大泥棒一味が鎮守府に着任しました。   作:隠岐彼方

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地震も何とか終息しだしたようで、震源地が実家・親戚宅に近くなってたりで色々忙しかったですが、何とか落ち着きました。


16-2.ルパン鎮守府は備蓄を始めるそうです

前述したとおり、ルパン鎮守府は礼号作戦の反省を活かして練度上昇を主眼に置いた長期作戦を展開していた。

 

ルパンが具体的に指示したわけではなく、武蔵たちをメインとした反省会の中での第一課題が『練度不足』と挙げられた。

それを受けて龍田の一言で全てが決まったのは数少ない艦娘しか知らない。

 

何はともあれ。

約二か月間のハードワークの末に多くの艦が改二へとなった。

 

そのためには設計図が必要と言う事で、鎮守府近海対潜哨戒などの作戦も攻略して勲章を獲得した。

丈二も融通をきかせて設計図を回してくれたこともあり、何とか不足もせずに済んだことは幸いであった。

 

が、ココでもルパンが無茶を通してしまったのだった。

 

 

「こ、こんな●●改二がいるか!!」

 

が最近の演習相手の艦娘の合言葉になってしまっていた。

 

第一に、まず改二への改装をする際に、大本営に申請する。

それが勲章が必要かどうかはその対象により変化し、無償で提供される改二設計図もある。

最初に改二の設計図は夕立と時雨だったのだが、ルパンが届けられた設計図を見た瞬間に。

 

「ん~…もうちっと、イジれるんじゃねぇの?」

 

ちょうどルパンが暇があったのが悪かった。

そのまま誰にも言わずに工廠へと直行。

 

そして、妖精さんたちと協議しつつ、設計図のコピーに色々と書き加えては修正した結果。

 

 

夕立は島風ばりの回避性能、火力・雷撃強化を主とした全体的な強化。

時雨に至っては先制雷撃能力、島風には至らないものの回避性能と雷撃性能強化が為された。

若干消費資材が増えたが。

 

当然、演習相手の反応でやりすぎたとわかったルパンは彼女たちの演習は禁止させたが。

 

余談だが、この強化を一番喜んだのは本人でも姉妹艦たちでもなく、島風であった。

出撃などの合間で『かけっこ』を切磋琢磨し、楽しんでいるのだった。

 

 

そうなると、黙っていないのはその他の改二実装艦たちである。

我も我もとルパン印の改良設計図を求めたのだった。

一人一人がどのような改良を加えたのかを列挙するときりがないので、割愛させていただく。

 

一言で言うなら『ルパン印の魔改造』であった。

 

 

閑話休題(それはさておき)

 

おかげでルパンは折角暇が出来たと思いきや、また多忙な毎日に戻ってしまったのだった。

勿論、設計図の調整だけではなく、それ以外には先日の貝木との商談もある。

 

貝木は実に有能だった。

独自に立ち上げた会社の社長として、仲卸業者として動き出した。

様々な業種の大手・中小企業と調整を担い、手数料を取りつつもこれまで以上にルパン鎮守府への物資の納入を安価かつ利便性を高める。

 

実際は仲卸だけではなく、その際に様々な企業からの裏情報を取ってくる。

そして、ルパン鎮守府からの鉄鋼などの資材や、龍田の立ち上げた海産物加工業会社の製品を高く売って回る。

 

もしかしたら一番ブラック企業なのはこの男の会社なのかもしれない。

 

しかし、このおかげでルパン鎮守府はより一層潤うのだった。

 

 

それを一番肌で感じたのは、ルパン鎮守府の激務を支えた艦娘だった。

 

「…あ、あの…龍田さん。これは…何か、間違いではないでしょうか…」

 

練度向上作戦が始まってから一か月後。

給与袋を手にした朝潮が執務室へとやって来た。

差し出された給与袋から給与明細を取り出すと、龍田はパソコンを操作する。

 

「朝潮ちゃんも~?ちょっと待ってね~……うん、おかしくないわよ~」

 

少々うんざりした様子を見せつつも、ディスプレイに映し出された前月の実績と見比べてから明細書を朝潮に返す。

しかし、それでも朝潮は食いつく。

 

「で、でも…こんな…前月の倍以上じゃないですか…。

私たち朝潮型は出撃はほとんどしていませんし…」

 

「でも~北方鼠とか~東京急行とか~遠征に出ずっぱりだったでしょ~?

深夜の遠征もこなしてるし~」

 

何度も繰り返されるやり取りなのか、ため息交じりで問題ないと告げるがまだ朝潮は不安そうだった。

それももう慣れたことなのか、機先を制して龍田はきっちりと言う。

 

「他の皆もそうだけど~給与計算は問題ないし、鎮守府運営にも支障をきたすことはないから受け取ってね~?」

 

「ひきぁっ!?りょ、了解しましたッ!!」

 

本人としてはそのつもりはなくとも、疲労がどうも声音や目力に影響を与えたようだ。

哀れ朝潮は命からがら執務室を後にするのだった。

 

別に命を脅かされたわけではないはずだが。

 

かくして、執務室前に掲示板が設置され、『給与計算に問題はありません』との旨が一番に貼り出されたのだった。

 

 

 

一方、その頃。

 

五右衛門は己を愧じていた。

 

それは、前回の礼号作戦時において、己が為したこと。

一刀の下に、戦艦棲姫を斬り捨てた。

 

しかし、己だけが知っていたこと。

それは、相手が中破状態でやっと斬り捨てれた、という現実だった。

 

物言わぬ戦艦を斬ったこともあるが、あの戦艦棲姫は特殊だった。

己の斬鉄剣をいなし、また、致命傷を避けようともがいた。

何とか致命傷へと至ったものの、戦艦棲姫が無傷であったならばと思うと己の未熟さが痛感させられたのだった。

 

そのため、五右衛門はただ修行を己に課していた。

 

「参れッ!!」

 

五右衛門の合図に合わせて、広場にいた艦娘達が動き出す。

彼女たちの腕には次元と明石の合作である、模擬弾が入った主砲。

または各自の得物を手に五右衛門を包囲していた。

 

「うらぁぁぁっ!!」

 

にらみ合いに痺れを切らしたのか、天龍が気合一閃とともに大上段に愛刀を構えて飛び上がれば全体重を乗せて振り下ろす。

しかし、木鞘に入った刀を五右衛門が左手一本で抜くとともに頭上で受け止めるとともに空いた片腕を真横に力強く振る。

すると、空中にいた天龍の腰を腕が捕らえるとともに抵抗できずに弾き飛ばされる。

 

「そこぉっ!!」

 

その天龍を押しのけた背後から嵐が模擬弾を連射する。

しかし、五右衛門は左手の刀を動かしてはそれぞれの弾丸を角度をつけて刀に当てることによって跳弾させて回避する。

 

斬り捨てないのは今五右衛門が手にしている刀は斬鉄剣ではないためだ。

万が一、艦娘を斬ってはならぬという気持ちと、斬鉄剣の斬れ味に甘えないようにという戒めからであった。

その刀は斬鉄剣とバランスなどを限りなく近づけた、模造刀である。

 

そんなものがホイホイ転がっているわけは当然なく、明石謹製である。

勿論、虎徹・良兼・正宗の合金、または示刀流あるいは石川家の先祖による特殊合金製、はたまた流星の金属(隕鉄)製など諸説あるものの、その本家には硬度も及ばない。

しかし、並の日本刀よりはマシ、とは明石の談である。

 

「やるじゃンかっ!!」

 

江風がニヤリと笑いながら動きの止まった五右衛門に走りながら全力で殴りかかる。

しかし、五右衛門もさるもの。

 

軸足を中心にして、身を滑らせて拳を躱すとともに逆にカウンターで江風の胸元に肩で体当たりをして弾き飛ばす。

 

「いざ参るっ!!」

 

「行くよ、日向ッ!」

 

そこへ伊勢型姉妹が自前の日本刀を抜き打ちにして、二人同時に斬りかかる。

その太刀筋は見事だったが、五右衛門も負けじと偽斬鉄剣で受け、流し、斬り返す。

 

日向が積極的に斬り込み、その隙をつこうとする五右衛門を伊勢が寡黙にフォローして何とか均衡を保っている。

そこに新たな闖入者が斬り込む。

 

「行きましょう、姉様!」

 

「ええ、山城…せめて一太刀…」

 

二人は刀ではなく、薙刀を手にして白鉢巻に襷がけという装いであった。

しかし、意外にも二人は薙刀の扱いを熟知しているのか必要以上に間合いを詰めず、射程の外から大振りに薙刀を振るっては伊勢型姉妹の邪魔にならないように五右衛門の動きを妨害している。

 

わざと大振りにして振るう事によって五右衛門の動きを妨害するが、五右衛門もさるもので空手などで言う『運足』という足運びで小さな動ける範囲を最大限に活用し、躱し、いなし、斬り返す。

 

それでも五右衛門は退かない。

間合いを取るために退くことすらも許さない、そう言わんばかりに果敢に前に出る。

 

合間の駆逐艦達の砲撃を避け、航空戦艦四艦の剣戟を避けては斬り返す。

そうして、広場には剣戟の鋭い金属音と砲撃音が響き渡るのであった。

 

 

そこを不意に通りかかったのはアイス『ブラックモン○ラン』を咥えた初雪と深雪だった。

 

「…池波…正太郎先生?」

 

「初雪って、そういう本も読むんだなー」

 

ルパン鎮守府は、平和、と言ってもいいのだろうか?

 

 

 

 

一方、次元はというと。

 

「あーー!!もうっ!あのフラ重の攻撃がウザったいのよぉっ!!」

 

どんどん設備が拡充され、ソファーから持ち寄られた雑誌、電気ポットなどが置かれた出撃前の待機室であった発着艦所である。

その中で足柄の声が響く。

それをうるさいとばかりに耳の穴を塞ぐポーズをし、ソファーでコーヒーの入ったマグ片手の次元が眉をしかめる。

 

「うるせぇなぁ、仕方ねぇだろ。

ああいう特別な場所は夜戦になっちまうし、夜戦じゃお互いがお互い一撃必殺になっちまうんだしよ」

 

「でも、勲章獲得まであと一回なのよ!?」

 

苛立ち交じりの足柄の噛みつきにも次元は動じずに流す。

 

「おい、羽黒に利根、お前らは入渠して修理して来い。

足柄と妙高は明石に修理してもらってきな」

 

「あの…すみません…」

 

「私はいいわよ、損傷軽微だもの」

 

彼女たち、妙高型重巡・利根型航巡の六艦で向かったのは、沖ノ島沖戦闘哨戒作戦だった。

当然、目的は勲章獲得とデイリー任務消化。

 

先日のサーモン海域への東京急行の周回作戦も今では数を減らしている。

間もなく大規模作戦の開始が予告され、練度上昇も一応目標値に達して今は鎮守府の運営は任務消化の出撃と資材獲得のための遠征メインになっている。

 

次元は鎮守府の内部の情報をリアルタイムで更新するルパン特製のアプリを内蔵したタブレットで入渠施設(ドック)に入渠予定を入れる。

それと同時に明石に連絡して修理をするように指示もする。

 

「少しでも傷があるなら治しておけ」

 

「嫌よ。アタシも那智姉さんも小破未満なの!

もう一回行かせなさい!!」

 

「うむ、他の重巡と交代して再度出撃するのだろう?

だったら、私と足柄は再度このまま出撃させて欲しい」

 

足柄を見もせずにタブレットとにらめっこをしていた次元が足柄と那智の言葉に顔を上げる。

しかし、その帽子の鍔から覘く目は冷たく凍てついていた。

 

「お前ら…なぁんか、勘違いしてねぇか?」

 

「「ッ!?」」

 

ギシリとソファを軋ませて体重を預けつつ、煙草を取り出して火をつける。

 

「俺らァ、プロだ。

どんなアクシデントがあろうが、どんな不利な条件になろうが目的は達成する」

 

「わ、私たちだって対深海棲艦のプr」

 

那智が言い返そうとするが、その言葉を淡々とした口調で遮る。

 

「しかしな、俺たちはそんなアクシデントを切り抜けるのが腕前なんだと思っちゃいねぇよ。

アクシデントが起きねぇようにするのがプロなんだよ」

 

ふぅと紫煙を横を向いて吐き出す。

 

「いつも最高の条件でやれるとは限らない、だからといって最高の条件を放り出すのは怠慢でしかねぇ。

そんなのは駆け出しの一人前に『なったつもり』のルーキーのやることじゃねぇのか?」

 

再び視線を足柄と那智に向ければ、その背後には大破した羽黒と利根、筑摩、妙高も神妙に顔を伏せて立っていた。

特に大破姿の羽黒と利根は素肌の露出の関係もあり、備え付けのバスタオルで身体を隠している姿だった。

足柄と那智だけに言ったつもりもないが、それ以外の彼女たちを責める気もそこまでないため軽くため息をついて外に繋がるドアへと顎で示す。

 

「わかったらとっとと行け。

入渠施設(ドック)入りが遅くなれば、その分出るまでの時間が遅くなる」

 

そう言うと、もう何も言わずに六人はドアを出て入渠施設へと向かう。

妙高の普段のおっとりと垂れ目がちな目が吊り上がっていたことからして、恐らくこの後に説教大会だろう。

 

普段は穏やかな押され気味に見える妙高ではあるが、責任感のしっかりした長姉なのである。

 

次元がやれやれと肩を竦めると、すぐに夕張に連れられた朧を除いた綾波型がやって来た。

特に物怖じしない漣がニヤニヤしながら次元の隣に腰掛けて、肘でわき腹を突く。

 

「大人のやることかー?」

 

「大人だからやるんだろ」

 

漣のツッコミが大人げない怒り方だと言いたいのかと鼻で笑いながらも、きっぱりと言う。

 

「お前らは艦種の別なく、まだまだ子供みてぇなもんだ。

それを俺たち大人が間違いを正さなくちゃ、誰が正すんだ」

 

からかいを口にしただけのつもりだったのか、隣の漣がきょとんとしながら聞き入る。

しかし、次元は動じない。

 

「お前たちはいったい何のために、深海棲艦と戦っているんだ」

 

「そ、それは…人類の敵であり、我々艦娘の敵だからです」

 

次元が他の五人も合わせて見渡してその言葉をかければ、潮が戸惑いながらも答えを口にする。

 

「だれが頼んだ?誰がそれをありがたがってくれるんだ?」

 

次元の言葉にもう何も言えなくなるが、向こうっ気が強い曙がそれに突っかかる。

 

「何よ?なら深海棲艦に制圧されて、滅べばいいって言うわけ?」

 

「俺は構わんよ、俺は俺で生き延びるように全力で生きる。

…だがな、現実、深海棲艦が滅んだとして喜ぶ連中は多くいるだろうよ。

それでもお前らに感謝するのはほんのわずかだろう」

 

残酷な現実に曙ですら口を閉ざす。

 

「だからこそ、だ。

俺やルパン、五右衛門がお前らに現実を生きていける力を教えてやらなきゃいけねぇ。

俺たちが生きていくにはお前らの力があるにこしたことはねぇ、だからこそ、お前らの力になるし、力を与えるんだよ」

 

ギシリとソファーを軋ませてから前屈みになって、自分の太ももに肘を置く。

鋭い歴戦の傭兵でもあった男の眼光が六人を射抜く。

 

「お前ら、楽すんじゃねぇぞ?

ずっと俺たちはお前らの子育てをやるつもりはねぇ、お前らはお前らの力でこのつまんねぇ社会で生きていけ。

そのためにあらゆる力をつけて、自分の足で歩いて行けるようにしろよ」

 

その言葉に一人、ふっと優しく微笑んだ艦娘がいた。

 

「提督達は…厳しくて、お優しいんですね…」

 

夕張だった。

その言葉の裏の意味も全て理解した上で微笑んでみせた。

 

「ハッ、勘違いすんのも勝手だがな。

こっちは元からこんな人の世話とかするタチじゃねぇんだよ。

とっとと自由にしてもらいてぇもんだ」

 

「…おー、オッサンのツンデレキタコレー」

 

色々と台無しな漣の混ぜっ返しもあったものの、場の雰囲気は少し落ち着き、次元も気を取り直して煙草を吸いきって灰皿に揉み消す。

 

「では、北方AL海域に行ってきますね」

 

「ああ、さっきの話は『これから』の話であって、『今日』を切り抜けなきゃ絵に描いた餅でしかねぇ。

変な話をしちまったが、気持ちを切り替えて上手い事やってくれ」

 

綾波の言葉に頷くとタブレットで元々のスケジュールとの確認をする。

予定装備との間違いがないかを六人は相互で確認し合った上で、一列に並んで敬礼する。

 

「いつも通り、誰か一名でも大破したら即時撤退。下手に欲かくんじゃねぇぞ」

 

次元大介と言えば、殺し屋としての経歴が最も有名だが、傭兵や外人部隊としてもキャリアがある。

その時を思い出してなのか、戦場に赴く艦娘たちを見据えてきっちりと指示を出した。

 

それは艦娘達には恒例のものでもあっても、それでもなお飽きた様子などを見せずに黙って敬礼を返した。

 

「ふぅ、ではいってまいります」

 

旗艦の夕張が敬礼を解いた後にそう挨拶すると、そのまま真っすぐに出撃へと向かっていった。

しかし、一人発艦所を出るドアの前で一人の艦娘が立ち止まって振り返った。

 

「たった一つの命を捨てて生まれ変わった不死身の身体!」

 

「バカ言ってねぇで、とっとと行きやがれ!」

 

ポーズを取って何やらドヤ顔で言い出した漣に次元は手元にあったクシャクシャに丸まった煙草の空き箱を投げつけるのであった。

それを空中でキャッチして、ゴミ箱に入れながら漣は苦笑するのだった。

 

「ご主人様方はご主人様方で、色々と考えてるんでしょうけどねー。

私たち艦娘も艦娘で少しずつ考え始めたわけで…もっとやさしく大きな愛で、ひ弱な私たちを包んでほしいなァ~」

 

「勝手に登校でも何でもしてこい…俺ァ(おら)、もう疲れた…」

 

ぐったりと肩を落とした次元にうへへと笑い、小さく手を振ってドアを閉めるのだった。

 

「…全く…どうしたもんだろうなぁ…」

 

ソファに身体を沈ませ、静まり返った発着艦所で溜息を漏らす。

正直、一番悩んでいたのは次元であった。

 

 

ルパンは人当たりの良さもあり、また様々な仕事をこなせる器用さがあった。

そのおかげで今では鎮守府の運営のみならず、龍田や丈二、貝木などと様々な仕事へ手を伸ばしている。

五右衛門は元から修行一筋といったところが多分にあり、今ではフィジカル面で優れた艦娘を指導、または修行の相手をさせてある意味いい距離感で付き合っている。

 

しかし、次元は自分がどう振る舞っていいかに悩んでいた。

 

確かに傭兵稼業やルパン以外と組んで仕事をしたこともあるが、どうしてもそういう荒っぽい稼業は基本的に男社会である。

それが、今では真逆で男がほとんどいない上に、基本的に慕ってくれる。

 

それ相応に厳しく指導するなりはしているものの、若干距離感に悩んでいるのである。

 

その姿を見て、ルパンには爆笑された。

『お前は新人女子社員の扱いに悩む中間管理職かよ』と。

思いっきり腹を抱えて笑われて腹が立ったので、ヘッドロックを決めてやったが。

 

実際、上手い例えだとは本人でも思ったが。

 

「…俺もちっと…歩み寄って考えてみるかねぇ…」

 

深い溜息を漏らして、ソファーからゆっくり体を起こすのだった。

 

とはいえ、具体的にはどうしていいのか妙案が思いつかなかったため、誰かに相談しようと発艦所を後にするのだった。

 

「誰にすっかなぁ…ルパンなんかにゃ聞きたくねぇし…」

 

不器用な男の悩みは尽きないようだ。




というわけで、大規模作戦開始前日のアップとなりました。

まぁ色々と細かいネタを交えつつの鎮守府の日常でした。
次元の件はまた後日引っ張りますが。
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