他愛のない物から運命的な出会いまで様々な出会いがある。
しかし気を付けろ・・・それは様々な始まりをも意味する。
第壱話『始戦』。
運命の出会いと再会が、新たな戦いを呼ぶ!!
・・・よお、俺の名はザルバ・・・魔導輪だ。
闇に潜む異形の魔獣「ホラー」・・・奴等は古の時代より魔界に生息し、人より生まれる陰我の宿るオブジェエをゲートとし、
魔界から人間世界に出現してきた・・・人間の魂と肉体を喰らう為に・・・。
人間の邪心がある限り陰我は生まれ、ホラーは出現する。
しかし・・・ホラーと戦う為、その身を捧げた者達がいた。
彼等の名は魔戒騎士・・・そして魔戒法師、闇を切り裂く希望の光・・・彼等の戦いは終わる事は無い・・・。
その命尽きるまで、彼等は“護りし者”として人間をホラーの脅威から護り続けるが定め。
これは、魔戒騎士の最高位である「牙狼の称号」を受け継ぎし若き黄金騎士の、永遠に終わる事の無い、
無限に有る戦いの記録の中の1つ・・・『INFINITE SENKI』のほんの壱部である。
Side・三人称
朝日が差し昇るIS学園のとある一室で、小柄で銀髪と左目の眼帯が特徴の少女、「ラウラ・ボーデヴィッヒ」が静かに、
それでいて不敵に笑っていた。
「ついにこの日が来た・・・教官の戦歴に泥を塗った・・・愚弟と言うのも忌々しい・・・織斑一夏をこの手で・・・」
その右目に確かな怒りと憎しみに近い光を宿して。
「完膚なきまでに叩き潰す!!」
彼女は織斑一夏を倒す事を声にして宣言するのであった。
その身に着けている“相棒”が禍々しい輝きを宿している事に気付かず・・・。
――――『始戦』――――
Side・シャル
今日はいよいよ学年別トーナメントの日だ。
僕達1年生はあまり関係ないけどこの学年別トーナメントは観覧が一番の目的だからね。
僕らは良くて原石の発掘目的で見られるけど・・・特に気兼ね無に出来るからいいけど・・・僕の相棒は別の事を気にしていた。
「一夏・・・ボーデヴィッヒさんとの対戦が気になるのは分かるけどもうちょっとリラックスした方が良いよ」
「あぁ・・・だけどな・・・」
ボーデヴィッヒさんは如何言う訳か一夏の事を目の仇にしている。
転入してきて早々一夏に平手打ちを喰らわせる程だ・・・それからも一夏に戦いを申し込んだりもしたけど、
断る一夏を無理やりにも戦わせようとして、彼女のドイツ製の第3世代IS、「シュヴァルツェア・レーゲン(黒い雨)」に装備されている大型レールガンを、
密集空間で放ち戦えざるおえない状況にしようとする程だ。
だけどその実力は1年生の中では間違いなく最強だ。
ドイツの軍に所属している彼女は僕等とは違い、熟してきた訓練の質や戦闘経験は向こうが断トツで上だ・・・それもドイツの代表候補生。
同じ代表候補生で第3世代型ISを使うセシリアや鈴の2人を相手にしても圧倒する位だ・・・僕もフランスの代表候補生だけど、
ボーデヴィッヒさんはISの性能も加えて扱いに関しても僕よりも上なのは先日のセシリアと鈴との戦いを見ても分かっている。
だけど・・・分かったのは実力の差だけじゃない。
「確かにボーデヴィッヒさんは強いけど、前のボーデヴィッヒさんの戦いで気付いた事を参考にして作戦を立てて訓練したんだから自信持って」
「・・・そうだな」
あの戦いを見て、幾つかの対応策を見つけた僕達はそれに基づいた訓練をしてきた。
だからと言って必ず勝てるわけじゃ無いから気を緩め過ぎるわけにはいかないけど、不安と緊張に潰されるわけにもいかないからね。
「一夏は白式の最終調整をしておいたら?」
「う~~~ん・・・そうだな、何もしてないよりは気が紛れるしそうするよ」
「じゃあ僕は少し散歩しながら時間潰しているね」
「えっ?大丈夫なのか?お前も自分のISの調整とか・・・」
「僕は昨日の内にやっておいたからね」
「はあ・・・さすが優等生」
「ハハ・・・じゃあ30分位したら僕も第3アリーナに行くから」
「おう、歩き過ぎて本番前に疲れるなよ」
僕は一夏と別れてIS学園内を歩き出した。
「うわ・・・いっぱい人が来たな・・・」
校門付近では世界各国の政府関係や企業の人達が乗っているであろう車が何台も入って来ていた。
恐らく・・・“あの人”の部下もあの中に居るんだろうな、誰かは分からないけど。
「すまないが・・・此処の生徒だな?」
「え?」
突然声を掛けられて僕は思わず声のした方を見ると・・・。
「・・・・・・」
(うわ・・・綺麗な人だな)
白いロングコートを羽織って男物の上下黒の服を着た、すこし無愛想で目付きが悪いけど、そこがまた凛々しさを感じさせる、
綺麗な“女”の人が立っていた。
「・・・・シャルロット?」
「え!?」
「シャルロット・デュノアか?」
その女の人は・・・僕の本当の名前を言った。
Side・鋼牙
さて・・・IS学園に着いたが、トーナメントまで時間がある・・・先に転入の件について学園長の方に話しておくか。
『しかし鋼牙、“また”入るのに随分と手間取ったな』
「・・・うるさい」
学年別トーナメント観覧の招待状を見せて身分証明書を見せたら一騒ぎが起こった。
受付の担当者が俺を“男”と認めなかったのだ。
度々「その顔で男!?」「信じられない!!」「嘘・・・負けた」等と言われ、冴島財閥に問い合わせて要約信じて入る事が出来た。
しかしこんな事は初めてではない・・・この顔の所為で俺はこんなトラブルが絶えない。
『おいおいあんまり怒るな・・・折角の綺麗な顔が台無しだぜ』
「・・・この顔は生まれつきだ・・・それにその言葉は女にとって褒め言葉かもしれないが、男の俺にとって嬉しくとも何ともない」
『おっとそいつは失礼・・・で?学園長って奴に会いに行くんだろ?』
「そうだが・・・場所が分からん」
さて・・・如何した物か。
そんな俺の目に1人外を見ている生徒の姿が入った。
丁度良いあの生徒に学園長室の場所を聞くか。
「すまないが・・・此処の生徒だな?」
「え?」
俺の声に反応して振り返った生徒の顔に・・・俺は見覚えがあった。
「・・・・シャルロット?」
「え!?」
「シャルロト・デュノアか?」
俺は幼い頃に会った小さな少女の名をよんだ。
Side・シャル
「お前はデュノア社、社長の娘のシャルロット・デュノアかと聞いている」
「えっ・・・いやその・・・」
如何してこの人僕の本当の名前を?
こんな綺麗な女の人会った事ないし・・・でもデュノア社社長の娘だって知っているって事は・・・会社関係か何かで会った事がある人?
「あ・・・あの・・・」
「ん?」
「・・・・ど・・・如何しました?」
女の人は僕の体をじっと見つめて黙り込んだ・・・正直言って恥ずかしいな。
目の前の女の人は長身で僕と比べてもスタイルも良さそうだし・・・。
「・・・・すまない・・・人違いだった様だ」
「えっ?いえその・・・」
「昔出会った者に似ていたのでな・・・それにあいつは“女”だ・・・君は格好から見て“男”、変な勘違いをしてしまったな」
あぁ・・・僕の服を見てたのか、ドキドキして損した。
「いえ・・・僕もこんな顔立ちだから結構女の子に間違えられますから・・・」
「成程・・・俺と“同じ”か・・・」
「へ?同じって?」
「・・・俺の名は冴島鋼牙・・・男だ」
「え?・・・・ええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええ!?」
僕の叫びが学園を揺らした・・・あっ、窓ガラスにヒビが・・・如何しよう。
「・・・そこまで驚く事か?」
「えっ・・・いや・・・そのだって・・・そんなに綺麗な顔なのに・・・えぇ!?」
「フゥ・・・まったく、この顔が憎らしい・・・」
「えぇ!?勿体ないですよ折角の綺麗な顔が!!」
「・・・男がそう言われても嬉しくは無い・・・お前もそうだろう?」
「あっ・・・いや・・・まあそうですけど・・・」
「ところで少しいいか?」
「は・・はい、何ですか?」
「学園長に用があるのだが、場所が分からなくてな・・・できれば案内をしてくれれば有りがたいのだが」
「学園長にですか?はい分かりました此方です」
僕は鋼牙さんを学園長室に案内する為歩き出した。
「あの・・・鋼牙さんは何の為にIS学園に?」
「・・・今日の学年別トーナメントの観覧の為だ、その招待を受けたので取り敢えず学園長に挨拶をな」
「へえ・・・失礼ですけど・・・鋼牙さんって御幾つですか?」
「今は17だ」
「17歳!?僕の2つ上?」
「何だ?もう少し上かと思ったか?」
「い・・・いえ・・・・は・・ははは・・・・」
正直言って織斑先生位あると思っていた・・・だって鋼牙さんって老けているって意味じゃないけど、
身長もそうだけど、堂々としていて大人って雰囲気を出していて、とてもじゃないけど10代には見えないよ。
「でも・・・鋼牙さんって・・・」
「俺は冴島財閥の関係者だ・・・詳しくは言えないがな」
「冴島財閥!?」
「何を驚いている?」
「冴島財閥って言えば大企業じゃ・・・そう言えば鋼牙さんの苗字って・・・冴島・・・」
「まあそう言う事だ・・・ただ手伝いをしているとでも思ってくれ」
冴島財閥の関係者・・・しかも親族って事は・・・鋼牙さんって冴島財閥の重鎮?
「ところで・・・学園長室はまだか?」
「あっ・・・はい!この廊下を真っ直ぐ行った先に学園長室があります」
「そうか・・・そう言えばまだ名前を聞いてなかったな」
「あっ・・・僕は・・・シャルル・・・(此処でファミリーネームを誤魔化しても後でバレルし・・・仕方ない)シャルル・デュノアです」
「・・・・シャルル・デュノアか、ありがとう此処まででいい、お前も今日の学年別トーナメントに出るのだろ?」
「あっ・・・はい」
あれ・・・「デュノア社の人間か?」って追及してくるかと思ったけど・・・。
「では早く行って準備をして来い、これも何かの縁だ、観覧席から応援させてもらおう」
「は・・・はい!では失礼します」
時計を見たらそろそろ準備をしないといけない時間になっていた事に気付いて、僕は挨拶をして第3アリーナに向かって走って行った。
「応援してくれるか・・・何だか嬉しいな」
Side・鋼牙
『・・・・・・ふう、喋れないってのはキツイな、あの“嬢ちゃん”・・・トンデモない声を上げやがって、
耳がまだキンキンしやがる』
「喋っていいと言ってないぞ・・・それに、今のあいつは男で、シャルル・デュノアだそうだ」
一度フランス政府とデュノア社を調べてみるか・・・陰我の気配がするな。
『ん?やっぱりあの嬢ちゃんと顔見知りか?』
「あぁ・・・もっとも10年も昔に一回だけだがな・・・」
もう10年か・・・“あれ”からは9年経ったが・・・。
『鋼牙・・・9年前の事を思い出しているのか?』
「・・・あぁ・・・」
俺は無意識に拳を作り、強く握りっていた。
『・・・鋼牙・・・何度も言うが・・・あれはお前の所為じゃない・・・あれは・・・』
「分かっている・・・父さんは・・・使命を果たそうとしたんだ・・・魔戒騎士の・・・黄金騎士としての・・・」
俺は握り拳を解いて学園長室へと歩を進めた。
それにしても・・・シャルロット・・・シャルがこの学園に来た理由として思えるのは世界で唯一ISを扱える男、
織斑一夏のISデータ絡みか何かだろうな・・・だが、それなら何故男としてだ?
『そう言えばこの学園に世を騒がせた織斑一夏って男が居るんだったな』
「あぁ・・・」
『はは・・・世界初のISが扱える男か・・・9年前に非公式だが既にある意味でISが扱える男が存在していたと言うのにな』
「あれは言わば偶然の産物見たいな物だ・・・それに、数に限りがある故まだ実行段階には移れてはいない」
『それにあまり成功させたくないんだろう?』
「あぁ・・・」
ISの出現により今の女尊男卑の世になって傲慢な女は増え、男は小間使いの様な扱いを受ける様になった。
例え非が女の方にあっても男が裁かれる時代・・・嘗ての貴族主義社会を思わせる光景でもあるな。
それから10年経った今、男でも扱えるISなんて物が世に出たら、今まで虐げられた男達による報復が起きるだろう。
それによって生まれた陰我によってそれこそ世界中が陰我集延期に突入しかねない。
今は・・・まだその時ではない。
Side・三人称
それから時間は過ぎ、学年別トーナメント1年生の部第一回戦が開始されようとしていた。
一回戦は織斑一夏&シャルル・デュノアのペアとラウラ・ボーデヴィッヒ&篠ノ之箒のペアの対決である。
(一回戦はシャルルと・・・噂の織斑一夏のペアに、ドイツの代表候補生ラウラ・ボーデヴィッヒ、
それに・・・)
鋼牙は観覧用に用意されたVIP席からピットから出てきた生徒達の中から1人の女生徒を見ていた。
(篠ノ之箒・・・あのISの母「篠ノ之束」の妹・・・この女尊男卑の時代を作った1人の・・・)
「篠ノ之束」ISの生みの親である天才科学者、現在存在するISのコア467個を創り、3年前より行方不明となっている。
各国の政府や企業も独自にISのコアを製作しようとするが全てが失敗に終わり、結論から「篠ノ之束でしかISコアを生産する事は不可能」と言われ、
現在自国の軍事力向上の為、世界各国が彼女を血眼で探している。
鋼牙としても・・・いや魔戒騎士や魔戒法師も見つけられるなら見つけ出して、「何を思ってあんな物を発表した」と問いただしたいと思っている。
(まあ・・・だからと言ってISの操縦に長けているとも思えん・・・それに専用機でなく量産機である「打鉄」、
たしか彼女は中学の剣道世界大会で優勝するほどの腕前を持つ、しかしIS適性は「C」稼働時間もそんなには無い、
だとしたら同じく稼働時間の浅い織斑一夏とならそれなりの戦いになるかもしれない。
となれば・・・この戦いの本命は、
シャルルとラウラだな、ラウラのISは第3世代型だが、シャルルはカスタムされた「ラファール・リヴァイヴ(疾風の再誕)」、
元々第3世代の初期型にもひけを取らない機体だ、あれはカスタム・・・そして乗り手の腕次第では如何化けるか分からんな)
「失礼・・・冴島財閥の人間ですね?」
一応観覧者として来たので、不本意ではあるが冴島財閥の代表として今から行われる対戦について思考している横から、
人の良さそうな金髪の中年の男性が話しかけてきた。
「・・・アンタは?」
「私フランスのデュノア社開発部の常務取締役「ドニ・デュノア」と申します・・・以後お見知りおきを」
(デュノア社の人間・・・しかも常務取締役で性にデュノアであると言う事はかなりの重鎮だな)
「あの・・・どうかされましたか?」
「Mon nom Kouga・saejima grossier, et leur demander de mettre le siège dans des endroits comme le représentant de l'Saejima chaebol
(失礼・・・私の名は冴島鋼牙、冴島財閥の代表としてこの度この様な場所に席を置かしてもらっている)」
「! Vous êtes bon à un grand nombre en français polis
(!?ご丁寧にどうも・・・フランス語がお上手で)」
「Tellement est d'être capable, en tant qu'êtres humains ne doivent pas avoir fait conglomérats Saejima
(これ位は出来なければ、冴島財閥の人間としてはやっていけないので)」
鋼牙は冴島財閥のトップに自らなる為に幼い頃より様々な世界の言語を学んでいた。
そんな彼からしたらフランス語などペラペラなのだ。
「Entre la compagnie et la conversation sera très probablement avoir entendu quelque chose de mauvais celles?
(企業同士との会話は何かと聞かれては不味い物が多いでしょう?)」
「Merci pour votre inquiétude qu'il
(それはそれは・・・お気遣いありがとうございます)」
「En parlant de cela, à la bataille commence maintenant ", Dunois" là-dedans officiels avaient des relations sexuelles avec un élève?
(そう言えば、今から始まる対戦で“デュノア”の性を持つ生徒が居たが・・・そちらの関係者で?)」
「E Dunois notre Président à «un homme» dans votre fils, mon neveu Tsu Dearimasu présent
(えぇ・・・我がデュノア社社長“たった1人”の御子息で、私の甥っこであります)」
「Cheek, «juste une» de l'
(ほお・・・“たった1人”の・・・)」
「Eh bien j'ai été son vrai frère du président Dunois sujet que je veux vraiment, c'est un dur,
Il prend de l'avenir de l'entreprise
(私・・・実はデュノア社社長の弟でして・・・いやぁ・・・彼には頑張ってもらいたいですよ本当に、
彼には会社の未来が係っていますから)」
「Oh je sorte qu'il est difficile, ce que vous voulez vraiment une entendez?
(それは大変ですね・・・あぁそう、1つお聞きして宜しいでしょうか?)」
「Qu'est-ce que oui?
(はい・・・何でしょうか?)」
「Oui, "Charlotte" acides Dunois-vous?
(はい・・・“シャルロット”・デュノアさんはお元気ですか?)」
「!?」
「Disposer des éléments suivants? Est Jandyunoa fille de votre frère, mais Charlotte entendu ce qui se passe avec ça?
(如何しました?アナタの兄であるジャン・デュノア氏の娘、シャルロットは元気かと聞いているのですが?)」
「Qu'est-ce que quelque chose en disant? Vous ne enfant de mon frère Charles
(なっ・・・何を言っているのですか?兄の子供はシャルル君だけで・・・)」
(明らかに動揺しているな・・・こいつは知っている、彼女があんな事をしている訳を)
鋼牙の質問にドニは動揺を露わにし、目を逸らそうとする。
「J'ai également participé à Imashi j'ai parti avec mon père il ya 10 ans, parrainé par Dunois C'est drôle
(おかしいですね・・・10年前のデュノア社主催のパーティーに父と一緒に俺も参加していましてね)」
「あっ・・あぁ・・・」
「Alors je l'ai rencontrée par son père et Charlotte sont des souvenirs que j'ai présenté ma fille à dire?
Si vous le faites que je ne parle pas
(そこで俺はシャルロットと出会った・・・彼女の父からも彼女は自分の娘だと言って紹介された記憶があるのですが?
そう言えばその場にアナタは居ませんでしたね)」
「・・・・・・」
「Écoute, au point que Charles • • • La Charlotte et moi?
(・・・単刀直入に聞く・・・あのシャルルは、シャルロットだな?)」
Side・ラウラ
何だろうな・・・今日は何時になく調子が良い。
シュヴァルツェア・レーゲンが何時になく私の体に馴染んでいる様だ。
「勝てる・・・今の私なら・・・例え相手が何であろうと勝てる」
「ラウラ・ボーデヴィッヒ」
「・・・・何だ?」
確かこいつは篠ノ之箒・・・あの愚弟の幼馴染で、この間潰した2人と同じで“あれ”を取り合っていたな。
「急場で組む事となったが、決まった事は仕方ない・・・互いに「お前は何もするな」なっ!?」
「下等な人間が私と対等だとでも思っているのか?笑わせる・・・大人しくジッとしていろ、足手纏いがいては勝てる戦いも負けるかもしれない」
「キサマ!!私が足手纏いだと!!」
「五月蠅いぞ・・・私の勝利への邪魔をするのであれば・・・ペアだろうが何だろうが関係ない・・・」
ジャキッ!!
「!?」
「キサマを先に潰させてもらう」
「うぅ・・・・」
「フン・・・そうだな・・・私の盾としてなら使ってやってもいい」
「な・・に・・・?」
「精々・・・良い弾除けになってくれよ」
早く戦わせろ・・・この高ぶる感情を抑えるのは疲れる・・・早く!!早く!!早く私に相手を・・・こ・ろ・さ・せ・ろ!!
Side・箒
なっ・・・何だ今の奴の目は?
さっき奴に・・・ラウラ・ボーデヴィッヒに銃口を向けられた時に見た奴の目・・・あれは・・・人間の宿す光ではない。
あの全てを呑み込むように深く・・・身の毛も弥立つ黒い光など・・・ラウラ・ボーデヴィッヒ・・・お前は何者だ?
一夏は・・・大丈夫だろうか?
奴はお前を狙っている・・・私は・・・私は如何すればいい?教えてくれ・・・一夏・・・。
Side・シャル
まさかこんなに早くボーデヴィッヒさんと当たるとは思わなかったな。
パートナーは箒さんか・・・一夏大丈夫かな?
「一夏・・・手筈は分かっているね?」
「あぁ・・・開始直後俺がラウラとぶつかる、その間にシャルルがパートナーの箒を戦闘不能にさせて、
2対1でラウラに挑む」
「うん」
ボーデヴィッヒさんのシュヴァルツェア・レーゲンに備わっている「AIC(アクティブ・イナーシャル・キャンセラー)」は、
慣性停止結界を発生させ、対象を任意に停止させることができ、反則的な効果を発揮するけど完璧じゃない。
それは1対1では無敵でも1対複数に弱い事。
もっと深く追求すれば他にも突ける要素はあるかもしれないけど、まだボーデヴィッヒさんの実力の全てを見極めた訳じゃ無い、
残りはこの戦いの中で見極めるしかない。
「AICにどちらかが捕まったら直ぐ援護する事、だけど無茶はしない事」
「うん、後は訓練通りに互いの持ち味を生かして戦うだけ」
一夏は落ち着いてさえいればある程度は大丈夫だね・・・あの癖を出していたら要注意だけど。
『デュノア・・・試合中織斑が左手を閉じたり開いたりしている時は注意しろよ』
『え?』
『それは奴の癖でな・・・浮かれている証拠だ、そういう時は大抵簡単なミスをする』
『はあ・・・そうなんですか・・・でも何で今そんな事を?』
『なに・・・お前もボーデヴィッヒとの決着は付けたいと思ってな』
『はあ・・・ありがとうございます』
織斑先生に一夏の癖を聞いてから、一夏の訓練を見てみたけど、確かに織斑先生の言うとおり一夏が例の癖をしている時は簡単なミスを連発した。
一応戦いの最中は気を引き締める様に釘は刺しておいたけど・・・こればかりはどうなるか分からないな。
「ん?あれって・・・」
観覧席の方に目をやると、さっき出会った鋼牙さんの姿があった。
でもその隣に居るのって。
(ドニ叔父さん?)
あの人の弟のドニ叔父さんが鋼牙さんと何か話をしている?
あっ・・・鋼牙さんとドニ叔父さんが一緒に観覧席から出て行った・・・鋼牙さん、応援してくれるって言ったのに。
「はっ!?な・・・何を残念がっているんだ僕は?」
「シャルル・・・如何したんだ?」
「なっ・・・何でも無いよ一夏!!」
「おっ・・おぉ・・・」
うぅ・・・如何したんだろう僕・・・そりゃあ、最初は応援してくれるって言ってくれた時は嬉しかったけど・・・。
「シャルル!!始まるぞ」
「えっ!?あぁ・・・うん!」
取り敢えず今は目の前の事に集中するんだ。
『ではこれより学年別トーナメント1年の部、第1回戦を開始します』
アナウンスで山田先生の声が聞こえ、カウントが始まった。
でも・・・この時は気付いていなかった。
『3』
「1戦目から当たるとはな・・・待つ手間が省けたと言うものだ・・・」
このカウントが・・・。
『2』
「そりゃ何よりだ・・・ふっ・・・こっちも同じ気持ちだぜ」
トーナメンとの開始ではなく・・・。
『1』
「「叩きのめす!!」」
地獄へのカウントダウンだったと言う事に・・・。
『0』
「行くぞシャルル!!」
「うん一夏!!」
僕は・・・地獄への入り口に自ら飛び込んで行った。
Side・ザルバ
あ~~~あ、もう直ぐ1回戦が開始って時に俺達は試合も見ないで何をしているんだかね。
今俺達はドニって奴に連れられて観覧室から出て人気の無い場所で、あのシャルロットって嬢ちゃんについて話している。
と言っても、俺は人前では喋る事はできないから、話しているのは鋼牙だけどな。
「それで・・・何故彼女があのような事をして・・・いや、させられているのか聞かせてもらおうか」
「・・・それを聞いて如何しようと・・・」
ドニって奴警戒していやがるな・・・当然だな、企業の事なんて魔導綸の俺が知るわけでもないが、
あの嬢ちゃんはフランスの代表候補生としてフランス政府に「シャルル・デュノア」としてだけでなく男として登録されている。
まだ名を偽って女として登録されていればまだ何とかなったかもしれないが、男として登録したのが拙かったな。
「男でISを扱えるのは今のところ織斑一夏のみだった、それによって世界は大きく揺れようとしている、
世界各国で織斑一夏の遺伝子から何までも調べたがっている・・・それを避ける為にこのIS学園に入学させたと言う話がある程だ」
このIS学園ってのは、アラスカ条約もしくはIS条約とも言われている条約に基づいて建てられた学園だ。
この学園の生徒である間は、いかなる国家や組織であろうと学園の関係者に対して一切の干渉が許されないという国際規約があり、
つまり世界で実験動物として大注目されている織斑一夏も、此処の生徒である3年間は安全って事だ。
「仮に織斑一夏と同じ境遇でIS学園に入学させたのならまだ分かるが・・・国の代表候補生として登録してから入学させるのは聊か疑問に思える」
「ぐっ・・・」
「もしそうだとしたら大分と前からそれについてニュースや新聞沙汰になっていてもおかしくはない、
幾ら量産機ISのシェアが世界第3位の大企業である、デュノア社でも隠し通せるものでもないからな」
「・・・・・」
「おそらく政府の人間でも金で買収したかなんかだろう・・・例えISが扱えるとしても、性別を偽る行為が見抜けない訳が無いしな」
「・・・・こ・・・この事はなにとぞ・・・ご内密に・・・」
「では話せ・・・何故彼女にあのような事をさせているのか・・・何をもってさせたのかを」
容赦ねえな鋼牙の奴・・・大の大人を10代の小僧に頭を下げさせるたあ・・・まあこれ位できなければ、
財閥のトップに立つ事はできないって事か。
政府の人間を金で買収ってのもおそらく図星だな・・・こんな事が世に知れ渡ったら、デュノア社は終わりだな。
脅える様にドニがシャルロットの嬢ちゃんについて話し始めた。
何でも元々設立当初から技術・情報力不足に悩まされ、未だ生産できるISが第2世代止まりであることから経営危機に陥って、
経営危機の回避の為の苦肉の策として嬢ちゃんを男装させて、広告塔及び第3世代以降のISのデータ収集の為にIS学園へ送り込んだか・・・。
まあある程度予想はしていたが・・・問題はこれを命令したのがデュノア社の社長・・・つまり、嬢ちゃんの実の父親だって事だ。
さっきから鋼牙の無愛想な仏頂面が、怒りに変わって来てるぞ。
ガシッ!
「ひうっ!?」
「それが実の父親がする事か!!」
ドニの胸倉を掴み、鋼牙の怒声が辺りに響く・・・おいおい鋼牙落ち着け、人が寄ってくるぞ。
「わ・・・私も最初は兄のやる事に反対したんです・・・しかし・・・会社の為にもそうするしか・・・」
「キサマも知っている筈だろう!あの子がどんな人生を歩んで来たかを!!」
「そ・・・それは・・・」
鋼牙の奴かなりきてるな・・・しょうがないと言えばしょうがないがな・・・“あいつ”の様な父親を持った鋼牙にとって、
嬢ちゃんの父親が嬢ちゃんにやっている事が許せないんだろうな・・・。
「「「「わああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!」」」」
「「「「きゃあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!」」」」
「「!?」」
ん?何だか騒がしいな・・・試合が白熱してんのか?
んん!?この邪気は・・・。
『非常事態発令!トーナメントの全試合は中止!状況はレベルDと認定!鎮圧の為教師部隊を送り込む!観衆、生徒は直ちに非難をする事!
繰り返す・・・非常事態発令!トーナメントの全試合は中止!状況はレベルDと認定!鎮圧の為教師部隊を送り込む!観衆、生徒は直ちに非難をする事!』
「非常事態?一体何が・・・」
「・・・まさか」
『鋼牙!!アリーナの方に凄まじい邪気が!!』
「!?ちっ!」
ドンッ!!
「グアッ!?」
「キサマはさっさと逃げろ」
「き・・・君は?」
「・・・お前には関係ない」
鋼牙はドニを壁に押し付け慌ててアリーナの方へと駆けて行った。
「ザルバ!!」
『あぁ・・・まだホラーはまだ現れていない・・・だが出現する寸前だぞ』
「一体何が?」
「そこの人!!早く非難してください!!」
学園の教師か?避難活動の最中か・・・こいつに聞いてみるか。
「一体何があった?」
「えっ・・・それが、1回戦のラウラ・ボーデヴィッヒさん見境なく攻撃を・・・」
「その時の映像はあるか?」
「えっ!?でも関係者には・・・」
「いいから見せろ!!」
「ヒイ!!は・・・はいぃ!!」
鋼牙の腱膜と迫力に教師は完全にビビッておもわず映像を見せてくれたが・・・鋼牙の奴かなり焦っているな、
あの嬢ちゃんが関わっているかもしれないからか?
「これは・・・」
映像にはラウラって嬢ちゃんが右肩の大砲みたいな武器で辺り構わず砲撃している様子が映し出されていた。
その身に纏うISが黒い光に覆われていて・・・
「おい!アリーナ内にはどうやったら入れる?」
「あ・・・アリーナ全体には既に防護シャッターと遮断シールドレベルを4で展開していて、アリーナの内部に入るのは無理です」
「さっきの放送で鎮圧部隊が送り込まれると言った・・・おそらくピットに・・・どうやったら行ける?」
「か・・・関係者以外の者を入れる訳には・・・」
「教えろ!!」
『鋼牙・・・いい近道があるぜ』
「!?」
ちと・・・無茶するかもな・・・。
Side・シャル
「フハハハハハハハハ!!如何した?その程度か?その程度の腕でこの私に挑もうとしたのか?」
「ぐあっ!!」
「くう・・・」
強い・・・予想はしていたけど、此処までなんて・・・。
「喰らえ!!」
ドシュン!!ドシュン!!ドシュン!!
「ぐあああああああああああああああ!!」
「これが・・・ボーデヴィッヒさんの本気なの!?」
ボーデヴィッヒさん攻撃は見境が無い・・・ペアの箒さんもボーデヴィッヒさんの砲撃に巻き込まれて戦闘不能になってしまった。
だけど動けない箒さんにも関係無しに右肩の大型レールカノンを撃ってくる。
「止めろラウラ!!箒は動けないんだぞ!!」
「そんな足手纏いの事など如何でもいい!!」
「なっ・・・何だと!!」
「天と地ほどの実力の差が有るのだぞ!!そんな格下が私と組んで使える事は何だと思う?」
「使うだと!?」
「分からないか?なら答えよう・・・盾だ!こんな風に使う為のな!!」
ガシッ!!
「なっ!?」
ダダダダダダダダダダダダダダッ!!
「ウアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!」
「箒!!」
信じられない・・・ボーデヴィッヒさんは箒さんの頭を掴んで、僕が放った銃弾の盾として箒さんを文字通り使った。
箒さんが装備している打鉄の装甲に罅が入る・・・威力の低いガルムだったからよかったものの・・・もし、
レイン・オブ・サタデイかデザート・フォックスだったら箒さんは・・・。
「ラウラ!!お前!!」
「クハハハハハハハハハ!!如何した織斑一夏・・・私を叩きのめすんじゃなかったのか?」
『ボーデヴィッヒさん!!篠ノ之さんを離しなさい!!』
『ボーデヴィッヒ!!キサマは自分が何をしているのか分からないのか!!』
「・・・黙れ・・・」
『『!?』』
「私は今戦いを楽しんでいる・・・それを邪魔すると言うのなら・・・」
ガシャン・・・・
「キサマ等も・・・敵だ!!」
ドシュン!!
チュドオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオンッ!!
「なっ!?・・・ラウラが千冬姉に・・・」
ボーデヴィッヒさんは織斑先生達がいる管制室に向けてレールカノンを放った。
「「「「わああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!」」」」
「「「「きゃあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!」」」」
シールドに守られて管制室は無事だったけど・・・観客席の生徒や観覧室の人達はパニックを起こしている。
「ラウラ・・・お前如何したんだよ?お前は・・・千冬姉に憧れていたんじゃ・・・」
「ククク・・・おかしな事を言う・・・何故あのような“下等”な存在に憧れる必要がある?」
「なっ・・・お前・・・千冬姉に憧れて・・・俺が誘拐されたから、モンド・グロッソ2連覇を逃して、
千冬姉の戦歴に傷を付けたから・・・俺を・・・」
そうだったんだ・・・ボーデヴィッヒさんが一夏を目の仇にしたのは・・・その為。
「あぁ・・・確かに私はそんな小さな事に構っていたな」
「おっ・・・お前・・・」
「だが・・・今の私のこの力を見ろ!!この圧倒的な力を!!」
ドシュン!!ドシュン!!
「ぐああああああああああああああああああああああああああああああああ!!」
「「一夏!!」」
「フハハハハハハハハハハハハッ!!力だ!!力だ!!私は誰にも負けない力を手にした!!」
バシュウ!!
「くう・・・・」
僕に向けて放たれた2本のワイヤーブレードを何とか回避しながらボーデヴィッヒさんに接近する。
「いい加減に!!」
「フッ!!」
「があ・・・」
「うっ!」
「“盾”を気にして攻撃しないとは・・・三流以下だな!!」
ズガン!!
「ああああああああっ!!」
接近してブレッド・スライサーで斬りかかろうとしたけど、箒さんを盾にされて攻撃の手を止めてしまった。
その隙にプラズマ手刀で逆に斬りつけられて・・・右腕がやられた。
「シャルル!!ボーデヴィッヒ・・・・キサマは!!」
ガスン!!
「がはっ!!」
「盾がベラベラと喋るな・・・盾なら盾らしく・・・その身で私の弾除けになっていろ!!」
おかしい・・・ボーデヴィッヒさんの様子は明らかにおかしい。
まるで自分で自分を抑えられてない様だ。
「シャルル!!無事か!?」
「いち・・・か・・・大丈夫、だけど右腕はもう・・・」
何とかガードしたけど・・・右腕に力が入らない。
『非常事態発令!トーナメントの全試合は中止!状況はレベルDと認定!鎮圧の為教師部隊を送り込む!観衆、生徒は直ちに非難をする事!
繰り返す・・・非常事態発令!トーナメントの全試合は中止!状況はレベルDと認定!鎮圧の為教師部隊を送り込む!観衆、生徒は直ちに非難をする事!』
非常事態発令のアナウンスが流れてアリーナ全体がより一層慌ただしくなるのが見えた。
『織斑・・・デュノア・・・』
「千冬姉!!」
「織斑先生!!」
織斑先生が プライベート・チャンネル(秘匿回線)で通信して来た。
『さっきの放送通り・・・今から鎮圧部隊として教師部隊を投入する、お前達は今直ぐ其処から離れろ』
「鎮圧って・・・千冬姉!!箒は如何するんだよ!?」
『吠えるな馬鹿者、あと織斑先生だ・・・篠ノ之の救出は最優先に行わせる』
「織斑先生・・・ボーデヴィッヒさんは?」
『・・・生徒の暴走を抑えるのは教師の役目だ・・・安心しろ、デュノアが予想している様な最悪の事態にはなるまい』
「・・・織斑先生、教師部隊の突入はどれ位かかりますか?」
『・・・短くて3分だ』
3分・・・今のボーデヴィッヒさんは戦う事のみに執着しているみたいだ。
そんな状態のボーデヴィッヒさんを前に逃げたとしたら、敵を求めて何をしでかすか分からない。
それに箒さんも・・・。
「織斑先生・・・教師部隊が出るまでの間、僕達で相手をします」
『デュノアさん駄目です!!今のボーデヴィッヒさんは大変危険な状態です・・・もし万が一の事があれば』
『デュノア・・・何か策でもあるのか?』
『織斑先生!?』
「はい・・・ボーデヴィッヒさんを抑えるのは無理でも、箒さんを救出する位の策は・・・」
「本当かシャルル!?」
『なら任せる』
『織斑先生!!』
『だが無茶はするなよ』
「・・・約束はできません・・・相手はあのボーデヴィッヒさんですから」
『では五体満足で帰ってこい』
「はい!」
『・・・頼むぞ』
それだけ言い残して、織斑先生は秘匿回線を切った。
「いい一夏?これから言う作戦は一発勝負、しかも捨て身の戦法だから危険だけど・・・如何する?」
「やってやるさ!箒を助けられるなら!」
「じゃあ手短に話すよ・・・いい?」
僕は一夏に箒さん救出のプランを一夏に伝えた。
Side・千冬
「織斑先生!!いくらなんでも無茶です!!あのように暴走しているボーデヴィッヒさんを生徒だけに任せるなんて!!」
珍しく私に反抗するな・・・まあ仕方ないと言えば仕方ない。
「落ち着け山田先生・・・私も不本意だが、今はこうするしかない」
「でも!!」
「今のボーデヴィッヒは戦う事に執着している・・・いや、羽虫を潰す事に夢中になっている子供の様に、
圧倒的力で弱い者を蹂躪する事を楽しんでいる様だ」
「だったら尚更・・・」
「だから今敵を奴の前からなくすのは危険なんだ」
「え?」
「今奴から戦う相手を取ったら奴は何をするか分からない・・・それこそ観客席にいる者を巻き込みかねない程の」
「で・・・でも、もう既に観客席や観覧席には防護シャッターが・・・遮断シールドもレベル4に・・・」
「これを見ろ」
そう言って私は液晶画面に映るグラフを山田先生に見せた。
「これは?」
「緑が先日の、赤が今のボーデヴィッヒのシュヴァルツェア・レーゲンが出している出力と武装の威力を其々算出してグラフ化した物だ」
「ええ!?そんな・・・だってこれ・・・40%以上も上がっているじゃないですか!?」
「あぁ・・・対戦前に各専用機持ち達のISを調べた時、勿論ボーデヴィッヒのシュヴァルツェア・レーゲンも調べたが、
特に弄った形跡も無く・・・先日と同じ緑のグラフが指し示す出力だった」
「では一体?」
「分からん・・・それにボーデヴィッヒは最初から全開で各武装を使っているが、一向にエネルギー切れの兆候を表さない」
「そう言えば・・・プラズマ手刀やワイヤーブレードは兎も角、レールカノンは既にエネルギー切れを起こしていてもおかしくない筈」
一体・・・何が起きている・・・ボーデヴィッヒ・・・お前に何があった?
一夏・・・頼む・・・生きて帰ってこい。
Side・シャル
「行くよ一夏!!」
「よし!!」
作戦を伝え終えた僕は一夏と共にボーデヴィッヒさんに向かって飛んだ。
「雑魚が!!そんなに死にたいか!!」
ドシュン!!
「一夏!!」
「おう!!」
「何!?」
ボーデヴィッヒさんが放ったレールカノンをギリギリの所でかわした僕と一夏は、ボーデヴィッヒさんの周りを旋回する様に高速で飛んだ。
「箒!今助ける!!」
「い・・一夏・・・」
「助ける?自分の身の心配をした方がいいのではないのか?」
「ボーデヴィッヒさんこそ、慢心していると足元巣食われるよ」
「慢心?違うな・・・これは余裕と言うものだ!!」
バシュウ!!
ボーデヴィッヒさんはワイヤーブレードで僕達を落とそうと放った。
僕達はそれを、武装を使うなりして防ぎながらもボーデヴィッヒさんの周りを高速で旋回し続けた。
「ちっ・・・チョコマカチョコマカと!」
「如何したラウラ?お前ってそんなに弱かったか?」
「何だと!?」
「箒さんを盾にしないと戦えない位ボーデヴィッヒさんって弱かったけ?」
「・・・ふん、安い挑発だな・・・戦場では使える物は何を使ってでも生き残り勝・・・軍では在り来りな光景だ、
軍人である私にその様な挑発は通じないぞ」
「でも千冬姉はそんな事は教えてはいない筈だ」
「あぁ・・・あの女には感謝している・・・憧れもした・・・憧れるあまり、憧れの中の“織斑千冬”を壊すキサマを憎んだ・・・」
「なら!!」
「だが今は如何でもいい!!憧れなど所詮は過去の事!!今の私は・・・あの女を超える力を手にしたのだ!!」
ドシュン!!
「ぐう・・・・」
ドシュン!!ドシュン!!ドシュン!!
「ハハハッ!!踊れ踊れ!!死ぬまで踊り続けろ!!」
「ダンスの相手は一夏だけじゃないよ!!」
一夏に向けてレールカノンを放っている隙に僕はボーデヴィッヒさんに接近する。
「同じ轍を二度も踏むとはな・・・如何やらキサマは四流以下だったようだな!!」
そう言い再度ボーデヴィッヒさんは箒さんを盾にしようと前に突き出し、僕は勢いを止めた。
「デュノア!!私に構わず攻撃しろ!!」
「・・・・・・」
「ふん・・・非情になれない者に私は負けん!!」
そう言い放ち一夏に向けていたレールカノンを僕に向ける。
「・・・忘れてない?君の相手は僕だけじゃないよ」
「!?」
「うおおおおおおおおおおおおおおおお!!箒を離せええええええええええええええええええええええええええ!!」
ボーデヴィッヒさんが僕にレールカノンを向けた瞬間から一夏は イグニッション・ブースト(瞬時加速)を発動させて、
ボーデヴィッヒさんとの距離を一気に詰め、雪片弐型を振りかざそうとしていた。
「忘れてはいないさ・・・だがキサマ等も忘れてはいないか?私には“こいつ”がある事を!!」
ジュイン・・・
ドシュン!!
「ぐっ!!」
ボーデヴィッヒさんが一夏にAICを発動させて動きを止めると同時に、レールカノンを僕に・・・。
ドガアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアン!!
「うわああああああああああああああああああああ!!」
「一夏!!デュノア!!」
「フハハハハハ!!この停止結界がある限りキサマは私に触れる事も出来ん!!」
「くぅ・・・」
「万策尽きたか?なら・・・死ね」
「一夏!!」
「・・・・ありがとよ、こいつを使ってくれて・・・」
「何!?」
「僕達が“それ”に対して何の対策をとってないと思った?」
「!?」
バシュン!!
「はあああああああああああああああああああああああああああああ!!」
「シャルル・デュノア!?」
あの一瞬・・・レールカノンが僕に当たる瞬間僕は左腕に装着しているシールドで防ぎ、イグニッション・ブーストで瞬時に接近した。
この一瞬・・・AICを発動させ、次のレールカノンを発射するまでの一瞬・・・この瞬間を・・・
「箒さん・・・少し我慢して・・・ね!!」
待っていたんだ!!
ガシュン!!ガシュン!!ガシュン!!ガシュン!!
「があああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!」
僕はシールドの裏に装備させていた「グレー・スケール(灰色の鱗殻)」で箒さんを掴んでいる左腕に撃ち込み、
その衝撃にボーデヴィッヒさんは箒さんを離し、落ちる箒さんを受け止めた。
この「グレー・スケール」は僕の切り札で、単純な威力でだけで相手のシールドバリアーを貫く程の威力がある故、
「シールド・ピアース(盾殺し)」の異名を持つほどだ。
一応威力は最初のを除いて威力は抑えて撃ったから大事には至らないけど、ボーデヴィッヒさんの左腕は多分動かせない。
「イグニッション・ブーストだと?そんなデータは・・・」
「今使ったのが初めてだからね」
「この・・・戦いの最中に覚えたと言うのか」
「それに関しての先輩と一緒に訓練したからね」
実際今日まで一夏と訓練してなかったら、今イグニッション・ブーストは使えなかっただろうしね。
「じゃあ“先輩”後は宜しくね」
「!?」
「零落白夜・・・発動!!」
一夏は白式のワンオフ・アビリティー(単一仕様能力)、「零落白夜」を発動させてボーデヴィッヒさんに斬りかかる。
対象のエネルギー全てを消滅させ、相手のエネルギー兵器による攻撃を無効化したり、シールドバリアーを斬り裂いて、
相手のシールドエネルギーに直接ダメージを与えられる白式最大の攻撃能力。
ザシャアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアン!!
「ガアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアッ!!」
零落白夜を真面に受けたボーデヴィッヒさんは大きく引き飛ばされて、アリーナの壁に減り込んだ。
「はあ・・・はあ・・・勝った・・・」
「一夏!!」
「大丈夫一夏?」
「あぁ・・・もうエネルギーは残ってないけど・・・シャルルこそ大丈夫かよ?ラウラの砲撃を真面に受けて?」
「最初から防ぐ心算だったからね、直ぐに防御の態勢に移れたから大してダメージは受けてないけど・・・」
左腕のグレー・スケールを見ると彼方此方で火花が散っている・・・少し無茶させたかな?
「こっちは当分使えそうにないや」
「うぅ・・・」
「「「!?」」」
ボーデヴィッヒさんが動き出した・・・零落白夜を真面に喰らって動ける筈が・・・。
「・・・た・しは・・・け・・・ない・・・」
ボーデヴィッヒさんが何かを呟いている・・・だけどその時ボーデヴィッヒさんを取り押さえる為に教師部隊がようやくやって来た。
「君達、後は私達に任せて早く非難を!!」
「・・・ける・・・いか・・・ない・・・」
「ラウラ・ボーデヴィッヒ!!今直ぐISを解除しろ!!」
「・・・し・・・こ・・すため・・・に・・・いき・・・」
明らかにボーデヴィッヒさんの様子がおかしい・・・・。
何だろう・・・嫌な予感がする・・・。
「構わん!!実力行使で押さえつけろ!!」
「私は負けてはならないんだあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!」
ズアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!
「「「!?」」」
「あああああああああ・・・・がああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!」
何が起きたんだ?
突然ボーデヴィッヒさんのISから黒い光が溢れだし、ISの形が変わり出した。
「まさかセカンド・シフト(第二形態移行)!?」
ボーデヴィッヒさんのISは、右肩のみに有ったレールカノンが両肩に、ワイヤーブレードは背中から10本となり、
より攻撃的な形態へと変わった。
「殺す・・・その為に私はこの世に生を受けた・・・」
「え?」
「私以外は・・・死ねえええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええ!!」
ドシュン!!ドシュン!!ドシュン!!
グアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアッ!!
「うわあああああああああああああああああああああああ!!」
「きゃあああああああああああああああああ!!」
ボーデヴィッヒさんの見境の無い無差別攻撃に、教師部隊はあっという間に全滅した。
「あああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!」
ドシュン!!
そして僕達の眼前に黒い閃光が迫って来た・・・。
ドシャアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアンッ!!
Side・千冬
何だ・・・あれは?
あれは・・・ありえない・・・。
「織斑先生!!教師部隊が全滅・・・尚もボーデヴィッヒさんの攻撃は止みません!!」
「織斑達は!?」
「先程から呼び掛けていますが応答有りません!!」
事態は最悪か・・・しかし、ボーデヴィッヒのあの変貌は一体如何したと言うのだ。
それにあのISに纏っている光は何だ?
ボーデヴィッヒのシュヴァルツェア・レーゲンにはあんな物は無かった筈だ。
シュゥン・・・
「「織斑先生!!」」
「オルコット!凰!避難勧告が出ていたはずだぞ!!」
「お叱りは後で受けますわ!!」
「一夏達は如何なったんですか!?」
こいつ等は・・・無理に帰してもしつこく何度も来るどころか、使えない状態のISを使ってでも勝手に突入しそうだな。
「・・・呼びかけて入るが応答が無い・・・が、あいつ等のISからはしっかりと生体反応が送られているから死んではいない」
「織斑先生!私達に一夏さん達の救援を!!」
「私達にも何か手伝える事を!!」
「お前達に出来る事は無い!!」
「そんな・・・」
「第一にお前達のISは使用できない状態だ、そんな状態で何ができる?」
「でも!!」
「・・・正直言うと・・・私にも今ボーデヴィッヒに何が起きているのか分かっていない」
「えっ?でも・・・彼女って最初っからあんな感じ・・・」
「それは違う!!」
「「ひう!!」」
むっしまった・・・つい声を・・・。
「・・・確かにボーデヴィッヒは力に執着してはいたが、軍人としてもあいつ自身にしても、卑怯を嫌うし相手にも敬意を払う奴だ」
「では・・・一体?」
「・・・・・・」
それが分かれば苦労はせん・・・万が一の場合は私も出る事になるかもしれん・・・例えボーデヴィッヒを・・・。
「織斑先生!!」
いきなり山田先生が声を荒げて私を呼び、一瞬私の脳裏に最悪の結末が浮かんでしまった。
「如何した!?」
「一夏達から通信ですか!?」
「一夏さんご無事ですか!?」
「いえ・・・あの・・・それが、アリーナの屋根に人影が・・・」
「え?」
「はぁ?」
「何?」
「映像を出します・・・」
映し出された映像には今私達の居るアリーナの屋根に立つ、白いコートを着た人間の姿が映っていた。
「何者だ奴は!?」
「分かりません!!」
「ちょっとこの人・・・」
「えぇ!!」
そいつは突如コートを靡かせ高く飛び上がり、コートの中から赤い何かを取出し・・・アリーナ内へと・・・。
ガシャーーーーーーーーーーン!!
遮断シールドを破壊して・・・突入した。
Side・シャル
・・・僕は・・・生きてる?
「・・・・うぅ」
体が思う様に動かない・・・シールドエネルギーを見ても僅かに残っているけど、ラファールの彼方此方から悲鳴が上がっていて、
思う様に動かせない。
一夏と箒さんは・・・。
「くぅ・・・」
「い・・・ち・・・か?」
如何やら無事みたいだ・・・咄嗟に一夏が箒さんを庇って守った様だ。
今は僕より少し離れた所で一夏が箒さんを押し倒している形になっているけど・・・あの2人には見せられないな。
でも一夏の白式も損傷が酷い・・・所々が欠けて一夏自身も負傷をしている。
「他人より自分の心配をしたらどうだ?」
「!?」
僕の前に禍々しい光を放つISを纏ったボーデヴィッヒさんが不敵な笑みを浮かべて僕の前に立っていた。
「キサマは・・・この私の存在意義を・・・“兵器”である私にとって死も同然の“敗北”を与えようとした・・・赦せん・・・」
兵器?ボーデヴィッヒさん・・・何を・・・アナタは・・・。
ガシッ!!
「あぐっ!!」
僕は首を掴まれ、高く持ち上げられた。
「赦さん・・・キサマだけは五体をバラバラに引き裂き!!元が人間かどうかも分からない程に潰し、粉砕し、焼却して殺してやる!!」
「あっ・・・ああ・・・・」
「苦しいか?苦しめ苦しめ!!だが・・・私の苦しみに比べたらこんな物は無いに等しい・・・兵器である私にとって敗北は死、
私は負ける事は許されない・・・兵器は勝たなければ生き残れないのだ!!」
「ちが・・・う・・・」
「何?」
「君は・・・人間だ・・・僕達と同じ・・・」
「フン・・・“人間の親”から生まれた者の台詞だな」
え?如何言う事?ボーデヴィッヒさん・・・アナタは一体?
「分からないだろうな・・・答えは地獄で教えてもらえ!!」
ブウン!!
ボーデヴィッヒさんがプラズマ手刀を僕に向ける・・・もうダメ・・・・。
『駄目だよ・・・どんなに辛くても下を向いちゃ』
「!?」
突然夢に出てきた男の子の声が聞こえた・・・そして・・・。
ガシャーーーーーーーーーーン!!
「何だ!?」
「おおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!」
ズガン!!
「ガアッ!!」
ドサッ・・・・
「ゲホッ・・・ゲホッ・・・・はあ・・・はあ・・・」
突然ガラスが割れる様な音がしたと思ったら・・・次の瞬間僕を掴んでいたボーデヴィッヒさんの腕に衝撃が走り、
僕は地面に落ちた。
「・・・一体・・・」
「逃げろ」
「え?」
僕の目の前には・・・見た事のある白いロングコートを靡かせ、剣をボーデヴィッヒさんに向ける男性・・・鋼牙さんが立っていた。
「キサマは・・・一体何者だ!?」
「キサマの陰我・・・俺が断ち切る!!」
牙狼~INFINITE SENKI~
次回予告
人間ってのは脆く弱いもんだ、だから身を守る為に古より戦時には鎧を纏っていた。
身に・・・そして心にもな。
だが・・・他者を守り、願いを継ぐ為に纏う鎧ってのがあっても良いもんだな・・・。
次回『鎧刃』。
下手に触れると怪我するぜ・・・。