守護者のいる暗殺教室   作:美宇宙

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切断の時間

あれから数日、何かあるわけでもなく平和に暮らしている

自分が仕事できている事さえ忘れてしまいそうなほどに、

である

 

俺は学校なんて行った事がなかったため正直少し緊張していたが、クラス全員が仲良くしてくれる

先ずはクラス委員である2人、磯貝と片岡さん

数日の間、このクラスの事を色々と教えてくれた

次に俺の横の渚、E組のツッコミ役のようなイメージが高い

その他の人たちも仲良くしてくれて、とても嬉しい限りだが、危険視する人物もいる

 

カルマ、多分このクラスの中で一番有能な人材

成績優秀、スポーツも出来る、挙句彼自身が持つ悪戯心は尋常ではなく、ここ2日ほどでかなり精神的ダメージを負った

おかしくない? お茶買ってきてくれたとか思ったら中に生姜入ってるんだよ? 何がしたいのさ

 

とまあこれが俺が数日間このクラスと触れ合った結果である

 

「それで織村君、なんで暗殺しないの?」

 

そんな突拍子のない話を持ちかけたのは危険視しているカルマだ

 

「賞金に興味はないし、君達を守ることが、俺の仕事だから。無益な殺生は好きじゃないんだ」

 

実際、俺はほとんどの仕事を気絶か致命傷を与えているだけで止まっている

殺す事は数少ないがある、けれどそれはイレギュラーな事だ

これは先生からの教えであり、さっき言った通り俺自身が無駄な殺生を好まないためにある

それでも報酬はもらえるし、守護対象は守れる、結果としては何も変わらない

 

「ふーん、本当は何もできないんじゃないの?」

 

……やばい、完全に彼のペースだ

このままだと口車に乗って俺が殺せんせーを攻撃するという事態になりかねない

なんとか脱出しないと、けれど既に乗っちゃいそうな俺がここに居る、やばい、やばいぞ

 

「……じゃあ、一回だけ」

 

終わった

心の中の俺の誓いが、あっけなく崩れていった

 

 

お披露目(?)は放課後という事になり、その場は落ち着き、授業を終え今はその放課後

大丈夫かな、烏間先生に頼んどいたの、ちゃんと届いているかな

 

殺せんせーを殺す方法は主に一つ

その身に、対先生物質という国が開発した特殊素材で作られたBB弾、ナイフをぶつける事である

そうすれば殺せんせーの細胞は溶け、ダメージを負うというシンプルな内容だ

まあ相手がマッハ20であるがために滅多に当たる事がないのだが、それはよしとしよう

 

肝心は俺がナイフを使えない事にある

俺が仕事の際に使う武器は刀、ナイフとは似ても似つかぬ武器だ

ただ刀身が伸びるだけで、攻撃範囲は変わるし、それに見合うスキルが身についていく

それはナイフも同じ、攻撃範囲は刀より遥かにない、だが相手の意表をつく、急所を狙える点や軽さなど、此方にもそれ相応の良さがあり、使う事によってスキルを身についていく

だが、いきなり刀からナイフにチェンジしろ、何て言われて素直に使える物ではない

俺は刀という武器を使いすぎた余りリーチ、攻撃の仕方、防御方法などもすべて刀の物だ

刀とナイフは違う武器、刀のスキルをナイフで使うなんて無理なのだ

よって俺が取れる行動は一つしかなかった

 

「烏間先生、あれは届きましたか?」

 

「ああ、ちゃんとある」

 

そう言われて差し出されたのは対先生物質を素材に使われた一本の刀

人間に被害が出ぬようまるでゴムのような素材のそれを鞘から抜き取り、2回ほど振った

軽い、通常の刀より遥かに軽い

これはこれで調整が必要そうだ、力加減とかまた違ってくるのだろう

 

「それでは、今から暗殺()りにいきます」

 

 

教室に戻ってみれば机に包まれたリングがあった

……なんでこうなった

渚を見やれば苦笑、カルマをみれば悪魔のようなスマイルを送ってきた

そんな長く戦わないぞ、というか一回しか攻撃しない

この戦いはあくまで力を示す物、本当に殺す事なんてしないし()()()()()()()()()

 

「おお、待ってましたよ織村君」

 

「それは何よりです」

 

リングには既に殺せんせーが自慢の触手で立っている

俺も殺せんせーの前に刀の鞘を握って立つ

ギャラリーが俺たちに注目する中、会話を始めた

 

「今からたった一度だけ攻撃します、避けてもらって結構です。いいですか?」

 

「勿論です。君の刃を私に見せてください」

 

ヌルフフフ、不敵な笑みを浮かべる殺せんせーは心なしか余裕そうだ

 

「それでは」

 

自分の背に鞘を持って行き、刀身を少し出す

 

殺せんせー、もう少し警戒したほうがいいですよ

 

「!?」

 

刹那、殺せんせーの腕は教室の空を舞い、地面に落ちた

 

「……抜刀術」

 

目の前のタコが呟いた

抜刀術、鞘から刃を出す瞬間を攻撃に転じさせる物、又は相手の攻撃を防ぎ、そのまま相手を倒す技

誰でもできる物だ、だって刃を抜いてそのまま攻撃すればいいのだから

だが、これは技術を磨くことにより進化する

 

「殺せんせー、貴方とも在ろう存在が、生徒だからって警戒心を解いていましたね。警戒さえしていれば確実にさっきの攻撃は避けれたはずだ」

 

いくら技を磨いて放った一撃でも、警戒し、見切られれば造作もなく避けられる

だが殺せんせーは、俺に対して警戒心を解いていたのだ

これまでのこのクラスの攻撃、それは付け焼き刃といっても過言ではなく、数名を除けば先生にとっては避けることなんて簡単にできてしまう

その心の緩みが、今回の事態を招いた

 

「これで俺の攻撃は先ほどの攻撃どころか、ほとんどの攻撃が当たらないでしょう。だって貴方はもう俺を警戒している。貴方は暗殺対象(ターゲット)だ、これから先幾度となく暗殺されかけるでしょう。たとえ相手が誰であろうと気は抜かないでください。では」

 

刀を納刀し、カバンを机からとった後、俺は教室を出て行った

 

 

やっちゃった

やっぱりやるもんじゃないなあ、あれ割と疲れるんだよな

抜刀術は戦闘の攻撃を飾る第一撃、それに力を入れ、それが避けられた場合は大きな隙を見せる事になる

だから第一撃は精密だがあくまで飾り、その後の第二撃、第三撃をより精密に、確実にする必要性がある

 

まあこれでどうにかなっただろう……ん?

待てよ、俺あれに助言みたいなのしてない? それってこの先あのクラスには迷惑極まりない事なんじゃ……?

 

「やっちゃったあああああああああ!」

 

赤い夕日の空に、俺の声は消えていった

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