武昭が束に仙術を教えると決めてから数日経ったある日の事………
「はい、手合わせは俺の勝ちですね」
「もーう、束さんだって、仙術は覚えてるのにタッくんに勝てないよー」
束の研究所内の一室で武昭と手合わせをしていたが束が倒されて負けた。
「まぁ、仙術に関しては俺の方が一日の長がありますからね。
けど、束さんも少しずつ実力が上がってるから、このまま努力すれば良い所までいけますよ」
「そうなんだ………努力すればか………」
「ん?束さん、手を見たりして……何処か痛めましたか?」
「ううん違うよ。 私は自分で言うのもおかしいけど昔から何でも出来てきたんだ……
だから努力するって事を今やってて凄く充実してる感じがするんだ」
「束さん………昔誰かが言ってましたけど、天才とは1%の才能と99%の努力であるって言ってました」
「天才とは1%の才能と99%努力であるか………前までなら何を言ってるんだって感じだったけど
今なら、その言葉を理解出来るよ」
「やっぱり束さんは天才ですよ。さてと今日もいつもの体術をして終わりますか」
「うん!わかったよタッくん‼︎(タッくんが居なかったら私は自分の世界に閉じ籠ったままだったけど
、今なら他の人達とも関わりを持っても良いかなって考えてるよ)」
束自身も笑顔で自分の心中が変化している事に喜んでいた。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
武昭が道場に来て1年程経った頃……
気になった事を箒と話していた。
「最近、千冬さんが来てないけど箒は何か聞いてるか?」
「あぁ、父さんが言っていたんだがバイトを増やしたからだと聞いたぞ」
「バイトを増やしたって……そういや前に千冬さんの家に行った時
弟の一夏には会ったけど両親には会ってなかったっけ」
「そうか、武昭は私や一夏と学校が違うから知らなかったのか。
一夏と千冬さんの両親は数年前に二人を置いていなくなったんだ。」
「へぇ、そうだったのか……ん?箒は一夏と同級生だったのか」
「あぁ同じ学校ですからクラスも同じだ。それで千冬さんは一夏を育てる為にバイトを始めたんだ」
「それで、千冬さんが道場に来なくなったのか……(帰りに寄ってみるか)」
箒の話を聞いた武昭は織斑家の事を考えていた。
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
道場での鍛錬を終えた武昭はスーパーで買い物をして織斑家に来ていた。
「まぁ、これ位なら受け取ってもらえるだろ」
玄関の前に来た武昭がチャイムを鳴らすが反応が無かった。
「あれ?留守か、おーい一夏居ないのかー?」
「なんだ、誰かと思ったら武昭だったのか」
一夏が出て来たが何処か疲れた表情をしていた。
「あぁ、箒から千冬さんが道場に来なくなったって聞いたからな。
ほら、差し入れだ……だいぶ疲れてるみたいだけど、どうしたんだ?」
「ありがとうな武昭。実は今千冬姉が風邪をひいてて看病してたんだ」
「そうだったのか……けど、一夏の方は大丈夫か?何と無く顔色が悪いぞ」
「これ位何でも無いよ……俺がいないと千冬姉の看病が出来ないからな」
一夏が家に戻ろうとすると膝が崩れたので武昭が支えた。
「全く……一夏が頑張るのは良いけど、お前が倒れたら誰が千冬さんの看病をするんだ?
一人じゃ出来る事には限界があるんだから他人を頼る事をしろよ」
「悪いな武昭………なぁ、武昭が良かったら少し手伝ってくれないか?」
「そんなの当たり前だろ?俺たちは友達なんだから」
武昭は一夏の肩を支えながら家に入った。