毒舌な妖怪は寂しがり屋   作:カルタネット

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あかちゃんと村紗水蜜

 

 

 _______『旧都』。

 

 

 それは昔、地獄の繁華街であった場所。

今では地獄のスリム化によって地底の地獄が切り捨てられることになり、かつて地獄と呼ばれた地も『旧地獄』と呼ばれ、その一部であった繁華街も同じく『旧都』と呼ばれるようになった。

 

 その『旧都』ではあるが、今では移り住んだ”鬼″達によって忌み嫌われた妖怪達を受け入れる巨大な地底都市と化した。

 

 

 

 この物語はそんな『旧都』に住む、素直になれない一匹の『女妖怪』のお話である。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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「ふあぁ~……」

 

 

 そんな腑抜けた欠伸が私の部屋の中で響く。

 

 はぁ、頭痛が治らない……昨日勇儀のやつと飲み過ぎたかな。もはや昨日の記憶が曖昧でどれぐらい飲んだかすら覚えてないけど……

 

 

        バァン!!

 

 

「おはよ~”朱ちゃん”朝だよ!……って酒くさ!?」

 

「朝から元気かつ失礼なこと言うな、ミナミツ」

 

 

 今、私の部屋の障子を破壊する勢いで開け、入ってきたのは村紗水蜜。私は『ミナミツ』と呼んでいる。

 別に一緒に住んでいるという訳じゃないのにいつも勝手に私の家へ押し入っては叩き起こしにかかってくる。

 ていうかミナミツ、朝っていっても地底は年中薄暗いから朝だろうが夜だろうがどうってことないでしょ。

 

 あ、因みに私の名前は『(あか)』。種族は自分でもわからない。いつの間にか存在していて、″能力”と″ある性格”のせいで地上の人間や妖怪から嫌われていた。

 ……だというのに地底にいる数人からは『朱ちゃん』とちゃん付けで呼ばれている。生まれたときから嫌われていた身としては嬉しいものだ。でも呼び方が『赤ちゃん』と同じだからたまに馬鹿にされた気分になるんだよね。

 

 

 

「なに急に眉間に皺寄せてんの?ポンポン痛いの?」

 

「ミナミツは私が叩き起こされたことに対して怒ってるって発想はないのか?あとポンポンは痛くない、私が思うにその考え方をしているお前の脳みそは腐ってるだろうな」

 

 

 ……はあ、またもや私は毒を吐いてしまった。今さっき私が言った嫌われていた理由の″ある性格”とはこの事だ。そう、私は毒舌なのだ。本心では言ってないのに口にするといつも思ってもないことを言ってしまう。

 昔からそうだ、何度治そうとしてもどうしても出てしまう。そのせいでこれまで私には友達がいなかった。

 

 

「まっさか~、もう何十年続けてるとおもってんの?」

 

 

 今の私の毒をスルーして話してくれるミナミツ。本当にありがたい。たぶん私が毒を吐いてしまう癖のことを理解してくれてるんだろう。

 

 だから私はミナミツのことが好きだ。……だって数少ない私の理解者なのだから。

 

 

「つまり何十年とミナミツは私の睡眠妨害をしてるってことだよな?いい加減止めないと針地獄に放り投げるぞ」

 

 

 そうは言っているが本心は全然違う、本当は物凄く嬉しい。こんな私の家に何十年と遊びにきてくれる事がなによりも嬉しい。

 

 

「はあ……まあいいや。取り敢えずご飯食べよう。」

 

「やったー!ご飯だー!…………因みに私の分は?」

 

「勿論」

 

「よし!」

 

「無いに決まってる」

 

「えぇ!?」

 

 

 嘘、ちゃんと作るよ。

 

 

 

 

 

 

 

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 ~村紗視点~

 

 

 私にはちょっと変わった友人がいる。名前は『朱』。私は朱ちゃんと呼んでいるがいつも彼女はそう呼ばれると不機嫌な顔をする。

 

 朱ちゃんとは100年以上の付き合いだ。

私や他にいた友人らが人によって封印され、地底で倒れているところを看病してくれた恩人でもある。

 

 それから私と朱ちゃんとの交流が始まった。私は昔、ある舟主から教わった話術を駆使し、丁寧な口調で交流を図ったが、どれも上手くいかず、ぎくしゃくしていた。

 そんな中、どうしてもお礼がしたかった私は直接朱ちゃんにどんな事をすればいいか聞いてみたところ___

 

 

『地で話せ、いちいち固っ苦しい話し方すんな。それが私がしてほしいこと。もし次敬語なんか使ったら舌引っこ抜くぞ』

 

 

 だそうだ。かなり口悪かったがたぶん丁寧口調が癇に障っていたんだろう。

 

 と、その時私はそう考えていたのだが、何度か話すうちに彼女の性格が見えてきた。

 

 

 

 ″この子、口では毒吐いてるけど実は寂しがりやなんじゃ?”

 

 _____と。

彼女は私が家に来る度に嫌な顔をしているが私が帰るときは決まってどこか悲しいような顔をしていた。

 私が用事で明日は家に来れないと言ったときも口では『清々する』と言っていたが口が震えていたりもした。

 本当は口でいってることと本心は全然違うんではないか。

 そう思えて来ると後は楽だった。朱ちゃんがいつも吐く毒も愛情表現の裏返しと感じ取れるようになり、何処か可愛いげもでてきた。

 

 まあ、実際でも朱ちゃんは可愛いんだけどね。

 髪は白銀のセミロングで頭の頂点には癖っ毛があり、眼の色は淡褐色、鮮やかな唇は化粧でもしたのかと思うくらい浅紅色だ。そして一番大事なのは身長、ここは超重要。朱ちゃんの身長は120あるかないかぐらいの身長、例えるなら寺子屋に通う子供と同じくらいでとても何百年と生きているとは思えない容姿をしている。まあ、一言で表すなら合法ロリってこと。

 

 朱ちゃんの毒舌にも可愛げが出てくるのもこの容姿のおかげでもある。

 まるで姉のことを鬱陶しいと感じる思春期の妹のように……あ、因みに朱ちゃんのことを裏で妹と呼ぶときがあります。朱ちゃんには内緒だよ!

 

 

 

 それじゃあ今日もいつもの日課の朱ちゃんの家に行くとしよう。

ついでに朝ご飯もたかろうかな?

 

 

そうこのあとの予定を考えつつ、私は旧都へ足を運ぶのであった。

 

 

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