ISの世界に来た者。   作:北方守護

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第24話 少女の想いと少年の誓い

部屋に引き篭もっていた箒は身体や髪を整えると武昭と共に一夏の家に向かった。

 

「だが……本当に私の想いを告げても良いのだろうか?……」

 

「箒……人が誰かを愛する事に必要な物は一つだけあれば良いんだ」

恥ずかしがってる箒に武昭が助言した。

 

「その必要な物とは何だ?」

 

「自分が、その人の事をどれだけ想ってるかだ……

この場合は一夏に対する箒の想いって事になるけどな」

 

「私が一夏をどれだけ想ってるか………か、それならば私は誰にも負けるつもりは無い!」

 

「そうだ、今の箒の想いや気持ちを全部一夏に伝えるんだ……

それは箒だけの誰の物でもない奴だからな……おっ、ここだ」

話してると2人は一夏の家に到着した。

 

その後……

 

「ほら、麦茶で良かったか?」

 

「あぁ、ありがとうな一夏」

 

「すまない一夏」

一夏は訪ねてきた武昭と箒を家にあげると麦茶を出した。

 

「それにしても武昭と箒が家に来るなんて珍しいな」

 

「まぁ、いつもは道場で会ってるからたまにはなと思ってな」

 

「そうか、それで今日は何で来たんだ?」

 

「あぁ、今日来た理由は…「ただいま……おぉ誰かと思えば武昭と箒が来てたのか」」

武昭が話そうとした時に千冬が帰ってきた。

 

「あっ、おかえり千冬姉」

 

「「どうも、お邪魔してます」」

 

「あぁ、いらっしゃい……そうだ武昭、お前に少し話したい事があるんだが?」

 

「俺にですか?じゃあ悪いけど俺は席を外すよ(箒、頑張れ……)」

 

(あぁ……ありがとうな武昭……)

武昭は箒に耳打ちをすると千冬と一緒にその場を離れた。

 

武昭side……

 

千冬に呼ばれた武昭は一緒に庭に来ていた。

「それで千冬さんは俺に何の話があるんですか?」

 

「うむ、聞きたいのは武昭が使()()()()()()()の事だ」

 

「それですか……前に束さんにも言ったんですけど俺は教えるつもりはありませんよ」

 

「そうなのか…それは束から聞いたよ、武昭の決意や想いもな……

だが、それでも私は武昭から仙術を習いたいと思ったのだ………」

 

「聞きますけど、どうして千冬さんは其処までして習いたいんですか?」

 

「………今………私は何処か悩んでいるんだ………どうすれば強くなれるか………」

 

「それで俺の仙術を習いたいと………少し考えさせて下さい……

仙術は、その気になれば人を殺す事が出来るんで………」

 

「そうか……そういう事ならば、この話はここまでにしよう……」

 

「そうですね 今日は俺よりも箒の方が一夏に大切な話がありますからね」

 

「ふむ、それで武昭と箒が一緒に来たのか」

 

「はい……千冬さんは箒の気持ちに気付いてたんですか?」

 

「これでもお前達よりも長くは生きているからな………

だが一夏は姉の私が言うのも何だがかなりの唐変木だぞ」

 

「だから、俺は箒にここに来る前に言っておいたんですよ

今の自分の正直な気持ちを全部伝えてやれって」

 

「そうだな、一夏にはそれ位しないと想いが通じないからな」

そう言った千冬は家の方を見ていた。

武昭と千冬が出て行った後……

 

「それで箒、今日はどうしたんだ?」

 

「あ、あぁ……実は……(くっ…想いを伝えたいのに上手く話せない…)」

 

「ん?箒、顔が赤いけど暑いのか?」

 

「ち、違う!暑くはないっ!!」

 

「そうか?箒がそう言うなら良いけど………」

 

「すまない……(頑張るんだ…武昭も言っていたではないか……自分の想いを……)」

箒は武昭に言われた事を思い出すと深呼吸をして気持ちを落ち着かせた。

 

「一夏、私が今日ここに来たのは伝えたい事があるからだ」

 

「伝えたい事って?」

 

「ニュースとかで知ってると思うが白騎士・蒼龍事件に関してなんだ」

 

「あぁ、あの謎の機体と水の龍がミサイルを撃ち落とした事件だろ?」

 

「そうだ 未だにその者達の正体は知らないが、あの機体を作り出したのは

姉さんみたいなんだ……」

 

「姉さんて………束さんの事か!?」

 

「あぁ……それで、その関係で私達家族は離れ離れになるんだ……」

箒が保護プログラムの事を話し出すと一夏は黙って聞いていた。

 

「そんな事になってたのか………それが俺に伝えたい事………」

 

「違う!それもそうだが、私が本当に伝えたい事は私の想いだ……」

箒は再び深呼吸をすると一夏を真っ直ぐに見据えた。

 

「私、篠ノ之箒は一人の女性として織斑一夏の事が好きだ……」

 

「えっ?箒が俺の事を好きって……なっ!?

一夏は箒の言った事を理解すると顔を赤くした。

 

「えっと、その……その好きって意味は……異性に対しての奴で良いんだよな?」

 

「あぁ……もし一夏に好きな人がいるのなら私は、それでも構わない……

只 私はこの想いを伝えたかったからだ……ここから離れる前に……」

 

「箒……俺は……今まで人を好きになった事が無いから……

こんな時にどう言ったら良いか分からない………ごめんな……」

 

「そうか……一夏が気にやむ事は無い、これは私のケジメの様な物だからな……」

 

「箒……俺がこんな事を言うのは間違ってるかもしれないけど……

ここから離れて再会する事があったら……

その時に、もう一度俺に気持ちを伝えてくれないか?」

 

「なっ!?そ、それは………」

 

「俺もわからないけど、また箒と会う事が出来たなら………

その時は、それを受け入れてると思うんだ……だから………」

箒を見た一夏の目には何らかの強さが見えた。

 

「一夏……(そうだ、私が好きになったのは、その強さなんだ……)

分かった……その時まで私は待たせてもらう……」

 

「あぁ、ありがとうな箒………」

一夏が手を差し出したので箒は握手した。

 

それから数日後……箒はその町から離れた。

 


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