あれはほんのささいなミスじゃった。紙を二枚、その二枚を間違ったところに置いてしまった。そのせいで二人の命を奪ってしまうとは。
まずわしは最初に死んだ男をこちらにつれてくることにした。
「すまない。わしのせいでお主を殺してしまった。」
そういうと、男は少し考えた後ににやにやしだし、「転生フラグきたこれ、かつる・・・・・」とかいっていた。
「許してくれるか。」
わしがそういったとたん、男はイライラした口調で、
「はっ?許すかこの糞が!どうしてくれるんだ!転生でもしてくれない限りゆるさねぇよ。」
いや、イライラしているようで、願望がだだ漏れじゃった。本来ならこやつは天国に行けないじゃろうな。
「それは、「やるよなぁ。俺を殺したんだしな!」むぅ。」
こちらが悪いのは確かなんじゃが、人間というものはこんなにも醜い物じゃっただろうか。これ以上見ておられん。
「分かった。転生させてやろう。」
「よっしゃぁ!これでなのは達に会える!!」
なのは?ふむ・・・・・、人間界のアニメというやつか。こやつとはもう関わりとうない。
「よかろう。では、達者でな。」
そうして、その世界の種に繋ぐ穴を開けようとしたら、
「ふざけてんのか!特典はねぇのか!」
特典か・・・・・、最初は転生も特典もあったのじゃが、こやつにはやりとうなくての。誤魔化せんかったか。
「なら言ってみろ。」
「へっ。最初からそうしていれば良いんだよ!銀髪オッドアイでニコポ、ナデポ、あと魔導士ランクSSSの実力と王の財宝だ。いいよな?」
「もう良い、ほらさっさと行ってこい。」
「へっ、待ってろよなのは!!俺が幸せにしてやるぜ!!」
なんと哀れな。無理やりの幸せなど。
わしは次の被害者を呼んだ。そやつは本来死ぬはずだった娘をかばって死んでしまったらしい。死神の鎌を防いだやつじゃ。自分の命を使ってじゃがな。どんなやつがくるのじゃろうか。
わしはそやつが現れた時綺麗なやつと思ったが、急いで謝った。
「すまなかった!」
「貴方はだれ?」
まさか即答で返されるとは思いもしなかったわしは、土下座はオーバーじゃっただろうか、と土下座をしながら思った。そしてわしは、まだ名乗っていなかった事に気づいた。さっきも名乗ってなかったがのう。
「わしはゼウス。この世界の神をやっておる。」
そして、改めて顔を見た。良く言えば神秘的、悪く言えば何を考えてるか分からない顔をしていた。まるで触れてはいけないような。
「なんで神がわざわざ私のところまで来たの?」
「そのことなんじゃが・・・・・申し訳ない! わしのミスでお主を殺してしまった。」
その事を伝えても反応がなかった。怒るのか、またさっきのように願望を見せつけられるのかと思っていたが、帰ってきた言葉は、
「ミスって何をしたの?」
どうしてそんな事を聞くのかと思った。しかし、聞かれたのじゃから答えないといけないので正直に理由を話した。
「人の資料を整理している時に、誤って死者の書類と混ぜてしまい、そのまま死神によって殺されることになってしまったのだが、お主の場合少し違っての。死ぬはずだったのはお主が助けたおなごだったのじゃ。」
「その娘は無事なの?」
あの助けた娘か。
「お主が助けたから死神が書類を戻しにきたのじゃ。だから怪我はしておろうが無事じゃ。」
その時、初めてこやつから表情が現れた。それは小さいながらも笑みのような気がしたがすぐに戻ってしまい、今となっては分からずじまいじゃ。
「そう、ならいい。で、私はどうすればいいの?」
「許してくれるのか?」
わしは不思議に思ったのじゃ。悪いのはこちらなのに文句を言わずにこちらにどうすれば良いのか聞いてくる。しかし、帰ってきた言葉はこちらの予想を超えていった。
「許しませんよ。子供を危険にさらしたのですから。」
許さない。こやつもまたさっきのやつのようなのか。そう思ったのじゃが、
「やはりそうか。「罰としてもうこのようなミスを起こさないことを約束してください。」え?」
わしは唖然とした。そうしたら、理解していないと思ったらしく、
「これ以上のミスは許しません。ここで終わりにして、今後の糧にしてください。」
その時の表情から、昔に並々ならぬ事があったと思った。それを隠しながらも未来を見据えていた。それを奪ったのはわしじゃ。
「あ あぁ。分かった。約束する。それと、お主、転生してまた生きて過ごして見ないか?」
また未来を見て欲しい。純粋にそう思った。
そうしたら、少し間があいて、
「今なんていいました?」
と帰ってきた。このまましんで行くと考えておったのであろう。
「転生してみないかと言ったんじゃ。」
しかしそう簡単には首を振らなかった。
「それは自然の摂理に反するのでは?」
普通なら反する。しかし今回はこちらの不手際があるが、こやつは納得しないだろう。なら、
「それについては大丈夫じゃ。お主は命を救ったからの。その分の命はお主のものじゃ。」
「どうして転生を?」
それでもまだ首を振らない。そんなにも引っかかるものがこやつにはあるというのか。生を拒むようなものが。
「なにもしないとわしの気がおさまらんのじゃ。」
これも本心じゃ。何故か分からんが、ここで終わっていい命とは思えんのじゃ。
「転生するとしたらどこに転生するんですか?」
するとしたら、か。転生先は、あの男がいったとこになるじゃろう。
「魔法少女リリカルなのはというところじゃ。」
少し考えておるようじゃった。
「どうかのう・・・・・?」
「・・・・・いいですよ。」
「ほんとうか!!ありがたい」
少し間があいたが、了承をとれた。それだけでもわしは嬉しくなった。いつぶりじゃろうか。感謝の言葉を述べるのは。
「じゃあ転生しましょうか。」
「まてまて、願いごとはないのか⁉」
人間じゃから欲があると思っておったが、何も言わずに転生しようとするとは。
「願いごとってなんですか?」
「こちらが迷惑をかけたのじゃ。これくらいさせておくれ。」
もともとするつもりじゃったからのう。しかしその願いごとも驚いた。
「私の家族に言葉を伝えてください。先に死んでごめん、と。あと子供達に明るい未来がありますように。」
なぜ、こやつを殺してしまったのか。わしは悔やんでも悔やみきれなくなった。じゃから、一つでもいいので、自分の幸せを願ってほしくなり、
「お主自身に対して、転生した後の願いはないのか⁉前の奴は自分のことばっかだったぞ」
そう言ってしまった。そうしたらそやつの顔が見えなかったのじゃが雰囲気が少し変わり、
「私はいいです。普通に生きて行きたいので。」
こやつには幸せを願うことも生きている時には出来なかったのか⁉普通に生きたいなど・・・・・。やはり少しくらい自身の事を考えて欲しいのじゃが、言っても聞かんじゃろう。
「そうか・・・・・。では、元気での。」
「はい。では。」
表情が変わったのは一回だけ。もっと笑って欲しいのう。じゃからわしは少しだけあやつに特典を与えた。さっき調べたのじゃがリリカルなのはというやつには危険があるらしい。怪我が少ないように、あやつにささやかな幸せを。これであやつが幸せになると良いのじゃが。
わからなかった人の為に補足。神様は心は読んでいません。こちらが悪いのに、心を読むのは失礼。みたいな感じなので。厳格な神様なんです。あと低姿勢なのは、最初の男が無茶苦茶だったので、あいつが嫌だったのです。ところがどっこい、次の人が良い人すぎる。なので驚いた神様は慎重なのです。慎重だった神様は主人公のことを深読みしています。昔になにかあった・・・・・みたいな。
そして最後の特典というのは、幸運が上がったのと、怪我をしにくくなってます。今後、この神様が出るかは分かりません。