織斑家の千冬の部屋で………
「ん………どうやら眠っていた様だな………」
千冬が目覚めたが頭には濡れたタオルが置かれていた。
「一夏がやってくれたんだな………汗をかいているから着替えるか……」
「千冬さん、お粥を作ったから………」
「なっ!?た、武昭!?」
千冬が着替えようとした時に武昭が部屋に入ってきて目が合うと互いに固まっていた。
「………千冬さん、ココに置いておきますから、冷めない内に食べてください」
「あ、あぁ………って、ちょっと待て」
武昭が慌てて部屋から踵を返すが千冬に捕まった。
「なんで武昭がここにいて、私の部屋に入ってきたんだ?」
「い、いやー箒に聞いたら千冬さんが病気だって言ってたので見舞いに来たんですよー」
「そうだったのか、それには感謝しよう………だが」
「ち、千冬さん?何か肩がミリミリ言ってるんですけど……… 」
「嫁入り前の女性の部屋に黙って入るとはダメじゃないか?」
「い、いや一夏に聞いたらまだ眠ってるって聞いたから起こさない様にしただけなんです」
「そうか………だが、それはそれ、これはこれだ!」
「あぁーっ!千冬さん、止めてー!そこの関節は逆に……ギャー!!!」
その場を離れようとした武昭は千冬に捕まった。
一方………
「えーっと、これはちゃんと洗濯ネットに入れて……
ん?今の叫び声は………うん、何も聞こえなかったから洗濯を続けるか」
一夏は何らかの声が聞こえても我関せずとして洗濯をしていた。
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その日の夜……
「千冬さん肉ばかりじゃなくて野菜も食べて下さい」
「別に良いではないか、私は病み上がりなのだぞ?」
「全く………おい、一夏、そこの魚火が通ってるぞ」
「あぁ、ありがとうな武昭。アチチ!」
一夏と千冬は武昭が作った寄せ鍋を食べていた。
「それにしても千冬さん、バイトを増やすのはいいですけど
それで体を壊して倒れてたら元も子もないですよ?」
「武昭の言う通りだよ千冬姉」
「すまないな武昭、一夏……だが、今のこの家で働けるのは私しかいないんだ……
だから、私が頑張らなければ、日々の生活も………」
千冬は下を向いていた。
「だったら千冬さん、これを使って下さい」
「なっ!?すっげー金だなー!!」
「おい武昭!お前、どうやってこれだけの金を用意したんだ!?」
武昭が多量の札束をテーブルに置いたのを見た一夏と千冬は驚いていた。
「こいつは両親の遺産の一部です。けど、これはタダであげる訳じゃないんです」
「どういう事だ?武昭」
「今、ここにある金額は1千万円です。これを千冬さんに俺から貸します」
「なら、私は武昭に1千万円の借金をする事になるのか」
「はい、けど返すのはいつでも構いません。
月々に1万円なら1万円といった分割でも良いですし
宝くじが当たって臨時収入があって一気に返しても俺は何も言いません」
「本当に、そんな条件で良いのか?武昭」
「えぇ、けどもう少し俺からちょっとした条件を出します」
「どの様な条件だ?」
「それは……出来るだけ、一夏といる時間を作って一緒に居てあげて下さい。
今日、俺が一夏に会った時に軽く倒れそうになってたんです」
「なっ!それは本当か一夏!!」
「あ、あぁ……千冬姉が俺の為に頑張ってくれてるのは知ってたから
俺が出来る事をしてたんだけど………」
「千冬さんにとって一夏がただ一人の弟である様に…………
一夏にとっても千冬さんはたった一人の姉なんですよ」
「一夏………悪かった……」
「そんな、千冬姉が謝る事は無いよ。俺だって武昭が手伝ってくれなかったら
倒れてたかもしれないんだからさ」
「だから、俺も一夏と千冬さんの友達として俺が出来る事をしたんですよ。
それで千冬さん………このお金は、どうしますか?」
「あぁ、お言葉に甘えて受け取らせてもらおう」
「千冬さん、急にバイトを辞めると迷惑が掛かると思うので、そっちの方はお願いします」
「ふっ、それ位言われるまでも無い………ありがとうな武昭」
「別にお礼を言われる事じゃないですよ。俺に今出来る事が有った、ただそれだけですから」
「そうか、わかったよ」
「それよりも、早く食べようぜ、鍋が冷めちまうぜ」
「そうだな。千冬さんこっちの豆腐も食べて下さい」
「うむ、なかなかの味だな」
「なぁ、具が少なくなったから、入れても良いか?」
「あぁ、構わないぞ、けど少し肉は多めに頼む」
その夜は3人で夕食を食べていた。
はい、今回はここまでにしました。
今回の内容はオリジナル設定にしました。
普通に考えて姉弟だけで生活してるなら、こんな事があるんじゃないかと思い書きました。
それでは、次回をお楽しみにしてて下さい。