《ぐーたら男と終焉の剣》~拾ってみたら日常生活でめっちゃ使えましたw~   作:どるふべるぐ

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本日四月一日より、新章『世紀末編』突入!

前回までのあらすじ

――時は神々の黄昏(ラグナロク)。世界は、終焉の炎に包まれた。

大地は割れ、海は蒸発し、不毛の荒野が広がる無法の世界。人も巨人もそれから神も、生きとし生ける者は全て滅んだかに思えた……だが――人類は、まだ滅んでいなかった……!



世紀末炎剣伝説 終焉の剣 

 我が名は《スルトの炎剣》。

 ラグナロクにて全ての世界を焼き尽くした終焉の剣なり。

 

 終焉の日、闘いの時、天地万物は震撼し、開戦を告げる角笛(ギャラルホルン)が鳴り響く。大罪により封じられていた父上ロキは解き放たれ、我が兄弟達と共に神々に戦いを挑む。そして復讐に燃える巨人達もまた進撃を開始し、オーディン率いるヴァルハラの神軍がこれを迎え討つ。これぞ神と巨人と魔物が織りなす世界最期の大戦争――《神々の黄昏(ラグナロク)》。

 

 この戦いにおいて、炎の巨人《スルト》に振るわれた我はただの一振りで地を焼き、ただの一突きで天を焦がし、ただの一薙ぎで星をも墜とした。神も巨人も容赦無く、わ善も悪も隔て無く、神魔人獣何もかも、我が終焉の炎にて焼き払ったのだ。

 かくして旧き世界は終わりを迎え、長き時が流れた後に、我が炎より生き残った僅かな人間と神々による新たな世界が始まる。――だが、そこは楽園ではなかった。

 

 乾いた風が吹き荒ぶ、不毛の荒野。そこにかつて青々と茂っていた木々は無く、地を彩る花々はとう枯れ果てた。虫も獣も無く、あるのは岩と砂、そして荒れ果てた廃墟のみ。もはや全ての生物が死に絶えたのではないかと思える、そんな大地に、だがしぶとく生き残っている者たちがいた。それこそが――

 

「「「「ヒャッハーーー!!」」」」

 

 大地を埋め尽くす無数のヤンキー軍団だ!

 モヒカンでパンクファッションでゲヘゲヘ笑いながらナイフを舌でベロンと舐める、そんなゴキブリ並みに生き汚いマッドがMAXなヤンキー共が跋扈し、この世界を暴力で支配しているのだ。

 そうここは、文明は崩壊し法も倫理も忘れ去られた無法の世界。そこで我は――

 

 

 

『さあ愚民共、我の銘(なまえ)を言ってみよーー!!』

「「「《スルトの炎剣》様ーーーー!!!!」」」

 

 

 

 ヤンキー全てに崇められていた!

 

 お供え物である金銀財宝に飾られた巨大ピラミッド型の祭壇――その名も炎剣十字陵。そこに荘厳と祀られた我を、老若男女全てのヤンキーが歓喜と畏敬の念を以て崇拝する。誰もが我を尊敬のまなざしで見つめ、拳を突き出し声を張り上げ賛美する様はまさに壮観じゃ。

 だがまあ当然じゃな。ここは力のみが支配する世界。旧世界を滅ぼした無敵で最強で最高にイケてる我を愚民共が崇めぬはずはない。何たって神だって倒したんじゃしな。ふーははははー! 美神フレイ? ワンパンで燃やしてやったわww

 

「パネェ! マジパネェっすよ炎剣様!」

『ふははははー! そうじゃろうそうじゃろう!』

「超イカスっす俺達ヤンキーの憧れっすよマジリスペクトー!」

『よいよいどんどんするがよい。天より崇めよ神より讃えよこの我を!』

「結婚してくれえええええ!!」

『熱意は伝わったが断固断る!』

「きゃーーー抱いてーーーーその熱くて硬い剣身で私を貫いてーー!」

『お主ら性癖歪んでおるな!?』

 

 ふっ、じゃが嫌悪はすまい。全ては我が魅力的すぎるのが悪いのじゃからな!

 そんな我が威様に陶酔し、我が言葉に歓喜する群衆達。その誰もが、記憶に、魂に、我という存在とその銘を深く刻みつけておる。よい……好いぞ!

 

『これじゃ……これこそが我が求めた光景。我が伝説の完成形じゃ!』

 

 高らかに叫ぶと、更なる歓声が天地に轟く。その熱気と興奮が炎の如く膨れ上がるたび、我の気分もいやおうなしに盛り上がってきた。

 

『好い気分じゃ! さあ愚民共、今一度我の銘(な)を叫ぶがよい!』

「「「「《スルトの――」」」」

 

「《レーヴァ――ぎゃああああああああああ!?」

 

『……今、なにやらレー何ちゃらとか叫んだ奴がいたような気がしたがそんなのは気のせいじゃ。ここにいるのは我に燃やされた消し炭。ただの消し炭がしゃべる訳はないじゃろう? そ・う・じゃ・ろ・う・?』

「「「はいその通りっすーーーーーー!!」」」

 

 プスプスと煙を上げる消し炭を前に、ヤンキー共が恐れおののきガクガクと頷いたのを確認した時、突如、荒野の彼方からこやつらとは別の雄叫びが轟いた。何事かと目を向ければ、そこには舞い上がる小山のような砂煙が。それは大地に轟く無数の足音と共に、怒涛の如くこちらに迫ってくる。

 

「炎剣様ーー! 何者かがカチコミかけてきましたー!」

『小癪な。……まあよい。ならばここは我が圧倒的に焼き払い、我に刃向かう事の愚かさを教えてやろうぞ!』

「うおぉぉぉぉぉさすが炎剣様! 俺らに出来ない事をあっさりとやってのける!」

「そこに痺れる憧れるぅ!」

『ふははははっ! さあ瞼を開き脳裏に刻め。我が戦いと――その最強を!』

 

 燃えるように熱い我が言葉で湧き上がる更なる歓声を浴びて、我は身の程知らずの襲撃者共を迎え討つべく、今だ砂煙に隠れた敵勢を睨みつけた。

 ふっふっふ……百か千か、いや万はいるか? じゃがどれほど来ようとも所詮は塵屑塵芥。我が炎を更に燃え上がらせる燃料に過ぎん。――さあ来い。たとえ何であろうとも、我は総てを焼き尽くしてやろう!

 

 そして遂に、敵勢は我らの眼前にまで到達し、砂煙の向こう側からその姿を現した。

 それは赤黒くぶよぶよとして、太陽の光を浴びて鈍く光る、およそ人間とも思えぬグロテスクな……ってうおおおおおおおい!?

 

「人か……獣か……いや違うッ!? あ、あれは――肝臓!」

「レバーの軍団が攻めてきたああああああああああ!?」

 

 赤黒い色にぬらりとした表面。押し合いひしめき地平線まで赤黒く埋め尽くすそれは、まさしく肝臓すなわちレバー――ってなんじゃそりゃーーーーーー!?

 

「レバー!? レバーナンデ!?」

「うわーん! 怖いよキモいよ生臭いよママーー!」

「だいじょうぶよ坊や! きっと炎剣様が焼き尽してくれるわ!」

『ふぇっ? ちょっ、待て……あれを焼けと!?』

 

 雄叫びを上げる肝臓の群という、悪夢の黙示録めいた光景に怯える群衆の瞳が、縋りつくように我を見る。じゃがそんな目で見られても嫌じゃわいっ!

 

『我は世界を焼いた終焉の剣ぞ! 何が悲しくてレバーなんぞ焼かねばならんのじゃ!?』

「そんな殺生な!? お願いですから焼いて下さい!」

「「「「焼イテ焼イテー♪」」」」

「ほらレバーもそう言ってってレバーが喋ったああああああ!?」

『気持ち悪っ!? 絶対焼きたくないわあんなもの!』

 

 じゃがこんなことをしている間にも奴らは猛然と迫ってくる。何か……何か奴らを止める手は無いのかッ。……無いな! ついでに神に祈ろうにも神も仏も無いな我が焼いたから! 

 

「そんな!? このままじゃ世界はッ、世界はレバーに埋め尽くされうわあああああああ!?」

 

 泣き叫ぶヤンキー!

 

「「「「焼イテー焼イテーコンガリ焼イテー❤」」」」

 

 喋るレバー!

 

『嫌じゃああああああああ!! 我は、我はレバーなんて焼きたくないいいいい!!』

 

 そして我! 

 

 天も、地も、世界の総てが赤黒い肝臓色に埋め尽くされ、無力な人類は怒涛のレバーに呑まれていく。そして奴らは絶叫する我の灼熱の剣身に次々と張り付き、ジュウジュウとその身を焼き始めた。滅び逝く世界には肉の焼ける香ばしい匂いが充満し、レバー共の恍惚の声が響き渡る。

 

「「「「上手ニ焼ケマシターー❤❤❤」」」

 

 ――そして、世界はレバーになった。

 

『地獄じゃあああああ!! ここは地獄じゃあああああああああ―――――

 

 

 ×××

 

 

 ――ああああああああああああああああ!!』

 

 視界を埋め尽くすレバー軍団に絶叫した次の瞬間――我の視界に映ったのは、見知らぬ天井だった。

 

『……ふえ?』

 

 呆然と声を漏らす我を見下ろす、染みの浮かんだ古びた木の天井。

 困惑しつつ怖々と周りを見渡せば、そこは最低限の物しかない殺風景な部屋だった。

 薄く平べったい東洋の寝具――布団と小さな箪笥、そして我が横たえられた卓袱台など数点の家具がポツンとあるだけの空間。ここにはレバーの生臭さも、ヤンキーの悲鳴も無い。ただ窓から差し込む朝の光だけが穏やかに我を照らしている。

 

『……夢、じゃったのか?』

 

 ゆえに今まで見ていたのが悪夢だったと悟った瞬間、どっと力が抜けて、盛大に安堵の声が漏れた。

 

『夢じゃったか~~っ……! よかった……っ』

 

 本当に、ほんっとーーーーによかった!

 あのまま強烈なレバーの臭いと感触に包まれていたら、あまりの恐怖と絶望に精神が崩壊するところじゃった。

 

『それにしても……なぜ我はあのような夢などを……?』

 

 よりにもよってあんな、無数のレバーに殺されかけるなどといったシュールかつ奇妙奇天烈な悪夢を見るような理由など我には……――いやあった!!

 

『そうじゃ!! あ奴じゃ……!!』

 

 思い出すも忌々しいあの男――九十九洋吾(つくもようご)!

 昨夜、わが父神ロキによって、ここ人世界(ミッドガルド)に送りこまれた我が最初に出逢ったあの男は、たかが人間でありながら終焉の剣たる我との神聖な契約の儀を『抜いちゃった☆』でブチ壊したあげくそのまま主となり、あまつさえその後自宅に連れ込んだ我を無理やり……ッ。

 

『主従の契約を結んだ我が抵抗できぬのをいいことに、力ずくで好き放題しおって~~ッ』

 

 今思い出すだけでも怖気がする、我が刀身に乗せられたレバーがジュウジュウ焼けるあの感触とぬらぬらした油の臭いッ。

 

『あのような悪夢を見たのはきっと、あれがトラウマとなったからに違いないのじゃ!』

 

 ゆ る せ ぬ !

 

『みておれよぉ……ッ。次にまみえた時には必ず、我が恐ろしさを味わわせ盛大な悲鳴を上げさせてやろうぞ――九十九洋吾よ!』

 

 

「呼んだー?」

 

 

『にょわああああああああああああああ!?』

 

 沸き上がる憤怒を言葉に変えて叫んだ瞬間、当の本人の声がかけられ、我の方が盛大な悲鳴を上げてしまった。

 

「うおっ……!? びっくりした~。口も無いくせにすごい声出すんだな……」

 

 と言いつつ、眉を僅かに動かした以外は特に表情を変えずにいる青年こそ九十九洋吾。件の悪夢の生みの親にして、我が主じゃ……っ。

 主は玄関近くにある台所に立ち、包丁を片手にまな板の上で何かを切っておる。それが何かは我の位置からでは角度的に見えないが、おそらくは朝食じゃろう。ぐぬぬ…ッ…こっちの気も知らずに暢気にしおってぇ。

 

『びっくりしたのはこっちじゃ馬鹿者! というかお主、昨晩はよくも我にあのような……ッ』

「昨晩……? ああ。レバニラめっちゃ美味かったよ。さすがは世界を焼くって言ってるだけあるな。肉の焼き易さとかすんげー感動した」

『!? ふ、ふむそうかっ。ま、まあ我は終焉の剣じゃし。総ての剣の頂点に立つと言ってても過言ではないからのっ。ゆえにレバーを焼くなど容易い事――ってちゃうわい!?』

 

 あ、危ない……ッ。あまりに屈託なく褒める物じゃから危うく絆されてしまう所じゃった。ぐーたら駄目人間に見えてこの男、油断ならぬな……。

 

『……ふむ。ここは改めて、こやつの為人を見極めてみるとするか』

 

 低くつぶやき、我はまな板に向かう主の姿を観察した。

 まず目が行くのはその体格だ。やる気の無い猫のように背を曲げていてなお、180に届く長身。かといってヒョロリとしている訳でもなく、むしろ見るかぎり程よく引き締まっている。が、問題なのはその顔だった。

 

 碌に手入れもされていないだろう髪はざんばら。好き勝手に伸び放題で、毛先などは口元にまで届いている。そのため顔立ちはろくに見えず、唯一覗いている瞳がこれまた酷い。

 一言で表すのなら、そう――《無気力系駄目人間(ぐーたら男)》の瞳だ。

 

 うん……そうとしか言えないな。まずやる気というものが無い。それはもう一滴も一粒も欠片も微塵も無い。ついでに言うなら覇気も無い。気力も無い。つまりは何も無い。あるのは無気力それから怠惰。出逢ったばかりの我ですら一目で『あ、こいつ自分の興味のある事以外は徹底してやる気無いな』と分かるくらい、やる気の無い気だるげな瞳なのだ。

 そんな瞳で動作の一つ一つもまたのっそりとしたものだから、この男、もはや人間というよりも森の珍獣ナマケモノを思わせる奴である。

 

『むぅ……。半ば勢いで契約したとはいえ、これが我が主じゃというのか……』

 

 なんだか我、哀しくなってきたぞ……。

 己が主の見ただけで分かる駄目人間振りに、思わず溜息を吐いた時、当の主が寝起きの気だるげな声で問い掛けてきた。

 

「そういやお前今日暇? なんか予定とかある?」

 

 唐突な問いに首を傾げつつ(あくまで心の中でじゃぞ)我は答える。

 

『特に無いぞ。だいたい昨夜ミッドガルドに来たばかりの我に何の予定かあるというのじゃ?』

「それもそうか。んじゃ、これから出かけるからちょっと付き合ってくれよ」

『構わぬが……何処へじゃ?』

「バイト先。あとレバーが切れたから買い出しもだな」

『ほう。お主、仕事をしておったのか』

 

 意外だ。てっきり無職のプー太郎かと思いきや、このなりでキチンと職に就いておるのか。……いや,むしろそれが当然じゃな。終焉の剣たる我の主たる者プーでは格好がつかぬ。むしろ頂点に立つ者となってようやく我に相応しくなるのじゃ。まあ、こやつにそこまで求めるのは酷というものか。

 

「仕事というかバイトだけどな」

『? 仕事はアルバイトじゃろ?』

 

『アルバイト』はドイツ語で『仕事』。故にその『バイト』も『仕事』の事じゃろ? ふむ、何も間違ってはいないな。

 

『しかし意外じゃの。勤労意欲が無さそうに見えてもお主、ちゃんと社会人としての義務を果たしておるのか。ふむっ、それでこそ我が主じゃ』

「まあ資本主義社会は金が無いと何も出来ないからな。それに働かにゃ肉代が稼げないんだよ……」

 

 感心して褒めたものの、当の主はというと気だるげな表情に憂鬱の色を浮かべ、深々と溜息をついた。それはもう、心の底から億劫そうに――

 

「はぁ……、いつか働かなくても食っていけるヒモニートになりたい」

 

 ……やっぱり我、選ぶ主を間違えたのかもしれない。

 

 

 × × ×

 

 

 ――外への扉が開いたその瞬間を、我は生涯忘れることは無いだろう。

 

『おぉ……』

 

 玄関の扉の隙間から光が差し込み、開け放たれた瞬間に降り注ぐ。

 流れ込む外の空気は温かく、名も知らぬ花の香りがふわりと舞い込んだ。

 そして視界に広がったのは、柔らかなそよ風に桃色の花弁がひらひらと踊る春の街――初めて見る、人の世界。

 

『おおっ……おおおっ……!』

 

 思わず漏れる、感嘆の声。

 アルバイト先に行くという主の背に風呂敷で(……)括りつけられた我は、眼前に広がる異界の光景に目を奪われた。

 

『これがミッドガルド――人の世界か!』

 

 ムスペルヘイムの焼き殺すような陽光とは違う、全てを優しく抱きしめるような日の光。

 澄み渡る空はどこまでも蒼く、高く、吹き抜ける風は爽やかに花の香りを運んでいる。

 

『美しい……。何と美しいのじゃ……っ』

 

 湧き上がる感動と震える高揚のままに呟く。

 そんな我を主は不思議そうに見ていたが、やがて「ああ」と一人頷いた、

 

「昨日は夜だったし、逃げるのに必死だったから景色を眺める余裕なんて無かったもんな。じゃあ、バイト先へ行きがてら改めて景色を楽しんでくれよ」

 

 口元に僅かな笑みを浮かべた主の声に導かれ、我は主と共に外の世界へと踏み出した。

 高鳴る鼓動を感じながら、未知の光に包まれて――

 

 ×××

 

 そこは、全てが胸躍る光景(セカイ)だった。

 初めて見る異国の街並み。初めて嗅ぐ花の香り。初めて浴びる風の柔らかさ。

 何もかもが初めてで――その全てが面白い!

 

『のうのう主よ! あれはなんじゃ?』

 

 ムスペルヘイムには無い、淡いピンク色の花が咲き誇る木々。

 春の風に撫でられながら、お洒落な街並みを色鮮やかに飾る名も知らぬそれは何とも美しい。

 思わず弾む声に、主ののんびりした声が答えた。

 

「あー……あれは桜だ。見るのもいいが食っても美味いぞ」

『なんと!? 見て楽しむだけでなく食べられるのか!』

「まあさすがにそのままじゃ食べないが、塩漬けにしたりジャムにしたり、生地や餡に混ぜてスイーツにしても美味いらしいぞ」

『ほうほう。すごいな桜! 見て良し食べて良しとは、我には及ばずとも素晴らしい花じゃ!』

「え……そこで同時に自賛すんだ」

『花より我じゃ!』

 

 とはいえやはり桜は美しい。そんな満開の桜の下では、多くの人間達が思い思いの時を過ごしていた。

 微笑みながら公園のベンチで鳩に餌をやる老人。塀の上で春眠を満喫する猫。仲睦まじく歩く恋人達。舞い落ちる桜吹雪にはしゃぐ小さな子供の傍では、父親と母親がそれを慈しむように眺めている。

 しかし、神や巨人に比べれば脆弱な人間など取るに足らぬ存在と思っていたが、こうしてくつろぐ姿を眺めるのは思いのほか悪くない。小さき者故の微笑ましさというか……うん、例えるなら蟻の行列を上から眺めているような感覚じゃな。

 

 そんな、ぽかぽかした春の陽気に誰もが心穏やかに過ごす街並みを眺めていると、意外な建物が目に入った。

 天を衝く尖った屋根、精緻な彫刻の施された外壁、その全てを染めるのは艶やかなピンク色。洋風の洒落た建物が並ぶ中、それはひときわ高く、そして重厚な存在感でもってそびえる――ピンク色の城だった。

 

『城じゃ! 城があるぞ! この町を支配する王の城か!?』

「城……?」

 

 思わず驚きの声を上げる我につられて、主もまた城に目を向けた。

 すると城を目にした主は、一瞬なんとも微妙な表情を浮かべて、

 

「……ああ、あれはラブホテルだ」

『あれがホテルなのか? しかし『ラブ』とはなんじゃ? ただのホテルとは何か違うのか?』

 

 聞き慣れぬ名称に心の中で首を傾げる我に、主は気だるげだが丁寧な口調で説明してくれた。

 

「主な利用目的かな。普通のホテルとは違って、中は変な部屋が色々あるらしから面白いらしいぞ」

『利用目的? いったい何をする所なのじゃ?』

 

 何となしに問い掛ける――すると、主が急に押し黙った。

 え、何じゃその反応? 宿といえば宿泊する以外にはないじゃろう? なのになんでそんな、我が子に「ねえ赤ちゃんってどうやったら出来るの?」と聞かれた父親のような顔をしておるのじゃ?

 醸し出される異様な雰囲気に困惑する我を前に、主はようやくその口を開く。

 

「――ナニをする所だ」

『ふむむ? じゃから何をする所なのじゃ?』

 

 何をする所かと聞いておるのに、答えが『何をする所』とはこれ如何に? 

 不可思議な回答に困惑する我に、主は再び押し黙った後で答える。今度は、更に強い口調で―― 

 

「だ・か・ら・ナニをスる所だ!」

『じゃ・か・ら・何をする所かと聞いておるのじゃ!! お主からかっておるのか!? ええい、ならば直接行って確かめようぞ! さあ今すぐラブホテルへ行くのじゃ!』

 

 答える気の一切無い主に、心の広い我もさすがに堪忍袋の緒が切れた。故に直接確かめんと急かすも、主は「いやー一人で行くのはちょっと……」とか「ひとりHのためにホテル使うとか俺にはレベルが高すぎる」などとよく分からぬことを呟いて動こうとしない。

 むむぅ……この無気力男がそこまで必死に抵抗するとは、いったいどのような所なのじゃラブホテル。気になる。気になるぞッ! ……とはいえ、主にここまで拒絶されては道具たる者これ以上は何も言えぬ。たとえどんな者だろうと主は主。一度己が意思で契約を持ちかけ結ばれた以上、逆らう事は不良品のする事じゃからの。(ただし誤った使い方をされた時は流石に駄目じゃ。特に肉を焼くなどはな!)

 

『むぅ……分かった。我はお主の道具。ここは主の命に従おう。……っじゃが、いつか絶っ対に、我をラブホテルに連れて行くのじゃぞ!』

「ああうん……いつかな」

 

 まったく、聞き分けの良い我に感謝してほしいものじゃっ。

 ……しかしこの男、無気力ではあるが我の問いには全て丁寧に答えてくれる。見た事の無い物を見つければ我はそのつど質問をしているが、主は一度も無視したり拒否したりはしなかった(……ラブホテル以外は)。主従の契約で縛られている以上、逆らえぬというのに……。

 

「少なくとも、心根はそう悪い男ではないか……」

「ん? 何か言ったか?」

「何でもないわい」

 

 小首を傾げる主に小さく微笑み、我は再び見慣れぬ街並みに目を向けた。

 

 

 × × ×

 

 

 そうして主と我は、桜並木の道を歩いていく。降りしきる桜吹雪の中をゆったりと進み、その風雅な様を楽しみつつ新たに目につく物を質問していく我に、主がふと

 

「そんなに面白いのか?」

 

 それは主からの、初めての問い。

 ふむ。これまで我の問いに答えてもらったのだから、ここはその礼の意味も込めて答えてやるべきじゃろうな。

 

『ああ。珍妙な乗り物と建物。いずれも我がいた国には無い物だからの』

「へー……お前のいた所ってどんなとこなんだ?」

『《ムスペルヘイム》――ユグドラシルの南の果てに在る炎の国じゃ』

「南の国かー。常夏のリゾートみたいな所か?」

 

 なんとも暢気に言う主に苦笑しつつ、我はその幸せな想像を訂正すべく答えてやった。あの永劫続く、灼熱の世界を思い出しながら。

 

『焼けつくような炎天の下、炎を噴き上げる大地が無限に広がる場所じゃよ。慣れればなかなか居心地が良いぞ』

 

 少し悪戯っぽく言うと、うげっと嫌そうな顔をする主。

 

「う……、暑過ぎるのは嫌だなー。ちなみに平均気温と湿度はどのくらい?」

『正確な数値は分からぬが、絶えず熱風が吹き荒れ灼熱の陽光が降り注いでおるぞ』

「年がら年中サウナ状態か……。悪いが俺には絶対に無理だな」

『それがよかろう。あまりに暑いのでムスペルヘイムに生まれた者以外は暮らせぬと言われているからのう』

 

 だがそこで汗だくでヒーヒーあえぐ主というのも見てみたい気がする。ろくに表情すら変えぬ無気力男が暑さでどのような顔をするのか、その姿を思わず想像してしまい、ちょっと吹き出しそうになるのを我慢していると――

 

「へえ……。そんなとこでお前はどう暮らしてたんだ?」

 

 そのなにげない問いに、荒涼とした景色が脳裏に蘇る。

 それは、無限に続く赤く乾いた大地をスルトと共に睥睨し続ける、永劫にも等しい時の記憶。炎に照らされ、熱風に吹かれ、灼熱の陽光に焼かれながら、我はただ――

 

『……待っておった』

「待ってた……?」

 

 そう……いずれ来る時を。我が存在とその意義が示される、神々の黄昏を。永い……永い間……。

 彼方の記憶に想いを馳せ押し黙った我に、主は小首を傾げつつ再び声をかけようとしたーー瞬間。

 

 ドン!

 

 主の背中越しに感じる、鈍い衝撃。向かい側から歩いて来た三人組の男のうち、一人の腕がすれ違いざまに主にぶつかり、主は歩みを止めて男たちに振り返った。

 

「あ、ごめ――」

 

 主が謝罪しようとした瞬間、ぶつかった方の男――見るからにヤンキー風のリーゼントヘアの少年が、自らの腕を押さえ凄まじい目で睨みつけてきた。

 

「痛ってーーなコラ!!」

「大丈夫っスかアニキ!」

「大丈夫じゃねーぞコラ! 腕が折れちまったぞオラ!」

『なんじゃこ奴らは?』

 

 曲がってもいない腕を押さえるリーゼントに、残りの二人――太ったパンチパーマとチビのモヒカンが声をかけ、大げさな仕草で慌てふためく。

 なんとも出来の悪い道化芝居のような光景に我が困惑していると、リーゼントの舎弟と思しき件の二人は目を吊り上げ主に詰め寄ってきた。

 

「おいテメェ! どうしてくれんだよアニキの腕が折れちまっただろー!」

「慰謝料払うんだな慰謝料!」

『ふん。そういう事か……』

 

 汚らしい口から出たその言葉を聞いた瞬間、我は納得し、そして侮蔑する。

 なるほど、どう見ても自分からぶつかってきておいて、曲がってもいない腕を折れたと言い張る。……つまりこやつらは、ただの下賤な汚物共だ。

 

「はっ、おい見ろよこいつ。背中に剣なんて背負ってるぜ!」

「ぷぷっ! きっとコスプレってやつなんだな。痛い奴なんだなww」

「オラ黙ってねえでさっさと慰謝料出せやコラ!」

『主よ。相手にする事は無いぞ。この手の腐った汚物は燃やす価値も無い。焼いたところで悪臭漂い不快となるだけじゃ。故に捨て置くのが最良……って、聞いておるのか主?』

 

 声をかけるも返答が無いので不審に思っていると、主のブツブツとした呟きが聞こえてきた。見ればその首筋は蒼白で、嫌な汗がダラダラと流れ肌は小刻みに震えておる。

 

「ああああああヤバイ……ッ。ただでさえ金が無いのに慰謝料なんか払ったらホントにスカンピンだ。お肉が買えなくなる……レバーが食えなくなるッ!」

 

 突如、追い詰められた珍獣ナマケモノの如く叫びだした主は次の瞬間、リーゼントの腕をガシッと掴み握りしめた。

 

「なっテメェ何のつもりだコラ! 放しやがれコラ!」

 

 突然の奇行に目を丸くするリーゼントが引きはがそうとするも、意外と力が強いのか腕を握った手はビクともしない。一方、主はそんな姿には目もくれず、普段は気だるげな眼をクワッと見開きブツブツと呟き続けている。ちと怖いぞ。

 

「折れているようで実は関節が外れているだけかもしれないだったら嵌め直せば何とかなるきっと大丈夫俺ならできるイエスアイキャン……ッ!」

「ちょっ!? テメェ何しようとしてんだコラやめ――」

 

 何やら狂気すら孕んできたその瞳に、生存本能の危機を感じたらしいリーゼントが叫ぶも、時すでに遅し。主は自らの両手に力を籠め、鬼の如き気合でもって全ての力を叩きつけた! ――リーゼントの腕の関節に。

 

「ふん!!」

 

 ゴキャッ!!

 

「ぎぃやあああああああああ!! 腕がッ!! 俺の腕がコラああああああああああああ!?」

「アニキーーーー!?」

「あああアニキの腕が曲がっちゃいけない方向にーー!?」

 

 かくて鈍い異音を発した腕は、哀れしっかりと曲がってしまったのだった。小気味良いわww

 

「あ、やっぱ無理だった」

『いやいや主よぐっじょぶじゃ。おかげで不快な道化芝居が笑える喜劇となったわ』

 

 やっちまったと肩を落とす主に、だが我は心からの喝采を送ろう。

 見よ、リーゼントがブランブラン揺れる腕を抱えて絶叫するさまを。我が父上ロキが見れば間違いなく腹を抱えて爆笑するぞ。

 

「テメエエエエエエ何しくさってんだゴラアアアア!!」

「ごめんな。少しでも希望があるならそこに賭けてみたかったんだ」

「素人治療が一番ヤベエんだよおおおおお!! どうすんだこれええええ!」

「あ、うん。……こうなったら仕方がない。医者に電話――する前に最寄りの弁護士事務所に連絡するからちょっと待っててな」

「怪我人の事より真っ先に保身に走るんだな!? 人でなし!! 下種野郎!!」

『おいおい自業自得じゃろう……』

 

 この手の汚物ほど自分を棚に上げるのが上手いとは言うが、あまりにもなそれに呆れていると、あろうことか逆上したモヒカンが主に殴りかかってきた。

 

「うおおおお許っせねえ! お前の血は何色だあああああ!!」

 

 だがその拳は、主が咄嗟に身をそらせたことにより空しく宙をきる。

 

「うおっ危ね。 マジすまん。謝るからここは弁護士が来てから話し合おう。な?」

「『な?』じゃねえよ! それにさっきから変な剣なんて背負ってふざけてんのか!」

「これはただの日用品だ。剣に見えるかもしれないが実は超美味しく肉を焼ける調理器具だから銃刀法的にセーフだぞ。きっと弁護士先生も味方してくれる」

 

 そう言って背負っていた我を手に取り「いやマジだよ。ヴィレッジヴァン●ードで3980円(さんきゅっぱ)で買ったから」と掲げて見せる主。

 くっくっく……。この世界の通貨の価値を知らぬ故、『さんきゅっぱ』というのがどれほどかは分からぬが、きっと我にふさわしく途轍もない値段に違いない。

 そんな主の言葉にモヒカンは呆気にとられていたが、やがてその顔がみるみる怒りに染まっていき

 

「おちょくってんじゃねええええええ!!」

 

 怒声と同時、叫ぶモヒカンの手が我に向かって伸ばされる。叩き落とそうとでもいうのか、奴の手は真っ直ぐに我へと伸びていき、その指先が触れようとした――瞬間

 

 

 

『――触るな汚物共』

 

 

 我が憤怒が、その全てを止めた。

 

「「「――――ッッッッ!?」」」

 

 迫るその手が、震えて止まる。

 喚くその口が、慄き絶句する。

 我が言の葉に。我が憤怒の気に。我が煮え滾るこの殺意に。

 圧倒的な死の予感を感じた生存本能がそうさせたのか、例え声が聞こえずとも我が刀身より溢れし怒気が、この場の全員の動きを止めて――硬直させた。

 

『性根の腐った悪臭漂う汚物の分際で――貴様ら、一体誰に触れようとしている?』

 

 苛立ちがふつふつと煮えていく。不快に滾って止まらぬわ。

 舞い落ちる桜吹雪の中、ぐーたらではあるが誠実な主との語らいは、存外に悪くなかった。永劫にも等しい時の果てよりずっと炎国に居た我の見た事の無い物を眺め、新たな知識を得るこの一時がどれほどに面白く、そして楽しかったか……貴様等にはわかるまい。

 たかが汚物が、地を這う矮小な人間共の選り屑が、それを台無しにしたことの罪深さすら理解できんのだろうなぁ……ッ!

 もはや目眩すら覚える程の愚行に怒りがこみ上げ、我が黒岩の刀身に走る亀裂から炎となって溢れ出る。荒れ狂い赤く輝くそれは、汚物共の恐怖に染まった顔を赤く照らしだした。

 

「な、なんだ…ッ…なんだよこれぇ!?」

「あ、熱いんだな……怖いんだなぁぁッ!!」

 

 怒れる炎が空気を熱する。たちまち春の陽気は焼き尽くされ、この場を炎獄の熱気が覆い尽くした。

 理解を絶する事象に怯える汚物共の顔を濡らすは、溢れ出る脂汗。それすらも沸騰して蒸発させる炎に汚物共は更なる恐怖を抱き、リーダー格のリーゼントはそれをごまかすかのように喚いた。

 

「て、テメェら落ち着けコラ…ッ。…どんな手品か知らねえが、こんなもんただのこけおどし――!?」

 

 その言葉に我が抱くのは、やはり侮蔑。

 

『脅しかどうか理解する知性も無いか。なるほど脳まで腐っておるのならば仕方がない。……ならばよかろう教えてやる。――我が殺意(ほんき)をな』

 

 声は聞こえず言葉は通じずとも感じるだろう、灼熱の殺意を籠めて

 

『汚物は焼却じゃ! 血肉血液諸々全て、一片残さず燃えて散れい!!』

 

 同時に炎を迸らせ、リーゼントの頭髪を舐める様に焦がした。

 辺りに充満する、髪の焦げる臭い。焦げ付いた頭のチリチリという音に、汚物共はついに悲鳴を上げて我先にと逃げ出した。

 

「ひ、ひああああああ!!」

「殺されるんだなああああ!?」

「俺を置いてくなコラあああああ!!」

 

 無様に背を向けて逃げていく、三人の汚物共。

 

『くっくっく……。逃げろ逃げろ――だが逃がさぬ!!』 

 

 我と主を愚弄した罪、我が炎を以て罰してくれ―― 

 

 

「――いや逃がせよ(ゴン☆)」

 

 

 ようとした瞬間、主のチョップが我の刀身に炸裂した。

 

『ふべっ!? にゃ、にゃにをするかーー!?』

 

 痛い! そして強! フラットな声で繰り出されたわりには地味に強い衝撃と痛みに、一瞬星が見えたぞ。

 ショックのあまり炎すら掻き消え、ジンジンする刀身の痛みにたまらず叫ぶ我に、だが主は大真面目な顔で

 

「いやそれはこっちのセリフだって。何やってんのさ被害者に更に追い撃ちかけて。これじゃいざ裁判になった時不利になっちまうよ」

『ならんわ馬鹿ーー! だいたい腕が折れたなど嘘に決まっておろう!』

「え。マジ?」

 

 何を言うかと思えばこの主、まさかあれを本気にしていたというのか……。

 むむむ……。これがいわゆる天然というやつなのじゃろうか? なにやら我、この先もこれに苦労させられる気がしてきたぞ……。

 

『当り前じゃ。そもそもぶつかった程度で腕が折れるはずはなかろう』

「いや俺、力の加減が昔から下手でさ。力もうとすると力を入れすぎて色々壊しちまうから、今回もやっちまったかと思ったんだよ」

 

 苦笑しつつ、ほっとした息を漏らす主。――ってよく考えれば我って殴られ損ではないか!?

 

「いやーすっかり騙された。しかしあいつら演技上手いな。腕が曲がった時なんか本当に折れてるようにしか見えなかったぜ」

『いやあれは……まあよい。今後は騙されぬよう気を付ける事じゃ』

 

 いつか殴られたことの仕返しを必ずしてやることを密かに誓いつつ言うと、主の手が不意に我に添えられた。

 

『ひっ!? いや待て未遂じゃから早まるな!』

 

 もしや復讐の誓いが早くもバレてまた殴られるのかと思わず硬直する。

 しかしその手は我を傷つけることは無く――ただ優しく、我の刀身を撫でた。

 

「ありがとうな。助かったよ」

 

 感謝を告げて撫でる、大きな掌の感触。

 優しく、ゆったりとした、我の炎の熱とは違う主の温かさが何やらむずがゆくて……。我はその微笑から視線をぷいっと逸した。

 

『……ふん。当然じゃ』

 

 道具たる者、不甲斐無い主を助けるのが役目なのだから。

 だが、一応言うことは言っておかねば。

 

『だ、だいたい我が主たる者、あのように絡まれた時はむしろ殴りつけるくらいの気概が欲しいものじゃのっ』

「無茶言うなよ。逃げるならともかく三対一で勝てるわけないだろ」

『そこは気合でドーンといかんか!』

「数の暴力でバーンとやられるのがオチだよ。それになにより――」

『なにより?』

「バトルとかしんどいからヤダ」

『――んなっ!? こ、この……』

 

 空は青く、春の風が柔らかに吹き抜ける中――

 

『この腑抜けぐーたら男がーーーーーー!!

 

 最強の武器を手にしておきながら全く戦る気のない主を怒鳴りつける我を、満開の桜の花が微笑ましげに見下ろしていた。

 

  

 




この話はエイプリルフールに書きました。皆さまは嘘をつきましたか?自分はつきました。新章は次次回からです。
あさて今回は日常回ですが次回はちょっとシリアス入りますよ。近いうちに投稿できたらいいな
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