ドイツで武昭が入院してた頃、中国では……
「はぁ……武昭、元気かな……」
「鈴、普通は自分の父親の事を思い出すんじゃない?」
「フェッ!?き、聞いてたの!?お母さん!!」
鈴が武昭の事を考えてると春音が声を掛けてきて赤い顔をして照れていた。
「まぁ、空港で“あんな事”をされたら武昭君の事を思い出すのも仕方ないのかしらねぇ……」
春音が笑いながら言うと鈴は赤い顔をして黙ってしまった。
「それにしても……鈴もいい子に会えて良かったわね……」
「お母さん?どうしたの急に……」
春音が何かを考えて雰囲気が変わったので鈴は声をかけた。
「私とお父さんは最初、日本に行った時に心配したのは貴女の事だったのよ、鈴」
「え?なんで……」
「だって、私とお父さんは良かったけど、鈴はまだ小さかったから他の子達に虐められるんじゃないかって思ってたのよ……」
「そうだったんだ……お母さん、実はね私……転校した時に虐められてたの……けどね、それを助けてくれたのが武昭なの……」
「そんな事があったの……けど、武昭君に会えたから私達家族もこうしていれるのよね……」
春音は鈴の話を聞いて日本で合った事を思い出していた。
「そうだ、お母さん、お父さんの具合ってどうなの?」
「えぇ、少しずつだけど治療が進んでるみたいよ」
「そっか……ねぇお父さんの体が完治したら、また日本に戻るの?」
「うーん……どうしようかしら……鈴としては好きな武昭君の近くに居たいでしょうねぇ……」
「お、お母さん!そんなに言わなくても良いじゃない……」
「あら?じゃあ鈴は武昭君の事を好きじゃないのかしら?」
「いや、あの、その…… 好き……だけど…… 」
「そう、だったら鈴の為にも日本に戻ろうかしらね……私達にとっても義息子になるんだろうし」
春音の言葉に鈴は顔だけでなく体中が赤くなり頭から湯気が出てる程に照れていた。
そんな中……
パキン……
「え?……嘘……なんで……?」
何か音がしたので鈴が発生源を探すと小さなガラスの人形が割れていた。
「鈴、その人形って確か……」
「うん……私が日本にいた時に武昭から貰った誕生日プレゼントでガラスで出来た猫の人形よ……なんだろう……何か凄く嫌な予感がするわ……お母さん、私ちょっと日本に電話してみる……」
鈴は何かを感じたので日本の武昭が世話になっている道場に電話をした。
「あっ、すみません篠ノ之道場でしょうか?」
〔はい、こちら篠ノ之道場ですが、どちら様ですか?〕
「私、宮本武昭君の同級生の凰鈴音と言いますが……」
〔あぁ、鈴ちゃんなの?久し振りね、今日はどうしたの?そんなに畏っちゃって?〕
「はい、お久し振りです雪子さん……今日はその……武昭に用事があって電話したんですけど……」
〔武昭君?ごめんね、今武昭君はドイツにいるのよ千冬ちゃんの試合を観戦するのに一夏君と一緒に〕
「ドイツに……ですか?……そっか……千冬さんは日本代表でしたね……(なんだろう、凄く胸騒ぎがして来た……)」
〔鈴ちゃん?どうしたの黙り込んだりして……〕
「え?な、何でもありません……分かりました、それじゃあ失礼します」
鈴が雪子との電話を切ったのを見て春音が話しかけた。
「鈴、武昭君はなんだって?」
「うん、今一夏と一緒にドイツに行ってるんだって、千冬さんの試合を観戦しに……」
「そう、なら一夏君に掛けてみたら良いじゃない?」
「そうね……あれ?何で……一夏に電話が通じないの?……」
鈴は一夏に電話を掛けるが通じなくて不安に思った。