毒舌な妖怪は寂しがり屋   作:カルタネット

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あかちゃんと仕事先

 

「おいおい、彼処にいるのって……」

 

「おい、あれって都の外れにいる毒舌幼女の……」ヒソヒソ

 

 

「……ちっ、雑魚どもが」

 

 

 うぅ、やっぱり皆に耳打ちされてる……

 

 私は現在、地霊殿に向かうため、外に出ている。

 勿論、昨日さとりから来いと言われたからだ。本当はあまり出たくは無いんだけど……だって私を見ると大抵の妖怪はひそひそ話をするし。

 無視をするのもいいけど、やはりというべきか、私は耳打ちをしている妖怪に聞こえるように舌打ちをしてしまう。

 

 

「なんかあれ、子供が見栄張ってるみたいだよな」ヒソヒソ

 

「なんか可愛いよな」ヒソヒソ

 

 

 ひそひそ話をしている妖怪達はいつもなんと話しているのだろうか……悪口を言われてたら嫌だなぁ……

 

 そう思いながら耳打ちをしている妖怪達の横を通り過ぎる。

 すると、その数秒後____

 

 

「私の妹になんの用だぁぁ!!」

 

「うわ!?誰だこいつ……ぐはっ!?」

 

 

 と、後ろから聞き覚えのある声の主が、怒鳴り声をあげているのが聞こえてきた。

 こ、この声は…………

 

 

「ミナミツ!?」

 

「朱ちゃん!ちょっと待ってて!今すぐこの変態どもをしめるから!」

 

 

 な、なんでミナミツがここに?……ていうかさっき耳打ちしていた人が胸ぐら掴まれたまま泡吹いて気絶してる!?止めなきゃ!!

 

 

「止めろ!このロリコン馬鹿!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ■●■●■●■●■●■●■●■●■●■●

 

 

 

「なんでミナミツがこんな所にいるんだ?」

 

「それは勿論!あの覚妖怪から朱ちゃんを守るためだよ!」

 

「あの鉄仮面は頭がおかしいだけであって危険な訳じゃないっての…………で、なんであの妖怪達をしめたんだ?」

 

「それも愚問だね。朱ちゃんを狙ってたからに決まってるじゃん。あと、鉄仮面なのは朱ちゃんも同じでしょ?」

 

 

 狙ってた!?まさか命を?……ていうかミナミツ、私が()()()()()()を知ってるでしょ……

 

 

「まあ、つまりお前が私のストーカーをしていることはわかった」

 

「なんで?!」

 

「だってミナミツ、私が地霊殿に行くのを知っていただろ?もう私の家から地霊殿までもう半分の位置まで来ているんだ。それで彼処で偶然ミナミツと私が会うのは確率的に低いとは思わないか?」

 

「いやぁ、偶然ってあるもんだね!やっぱりこれって運命?きゃー!朱ちゃん結婚しよー!」

 

「……惚けるなよ」

 

「はい、すいません……」

 

 

 このあと、ミナミツが私をつけていたことを白状させた。

 

 

「なんでつけるようなことをした?まさか私にストーカーだと罵って貰いたかったのか?」

 

 

 そう、街道の隅を目立たないように歩きながらミナミツに聞いてみる。

 

 

「いや、その、あれだよ。朱ちゃん今あの覚妖怪の館にいってるでしょ?」

 

「そうだが」

 

「朱ちゃんにもしものことがあったら大変じゃん!」

 

「お前に心配されるほど私は弱くない」

 

 

 ミナミツ、私のこと心配してくれたんだ……

 

 

「でさ、それで朱ちゃんに着いていったら絶対に嫌がるでしょ?」

 

「当たり前だ」

 

 

 確かにお守りをされてるみたいでなんか嫌だな。

 

 

「でしょ!だからこそ~っとついてきたんだよ!」

 

「今すぐ帰れ」

 

 

 結局二人で行くことになりました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ~地霊殿『門前』~

 

 

「ここ、であってるよな?」

 

「うん。旧都のど真ん中にある屋敷なんてここぐらいだし」

 

 

 地霊殿……

 あまり外をであるかなかったから初めてみる。

 ていうか私が働いてたときこんな大きい洋館見たことなかったんだけど。

 いつの間に建ったんだろう……

 

 

「にゃ~」

 

 

 あ、にゃーちゃん!…………じゃなくて火焔猫燐こと、お燐!

 

 今、にゃ~、と鳴き声をしたのは、最近ウチによく来ていた尻尾が2つある黒猫だった。

 門の柱の上で寛いでいる。

 

 

「おい、火焔猫燐!よくも私を騙しやがったな!」

 

「にゃ!?」

 

「うわ、急に柱に上ってなにしてんの!?…………て猫?」

 

 

 漸くミナミツも気づいたのか、私に捕まって暴れている猫を凝視する。

 

 

「このっこの!私を騙しやがって!おしおきだ!」

 

「にゃ、にゃん!?」

 

「声だけ聞いてると虐待しているようだけど、実際はただ抱きついてるだけなんだよなぁ」

 

 

 ふっ、ミナミツは知らないようだけど、猫は抱きつかれたり、お腹を触られたりするのは嫌がるんだよ。だからお仕置きにわざと嫌がる触り方をしているの。

 

 

「にゃー!!」

 

 

      ボフッ!

 

 

「わっ!?」

 

「ん?」

 

 

 撫でくりまわしていたら、猫がいきなり煙を立てた。

 え、今何が起こって……

 

 

「もー、お姉さん乱暴はやめてよねー」

 

「え?え?」

 

 

 そして煙が無くなるとそこには猫ではなく、少女が立っていた。

 猫耳に赤い髪の二つ束の三つ編み。黒に緑の模様の入っており、全体的に見てゴスロリっぽい服装をしている。

 そして身長。猫だった時、あんなに小さかったのに、変身すると、私よりも高くなってる事に驚きだった。というかショックだった。

 

 いや、さとりから話を聞いてから変身するんじゃないかって何となく分かってたよ。

 なんてったってさとりのペットだもん。

 動物が突然変異して妖怪になるって言うのはそう珍しくはないし。

 動物が妖怪になる原因の殆どが食生活による問題って聞いたことあるけど、この子もそうなのかな?

 

 

「おい、やっぱり変身できたのか」

 

「え、うん、そうだけど……それよりお姉さん、口調変わったね。私が家に来たときいつも『にゃーちゃんどうしたでしゅかぁ~?お腹すいちゃ……』んぶっ!?」

 

「これ以上口を開くな。お前のその軽い口が裂ける前にな」

 

「ん、んん(は、はいぃ)」

 

 

 何故それを今言うの!?ミナミツが目の前にいるんだよ!

 ほら、なんかミナミツがニヤニヤしながらこっちに近づいて来てるし!

 

 

「え~、なになに?今のその子の発言、もう少し詳しく聞かせてくれないかなぁ?」

 

「喋るな追求するな近づくな!」

 

「貴方達……人の家の前で何やってるんですか?」

 

 

 あ、さとり……

 私が燐の口を手で塞ぎながら後ろに回り込み、ミナミツから身を隠そうとしていると、さとりが屋敷の中から出てきた。

 

 

「ん!んんんんん!(あ、さとり様)」 

 

「なになに、優雅にお昼寝してたら朱ちゃんに苛められた?

 ……あ、それはこっちに非があるので諦めなさい、お燐」

 

「んー!?(そんなぁ!?)」

 

 

 まあ、別にそんなに怒っては無いんだけどね。何となく燐を弄りたくなっただけだよ。

 

 

「ほう、朱ちゃんもついに加虐趣味に目覚めましたか。悲しいです……」

 

 

 いや、冗談だよ!?さとりじゃあるまいし!

 ただ悪びれないような感じだったから軽めにお仕置きしようとしただけ!

 

 

「私じゃあるまいしって…………」

 

「もー!何二人だけの世界を繰り広げてるの!」

 

「朱ちゃん取られて寂しいんですか、すいません」

 

「な!?違うから!」

 

「ふふ、私に嘘は通じませんよ?」

 

「んー!?んー!(さとり様が楽しげ!?槍でも降ってきそう!)」

 

 

 只でさえおかしな状況だったのにさとりが来たお陰でもっとおかしな状況になりつつあるね……

 

 

「おい、こんな茶番をしているのも大概にしろ」

 

「あ、すいません。ついはしゃいじゃいました」

 

「さとり様がはしゃぐって珍しいですよね。いつもなら大人しいのに」

 

 

 ふーん、てことは私達といるときだけこんなテンションだと言うことか。

 いや、迷惑とか思ってないよ?うん、全然。

 

 

「さて、それでは客室に案内します。ついてきてください」

 

「はーい」

 

「あ、あたいもついていきますー」

 

 

 漸く入ることができるようだ。

 そこまで時間が経っているわけではないのに、長い時間ここに留まった感があるんだけど……

 まあ、私が発端なんだけどね!

 

 

 

 

 

 

 

 

 ■●■●■●■●■●■●■●■●■●■●

 

 

 

 地霊殿の中はかなり広く、私一人だと迷子になりそうなぐらいだった。

 そしてその途中、渡り廊下の様なところを通ったとき、庭を見ることができたんだけど、沢山のペットらしき動物達と怨霊がいた。

 あと、庭の真ん中に大きな穴があったけど、面倒そうだったので、見なかったことにした。

 あんな巨大な穴、絶対にろくなことがない。

 

 あ、そういえばコモドドラゴンいたね。流石にあれは嘘だと思ってたけど、本当だったんだ……

 

 

 そんなこんなで地霊殿を歩き始めて5分後。

 ついに客室に着いた。

 

 

「おお、畳の匂い……親近感が湧くね」

 

 

 そんな感想を言いながら出された座布団に腰を下ろすミナミツ。

 私的にはミナミツが親近感湧くのって船の上だと思うんだけど……

 

 

「ちょっと待ってくださいね。今からお茶を用意しますから」

 

「いいよいいよ~、そんな畏まる相手じゃあるまいし」

 

「親しきものにも礼儀あり、ですよ。それに私とミナミツはそんなに親しい仲ではないでしょう?ていうかなんで貴方が此処にいるんですか?呼んでないのに」

 

「普通に今傷ついた。流石妖怪覚、精神的に攻撃してくるのに長けてるね!」

 

「流石さとり様!」

 

 

 それでもポジティブなミナミツは純粋に凄いと思う。

 

 

 

 

「それではお待ちかねのここに呼んだ理由について話したいと思います」

 

「やっとか。ていうか態々ここまで来る必要なんてあったのか?」

 

 

 ていうか完全に本題のこと忘れてた。燐やここが独特過ぎて。

 

 

「当然。これからの仕事場の下見みたいなものですからね」

 

「ん?それってどういう…………」

 

 

 

 

「朱ちゃん、ここで働いて下さい」

 

「無理だ」

 

 

 ええぇぇ!?

 ここで働いてって……

 

 

「働くと言っても清掃だけですよ。

 しかもこの屋敷の空き部屋だけです。悪い話ではないでしょう?」

 

「……」

 

 

 ん~、どうしよう。

 確かに悪い話ではない。私はお金に困ってるし、さとりもこの広い屋敷だと空き部屋まで手が回らなくて困っている。

 

 

 ねえ、1つ聞いていい?

 

「なんですか?」

 

 その掃除係って私である必要ってあるのかな?

 

「おおいにありますよ。他の者だと私のことを不快に思い、近づいて来ませんからね。朱ちゃんのような人じゃない限り頼めませんよ」

 

「私は?私もできるよ?」

 

「ミナミツは朱ちゃん込みでないとやらないでしょ」

 

 

 そうか、そういうことか……今のは愚問だったね。

 そういえば前に地霊殿の覚妖怪は人とのコミュニケーションを放棄してるって聞いたことがある。

 

 それにしては物凄く馴れ馴れしく突っかかって来るけど……

 

 

「朱ちゃん限定です」

 

 

 そっか。とんだ迷惑だね。

 

 ん~、てことはギブアンドテイクになるね。

 私はお金が入り、さとりは家が綺麗になる。

 あ、単純に雇用主とバイトの関係なのか。

 まあ、何はともあれ、私に断る理由はない。

 

 

 わかった、ここで働くよ。

 

「ふふ、ありがとうございます」

 

 

 取り敢えず、仕事先が見つかりました。

 

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