大泥棒一味が鎮守府に着任しました。   作:隠岐彼方

19 / 35
イベント、甲にて完了しました。
最終形態において、対空値上がりますから烈風系を増員のお勧めします。

隠岐は忘れてて、そのまま気付かないまま物理で殴り倒しましたが。

現在の掘ったレア艦は…
E1:清霜2人、瑞穂、大淀
E2:掘れず
E3:瑞鶴2人、リベッチオ、長門

この原稿も掘りながら疲労抜きの時間で書き加えてます。

あ、花壇始めました。(白目


15-1.ルパンは2月を堪能するようです(1)

さて、『社交場』という名目のカジノから帰宅したルパン達を待っていたのは雷と大淀だった。

その二人だけであるならばまだ理解はできる。

 

しかし、鳳翔と間宮もいたのだった。

 

「いい、ルパンお父さんたち。

そりゃたまにの息抜きで遊びに行くのは構わないわ、でも鎮守府の金庫のお金を全部持っていくのは問題だと思うの。」

 

「その通りです…このように増やして帰って来たのはいいですが、経理上どうすればいいのか…。

さらに勝てばいいという問題ではなく、負けていたらどうなっていたかをお考えください。」

 

間宮と鳳翔はいつもの穏やかな笑みを浮かべたまま、先頭に立って説教をする雷と大淀の後ろで控えている。

しかし、その目は笑ってはおらず、何故か執務室に持ち込んだ小型コンロでシチューをかき混ぜ、二人の目利きで仕入れた値段の割に上質のワインのボトルを手で弄んでいる。

 

そのミルクシチューの甘い香りに胃袋を刺激される二人は、深夜の執務室の絨毯の上で正座をしていた。

 

「い、いやね、雷ちゃん。

俺たちぁそれなり以上に嗜んでいてだな、勝算がきっちりあった上でやったわけで。

それに、今の俺たち個人の資産じゃ全然足りなくてね?」

 

「賭け事をやる人は皆勝算があるんです!

結果につながるかどうかなんてわからないじゃないですか!!」

 

ルパンの言い訳に大淀は悲鳴に近い絶叫を上げる。

大淀の発言は間違いのない事実である。

 

やる人間の大半は『勝てる』ことしか、考えていない。

特に、負けて破滅する人間は99.9%がこのタイプである。

 

とはいえ、『イカサマでひっくり返すから大丈夫!』なんて言えるはずもなく、ルパンも次元も新しいスーツのまま項垂れるしかない。

完全にダメな父親の図以外の何物でもなかった。

 

「はぁ…すみません。」

 

「それに必要なのかもしれないけど、こんなに高い服を買い揃えて!!」

 

その言葉にルパン達の後ろに直立不動の三人が小さくなる。

たまたまルパンに言われてついていった結果、とはいえ鎮守府の金で豪華なドレスを買ってもらった上にサービスの高級酒や寿司などを食べてしまった負い目もある。

 

「「ほんと、すみません。」」

 

これが悪意や言葉尻だけの説教ならルパンや次元もある程度は聞き流したかもしれない。

しかし、目の前の二人は本気の説教である。

しかも最悪の時のとる手段はルパンたちにあったとしても、彼女たちをはじめとした艦娘たちの生活を危険に晒したのも事実。

故の平謝りだった。

 

「…まったくもぉ。勿論、提督あっての鎮守府だからある程度の裁量は提督にあるけども、こんなこと大本営にバレたら大事じゃ済まないんだからね?」

 

真面目に謝る姿に納得したのか数十分に及ぶ説教の後、その小さな身体を精一杯胸を張った雷が『フンス』と擬音をつけたくなる様子で胸を張って言う。

その言葉に大淀も何度も首を縦に振る。

 

はっきり言えば運営費を持ち出して賭けに使ったなど、『公金横領』と言われて然るべきだからだ。

 

説教が一段落したのを見計らうと後ろに控えていた鳳翔と間宮が夜食らしいシチューを器に盛りつけてソファーの前にあるテーブルに乗せる。

しかし、やはり思うところがあってか釘を刺すのも忘れない。

 

「さ、お腹もすいたでしょう。軽く召し上がってくださいませ。

でも、こんな手段に出る前に我々でも工夫をしてご協力致しますので、ご相談ください。」

 

「そうです。我々も鎮守府の一員として少しでも協力させて下さいね?」

 

間宮・鳳翔の包容力に溢れた釘刺しに、スーツの上着を脱ぎながらルパン・次元は項垂れて頭を下げるしかなかった。

漣も同じようにソファーに座ってシチューを受け取るが、龍田・武蔵は二人の上着を受け取ってハンガーにかけることを優先した。

高いスーツやタキシードに変な癖や皺をつけるわけにはいかないからだ。

 

生憎、龍田の立った位置よりも武蔵の立った位置の方がルパンに近かったせいで、龍田は次元の上着を手に武蔵を刺すような目で見ている。

武蔵もさるもので、それを苦笑して流しつつもハンガーにかける。

 

その時、ルパンの上着から一枚のカードが零れ落ちた。

それを手に取ると、武蔵は薄く苦笑して執務室の机の上に置いてから夜食のシチューに向かい合うためにソファーに座ったのだった。

 

「牽制のつもりかもしれないが、そのつもりはなかったぞ?」

 

「…何の事かしら~?」

 

苦笑して漣の隣に座りながら、ルパンの隣で武蔵を見る龍田に苦笑するのだった。

 

 

 

 

翌日。

2月に入ったばかりでまだ寒いが、執務室には既に詰めていた艦娘が暖房をきかせてくれていたためほっとさせられる。

そんな中、執務室に着いて早々のルパンに昨夜の四人が早速詰めていた。

 

「…どったの?朝の食堂はまだ忙しいんじゃないの?」

 

ちなみに鳳翔は普段は小料理屋を営みつつも、毎食の支度などで間宮を手伝ってもいる。

ルパンは早起きという習慣もあまりない上に、年若い艦娘の中に乗り込んで食事というのは気が向かないために決められた食事時間の終わり頃に次元、五右衛門と連れだって食事に向かうのが常である。

それから執務室に直行したとはいえ、洗い片付けなどがあるだろうが執務室にやってきた間宮や鳳翔に驚きを隠せない。

 

「片づけは当番の子や妖精さん達に任せてまいりました。

さて…昨夜の件でかなり予算などで余裕が出来た、そうですね?」

 

間宮が物静かながら有無も言わせぬ迫力を持って、問いかける。

その顔は笑顔だが、どこか怖さも持ち合わせていた。

 

「お、おう…そうだなぁ。

今後の計画の運営資金も余裕を持てたし、軌道に乗せるまでの余裕もあるぜ?」

 

「間違いないですか、大淀さん、龍田さん。」

 

同じく鳳翔もルパンの言葉に偽りがないかと厳しい目で隣の龍田を問いただす。

その眼光は全空母の母であり、一航戦の名を背負った歴戦の戦士に相応しいものがあった。

それに射抜かれた龍田は椅子の上で無意識に背筋を伸ばす。

 

「は、はい~!艦載機を今のペースで改造しても、大本営からの予算もあるので恐らく一年は余裕が持てる計算です~!!」

 

口調は癖なのか変わらないものの、背筋を伸ばしてつい敬語になってしまうが、それを静かに頷いて鳳翔はルパンへと視線を戻した。

 

「では、提督。

提督には仕事を休んでいただきます。」

 

「…は?」

 

鳳翔のきっぱりとした口調と裏腹の言葉にルパンは目を丸くする。

ルパンも仕事人間というタイプの人間ではない。

しかし、仕事をするなと言われても困惑してしまう。

 

「…提督のおかげで我々の生活はかなり、いえ、劇的に改善されました。

しかし、しかしです。」

 

そう言って鳳翔は言葉を切って、目を閉じる。

少し待ってから言葉を大淀が繋ぐ。

 

「その結果、提督の仕事は異常なほどに多忙になりました。

最近はやっと手間が空きはじめてはいますが…それでも少々多忙すぎるでしょう。」

 

「それに、色んな子たちから文句ってほどじゃないけど不満は出てるわ。

次元さんや五右衛門さんは会って話せても、ルパンさんは話す暇がないって。」

 

雷も唇を尖らせて、眉を寄せてルパンを軽くにらむ。

そう言われるとルパンも弱い。

いくら艦娘の環境改善のシステムの根回しをやるためとはいえ、基本的にルパンは執務室にずっとこもりがちだった。

しかも執務室で暇そうにしてるならまだしも、八面六臂と言わんばかりの様々な仕事をこなしているのだ。

 

秘書艦だけではなく、他の執務室詰め艦娘も必死に働いている中、ルパンとのコミュニケーションを取りたいという願望で遊びに詰めかけるのは気が引けて当然であろう。

 

 

一つの交渉のテクニックに、『早口で、それらしいことをまくしたてる』というものがある。

相手に深く理解されない内に承諾を取ってしまい、さっさと進めてしまうのだ。

 

そのテクニックを用いてルパンは性急と言っていいスピードで様々な手立てを打ち続けた。

段階を踏んで、相手にゆっくり理解させてしまえばどこかでストップがかかる可能性がある。

そのため、なし崩し的に相手の判断を性急に求め、承諾を得て、相手が全てを理解した時には全てがもう動いてしまっている。

止めようとしても、走り出した車は止められない、そういうことである。

 

軍隊というのは縦社会という側面とともに、国に所属する『役人』という側面もあり、その結果『役所仕事』も持つ。

一旦許可が下りて動いたことを止めようとすれば、また上から『止めるための許可』が必要となる。

それほどの行動力と相応の理由づけを出来る人間は少ない、というルパンの洞察があってのことだ。

 

そういう事情があってとはいえ、痛いところを突かれたルパンは情けない顔になってしまう。

 

「おわかりいただけたようですね。

提督は、並み以上の提督としてのお仕事をこなした上で、様々なことをなされているのは理解しております。

ですが…我々所属艦娘としては、仕えるお方の人となりを知りたい、触れ合いたい、信頼を得たいと思っているのです。」

 

鳳翔がその表情を見て、微笑を濃くするとともに目をやわらげて優しく言う。

ここまで言われてはルパンも降参するしかなく、手を挙げる。

 

「わぁーった!わかりましたよ、まったくもぉ。

ただし、最低限の仕事はするぜ、何かあったら問題だしな。」

 

「…龍田さん、勿論提督の御苦労を増やすような事は…」

 

「絶対しません~!!」

 

ルパンの釘刺しに頷きつつも、間宮は鋭い視線で隣の龍田を見据えると悲鳴に近い声で龍田が誓う。

 

鳳翔はルパン鎮守府の空の守りの要である空母の総元締め。

間宮はルパン鎮守府の食の守護者。

勿論、鳳翔は間宮・伊良湖に次ぐ食を担う人員でもある。

 

この二人を敵に回すことは鎮守府全体を敵に回す、それ以上のことであると理解出来ている龍田は服従せざるを得なかった。

 

「「いつも提督のお隣にいるのですもの、これくらいの苦労は軽いものですよね?」」

 

二人の完全に一致した声に、背中に冷たいものを感じたのは龍田だけではなかった。

そのやり取りを聞いていた執務室詰めの艦娘は背筋を伸ばして、手元の書類へと一層集中するのだった。

 

これは仕事への熱意の表れであり、決してとばっちりを恐れたからではない。

執務室詰めの一人であった高雄の言葉である。

 

 

 

閑話休題。

そのまま大淀が数枚の書類をクリアファイルに挟んだまま、ルパンに差し出す。

 

「いくつか報告とご相談があります。

まず今月中旬から大規模作戦が始まりますが、今回は従来の大規模作戦に比べれば小規模であり、攻略対象地は少ないので我々でもなんとかなるかと。

傾向からの推測ですが、対潜装備と三式弾、そして徹甲弾と大型砲門が必要になるかと思われます。」

 

ルパンはクリアファイルからクリップに留められた数枚の大本営からの指示書を目を通す。

そのまま大淀の言葉に同意を示すように頷く。

 

「幸い武蔵たちの持ってきた装備で徹甲弾、三式弾は最低限なら大丈夫だろ。

緊急を要するのは対潜装備、かねぇ…。

あと、前回から必要が出てきた輸送作戦が必要になる可能性もあるよな?」

 

「失礼しました。仰る通りだと思います。」

 

「なら、デイリー開発以外にも駆逐艦・軽巡洋艦たちに開発急がせてくれ。」

 

書類の最後にあった開発の許可申請書の認可欄にルパンは判を押す。

書類には開発回数を区切っていたが、そこにルパンは横線を引く。

 

「三式水中探信義…めんどくせぇな。

三式ソナーが10個出来るまで、爆雷は出来ただけでいいや。

それまで回してくれ、確率が確率だ、予算はつけるからそれまでやってくれ。」

 

そう言って、申請書にその旨を手書きで書き加えてから隣の龍田へと渡す。

全面的に提案を受けただけでなく、それ以上を許してくれた大淀に深く頭を下げる。

 

「1/3/1/2でブン回せば、一緒にドラム缶もできんだろ。

んで、こっちは?」

 

「作戦前の戦意高揚、というわけではありませんが…。

鳳翔さん達と話し合って、提督と皆との交流の一環として、提案いたします。」

 

もう一枚の提案書に目を細めながら三枚程度の新しい提案書に目を通す。

髭を丁寧に剃ったツルツルの顎を指でなぞりながらも、僅かな思考の末、決済印を押す。

 

「ま、いいんじゃねぇの?」

 

「我々も初めての催しで楽しみにしています。

予算もそんなに必要ありませんから。」

 

快く受け入れられた提案に大淀は嬉しそうに頬を緩ませて、頷くのだった。

それを見た鳳翔と間宮が顔を見合わせて、表情を綻ばせる。

立案した側としては提案が通るかどうかが心配だったのだろう。

 

「それでは手配にかからせていただきますね?」

 

間宮たちは嬉しそうに微笑みながら丁寧に頭を下げて執務室を後にする。

間宮、鳳翔は鎮守府の母、空母の母と言われても年若い乙女である。

こういったイベントは楽しみなのか、華やいだ雰囲気で準備について話しながら去っていった。

 

「女の子だねぇ…。」

 

その様子に苦笑しながらもルパンは見送ると、不意に机の上にあったカードに気付いた。

なんてことのない、ただのトランプの『スペードのエース』だった。

 

「…なんだこりゃ?」

 

キョトンとした顔でルパンはそれを見てから、ゴミ箱へと投げ捨てるのであった。

 

「提督~…恨むわよぉ~?」

 

「俺に言うなよ…あの四人に言ってくれ。

特に鳳翔さんと間宮さん。」

 

「ムリに決まってるじゃない~。」

 

間延びした声ながらも、朝一でくたびれた口調で恨み言を言ってくる龍田に苦笑しながらルパンは執務机を立つのだった。

龍田の泣き言もわからなくもないが、ルパンが『さん』付けで呼んでいる時点で鎮守府のパワーバランスが見て取れる。

 

ルパンだけでなく、鎮守府全員の胃袋を掴んでいるのがあの二人である。

あの二人がボイコットをしたら、と考えれば仕方ないかもしれない。

 

料理ができる艦娘や妖精はいるが、あの二人にはかなわない。

それを敵に回す愚を犯すルパンではなかった。

 

「んじゃ、ま…皆、頑張ってなー。

何かあったら携帯に電話ちょうだいな。」

 

久々の完全オフに気が抜けたのか、軽く肩を落として、猫背にがに股気味にゆっくり歩きながら背中越しに執務室詰めの艦娘に手を振ってルパンも執務室を去るのだった。




<今回のBGM>
・冬イベBGM
・第三次艦隊フィルハーモニー交響楽団(by交響アクティブNEETs)
・東方フィルハーモニー交響楽団3永(by交響アクティブNEETs)

というわけで、尻切れトンボな感もありますが、続きを書くと一万字超えそうなので切らせていただきます。
隠岐としては更新ペースや読む文量の兼ね合いで六千字前後を目途にしています。
絶対じゃないんですが、気楽に読める量&更新しやすい文量ということで。



隠岐の今回の掘り対象は『グラーフ』・『風雲』・『沖波』。

同じ目的の人のために情報を挙げておきます。
(2/15 午前3時訂正)
グラーフ:E3 Lマス(0.4%前後)
沖波:  E3 Sマス(2.6%前後)
     E3 Tマス(1.3%前後)
     E2 Oマス(2.1%前後)
風雲:  E3 Tマス(0.8%前後)
     E3 Sマス(1.4%前後)

……軽く吐き気してきた…。

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。