細々とした裏設定などは主に感想返しや活動報告にちらちらと書いておりますので、そちらもご確認いただければ幸いです。
(本編で書いてない設定をうっかり出しかねないため)
基本的にはネタトークばかりですが。
では、今回は日常パートになります。
ルパン鎮守府は正月も明け、日常業務へと入っていった。
ルパンが鎮守府に着任してから一か月余り。
様々な困惑・混乱を越えて、鎮守府はすっかり慣れ始めていた。
他の鎮守府の艦娘同士の口コミネットワークなのか、今ではルパン鎮守府への演習出向が決まるとその鎮守府内で歓声がおきかねないほどらしい。
とはいえ、あくまでルパンが個人的にやっていることだし、よその提督にバレて出向が禁止されてはたまらないので秘密裏に、とのことらしい。
閑話休題。
ルパン鎮守府は他所の鎮守府に比べて経費が非常にかかる。
勿論豊富な酒保の商品もであるし、大鍋の製作費もバカにならない。
そこで艦娘たちは自分たちでどうにか協力できないかと、ルパンに秘密裏に会議を行った。
その結果。
「…龍田ちゃん、何この経費?」
「あのね~、出撃・遠征以外のメンバーって比較的鎮守府の中で暇なわけじゃない~?
その間、ゴロゴロしてるのも何だし~、興味ある子たちがいたの~。
でも腐らせたら勿体ないから、鎮守府に卸せばいいんじゃないかな~って。」
ルパンの手元にある申請書には様々な網などを経費で買わせてくれ、といった内容だった。
突拍子もない話にしか聞こえない。
それをさも当然といった様子で隣の席の龍田が説明する。
「将来的には採算が採れるんなら…経費もやぶさかじゃねぇけどさぁ…。」
平和だったころに比べれば、魚は価格が上がっている。
買うより作るほうがいいのかもしれないが…と思いつつも、ルパンは書類片手に唸る。
「レクリエーションの一環と思えばいいんじゃないかな~?」
「……確かに今も魚を遠征帰りに取らせてるしな…。」
「私も息抜きに行ったけど、深海棲艦の影響で漁業が困難になってるせいか、スレてなくて釣って楽しいのよ~?」
ふーむと声を漏らしながらも書類をデスクに置けば、そのまま判を押す。
「やるのはいいけど、外部に卸すなら大本営との調整はちゃんとやるように。
あと、やるにしても沈まないように警戒は厳とすることを心がけるように言っといて。」
次の書類を見ながら、『処理済み』の箱にぽいっと入れながら笑って言う。
それに小さく肩を竦めるだけで龍田はあえて何も言わずにパソコンのキーボードを叩く。
そのデスクの上で、ガラス細工の丸くなった猫が書類を押さえながら眠っていた。
「では、いつも通り参りましょう。今日こそ…せめて、一発だけでも当てましょう。」
海上に立った神通が姉妹艦の那珂と、第六駆逐隊(暁・響・雷・電)の4人を真っすぐ見据えていた。
表情は穏やかながらも、その瞳は煌々と燃えていた。
「うむ。いつでも参られよ。」
その先にはボートの上で立っている五右衛門と、次元がいた。
「あぁ、いつでもいいぜ。弾は砲弾に比べりゃ安いからな。」
.357マグナム弾は一発5$にも満たない。
サイズも段違いの砲弾の価格とは比較できない。
とはいえあくまで市価であり、両方とも工廠で造るため原価しかかからないが。
「では、始めます!!」
神通の言葉と同時に艦隊行動を始める。
神通は全員の艦隊行動の採点もするためである。
「どっかぁーんっ!!」
「攻撃するからねっ!!」
艦隊がジグザグに動き、次元からの射撃を回避しながら波状砲撃をくわえる。
「撃つまでが
しかし、構えてから狙いを定めて砲撃する、そのタイムラグを狙って次元がコンバットマグナムを連射する。
その連射で次元は暁や那珂の砲塔を射抜き、その衝撃で二人の体勢ごと崩れ、砲弾はあらぬ方向に飛ぶ。
「命中させちゃいますっ!」
「さて、やりますか。」
「てーーーっ!!」
次元が撃った隙を見計らって、残りの三人が同じく砲撃を行う。
「狙いは悪くない、が…愚直に過ぎる。」
一言褒めつつも、まだ足りぬと言えば次元と入れ替わりに前に出た五右衛門が斬鉄剣を一閃させれば真っ二つに斬れた砲弾が背後の海に沈む。
あえて当てようと真っすぐ狙いすぎたが故に斬りやすくもあったのだった。
「ならば、これでどうですっ!!砲雷撃戦…開始しますッ!!」
「チッ!!考えやがったなッ!!」
最後尾で様子を窺っていた神通が先日出来たばかりの15.5cm三連装副砲のついた腕を振るう。
その動きを見て次元は顔を歪めて、五右衛門の後ろから速射する。
「こちらの、勝ちですっ!!」
神通は腕の15.5cm三連装砲副砲を固定して狙うのではなく、腕を大きく振るいながら斉射する。
次元の速射は確かに神通の腕の15.5cm三連装砲副砲を射抜くものの、時は遅く、また精密な狙いではなくマシンガンのように速射に専念した砲撃であった。
その宣言とともに腕の砲が火を噴けば、ボート付近の水面に水柱が立ち…ボートに大穴が開くのだった。
「ヘーキショィッ!!…ぁーやられちまったなぁ。」
これまでずっとやっていた次元と五右衛門を相手にした訓練は、ただの海上に浮くだけのボートに乗った二人を相手に勝つ、という内容だった。
最初は船を狙うのは…などといった艦娘としてのプライドで至近弾や直撃を狙うだけで勝とうとした。
しかし、百戦錬磨の二人には通じず。
ならばという事で船を狙えば、動きが緩慢であれば脚の艤装を射抜かれるわ、全部砲弾を斬り捨てられるわ。
そんなことを一か月以上訓練した結果、今日初めて二人に勝ったのだった。
次元と五右衛門はバスタオルに包まって、ストーブを前にくしゃみをしていた。
「しかし、回避行動といい、構えて撃つまでの速さといい…大分成長したな。」
五右衛門も次元の隣で褌一丁にバスタオルという姿だが、神通や那珂を見上げながらしみじみと言う。
次元が事務仕事で手伝えない時は基本的に訓練は五右衛門がみていたため、感慨深いものがある。
「いえ、お二人のおかげです。しかし、あくまで動かない的になっていただいてやっと、ですから…あの船に乗った提督たちに勝てるように精進します。」
「やっぱり那珂ちゃんはアイドルだからね!歌って踊れて、勝てなきゃダメでしょ!」
二人の言葉にふっと次元は薄く笑ってからすぐそばに干していたスーツのポケットから煙草を取り出す。
「チキショウ、やっぱり吸えねぇや…。アイドルがどうとかわかんねぇけどよ。
まずは負けねぇこった。死んだらお終いだ、しかし、死なない程度にできりゃ次がある。
それが出来るようになりゃ、撃たれる前に撃つこった。
今回はやられたが…銃ってのは撃った数じゃねぇ。
いかに正確に、相手より早く射抜くか、だ。」
水で完全に濡れた箱を見て次元はしかめっ面になり、握りつぶしてからゴミ箱に放り投げる。
帽子がないが、髪の毛の隙間から眼光を光らせながら次元は言う。
その言葉に隣の五右衛門も頷く。
「うむ…当たらぬ弾は何も怖くはない。
当たる軌道の弾は対処せねばならぬ。それが早ければ早いほど、受ける側は後手になる。」
五右衛門の言葉に発艦所にいた二人は深く頷く。
「次元さん、五右衛門さん!提督用のお風呂沸いたわよ!」
「着替えも持って行ったからすぐに言ってもらって大丈夫だよ。」
ボートを撃ち抜かれ、真冬の海に落ちた二人を六人は助け出すと、第六駆逐隊は一足先に鎮守府へ戻り、ルパン達専用の風呂場へ行って湯を準備していたのだ。
その戻って来た響と暁の手には、とりあえずということなのか男性用の浴衣があった。
「助かるぜ…ちぃとカッコはつかねぇが、これを着て行くか。」
「かたじけない。」
二人は包まったままのバスタオルの隙間から浴衣を受け取ると小さな戦士たちに礼を言う。
その様子を見て、神通が二人の服を籠に入れて発艦所の扉へと向かう。
「それでは…こちらはクリーニングに出しておきますので。皆さん、行きましょう。」
男二人に会釈をすると那珂と暁、響を連れて発艦所を後にする。
出ていく際に暁がひょっこり顔を覘かせると、軽く胸を張って言う。
「風邪なんかひいたらダメなんだからね?ちゃんと温まりなさい!」
「へいへい、お嬢様。」
「うむ、かたじけない。」
扉が閉まるのを見て、二人は苦笑し合いながら背を向けた。
濡れた下着を浴衣とともに持ってきた新しい下着に履き替えながら笑う。
「ヘッ……娘がいたら、あんな感じなのかねぇ?」
「さて、な……我々には縁遠いもの故、考えたことがないな。」
次元たちも艦娘と触れ合って一か月余り。
何かしらの思うところはあるようだ。
そして夜中。
ルパン達は食堂で食事を終えた後、大人しく鎮守府の自室の方へ引っ込んだようだ。
とはいえ、酒保でウィスキーとつまみをいくつか買っていたので、男三人での酒盛りなのかもしれないが。
食事時間を終えて、誰もいなくなったはずの食堂に艦娘達が集合していた。
「…龍田さん、例のDVDは…。」
「ええ、ココにあるわよ~?」
ルパン鎮守府にはTVがある。
しかし、一般的な放送は受信できないことになっている。
これは大本営の指示で、世論に振り回されないようにするため、という理由があった。
深海棲艦が出る前に比べれば、旧防衛省よりも軍部、特に海軍が力を持つようになったが、いまだに言論の自由は認められている。
そのせいで、多くの民放がアンチ艦娘やアンチ海軍といった過激な発言を多く報道しているのだ。
ルパンに言わせれば「そんなに艦娘や海軍が嫌いなら、
大本営からすれば、そのような口汚い、無責任な放送のせいで艦娘達に反旗を翻されてはたまらないというのが本音だった。
実際に海軍はマスコミに関して、作戦行動時は一切の考慮をしない、という方針を貫いている。
反発も大きいが、視聴率欲しさに戦場に突っ込むヤツの尻拭いなどやってられない、という事を遠回しに貫いた結果である。
閑話休題。
そのため、ルパン鎮守府には食堂の大型TVを除くと、艦娘寮の休憩室にそれぞれ一台ずつあるのみ。
それはあくまでDVDの上映用のTVだった。
そのDVDも大本営の許可の下りたもので、多くは娯楽用の映画、特に第二次大戦を題材にした戦争モノが多かった。
この数日前より、こっそりと龍田が秘蔵のDVDを上映するとのことで、ルパン達には内緒で情報が回っていたのだった。
各艦娘は普段の食事用の机を隅に片付けた広間にそれぞれ座り、各自酒保で手に入れた飲み物や菓子、酒を手に集まっていた。
「で、今日は何のDVDだい?こうしてコソコソしなきゃいけないってことは…大本営の許可の取ってないヤツなんだろ?」
そう、龍田はあくまでもルパン達にバレないように、秘密裏に集まるように指示したのだった。
今日艦娘全員が食堂にコソコソ集まった理由はその謎のDVDの中身が気になったからである。
しかし、そこを隼鷹が普段よりも小さな声で問いかけた。
その問いかけに龍田はにんまりと笑って、ケースを開けて一枚のDVDを取り出す。
「うふふ~大本営の許可どころか、一般社会に出回ってない、秘蔵の逸品よ~?」
龍田は楽しみで仕方ないとばかりにニコニコしてDVDの再生機にDVDをセットする。
龍田の頭の艤装がフワフワと上下しながら、回転する。
龍田の言葉にざわざわとざわめきがおき、艦娘達は顔を赤くして食堂を出るべきか迷う。
「別に強制じゃないわよ~?見たくない人は部屋に戻っていいけど、このDVDに関してはナイショね~?」
龍田がそう言うと、あらかじめ取っておいた、最前列の天龍の隣に座る。
すると画面にはメーカーなのかロゴが表示される。
締め切った室内に、ほどほどの音量の音楽とともに誰かの生唾を飲み込む音が響いた。
龍田の隣の天龍の顔は真っ赤で、ガチガチに硬くなっているのがわかった。
とはいえ、天龍だけではないが。
すると、パソコンのキーボードがたたかれる映像から始まった。
すぐに一瞬、どこかで見た顔がドット絵で表示される。
すぐさま、雨の中のタクシーへと。
「87フラン、ムッシュ。」
「領収書をくれ。…おっと、釣り!」
運転手とヨレヨレのコートの男の声が響く。
不意に、扶桑が声を漏らす。
「…え?え?」
画像に『パリ市警本部』というテロップが出た時点で、皆何かがおかしいと思い出す。
しかし、映像はどんどん進んでいく。
古臭い大型コンピューターの画像。
しかし、すぐに名も知らぬ白衣の男の台詞。
「警部!お待たせしました。
広域Aランク犯罪者記号P26号、通称ルパン三世に関する資料です。
データテープ全16缶、追加ディスク1348枚。」
次の瞬間、天龍は隣の龍田の首を掴んで揺さぶっていた。
「たっ、龍田ぁぁぁぁぁ!!どこが、秘蔵のDVDなんだよ!!
コレ、提督に関するモノじゃねぇか!!」
首を絞められつつ、ガクガク揺さぶられていても龍田は凄く『イイ顔』をする。
「あらぁ~?提督の資料は過去のICPOとか警察の極秘資料らしくて、表沙汰にはほとんどなってないもの~。
天龍ちゃんは『どんな秘蔵DVD』だと思ってたのかなぁ~?」
「ッ!!!!手前ェッ!頭のパ○ック割るぞ、コラァァァ!!」
龍田の容赦ないツッコミに天龍は耳まで真っ赤にして叫ぶしかなかった。
が。
「天龍、うるさいっ!聞こえなくなるだろうが、黙れこのムッツリ!」
「ムッツリ言うなぁっ!皆そう思ってたヤツもいるだろうが!」
艦娘の多くは暗い室内で天龍のツッコミに我関せず、と素知らぬ顔をするのだった。
そして映像はルパンがパリ上空を自作らしい特殊な装置で空を飛び、軍用ヘリに追いかけられていくシーンを映すのだった。
上映終了後。
「アレは、どういうこと?提督は現役で怪盗だって言ってたけど…そうだとしたら、あんな映画というかアニメは作られるわけないわ。
犯罪を助長する、とかで絶対禁止されそうですもの。」
駆逐艦をはじめとした全員が満足して、自室に帰っていった。
その中で残った赤城が龍田に問いかけた。
「それがね~…私にもよくわからないの。
工廠の妖精さんが何故か作ってくれたんだけどね…面白そうだし、皆と見ようかなって。」
「…提督には確認したのか?」
那智が判断しきれないと見たのか、考え込みながら問う。
が、どうやら姉妹で飲みながら見たらしくわずかに顔が赤い。
「いいえ~。途中までは自分で確認したんだけど、提督関係の作品だってわかったから独り占めもどうかな~って思ったのよ~。
確認はそれからでも遅くないでしょ~?」
龍田の判断は本当ならば、よくはない。
よくはないのだが…。
「むぅ、しかし、見れずに秘密裏に処分されるよりは、よかったな。」
「…提督がどう判断されるかはさておき、以後、皆で確認してから提督に提出しましょうか。」
那智や赤城もルパン鎮守府流に染まったらしく、そう結論付ける。
龍田はDVDをケースにしまうと小さく頷く。
「そうね~実写じゃなくてどうしてアニメなのか、とかも気になるけども…。
とりあえず私はこれで失礼するわね~?」
そのまま龍田は電源を落とすと、ほぼ誰もいなくなった食堂を後にする。
その背中に那智はふと、声をかけた。
「……ちょっと待て。もちろん、自室に、帰るんだよな?」
「…………ええ~……(提督の)自室に、行くわよ~?」
しばらくの間の後、何故か小さい声の返事を聞いて赤城と那智は両サイドから龍田の肩に腕をかけた。
「なら。」
「私たちとゆっくり話しましょう。色々と。」
「ちょっ…ちょ……天龍ちゃ~ん!助けて~~!!」
先に帰ろうと、廊下の先を歩いていた天龍は振り返って『イイ笑顔』で言った。
「オレに『姉をハメる』妹はいない。」
この後、龍田は滅茶苦茶二日酔いになった。
活動報告でも愚痴ったが。
前回の扶桑の簪のパゴダマストの信号旗が何故スルーされたのかと悩む。
あの時代、CDとかMOとかじゃなくて『データテープ』とか『5インチディスク』だったんですよねー。(しみじみ
日常回ですが、色々とやりすぎたかなーとか思ったり。