!」

 

 

しかし時既に遅し。

 

プライド高いトリステイン貴族ゆえに、家畜呼ばわりされると言うこの上ない屈辱で、怒りに我を忘れ、

アンリエッタが人質にとられている事を忘れ、魔法を放ってしまったのであった。

 

 

「アンリエッタ!!」

 

 

マリアンヌは自分の娘に向って魔法が放たれるのを見て、大声を出し娘の名を叫んだ。

 

そして数多くの魔法はあと少しで、バルタン星人とアンリエッタに届く所まで迫る、しかし・・・。

 

 

ブウウウウン

 

ドガドガドガガガ!!

 

「「「「「!?」」」」」

 

『「愚かな・・・霞にも劣るプライドを傷つけられた程度で家畜が。」』

 

 

バルタン星人はバリアを張り、魔法の全てを防いだ。

 

 

『「少し勿体無いが、また増やせばいい・・・見せしめだ。」』

 

 

そう言い放ち、バルタン星人は街に向ってハサミを開く。

 

 

「ちょっと!!まさかさっきのあれを撃つ気か!?」

 

「しかもこっちに向って!!」

 

『「身の程を弁えるがいい・・・。」』

 

「やられる!!」

 

 

才人は自分を含む周りの人達の死を直感した。

 

誰もがそう思ったその時。

 

 

しゅううううぅぅぅぅぅ・・・・

 

『「何だ?」』

 

 

突如バルタン星人の周りを白い霧が包み、それが次第に上がって行き、遂にはバルタン星人の全体とアンリエッタを包み込んだ。

 

 

「あれって・・・ひょっとして、フリーズ・スモーク?」

 

「でも誰が?」

 

(確かそれってタバサがあの時使った魔法・・・まさか!?)

 

 

才人はまさかと思い、フリーズ・スモークが発生している辺りを見た。

 

すると一瞬だが、ドラゴンの影がフリーズ・スモークの中へ突入するのが見えた気がした。

 

 

「きゅい!!寒いのね!!怖いのね!!」

 

「あと少しの辛抱だ、頑張れシルフィード!!」

 

 

そう、ドラゴンの影の正体は、シャルロットの使い魔シルフィードであった。

 

そしてその背には、光牙とシャルロットも居た。

 

冷気の煙の中を猛スピードで飛行している為、彼等が体感している寒さは相当な物であった。

 

何故彼等がこの様な事をしているかと言うと、数分前に遡る。

 

アンリエッタ救出の作戦を話す前に、光牙はシャルロットに、シルフィードを呼ぶ様に伝え、シルフィードがバルタン星人に気付かれない様に2人の下に来た後の事である。

 

 

「まず、シャルロットはフリーズ・スモークで、あのお姫様諸共バルタンの全身を包む、出来れば昨日、

ゴルガとメバルに使ったのより濃くは出来るか?」

 

「出来る。」

 

「よし、次に俺がシルフィードに乗って、一直線にお姫様の所に向って飛んで、姿を確認できたら、こいつで気絶させて救出する。

 

 

光牙はGUTSハイパーガンのカートリッジを、電撃を発するスタンショットタイプに交換した。

 

麻酔弾を使う手もあるが、バルタン星人に精神を犯されている可能性もある為、威力を抑えた電気ショックで気絶させる事にしたのだ。

 

今のバルタン星人は、アンリエッタと直接精神や痛覚がリンクしている状態にある為、電撃で強い衝撃を与える事で、

バルタン星人にもダメージを与えられると踏んだのだ。

 

 

「シルフィード全速力で頼む。」

 

「きゅい~~~また怖い目にあうのね、でも仕方ないのね、頑張るのね!!」

 

「コウガ私も一緒に行く。」

 

「シャルロット?」

 

「私が上手くフリーズ・スモークをコントロールして、コウガとシルフィードの負担を減らす。」

 

「・・・・危険だぞ。」

 

「覚悟はある。」

 

「・・・・・お姫様を救出したら俺は直ぐに行く、後は頼むぞ。」

 

「分かった。」

 

「よし・・・・準備はいいか?」

 

「何時でも。」

 

「行けるのね!!」

 

「よし・・・・今だ!!」

 

 

そして、手筈通りにシャルロットがフリーズ・スモークを唱え、バンルタン星人の全身を包み、

シルフィードに乗って、アンリエッタの方へ向い飛翔した。

 

フリーズ・スモークの中は視界が悪く、シャルロットがコントロールしているとは言え、とてつもない寒さであった。

 

それでもシルフィードは全速で飛び、アンリエッタへと向う。

 

光牙も、精神を落ち着かせ、神経を集中、ハイパーガンを構える。

 

 

「・・・・・今だ!!」

 

バシュン!!

 

 

アンリエッタの姿が見えたのを確認すると、光牙はスタンショットを放った。

 

 

バチン!!

 

『「ぐっう!?」』

 

 

光牙の放ったスタンショットがアンリエッタに命中し、同時に精神をリンクさせていたバルタン星人にもダメージを与えられた事により、

バルタン星人の体が揺れ、冷気の煙が激しく揺らめく。

 

アンリエッタは気絶し、そのまま地面に向って落ちようとしていたが、すかさずシルフィードがアンリエッタを追いかけ、

光牙が受け止めた。

 

 

「よし!!シャルロット!!」

 

「煙から出て!!」

 

「きゅい!!」

 

 

シルフィードは旋回してフリーズ・スモークから抜け出す、その際にバルタン星人の眼前を通り、その姿をバルタンに確認された。

 

 

体には所々霜が付いている等、髪の先端が凍たっりしており、フリーズ・スモークの中がいかに極寒だったか物語っていた。

 

 

『おのれ・・・こざかしい人間め・・・よくも!!』

 

バシュン!!

 

 

バルタン星人は怒り、シルフィードに向ってハサミから光線を放った。

 

それと同時に纏わり付いていた冷気の煙は飛び散って、バルタン星人の姿があらわとなった。

 

 

「きゅい!!追いつかれるのね!!」

 

「シャルロット!!」

 

「うん・・・いってらっしゃい、そして勝って!!」

 

「あぁ・・・必ず勝つ!!」

 

 

光牙はそう言いながらシャルロットの頭を撫で、そして立ち上がりバルタン星人の光線に向って走り、

シルフィードから飛び降りた。

 

その手にスパークレンスを持って。

 

 

「ティガーーーーーーーーーーーーー!!」

 

ピキュイイイイイイイイイイン

 

バシューーーーーーーーーーーン!!

 

「フォッ!?」

 

 

光がバルタン星人の光線を防ぎ、バルタン星人や街の人々は驚いた。

 

そして光が収まり・・・。

 

 

ドシーーーーーーーーーーーン!!

 

「デェア!!」

 

 

ウルトラマンティガが現れた。

 

 

「あの巨人は!?」

 

「まさかあれが・・・オールド・オスマン氏の報告にあった・・・。」

 

「ウルトラマン・・・ティガ・・・。」

 

 

宮殿では国の重役達が突如現れたティガに驚くも、マリアンヌとマザリーニだけは不思議と何処か安心していた。

 

それはオスマンの報せで知っていたからかは不明ではあるが、ウルトラマンの放つ雰囲気を感じ、安心していたのであった。

 

 

(光牙!!)

 

「ウルトラマンティガ!!助けに来てくれたのね!!」

 

「遅いじゃないの!!何やってたのよ!!」

 

 

才人達3人(ルイズは少し違うが)は、ティガが現れた事に大いに喜んだ。

 

 

「おでれーた!!相棒あの巨人知ってんのか?」

 

「あの巨人は、ウルトラマンティガ!!俺達の・・いや・・・この世界全ての命を守る救世主だ!!」

 

 

バルタン星人は驚いていた。

 

目の前に自分と対峙する者の姿に、その光に。

 

 

『貴様はウルトラマン!!何故この世界に!?』

 

『この星を去れバルタン!!如何なる理由があろうと侵略行為は許さない!!』

 

『おのれ・・・ウルトラマンという者共は何処まで我等の邪魔を・・・だが宇宙に散った我が数十億の同胞の為!!

なんとしてもこの星を我が手にし、地球をも我が手に。』

 

『我が名はティガ!!ウルトラマンティガ!!この星を、そして地球もお前達の好きにはさせない!!』

 

「フォッ!!」

 

「デュア!!」

 

 

今次元を超えた星で、異界の者同士の戦いが始まる。

 

 

To be Continued

 

 

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