緋弾のアリア ―灰色の目の少年―   作:オリーブの枝

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今話の小題は、「真実」

今解き明かされる真実とは!
「もうわかってるよ」って方もいるかもしれませんがお楽しみください!



それでは本編、どうぞ。


3. La Verità

 

 

「神崎!?」

 

 

「遅い!あたしがチャイムを鳴らしたら五秒以内に出なさいよね!」

 

 

 

なんでこいつがここに!?

突然のアリアの来訪に俺が驚いているすきに、アリアは部屋の中にズンズンと上り込んできた。

 

 

「それと、あたしのことはアリアでいいわよ。そんなことより、ねぇトイレどこ?この部屋、あたしが思ってたよりも広いのね。あぁ、そこのトランク中に運んどきなさい!」

「は、はぁ?トイレはあそこの奥だけど……はぁ?」

 

 

 

まくしたてるアリアに俺は目を白黒させるが、そんなアリアは俺の言葉も聞かずに自力でトイレを見つけて入ってしまう。

こんな、どう見ても女物のトランクが玄関先に置いてあったらあとで他の奴らに何を言われるかもわからないので、渋々アリアのトランクを引きずり込む。

 

「アンタここ、一人部屋なの?」

 

 

ちょうど俺がトランクを部屋に運び込み、玄関の扉を閉めたところでトイレから出てきたアリアが部屋を見回して聞いてくる。

 

「いや、朝お前も会っただろ、朔夜…尾田が同室で、二人部屋だ。」

「はぁ!?朔夜と一緒?アンタ男子寮で女子と二人部屋とかどういう神経してるのよ!!」

 

 

何を想像したのかわからないが顔を真っ赤にしたアリアは今にも殴り掛かってきそうだ。

そこに救世主、現る。

 

 

「はぁい、呼んだー?」

 

 

 

こちらのドタバタが聞こえたのだろう、朔夜が自室から出てきた。

 

 

「あ、アリアじゃん、やっほー。」

「え、アンタ、本当に朔夜なの?髪……ウィッグでもつけてたの?っていうか、そんなこと言ってる場合じゃないわ!アンタもう少し考えなさいよ、こんな奴と一緒にいたら何をされるか分かったもんじゃないわよ!」

「えー、別に平気だよー?そもそもキンジは迫っても受け入れてくれないしなー。」

 

 

こんな奴とは失礼な。あと朔夜、お前なんかでヒスってたまるかよ。

 

「はぁああ!?は、破廉恥なっ!アンタもなんで受け入れてんのよ!やっぱりアンタは強猥男ね!」

 

最後の方は俺に向かって言ってくる。ってか、ちょっと待て。アリアは今にも銃を抜きそうな雰囲気、早く説明しなければ俺の命が危ない。

 

 

 

「ちょ、ちょっと待て、落ち着けって!これには深い訳があってだな……」

「もうこれ以上は聞いてらんない!やっぱり風穴――」

 

 

 

 

 

 

「 こ い つ は 男 だ !!」

 

 

 

 

 

 

 

 

「はぁ!?何を言い出すかと思えば、朔夜が男ぉ?ンなわけないでしょ?」

「ほんと、本当なんだって!なんなら本人に聞いてみろよ。」

 

「まったく……。ねえ朔夜、アンタが男なわけないわよね?」

「えー?えへへ、いつも女の子の格好してるからみんな勘違いするけど、ボク、男の子だよ?」

 

「」

 

 

 

 

 

 

 

そんな、あんなに可愛いのに朔夜が男?髪とかサラサラだしどう見ても男には…。ショートだし中性的でボーイッシュな女の子くらいに思ってたけど確かに言われてみれば男子だとしてもおかしくはない…。でも今朝やりあったときの感触から言ってどう考えても女の子だと思ったのに……。

 

などと、落ち込んでぶつぶつ言っているアリアはとりあえず放置しておこう。触らぬ神に崇り無しだ。

それよりも、

 

「おい朔夜、なんで出てくれなかったんだよ、お前が応対してればここまでの騒ぎにはならなかっただろう?」

「いやー、ヘッドフォンで音楽聞いてたから聞こえなかったんだよね。ちょうど曲と曲の間で二人が話してる声が聞こえたから出てきたってわけさ。」

「まあそれはありがたいんだが……。そういえば、今朝はお前任せにして悪いな。あの後どうしたんだ?」

 

こいつに謝るのは癪だが……、迷惑をかけたのは事実だからな。

 

「何とか攻撃をしのぎながら話を聞いていたらだんだん状況が分かってきてさ。まあ感情的になってた彼女が言ってることだけだと不安だから一応君の性格、体質、運の悪さも加味して考えたら本当はこうだったんだろうなっていう推理を伝えたら彼女も不本意そうだけど一応納得して銃を収めてくれたよ。今思えばボクのことを女の子だと思ってたのもあったんだろうね。処分は実際に確認してから決めるって言ってたけど、この分なら一応セーフじゃない?」

 

「さすがAランク武偵、推理力もコミュ力も高いんだな。」

「褒めても何も出ないよ?むしろお礼を請求しちゃう。」

 

「あぁ……わかったよ。それくらいはするさ。ももまんでいいか?」

「安っ!まあ、いいよ。ただし貸し一ね。」

「くっ、ももまん7個でどうだ!」

 

こいつに貸しを作るのは怖いからな。貧乏学生の俺には痛い出費だが、これで身の安全が守られると思えば安いもんだ。

 

そうこうしてるうちに、

 

 

 

「ももまん!?」

 

 

ガバっと、アリアが立ち上がる。ようやくこちらの世界に戻って来たみたいだ。

 

「あっ、あぁ。なんでもないわ。なんだかのどがかわいてきちゃったわね」

 

アリアはそう言ってソファーのど真ん中に陣取ると、

 

「コーヒー!エスプレッソ、ルンゴ、ドッピオ!砂糖はカンナ!一分以内!」

 

レストランでウェイターにいうように命令してきた。

なんだよその魔法の呪文みたいなコーヒーは。

 

ドッピオ(コーヒー豆二倍)ルンゴ(薄めたの)ね。」

 

と、俺は思ったが朔夜はこの暗号(ちゅうもん)解読できた(わかった)らしく作りに行く。

うちのキッチンにはイタリアにいたころ毎日のようにエスプレッソを飲んでいたらしい朔弥があれなしでは生きていけないと言って買ってきたエスプレッソマシンがあるからな。

俺は理解できない機械をいじって壊したら嫌だから触ったこともないが。

 

「おいしいわね、このコーヒー。お店で飲んでるみたいね。」

「豆はイタリアからの輸入品だし、ボクはバリスタの資格も持ってるからね。その辺のコーヒーよりはよっぽどおいしいと思うよ。」

 

「まあ、コーヒーのことはおいておいて、だ。」

 

放っておくとコーヒーについて語りだしそうな朔弥を遮るように、俺はアリアに問う。

 

「今朝助けてくれたことには感謝してる。それにお前を怒らせてしまったことも謝る。だが、なんで俺の部屋まで押しかけてくるんだ。」

「わかんないの?」

「わかるかよ。」

 

「アンタならとっくのとうにわかってると思ったんだけど。まあそのうちわかるでしょう。まあいいわ。」

――よくねえよ。

 

「ねえ、おなかすいた。なんか食べ物無いの?」

「あるけど……夕食まで食ってくつもりじゃないだろうな。」

 

くそ。今日買い出しに行ってなければ「無い」って言ってこいつを追い出せたのに。

 

「当たり前じゃない、もう夕食の時間でしょ。まさか二人とも料理できないなんて言わないわよね?」

「あー、ボクがいつも料理してるんだけど、今日はまだ準備してなかったんだ。夕飯作ってる間に二人で下のコンビニに行って何か買ってきなよ。」

 

おい!飯を作ってもらってる立場でいうのもなんだが、この状況で俺をこいつと二人きりにするなよ!

 

「こんびに?ああ、あの小さいスーパーのことね。ねぇ、そこって、『ももまん』売ってる?」

 

 

 

 

 

 

 

「ごちそうさまでした。朔夜、アンタ本当に男なの?料理上手いのね。すごくおいしかったわ。」

「お粗末さまでした。何が一番おいしかった?」

「ももまん!」

 

 

ももまんは買ってきたんだろうが。

 

ももまんっていうのは一昔前にちょっとブームになった、ただ桃の形をしているだけのまぁいわゆるあんまんなんだが……。

結果から言うと、アリアはそのももまんを夕食前に5個、夕食後に3個食べた。

別にももまんが普通のあんまんよりも小さいとかそういうことはないんだが。

敢えて更に言うならば、夕食のリゾットもきちんと一人前平らげている。まあ朔夜の料理は美味いからそれもわかるが、いったいあの量の栄養はどこに消えているのだろうか。

少なくとも胸では無いことだけは確かだ。

 

とか考えていると、考えがばれたのかアリアにギロッと睨みつけられた。

この女、いったいいつまで居座るつもりなんだろうか。

 

「そろそろ本題に入らせてもらおうかしら。」

 

前置きが長いんだよ。

 

「で、その本題ってのはなんだよ。」

 

アリアは俺の言葉を無視して立ち上がり、窓から見えるすっかり暗くなった外の景色をチラリと見て、少し深呼吸。

 

 

 

「アンタたち、あたしのドレイになりなさい!」

 

 

 

 

 

 

 

「「は?」」

 

 

 

「どういうことだってばよ?」

「落ちつけ朔夜。口調が乱れてるぞ。」

 

混乱してキャラがぶれている朔夜を落ち着かせようとしている俺も、実のところ意味が分からない。

 

 

「まさかそのままの意味じゃないんだろう?ドレイってのは、なんのことだ。」

「強襲科でアタシのパーティーに入りなさい。そこで一緒に武偵活動をするのよ。」

 

「俺は強襲科が嫌で武偵高で一番まともな探偵科に転科したんだぞ。それにこの学校からも、一般の高校に転校しようと思ってる。武偵自体、やめるつもりなんだよ。それを、よりによってあんなトチ狂った所に戻るなんて――無理だ。」

 

 

 

「あたしには嫌いな言葉が三つあるわ」

「聞けよ人の話を」

 

「ボクには好きな言葉が三つあります」

「お前は黙ってろ」

 

 

「『無理』『疲れた』『面倒くさい』この三つは、人間の持つ無限の可能性を自ら押し留める良くない言葉。あたしの前では二度と言わないこと。わかったわね?」

「『好き』『愛してる』『結婚しよう』リピートアフターミー!」

 

「だからお前は黙ってろよ!ってかさっきからキャラがぶれっ放しだぞ、お前。」

 

 

アリアはこちらで朔夜がふざけているのを気にも留めず、話を続ける。

 

 

「アンタ――キンジのポジションは……そうね、あたしと一緒にフロントがいいわ。それで朔夜が後ろから援護。うん、完璧な布陣じゃない。」

 

 

 

「よくない。朔夜はまだしも、なんで俺なんだ。」

 

「太陽はなんで昇る?星はなぜ輝く?アンタは質問ばっかり、小さい子供みたいね。仮にも武偵なら、自分で情報を集めて推理しなさいよ。」

小さい子供みたいな体格のやつには言われたくないセリフだな、と思ったが口には出さないでおく。

 

「ちょっと待ってよ、ボクはいいけどって、ボクも結構忙しいんだからね!手伝ってあげたいのは山々だけど、さすがにそんなに時間ないよ!そもそも僕は―まあそこそこできるけど―強襲科じゃないし!」

 

やっと正気に戻った朔夜は、今頃流れを把握したようだ。

しかし、こいつもAランク武偵。その道を進む者にはかなわなくとも、どんなことでも人並み以上にできる朔夜は細々した仕事には引っ張りだこだ。

アリアにかまっている暇はそんなにないだろう。

 

 

 

 

そういえば、小さい頃からヨーロッパを中心に世界を転々としていた朔夜と付き合っていくにあたって、一つ学んだことがある。そういうやつらと話すときは、遠回しな表現で気づいてもらえるのを待つのではなく、伝えたいことをはっきりと口に出して伝えなければならないということだ。

アリアも同じく、イギリスで育った少女だ。ならばその方法で行こう。

 

 

「まあ、いい。とにかく、帰ってくれよ。俺は自分の部屋でゆっくりしたいんだ。」

 

 

これなら言葉のキャッチボールが苦手なアリアにも伝わるだろう、と思ったが、

 

「まあ、そのうちね。」

「そのうちっていつだよ」

「アンタ達が強襲科であたしのパーティーに入るっていうまで」

 

だめだ、全くきいちゃいない。

 

 

 

「でももう夜だぞ?」

「何が何でも入ってもらうわ。あたしには時間がないの。泊まっていく準備はできてるのよ。何時間でもアンタ達が縦に首を振るまでここに居させてもらうわ。」

 

 

アリアは俺がトランクを指さして言い放つ。

あのトランクの中身はお泊りセットだったのか!

 

 

「ちょっ、ちょっと待て!何言ってる!絶対にダメだ。早く帰れ!」

「ちょ、さ、さすがに男子寮(ここ)に泊まっていくのは……。ほら、もう遅いし、僕が送っていくから、そろそろ帰った方がいいんじゃないかな……。」

 

 

「うるさい!泊まってくったら泊まってくから!」

 

 

なんだ、何が目的なんだ?俺を強襲科に戻して、こいつにどんなメリットがある?

 

 

 

「――出てけ!」

 

 

これはアリアのセリフ。

部屋の主は俺だぞ!

 

 

「なんでこっちが出て行かなきゃいけないんだ!ここは俺の部屋だぞ!」

 

 

「分からず屋にはお仕置きよ!しばらく外で頭冷やしてきなさい!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

拳銃を抜いたアリアに丸腰の俺たちが敵うはずもなく―まあ朔夜に関しては相手がアリアでも何とかしそうなので、俺に付き合って出てきてくれたのかもしれないが―、俺たち二人はコンビニで立ち読み、だけじゃなんとなく悪いので買い物し、少し駄弁った後忍び足で部屋に戻った。

 

何が悲しくて自宅に潜入しなければならん。

 

俺たちはハンドサインを出し合いながら、リビングを制圧――ん?アリアの気配がない。帰ってくれたのかと希望的観測も持ちたいところだが、玄関に靴があったのでまだいるんだろう。

 

途中から朔夜が消えた。

ちくしょう、アイツ、自室に逃げ込みやがった。

 

とりあえず外から帰ってきたので習慣として洗面所に行って手を洗う――

 

――ちゃぽん。

 

 

風呂場から、音がする。

見れば曇りガラスのドアの向こうには、浴槽から足を出してご機嫌そうに鼻歌を歌う影。

 

 

あぁ、なんだ、風呂にいたのか。

 

 

 

…。

 

………って、風呂!?

 

 

 

ズズッ。

やばい。俺は洗面所で後ずさる。

なるほど、風呂に入りたかったから俺を外に出したのか。

そしてついでになるほど朔夜め、アイツはそれをわかっていてコンビニまでついてきて、だからこそその後のトラブルを避けるためにすぐ部屋に戻ったのか。

 

なるべく直視しないように洗濯籠を見るとぐちゃぐちゃに投げ込まれた制服、その上に二丁拳銃と二振りのアリアサイズの(みじかい)日本刀。

 

 

ざばぁ

 

 

 

アリアが湯船から出る音が聞こえ、俺は心臓がひっくり返りそうになる。

 

さらに追い打ちをかけるような、

 

 

 

…ピン、ポーン……

 

 

慎ましい(・・・・)、チャイムの音!

 

この鳴らし方は、白雪か!

 

 

ドンッ。

あまりにもテンパりすぎて、廊下に出たところで自分の足に引っ掛けてこけそうになり、壁にぶつかってしまう。

 

 

「キンちゃん?大丈夫?」

「あ、あぁ、だいじょうぶだ。」

 

平静を装ってドアを開けると、緋袴に白子袖――いわゆる巫女装束姿の白雪が、何か包みを持って立っていた。

 

「な、なんだよお前、そんな格好で。」

「あっ、これ、あのね、あの後また学校に戻って特別講習を受けてて遅くなっちゃって……。キンちゃんに早く晩御飯を作ってあげなきゃって思って、着替えないできちゃったんだけど……、もしキンちゃんが嫌だったら着替えてくるよ!」

「いや別にいいから!」

 

 

 

 

「ねぇキンちゃん、今朝周知メールできてた自転車爆破事件って、あれ、もしかしてキンちゃんのこと……?」

「あ、ああ。俺だよ。」

 

「だ、大丈夫!?けがとかなかった!?て、手当てさせて!」

「俺は大丈夫だから!べ、べたべた触るな!」

「は、はい……でも、良かった、無事で。それにしても、キンちゃんを狙うなんて許せない!私絶対、犯人を|見つけ出して逮捕する《八つ裂きにしてコンクリートに混ぜて海に沈める》よ!」

 

なんだか今物騒なことを言っていた気がするが、幻聴だろう。

そういうことにしておこう。それがいい。

 

「いいからっ。武偵高ではこのくらいのドンパチなんて日常茶飯事だろっ。ほらほら、この話はここで終了!」

「えっと……。はい。」

 

白雪はまだ不満そうだが、コクリとうなずいた。

どこぞの桃色ツインテール(アリア)に白雪の百分の一ほどの従順さでもあればな……。

 

 

「でも、今日のキンちゃん、なんか、ちょっと変だよ?いつもより冷たいっていうか……。」

「き、気のせいだよ気のせい!そんなことより、ど、どうしてここまで来たんだ?」

 

 

 

やばい、白雪の勘が鋭い。しかももしアリアがバスタオルを巻いて廊下に出てきたりでもしたら、一大事だ。

俺のごまかしに、白雪は手に持っていた包みを差し出してきた。

 

 

 

「あ、あのね、これ、タケノコご飯。お夕飯に作ったの。今、旬だし、それに私明日からはまた恐山に合宿で、キンちゃんのお世話、ほとんどしてあげられないから……。ああ、安心して!もし夜ごはん食べちゃってても、明日の朝温めなおせばまたおいしく食べられるようにしてあるから!」

「あ、ああ。ありがとありがと。さ、さあ、用事は済んだろ。もう遅いし、早く帰ろう、な?」

 

「い、一日に二食も作っちゃうなんて、なんだか私、お嫁さんみたいだね……。って、なにいってるんだろうね、私。へ、へんだよね。あはは。…………キンちゃん、どう思う?」

「わかったわかった!わかりましたから早くお引き取りください!」

「『わかった』って……キンちゃん、それってつまり……私………お…お嫁…………」

 

あせって適当に答えた俺に、白雪は何故だか感極まった表情を見せてくる。

 

 

 

 

――ざぱぁ。

 

 

 

俺の心臓が、再び跳ね上がる。

 

「中にだれかいるの?」

「さ、朔弥だよ!アイツちょうど今日帰ってきたんだ!」

 

 

 

 

 

「……キンちゃん、私に何か、隠してることない?」

 

白雪は無表情になって聞いてくる。怖い!

 

 

「な、ないない!隠し事なんてありあ、じゃない、ありえないから!」

「そう?じゃあ、よかった。」

 

そういってニコッと笑った白雪はやっと部屋に背を向け出て行ってくれた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

さあ、白雪の方は片付いた。あとはアリアだけだ。

 

 

まずアリアの武器を取り上げに行く。アリアの凶暴性から考えて、入浴中に俺が帰ってきているのを見つけたら問答無用で攻撃してきかねない。

 

そう思って洗濯籠の前にしゃがみ、手を突っ込んだ瞬間――

 

 

 

 

――ガラリ

 

 

 

 

アリアが、風呂場のドアを思いっきり開け放った――。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

流れる、沈黙。

 

 

見つめあう、目と目。

 

 

 

 

 

 

 

ツインテールを下ろし、ロングヘアーになっていた生まれたままの姿のアリアは、

 

 

俺を見て、右手を胸に、左手を……まあ、そこに。そうやって体を隠し、

 

 

洗濯籠の中に突っ込まれている俺の手を見て、

 

 

鳥肌を立て、

 

 

「へ、ヘンタイ……!」

 

 

「ちっ違うんだ!」

 

 

俺はそれを見て無実を証明しようと立ち上がる。

 

 

――それがいけなかった。

 

 

俺は、両手に持った刀に何かひらひらした布切れが引っかかっているのに気付いていなかったのだ。

 

 

そう、トランプのマークがいっぱいプリントされた、アリアらしい(ガキっぽい)上下の下着が。

 

 

 

 

 

 

 

 

「――――!!死ねぇぇぇぇぇぇえええ!!!!!」

 

 

 

 

 

 

 

俺がヒステリアモードになるよりも早く、アリアの前蹴りが俺の腹部に突き刺さる。

俺が痛みに耐えながらも必死に武器だけは離すまいとしているうちに、アリアから更なる攻撃が加えられる。

 

「死ね、死ね、死ねっ!ホントに死ねっこのドヘンタイっ!」

 

 

 

 

アリアの放った跳び膝蹴りが、さっき蹴りを食らったちょうどそこにめり込み、俺は意識を手放しかける――

 

 

 

 

 

 

 

――「キンジ、おやすみー。今日も今日とて修羅場だねー。」

 

 

 

 

 

全部聴いてたのかよ!!!

 

 

 

 




叙述トリックって、大好きなんですよね。自分で書くと拙いですけれど。
まあ叙述トリック的には女装って微妙な範囲ではあるんでしょうけど、女の子だとは言ってなかったですし。
最初に帰国子女って聞いて、女の子だと思った経験があるのは私だけではないと思います。

まあ言い訳はこの辺にして。


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