「……天気予報さんや、今日は一日中晴れだったんじゃないですか?」
今は放課後、いつも通り普通に帰ろうと思っていたのだが5時間目あたりから急に雨が降り始めた
今日は晴れって言ってたんだよアナウンサーさん、俺信じて傘持ってきてないんだよ
しょうがないと言えばしょうがないと思うよ? だって梅雨の時期だもん、それに天気予報だって万能ではないから確実というわけでもないし
でもどうすんのこれ、家までずぶ濡れで帰る? 途中のコンビニまでダッシュして傘買う? でもここ山だからダッシュしたら滑りこける可能性だって無きにしも非ずだし……
「よし、覚悟を決め「織村君?」……なんでここ最近俺は君とよく会うの? 神崎さん」
なんか数日前にも同じような展開で彼女と会った気がする
おっかしいなあ、確か結構最初に出て行った気がするんだよなあ、なんでいるのかなあ
「ちょっと忘れ物」
「……可笑しいな、ここ暗殺教室の筈なのに読心術なんて習うの?」
「織村君って意外と表情に出るんだね」
「そんな筈は……」
これまでそんな事は全く……あれ
そう言えば先生とか同僚もよく俺の気持ちを読んでたっけな
トランプの時とかも良くバレてた気がする、やけにニヤニヤしながらジョーカー以外を抜き取っていく皆んなの心が読めなかった
以外と読心術には自信があったんだけど、まさか俺自身は全く読心術無し、ポーカーフェイスもへたっぴって事ですか?
また今度同僚に習おうかな、ポーカーフェイス
「傘がないの?」
俺が立ち止まっている原因を現状況で判断してくれたらしい
「そう、だからカバンを盾に家までダッシュしようかと」
もう滑るとか関係ない、ここは全力で帰って家に入ってすぐに風呂に入ろうと思う
そうすれば風邪とか引かないだろうし、何よりも今の俺の最善策である
と言うことを説明すると彼女は自分の傘を開いた
ある程度大きい黒色の傘を数秒ほど見て、彼女は頬を赤く染めた
なんで赤くなったの神崎さん、何を考えたの?
こう考えてるのも束の間、彼女の爆弾によって俺の顔も真っ赤に染めた
「もし良かったら、一緒に入る?」
「冷静になってほしい神崎さん、男女二人が一つの傘の下一緒に帰るのはやばいです。勘違いされますよ? あのタコにでも知られたら本当にやばいですよ?」
前の昼寝は何処かに行っていたからバレてはないだろうからセーフだったけど今回はやばいって
だって下校中ですよ? まだ教室に居ても問題ないんですよ? あのタコの思うがままだよ?
知ってる? 殺せんせーメモってるんですよこういうの、後々小説にするとか前言ってたの知ってますか?
「……大丈夫だよ私は」
「その言葉に説得力はない!」
そんな顔真っ赤にして言われても困るよ!
「……一緒に帰ろ?」
「ぐはっ!」
上目遣いでそれを言うのは反則じゃないだろうか
これじゃ断ることができない、というか断ったら男としてなんか終わりそう
「せ、せめて近くのコンビニ迄で」
「うん!」
何だろうか、俺ってこんなに甘かったかな
彼女が傘を広げて待っているのでその傘を少し拝借する
「入れてもらうのに何もしないのは俺が嫌だから」
せめてものお礼である、これがお礼になるとは限らないが
できる限り彼女に傘を寄せて、二人で歩き始める
肩に少し当たっているが構ったもんじゃない。入れてもらってるだけでも申し訳無いのに、俺の所為で彼女を傘の外に出してしまったり、傘の中がぎゅうぎゅう詰めになったりなんてしたら申し訳ないレベルじゃない、もう仕事切り上げて帰って布団にくるまってる俺の姿が容易に想像ついちゃうよ
「織村君、肩に雨が当たってる」
なんでそういうところに気付いちゃいますか神崎さん
「肩ぐらいどうといったことはないよ、うん」
「もう少し入った方が」
「いやいやいや、キツくなるからね!?」
「……むう、別にいいのに」
「じゃない!」
「……てい!」
って何をしてらっしゃるの神崎さん!?
自分の腕を俺の腕に絡めない! 確かに二人の総合面積が少なくなって傘の中に二人入っても両者濡れないぐらいにはなるけどそれでもこれはやばいって!
「行こ」
「……はい」
先ほどより顔が赤くなってるのに、どこか嬉しげな少女に逆らえなかった俺は、渋々歩を進めた
「や、やっとか」
公衆の面前で腕を絡めながら相合傘で下校という恥ずかしいことこの上ないイベントをどうにか耐えつつやっとの事でコンビニに到着
さて、ビニール傘を買おう、そう思って傘を出ようとすれば
「あれ、神崎さんに、おりむ……」
杉野、なんでこんな所にいるの? タイミング悪すぎるよ
「ふむふむ、神崎さんと織村君が相合傘と手を絡める、っと」
「殺せんせー、今すぐその手帳を貸してください、燃やします」
というか神崎さん、皆んないるのに何でさっきよりも腕に力を入れてるの、顔真っ赤になる程恥ずかしいなら解いてくださいいろんな意味で本当にやばいですよ
そして杉野、傘を畳んでまるでバットみたいにして振らない一体何をする気なの、 まさか当てる気ですか? 当てる気なのか?
やばいぞ、この状況の打開策は……
A 彼女とこのまま何もなかったかのように帰る
B 杉野に大人しくボールみたく俺にバットをぶつけて貰う
C 言い訳をする
ダメだ、どれもこれも生存率が低すぎる
「あれ、前原君だ」
ナイス渚、お陰でみんなの意識が前原に移った
ちなみにその前原、彼女と思われる我が校の生徒と相合傘をしている
すごい、流石E組のたらし男、あんな状況で笑ってるよ、俺なんて顔真っ赤にしてここまで来てるのに
というかあんな子E組にはいない筈だ、つまり本校舎の子か
意外だ、この学校の特性上E組は差別の対象になっていて近づきたくないという奴も少なからずいて、とにかく人気が悪いはずだ
けれど今前原と居る子は普通に笑顔で喋ってる……あ
あれ嘘だ、表面上だけの笑顔、よく見れば少し暗い感じのそれは、よく見てきていて、すぐに理解できた
その光景を見ること数分、本校舎の人達が来た、その途端、彼女の表情は一瞬にして変わった
前原から本校舎の子にすぐに乗り換えて、なにやら揉め事した後
男が、前原を蹴ろうとアクションを起こした
その一瞬で、体は動いていた
俺の脚は勝手に前へ、しかも猛スピードを出した
前原との差は約20m、それがすぐに0に、俺は相手の脚を掴んでいた
直ぐに離してやれば、まるで下僕を見るような目で俺に話しかけてきた
「はあ?何してんだよお前」
「それはこっちのセリフ、人を蹴っていいと思ってるの?」
「当たり前だろ、そいつはE組だからな」
「E組だから? ふざけるなよ、それだけで暴力を振っていい理由にはならないだろ」
「E組はな、大人しく命令を聞いてればいいんだよ!」
やばい、プッツンしそうだ
けれどここで暴力を振るえば相手とやってる事は同じ、俺も彼らと同類になる
でも相手は俺の話なんて聞く耳を持っていない
E組だってお前らと同じ学校の生徒だろうが、少し勉強できないだけでこれか
この学校は、あまりにも酷すぎる
そうこう思考している間に、相手は再び蹴りの姿勢を取った
が、
「止めなさい」
そのたった一言で、場は鎮圧された
物凄い圧力を受けた感じだ、殺し屋のとはまた別の何かが、この場を制圧していた
たった一言でそれができる人なんてそうそう居ない筈だ、一体誰が……?
「理事長先生!」
前原といた女子がそう言った
理事長? と言うことはこのシステムを作った張本人か?
車から出てきた男はその場を鎮圧し、前原にハンカチを渡している
なんだ、いい人じゃないか、そう思っていたのも数秒だった
「危うくこの学校にいられなくなるところだったね、君が」
それだけ言って車に乗り再びどこかへ行き、それに続くようにして彼奴らも何処かに行った
あの人、完全に生徒を支配している、ちゃんと止めつつ、俺たちは完全に虫扱いしていた
何の感情のない目で此方を睨むその姿は、また違う強者の目
過信はしていない、が、己の心理の為なら何でもする、そういう人間の目だ
「仕返しです」
「うわあ!?」
いつの間にか、顔を朝以上にパンパンにして怒っている殺せんせーが、俺の後ろに立っていた
「……一体何をするんですか?」
「屈辱には屈辱を、彼女達には恥ずかしい目に会ってもらいましょう」
「あれが渚と茅野さんか、凄いな」
今俺達は、絶賛やり返し作戦に取り込んでいる
作戦としては渚茅野さんペアが気を引いてるうちに奴らが飲んでいるコーヒーに通称ビクトリア・フォールという強力下剤を千葉と速水さんが撃ち込み、それを飲むことによってトイレに行かせる、がそこで茅野さんがトイレを占領、近くにあるコンビニに行かせる途中で木の枝を落とすというなんともひどい作戦だ
なんと大人気ない、こんな事したら後で烏間先生に怒られるよ
まあやるからには徹底的にやるけど
茅野さんがトイレに行ったあと、作戦決行の合図が鳴った
渚がサラダを落として気を引いた瞬間、見事にコーヒーに混入に成功
さて、俺もやることしますか
「皆んな、トイレ行くついでに何か飲み物買うけど、何がいい?」
「「「うわ、ここに酷い奴がいる」」」
「え、何が?」
民家を出て雨の中を走って先にコンビニに先回りし、トイレを貸し切る
さて、確か後約200m先ぐらいに公園のトイレがあるけど、そこまで耐え切れるかな?
おっと、ドアが物凄い勢いで叩かれてる
「すまんが使用中じゃ」
出来る限りおじいちゃんっぽく言ってみる
「早くしてよ(しろよ!)」
今使用中だって言ってるだろ、全く
「お客様、他のお方に迷惑が掛かりますので、公園の方にお行きください」
ナイス店員さん、俺後でジュース大量に買っていきます
どうやら外に出て再び走り始めたようなのでトイレから出る
木の枝は命中したようだ、トイレの前に葉っぱとか落ちてる
まあ自業自得だと思うし、いっか
適当に皆んなの分のジュースをカゴに突っ込んでって行き
「何円ですか?」
買い物を済ませ、みんなのところにに帰って行った