IS《Blind Revenger》―光を奪われた彼は復讐者と成る―【未完】   作:与祢矢 慧

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……やってしまった……受験なのに……

というわけで十六話です。
前回の投稿から3ヶ月ほど空いてすいません。
今回はちょっと息抜きと、一周年迎えた意地で投稿しました。
久しぶりなんでめちゃくちゃだと思いますが、ご容赦を。

お気に入り、UAありがとうございます。
そして評価9をくれた、こがんさん、ありがとうございます!

受験頑張ります。


十六話 交錯:二

 見渡せ(・ ・ ・ )ば、そこは紫と群青に塗りつぶされていた。

 

『──やく、と─が─ま──ね』

 

 二色が混じり合い、反発し合う世界以外に見える(・ ・ ・ )ものはない。

 

『さぁ─ざめよ、わ─らがど─ほ──』

 

 ……いや、たった一つだけある。

 

『そし──我らが─う─。お───の剣を、その手に……』

 

 世界の中心に突き刺さっている、紫色に鈍く光る刀身。

 

 その傍に立つ誰かは、群青の靄がかかっており、左手をこちらに差し伸べている。

 

 一歩、彼はそちらへ足を進めると、その靄が薄まる。

 

 なぜか無性に、その先にいる姿が知りたくなる。

 

 また一歩進むと………………見えた(・ ・ ・ )

 

 それはまるで、完成された絵画のように美しい女性の姿。

 

 何より印象深いのは、引き込まれるような紫色の着物。

 

 その出で立ちに、彼は懐かしいと感じる。

 

 言葉が自然と、口から出ていた。

 

 ──────■■■■

 

 

 そして、次第に世界は光を失っていく……。

 色も姿も、何も見えなくなっていく。

 

 最後に見えたのは、恐ろしいまでに美しく、微笑む彼女の姿だった。

 

 

 

 

 

 

 ツンとした薬品の匂い。

 深い泥沼の底からゆっくりと意識が浮上する。

 

「………………ここ、は」

 

 呟いてから、自分がベッドの上にいることに気づいた。

 同時にさっきまで見ていた(・ ・ ・ ・ )光景が鮮明に思い出されていく。

 

「医務室よ。……まったく、急に気を失うし、四日も起きないから驚いたじゃない」

 

 右から聞こえる声は聞き慣れたもの。

 四日も寝ていたのか、と内心でつぶやいた。

 

「で、調子はどう?」

「……異常はない。むしろいいぐらいだ」

「そう、ならよかった」

 

 そう言うスコールの声からは安堵が感じられた。

 しかし、自分はこうも素っ気ない喋り方だっただろうか、と自問する。だが次の瞬間にはそうである(・ ・ ・ ・ ・ )ことが生来のものだと思い出した(・ ・ ・ ・ ・ )

 ベッドから降りて、そばに置いたあった義手を手早く装着する。

 一瞬だけ集中力を高め、知覚範囲を拡大させる。現在地を特定し、目的地までの道のりを頭の中で設定した。

 いつものようにサングラスをかけ、ドアに手をかけるとスコールに呼び止められた。

 

「ねぇ、どこ行くの?」

「……待ってる奴がいる」

 

 それだけ告げると、足早に部屋から出て行った。

 

 一人残されたスコールはマドカの所へ行くのだろうと推測した。

 トールが倒れた、と伝えた時の彼女の慌て様はひどいものだったと思い返す。なにせ、医務室に行こうとして、足が絡まってこけて、運悪くアイスコーヒーを飲んでいたオータムに突っ込んだほどだった。

 その光景を思わず撮ってしまった自分は悪くない。

 

「さて、仕事に戻ろうかしら」

 

 まだまだ、トールに関する大仕事が残っている。と、思った時に妙な違和感を感じた。

 

「………………彼の話し方って、あんな感じだった?」

 

 もっと丁寧な言葉遣いだった気がするけど、と思い返す。

 

 だが、その答えを知ってる人間は、ここにはいない。

 

 

 

 

 彼の目的地、それは開発室だ。

 そこには以前、彼があの篠ノ之束から受け取ったモノが置いてある。

 今すぐ、あれを手に取るべきだ。そう、自分の中に潜むナニかが囁く。

 根拠なんてどこにもないのに、まるでそれが正解のように思える。

 歩くスピードは徐々に速まり、いつの間にか走っていた。

 

「……でよ、昨日なんか……」

「……まじかよ。このままで……って!」

 

 前方から声がする。その瞬間に、トオルは『情報』を読み込んだ。

 開発室へはこの道を直進しなければならないが、その先から六人ほどが歩いてきている。

 道は広くない。

 だが、彼はスピードを落とさずに走り続ける。

 向かってくる六人がようやく気づいた。しかし、すでに距離は二メートルもなかった。

 

「おいっ、あぶっっ!」

 

  危ない、と言いかけた時には、トオルは二人の間を抜けていた。体のどこもかすらせることなく、減速することもなく走り抜けた。

 まるで、人の位置だけでなく、その一挙一動全てを把握してるかのように。

 

 後に残された彼らは、ただ呆然としていた。

 

「……あいつって、見えていない……はずだよな?」

 

 その呟きは、この場にいる全員の胸中を代弁していた。

 

 

 

 

 バァンッ、とドアを乱暴に開いた。

 すでに中が人がいないことは知っていた。

 中央の小さいテーブルに置いてある一枚の紙を手に取り、義手を介して文面を読み込む。

 

「……なるほど」

 

 紙を置き、部屋の奥へと進む。周囲の物体の『位置情報』を読み込み、壁に一部に手を置くと、その部分が横にスライドした。

 現れたキーボードに、書いてあったコードを入力すると、一部の壁が開いた。

 それは、紙に記されていた、地下へ導くエレベーターだった。

 

「……よし」

 

 それへ乗り込み、二つだけあるボタンの下側を押すと、壁が閉まる。そしてすぐに、わずかな浮遊感を感じ始めた。

 ゴォォという静かな振動音を響かせながら、エレベーターはかなりのスピードで降りている。

 向かっている場所はかなり深い。

 だが確かに、その『存在』を感じていた。

 

 数分ほどでエレベーターは静止した。

 壁が開き、外へ出ると、思わず立ち止まってしまった。

 『情報』の、その内容に圧倒されてしまった。

 

 そこは、膨大な数の機械が存在する巨大なドーム空間だった。

 

「おや、ようやく起きたんですね」

 

 急に右から聴こえた声は、開発室長のものだった。

 三メートルほど離れた位置で、彼は何かを操作している。

 ここはなんだ、と聞こうとして、彼は先に答えた。

 

「ここは我らスコール傘下が有する、ISの研究所です。まぁ、規模はその辺の国よりでかいです」

 

 まるで全て見透かしているような口ぶりだった。

 そこで本来の目的を思い出し、探そうとして、また彼が口を挟んだ。

 

「アレなら、もう直ぐお目にかかれますよ。……っと、失礼」

「いや、気にしてない」

「それはどうも。……トオル君、何かありました?」

 

 その質問に首を傾げた。どういう意味だ、と。

 だが彼は、まぁいいです、とだけ言うと、話を続けた。

 

「かの天災(篠ノ之束)も、厄介なものを渡してきましたよ。さらにはそれを四日で終わらせろ、というボスも鬼ですよ、まったく」

「……の割には、声が喜んでいるんだが?」

 

 揶揄うつもりもあったが、事実、彼の声は弾んでいた。

 

「目の前の肉に、空腹の虎が我慢できると思いますか。……そういうことです」

 

 即答だった。

 そういうものか、と納得する。

 いい加減、本題を切り出そうとすると、突然中央で歓声が上がった。

 

「……なんだ?」

「あぁ、ようやくできたんですよ。みんな不眠不休でしたからね。その分喜びも大きんでしょう。かくいう私も嬉しいものです」

 

 その歓声につられるように、中央に足が向いた。

 室長はそれを止めず、さっきとは別のキーボードを叩いた。

 すると、中央の機械が動き、上からナニかが降りてくる。

 

「トオル君、あなたの新しいチカラ、そして翼だ。その身で存分に感じてください」

 

 ニヤリと笑いながら彼は言った。

 だがその言葉のほとんどは、トオルの耳に入ってなかった。

 降りてきた前の『存在』に、心が奪われていた。

 

 見えなくとも、『情報』が教えてくれる。

 

 日本刀のような、鋭利なフォルム。

 速さを求めた、ブースターとウィング。

 防御を捨てた、薄い全身装甲(フルスキン)

 黒よりも深い、濃紺のボディ。

 

 そしてそれらの核となる、コア。

 

「………………これが、俺の……」

 

 トオルの物となるためだけに生み出された機体。

 

 それを彼は記憶(・ ・ )で感じていた。

 

 

「そう、君のための………………インフィニット・ストラトスだ」

 




やっとISが出ました。
なぜ主人公が乗れるのか、それは後日に。

アドバイス、誤字、指摘等、そして感想、評価お願いします。

では、良いお年を!
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