実は神無にはイメージソングがあります。
気付いている人も少なからずいたのではないでしょうか?
曲名は『色彩』です
割と本当に好きな曲です。作者の好きな曲ランキングTOP3には絶対入ります
お暇があれば是非聞いてみてください
ふと、俺の意識は覚醒する。
そこに広がるのはまさしく妙な光景だった。
いつもよりも大きく映る月、その下にある湖の前に一本の金色の刀が突き刺さっており、刀の上には少女が妖艶な笑みを浮かべ此方を見ている。
肩を敢えて露出させているような黒い着物を着た少女は、確認の言葉を、俺に言った。
「ふふふ、貴方が新しい主人かしら?」
主人? 一体何のことだろうか?
俺はあの少女の何だ? 彼女は何故俺のことを知っている? この知らない場所はなんだ?
これは、俺が見ている幻なのか?
「ここは私が作られた場所、作られた時の風景なの。前の主人である神無とはよくここで喋ったわ」
「……神無が?」
「ええ、私にとっては初の主人ね。そして貴方が私の第二の主人になるの」
さあ、貴方の勇姿を見さしてくださいな、
「やっぱりか」
「最後の一本はこいつの物って事でいんだろ?」
「仲間が増えるのか!? 妾は嬉しいぞ!」
「私も嬉しいわ」
「まだ彼が守護者になると決まったわけでは無いんですから。というかもう少し静かに」
「うん」
何だろう、妙に騒がしいな。
現状を確認するために俺は瞼をあげ、周囲を見渡した。
そこには俺と同年代っぽい少年少女6人と、俺に話しかけてきたあの男の姿があった。
なんで俺、こんな所に、神無は……神無は!?
「神無は何処!?」
「安心しろ、今は病院のベッドの上だ」
男は冷静に答えた。
病院? そうか、それなら……安心、なのか?
「神無は無事なんですか?」
「無事、とは言えないな。今は意識不明だ」
意識不明?
となるとまだ彼女は目を覚ましていない、という事か。
それでも彼女はまだ生きている。とてもありがたい事だ。
それにしても、ここはどこだろうか?
見る限り和風の家だ。テレビとかでよく見る感じだが、全く見覚えがない。
というか目の前の人達は誰なのだろうか。あの男の人にしても俺は名前も知らない。
……どうしよう、すごい居づらいな。
「うむ。そんなに緊張せずともよいぞ。妾の名は織村晴だ。これからよろしく頼むぞ!」
「全く、晴はもう少し静かに。初めまして、織村
「初めまして、でいいんだろ? 織村郁也だ」
「初めまして、私は織村陽よ。よろしくね?」
「……織村奏」
「俺の名前は織村式だ。木更快……いや、織村快。お前を守護者一同歓迎しよう」
「守護者?」
聞き覚えのない言葉を口にした瞬間、周りの雰囲気が少し重くなった気がした。
式と呼ばれる人物を他の人達がジト目で目ているのだ。
あれ、なんかいけないことしたかな?
「先生、まさか彼に何も説明せずに連れてきたわけじゃないですよね?」
「守りたいと言われただけで十分だろ?」
「十分じゃないだろ!? 説明ぐらいしろよ!」
「説明なら和夜がやってくれる」
「「そういう問題じゃない!」」
「……ええっと?」
「本当にごめんね。先生って時々馬鹿になるから」
「は、はあ」
なんというか、仲良いな。
孤児院には仲間がいたとはいえこんなに仲がいい感じはしなかった。というか冷めていたイメージの方が高い。
それと違いここは暖かい感じがする。神無といた時と近い感じが。
「ええっと、ならまず守護者、しいては僕達について説明をしますね」
そこで説明されえたのはすごく簡単なことだった。
あの刀の適正者、主人と呼ばれる存在はとても強大な力を得るという。
曰く、たった一刀で海を切断したとか、曰く大砲を片手で受け止めただとか。
刀達が厳選した人間にその力を悪用する者はいないが、逆に使うことの方が今の世代だとない。
ならばと作られたのだこの守護者、昔でいうとこの用心棒である。
それに俺はスカウトされて、今に至るらしい。
「お前はなると言った。俺たちは歓迎しよう」
「は、はあ」
こうして、俺は守護者織村快となったのだ。
それ以降、俺の体にはとてつもない変化が見られた。
刀を握ってなくても1秒でまさかの30mの距離を埋めれるほどのスピードを叩き出した。
刀を握った時はそれの二倍近いスピードを叩き出し、動体視力も大きく強化された。
正真正銘の化け物と化した俺は、とても不思議な感覚に囚われていた。
手を見ても他の人と何にも変わってないのに、力は他の人と大きく違う。
これを、彼女のように人を守る為に振るうことが出来るのだろうか。
「おーい、快」
「郁也」
声の先にいる少年はこちらに手を振っている。
何かあったのだろうか、ここにきてまだ日も浅いし色々と初めてのこともあるから何があるかなんて分からない。
タオルで汗をぬぐってから。
「今行く」
彼の後を追って行く。
とても広いこの屋敷の東側に位置する部屋に招かれた俺は戸を開ける。
すこには茶を飲んでいるここの代表であり、今は俺の上司にあたる先生がいた。
ちゃぶ台には一枚の紙が置いてある。なんの紙だろうか。
「今からお前には仕事を受けてもらう」
「仕事? 俺に?」
「そうだ、こういう事は早くやっておいて損はない。郁也、陽を呼んで来てくれ」
「へいへい」
「さあ、地下室まで行くぞ」
言うや否や先生は自分の本棚を動かした。
すると後ろの方に地下へと続く階段が現れ、先生はどんどん下に行ってしまう。
追いかけるように俺も階段を下がっていく。
暗い階段を下り、抜ければそこはまさしく神秘的な場所だった。
真ん中にある水たまりを中心に12個の円が描かれており、その内の11個に刀が浮いている。
形的には今手にしている神無月と酷似している。これが他の11本の月華シリーズ達なのだろうか。
「先生来ましたよ」
「少し遅いぞ。座標はここだ」
「えーっと、東京ですか。わかりました、かーくん、こっち来て」
「は、はあ」
彼女に言われるがままに1本の刀の前に出る。
えっと、時計回りで行くとここは1だから睦月でいいのか?
「この子はね、座標さえ固定してしまえば指定したものを転移させる能力があるの」
「……何それ」
「月華は基本なんでもありよ? 四大元素を操る刀が4本、己自身に力を付与する刀が4本、それ以外の刀4本。かーくんの刀はそれ以外だったはずだけど」
「へ、へえ」
つまり結構なんでもありシリーズという事か、割と怖くなってきたぞ俺。
「じゃあかーくん、いってらっしゃい」
彼女が刀に手をかけた瞬間、俺の視界がぐらっと変わった。
車酔いのような感覚を感じながらも次に目を開けた途端。
本当に、俺は東京のどこかへと転移した。
「ほお、貴様が守護者か。精々頑張って俺を守れよ」
うわあ、最初からなんとまあ酷い。
何日ぐらいこっちにいればいいんだろうか、多く見て三日ぐらい? というかまず俺は何からこの人を守らないといけないのだろうか。
正直この時代にこんな力を振るう場面が本当にあるかさえ疑わしいのだが。
どうしよ。もう夜だし警戒しないに越したことはないが少し眠くなってきた。
俺用の部屋とかも用意されているのだろうか、されてないと困るけど。
あの男の人は俺のことはほとんど無視、仕事に没頭している。
一々上から目線で電話相手を怒鳴っているあたり相当低評価の社長なのだろう。帰りたくなってきたぞ。
「ふう」
あの人が電話を置いて一息していた頃、急に扉が開かれた。
二人の人間がまっすぐ男に向かい走り抜ける。
片手にナイフを持っていうあたり……暗殺者!?
「早く避難を!」
刀を抜き、彼らの前で大きく振った。
当然のごとく避けられるが、俺は直ぐにまた構えた。
相手はどんな人だ? 気になって顔を曲げれば。
なぜか両者、動揺していた。
なぜ動揺しているのだろうか? 守護者ってそんなにも殺し屋から恐れられるものなのだろうか。
「快、なのか?」
俺の名前を言われた瞬間、俺は目を大きく開いた。
俺の名前を知っている? 俺は相手のことを知っているのか? 相手は俺の事を知っている?
いろいろな疑問が生まれる中、相手は更に追い討ちをした。
「俺たちはお前の親だ! 木更正志と木更麻耶だ!」
その言葉を受け入れるのに何秒掛かっただろうか。
親? 俺を産んだ人のことか? なんで今更になって姿を現した?
なんで今頃、そんなにも驚きと愛おしそうな目で俺を見ている!?
「どけえ! お前は何をしている!」
刹那、俺の後方から銃声がした。
一発が俺の父親の心臓を撃ち抜き、二発目が母親の頭を撃った。
また、目の前で人が、俺の知っている人が……
「こやつら、よくも俺を狙ってくれおって!」
だが、この男はそれだけでは終わらなかった。
なんとまた撃ち始めたのだ。恨みを晴らすために何度も何度も部屋に銃声を響かせた。
それだけで俺の体は、動く事を判断してしまった。
刀を構え、自らの脚で一歩前に出て飛んで。
その男を背後から斬った。
「グワアッ!?」
男の体から血が吹き出し、力なく倒れていく。
自らの手を見ると、赤い色の血で染まっていた。
ああ、俺は人殺しになったのか、何も、守れずに。
「アアアアアアアアアアアアアッ!?」
心の底から叫んだ。
親は死に、この手で人を斬った。
まるで思い知らしめるように人の血を浴びて紅く染まる刀。
その真実は永遠に消えることはないだろう。真実は永遠に残るものだから。
嘆き、叫び、泣いて、己の無力さをただ実感して。
その時に、刀は俺に問いかける。
「どんな力が欲しい? 誰をも超越する力? 誰をも拒絶する力? 誰をも制する力?」
俺の刀、その上に立つ少女は妖艶な笑みをあの時みたいに浮かべ、俺に問いただす。
これ以上、俺は何を求める?
誰をも超越する力? 違う、俺は救う力が欲しい。もう何も失わない為に。
誰をも拒絶する力? 違う、誰にでも手を差し伸べる力を、必ず守るために。
誰をも制する力? 違う誰とでも平等で、上ではなく常に隣にいるために。
その力はきっとーーー
「守る為の力を、この手で掴んだもの傷つけさせない、大切な人を守る為の力が欲しい」
俺の出した答えを彼女は笑って肯定した。
「ええ、貴方は私の
「これが快の過去だ」
彼の過去を聞いた皆は、とても暗い表情をした。
だって自分たちを守るために身を投げ出すような人の過去が余りにも酷かったから。
彼の原点が余りにも酷かったことに彼らは絶句する。
「快はお主達を守るだろう。例え死のうとあやつは守れるのなら喜んで死ぬだろう。だからこそお主達には頼み事、しいては警告する」
そう、彼らの本当に伝えた言葉はこの先にあった。
過去を知る事にしても、これの布石でしかない。守護者は全員を大事にしているからこそ結束が硬いのだ。
「快の脚を引っ張るでない。抗う意思を見せよ。相手がどれほど強敵であろうと快に全てを任せるな」
快の過去編は終了、次は彼の2日に及ぶ過去の場所巡りになります
それでもって今回も少しざつかったことを詫びます、すいません