武昭が道場に通う事になって、ある程度あった頃………
「ふぅ、今日はこれまでにするか………」
「くっそー………今日も勝てなかったかー」
「一夏は、そう言うが前よりは堪えられる様にはなってきたぞ」
「堪えられても勝てなかったら意味が無いんだよ」
試合を終えた武昭と一夏は箒からタオルを借り汗を拭いていた。
「まぁ、一夏が鍛えてる様に俺も鍛えてるからな」
「一体、どんな鍛え方をしてるんだ………武昭は………」
「はっはっはっ、武昭君はウチとは違う古流剣術の使い手だからな」
3人が話してると胴着に着替えた柳韻と千冬が道場に入って来た。
「千冬姉、来てたんだ」
「あぁ、久し振りに体を動かそうと思ってな」
「それならどうだい千冬ちゃん?久し振りに武昭君と手合わせしてみないかい?
勿論、2人の同意が得られたらだけど……」
「別に俺は構いませんよ」
「武昭がそう言うなら、私も良いですよ」
「では、武昭君も疲れてるだろうから30分後の休憩の後に手合わせを開始しよう
それまでに千冬ちゃんは体を温めておくと良い」
「「はい、分かりました」」
柳韻の言葉に武昭と千冬はそれぞれの準備を開始した。
▲▼▲▼▲▼▲▼▲▼▲▼▲▼▲▼▲
それから30分後……
道場の真ん中で向かい合わせで立つ武昭と千冬、少し離れた所に審判役の柳韻がいた。
「それでは、これから織斑千冬と宮本武昭の手合わせを行う。
決着方法は、どちらかが一本先取した方を勝ちとする。
反則をした場合は無条件で、その者の負けとする。
異論は無いか?」
「俺はありません」
「柳韻さん、異論では無いのですが、少し良いですか?」
「何だね、千冬ちゃん」
「この手合わせでは武昭に本気で来てもらいたいんだ、私達が初めて手合わせをした時の様に……」
「別に俺は構いませんけど………そうなると、俺はかなり動くんですよ?」
「あぁ、私は本気の武昭と手合わせをしたいんだ」
「柳韻さん………良いですか?」
「うむ、互いが了承したのならば私は何も言う事は無い」
「そうですか………だったら………本気で行かせて………もらいます」
武昭が下を向き再び顔を上げるといつもの、のんびりした様な表情とは違う真剣な顔になっていた。
「(なんだ!?この気配は……)それが武昭の本気と言う訳か………」
「あぁ………久し振りに本気で行かせてもらうからな………では」
「うむ………私が望んだ事だからな………」
2人は柳韻が手を降ろすと同時にぶつかりあった。
「くっ!なかなかのスピードだな!」
「一応、速度に関しては自信がありますからね!俺からすれば千冬さんのパワーの方が厄介ですけどね!!」
「これでも武昭よりも年上だからな!それよりもお前はアレを使わないのか!?」
「そこまで言うなら行きますよ!飛天三剣流!龍槌閃!!」
「そいつは以前に見た事があるぞ!」
「だったら!飛天三剣流!!龍翔閃!!」
「くっ!なるほどな、上空からの攻撃があるなら下からの攻撃もあると言う事か……」
「へぇー………よく分かりましたね、けど、それを躱すって、どんな運動神経してるんですか?」
「さぁな、それよりもまだ手合わせは終わってないぞ!」
「そうでしたね!」
2人は休まず攻めていた。
一方、道場の端で見ていた一夏は箒と話していた。
「なぁ、箒!武昭の
「反則ではないだろう?それならば父さんが直ぐに止める筈だ」
「そうだけど………けど、飛び上がったり下からなんて卑怯なんじゃ……」
「アレは卑怯なんかじゃないよ一夏君」
一夏が文句を言ってるの柳韻が近くに来た。
「父さん、アレは本当に反則じゃないのですか?」
「あぁ、アレは千冬ちゃんが武昭君に本気を出す様に言ったからだし
元々、武昭君が習得してるのは剣道じゃなくて剣術だからね」
「柳韻さん、剣道と剣術ってどこが違うんですか?」
「剣道とは簡単に言えばスポーツであり剣術とは昔から伝わる技術だよ」
柳韻は一夏と箒に説明を始めた。
「剣道とは明確なルールが決められている物であり剣術とはルールが無い………言わば、何をしても良いと言う物だ」
「じゃあ千冬姉が言っていた武昭の本気って………」
「そうだ、武昭君は剣術を使っているんだ、しかもその流派は戦国時代に端を発する物と言われている………
「飛天………三剣流………」
「それが武昭の使っている流派なんですか………」
「あぁ………だが、今の武昭君が使っている物は
「飛天三剣流であって、飛天三剣流じゃない?」
「父さん、それは………「どうやら決着が着いた様だな……」え?……」
柳韻の言葉に2人が武昭達を見ると千冬に面を入れている武昭の姿があった。
「それまでだ」
「はぁー疲れたー………」
「ふっ………一夏と同い年の武昭に負けるとはな、私もまだまだと言う所か………」
「いやー千冬さんの勝ちですよ、俺はたまたま勝ったみたいな物ですから」
「たまたまでも勝ちは勝ちだ、ほら手を貸してやろう」
「ありがとうございます千冬さん」
「それでは、今回の手合わせは宮本武昭君の勝利とする」
2人は礼をすると、それぞれの家に帰った。