時間が経って、武昭達が中学生3年生になった、ある日の事……
「えーっと、皆さんのクラスメイトである鳳・鈴音さんが家庭の事情により転校する事になりました」
担任の先生が帰りのHRでそう言うと隣にいた鈴が前に出て来た。
「急に、こんな事になって驚いている人も居ると思います。ですが転校する迄はまだ日にちがあるので宜しくお願いします」
鈴はそう言うと頭を下げた。
下校時……
武昭と鈴の2人きりで帰っていた。
いつもなら一夏や弾、数馬といった他の仲間も一緒に帰るのだが、今日は皆が空気をよんでいた。
「おいおい、鈴、転校するって本当なのか?」
一緒にいた武昭話しかけてきた。
「えぇ、ちょっと親の都合で転校する事になって、私はお母さんと一緒に中国に帰るの……」
「え?中国に春音さんと帰るって……海崙さんは一緒じゃないのか?」
「うん……あのね……お父さんとお母さん……離婚する事になったの……」
「離婚って……俺や一夏は何回か店に食べに行ったけど、そんな雰囲気なんて感じなかったぞ」
「そうよね……私も、そう感じてたんだけど……なんでだろう……」
そう言った鈴は黙ったまま歩いていた。
「うーん……もしかしたら何らかの事情があるんじゃないのか?」
「その事情って何よ?私にも話せない事なの?」
「なぁ鈴、俺も一緒に店に行って良いか?」
「え、えぇ、お父さん達も武昭ならいつ来ても良いって言ってるけど……」
「そうか、分からないけど俺になら話してくれるかもしれないからな、けど……」
「言いたい事は何となく分かるわ……だけど何か嫌なの、私だけが何も知らないって言うのが……」
鈴の心中を察した武昭は一緒に鈴の親がやってる店に向かった。
店に着くと鈴の両親が武昭がいた事に気付いた。
「おぉ武昭君、今日は鈴音と一緒に帰ってきたのかい。空いてる所に好きに座ると良い」
「えぇ、鈴から海崙さん達が離婚するって聞いたんで」
海崙に言われた武昭は椅子に座った。
「そう……武昭君にも心配かけさせちゃったみたいね……ホラ鈴音、着替えて来なさい」
「えぇ、分かったわ、私が来るまで待ってなさいよ武昭……」
春音に促された鈴が自分の部屋に行くと店内には武昭達3人しかいなかった。
「海崙さん、春音さん……隠し事は苦手なんで俺はストレートに聞きますけど……離婚の原因は……何ですか?」
武昭が真っ直ぐな目で2人を見ると観念した様に話し出した。
「ふぅ……武昭君には誤魔化そうとしても無理みたいね、あなた……」
「あぁ、分かったよ春音……武昭君、実は私達が離婚するのは……私に癌が出来たからなんだよ」
2人の話を聞いた武昭は何処か聞かなきゃ良かったといった表情になると天を仰いだ。
「そうだったんですか……言い辛い事を聞いてすみませんでした……」
「いや、隠し事をしてた私達の方が謝らないと……」
「そんな、頭を下げないでください……それよりも、何でこの事を鈴に話さないんですか?」
「鈴音に話しても悲しませるだけだから……なら真実は話さないで私達が離婚すれば「ふざけないでください」……武昭君?」
「確かに海崙さんは癌かもしれません……けど、それを鈴に話さないのは違いますよ……
鈴がコレを聴いたら悲しみます……
けど、どんな事だろうとも……親の最後にはいたいんですよ……」
(そう言えば……武昭君はご両親を小さい頃に……)
武昭が泣きながら声を震わせているのを見た春音は以前に聞いた事を思い出していた。
「だから海崙さん、春音さん……鈴が、どう思ってもこの事は隠さないでください……
俺がそうだったから……」
「武昭君……ありがとう、そこまで言ってくれて……春音、悪いが鈴音を呼んできてくれ」
「えぇ、分かったわ……」
海崙に頼まれた春音は鈴音を呼びに行くと隠していた事を話した。
その結果……
「ありがとう……武昭……」
「鈴……俺は感謝される様な事はしてないよ……隠してた秘密をバラしただけだ」
話を聞いた鈴は泣きながらも感謝しながら武昭に抱きついていた。
「あらあら、あなたコレは鈴音を日本に残した方が良いかもしれないわ……」
「あぁ、あれ程に好き合ってるなら、そっちの方が良いのかもな」
それを見た海崙と春音は武昭と鈴の様子を見てニヤニヤしていた。
その後……
「結局、春音さんと鈴は中国には帰る事になったんですね」
「えぇ、もう学校の方には転校するって言ってしまったからね」
「それよりも鈴音、あんたは本当に私についてくるの?日本に残っても構わないわよ?」
「良いわよ!私はお母さんと一緒に行くんだから!!(アァーッ!もう、恥ずかしくて武昭の顔が見れないじゃない!!)」
これからについて武昭を加えた4人で話していたが鈴は顔を真っ赤にしていた。
話の結果、海崙は日本に残り春音と鈴音は中国に戻る事になった。