IS《Blind Revenger》―光を奪われた彼は復讐者と成る―【未完】 作:与祢矢 慧
はじめに
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ありがとうございます!( ´ ▽ ` )ノ
こんな亀更新で稚拙な文なのに、書き始めた頃は200件なんて想像してませんでした
UAも19000越え!もうすぐ20000!
ほんっとうにありがとうございます!
タイトルの日本語部分「ー光を奪われた彼は復讐者と成る」
これは消そうか、と迷うこの頃
トオルが部屋にこもって、二日が経とうとしていた。
この間、気にかけたオータムが様子を見に行こうとするが、それはスコールによって止められていた。今はそっとしておくべきだ、とのことだ。
トオルは一日に一回だけ、人が少ない時間帯に出てきて食事をとり、すぐに部屋にこもっているらしい。
不思議にも、彼を見かけたものはいない。少ないとはいえ、人がいないわけではない。それでも、見たと言うものはいなかった。
ここ二日ほどと同じような物足りなさを含んだ朝食を終えて、オータムはスコールの部屋に来ていた。
一度トオルの部屋に押し入ろうとして彼女に止められてから、ちょくちょくと『面会』の許可をもらいに来ている。その全部が却下されたが。
乱暴に備え付けのソファに身を沈めて、相手の名前を気だるげに呼んだ。
「……なぁ、スコール」
返答はため息だった。このやりとりをこの二日間で何回見たかな、とスコールは愚痴るように思い返した。
「あのね、心配なのもわかるけど、この件は私たち部外者が手を出していいものじゃないの」
「でもよー、飯食った跡はあるのに見た奴がいねーとかおかしいだろ?」
どういう仕組みだよ、と舌打ちを交えた。
怒っているように見えるが、これがオータムの心配の仕方だ。スコールはまたため息をついた。
その時に誰かが部屋のドアを開けた。
「私たちは常識の範囲外に存在している、と言っても過言じゃないです。貴女達が頭をいくらひねってもわかりませんよ」
入ってきたのは、無表情を貼り付けたマドカだった。
基本的に、トオルがいない時のマドカの表情は能面のようだ。『兄さん』と言って彼にひっついていた姿が嘘に見える。
マドカはオータムの対面側にある椅子に腰掛けた。
「……同じ異能児なんだろ? なんかわかんねぇのかよ」
「あいにくと、自分を理解できるのは自分だけ。この言葉が最も適用されるのが異能児なんですよ」
「……なんだそれ」
オータムはソファに寝転んで天井を仰いだ。
マドカは支給された腕時計をちらちらと見ている。
「……はぁ」
スコールは三度目のため息を吐いた。
やはりこの二日間、目の前の二人はこんな調子だ。
どうしてこうも仲が悪いのか、と辟易していた。
オータムは彼と仲間であり、それ以上に信頼している。だから心配し、気にかける。
しかしマドカは違う。『兄さん』と呼び、慕っているが、それ以上の感情を持っている。信頼というよりは盲信に近いだろう。
同族嫌悪、ではなくマドカが一方的にオータムを敵視して、それにオータムがイラついているだけだろう。
仲が悪いのは結構だが、任務の時に支障をきたさないでほしいと、スコールは切に願った。
「………………」
マドカは何を気にしているのだろう、と彼女に視線を向けた。
さっきから腕時計を見ては目を離し、また見るという行動を繰り返している。
「マドカ、何を気にしてるのかしら?」
その様子に引っかかりを感じたスコールは尋ねるが、マドカはそっぽを向いた。
尋ねたものの、実のところ見当はついていた。
あのマドカがここまで気にすることなど、トオルに関係することしかない。
少し考えて、基地の出入の
「……なるほど」
見つけた一つの欄には、『
暖かくなってきているとはいえ、この辺りの朝晩は冷える。しかし、そのことを彼が知らないわけがない。
大丈夫ね、と心の中でつぶやいて柔らかい椅子に深く座りなおした。
チラリと時計を見ると、短針が『9』の文字にかかっていた。
足に力を込めると、ザクっという砂の音が耳に入る。いつ踏んでも、砂の感触は飽きない。
少し強めの海風がヒュウと音を立てて吹いてくる。上着を持ってきて正解だった。
波が立てるザザァンという音が耳の中で反響する。左手で触ると、冷たかった。
トオルは砂浜で風を浴び続けて、もう二時間になるだろう。
彼はこっそりと基地から出て、裏手にある海岸に来ていた。
風は冷たさを帯びて強く吹き、波の音は大きい。この時期に限らず、ここを訪れるような人間はいない、と彼は知っていた。
彼はよく、気分転換などでここを来る。その時はいつも一人だ。
落ちていた石を左手で拾い、感触を確かめるように握る。
グッと力を込めると……石に亀裂が走り、砕けた。
「……ハッ」
破片で傷付いた掌。流れる血の温度を感じながら、彼は笑った。
今までこんなことはできなかった、と思いながら。
あの日、マドカから過去を聞いた時、彼はひどい頭痛に苛まれていた。
部屋に戻り、寝ようとしても寝れない。落ち着こうとしてもできない。
彼は事実を否定していた。
そのことが、彼を苦しめていた。
不眠の二日が続き、その間彼は
成長速度の速さ、気配察知の適応、そしてマドカを救出時にあった空間の全てを把握したような感覚。
自分が人間じゃないと自覚した。受け入れた。
そうなれば、苦しかった頭痛が嘘のように消えた。
そして、変化が起こった。
自分が異能者であると自覚すれば、体がその認識に適応しようと変わり始めた。
自覚することが、今まで『思い込みの作用』で無意識にかかっていたリミッターが解除された。
その結果が、左手で握り潰した石だ。
しばらく、そのバラバラの石を眺めていたが、海に向かって投げた。滴る血が軌跡を作る。
目が見えずとも、その軌跡をはっきりと感じていた。
変わったのは身体能力だけではなく、知覚の精度と範囲も向上していた。
今、この瞬間にその知覚が近づいている存在を認識した。
「……誰だ?」
後ろを振り向かず、しかし自分の背後にいると確信があった。予想通り、彼が声をかけた時に初めて砂を踏む音がした。
彼の頭に送られる『情報』から彼は、その存在が強い、と感じた。
義手である右手を握りしめ、戦闘準備をして素早く振り向いたが……。
「あちゃ〜、ばれちゃったか。残念残念」
そんな心構えがバカらしくなるような気の抜けた声を聞いて、若干力が抜けてしまった。
彼の様子を気にかけていないのか、その存在は喋り出した。
「でも君すごいね! この私が気配を消したら『ちーちゃん』ぐらいしか気づかないのに、君は気付いたんだから!」
ちーちゃんって誰だ。
彼は心の中でツッコミを入れていると、その存在、声からして女性は急に近づいた。
「見た感じ失明してるね。ん〜、だからかなぁ、ほかの感覚が鋭くなってるのかも。いやでも、それだけじゃ納得できないなぁ」
「……もう一度聞く、誰だ?」
すでに敵意がないことはわかっていたが、彼は念のため少し距離を取った。
対して女性は変わらず陽気な口調で言った。
「そっか、顔わかんないから知らないよね! この私こそが、ISを作った篠ノ之束だよっ!」
その瞬間、彼の心に潜む殺意が目覚めた。
篠ノ之束。
ISの開発者であり……白騎士事件の黒幕。
トオルの両親を殺した、元凶。
……ああ、こいつがそうなのか。
こいつが世界をぶっ壊したのか。
気づけば義手のブレードが発動していた。
立っている場所、重心、身長、心臓の位置。知りたい情報は全て頭に入ってくる。
……殺す。
トオルは無意識に、周囲に濃密な殺意を垂れ流していた。
しかし、その殺意を感じていないのか、篠ノ之束は涼しげに言い放った。
「君さ、『鳴神龍介』って人、どこにいるか知ってるよね?」
それは彼の思考と行動を止めるには、十分すぎる言葉だった。
「………………
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