僕と幼馴染と友情物語(過去編・番外編) 作:sata-165
ひとまず、予約投稿で書けてる分を置いておきます。
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活動報告にて次に書く話についてアンケートを行っております。
お時間がありましたら、ご一読ください。
★大晦日
「ふぅ~。今年は色々あったな~。」
大掃除も済んだ自宅で、炬燵に入りながら僕はお茶をすする。大晦日の朝だけど、大掃除は済んでいて、後はおせちを作るくらいだ。
「何言ってるんだい、明久。そんなんじゃこれからやっていけないぞ?」
父さんが炬燵に入りながら注意して来た。う~ん……これ以上に大変になることなんてないと思うんだけどなぁ。
「アナタと一緒にするんじゃないわよ。アナタが経験してきた出来事なんて、普通の人じゃ一生かかっても経験しないわよ。」
「いやぁ~、そんなに褒めないでよ。」
「褒めてるわけじゃないわよ。」
母さんが呆れた様子で父さんをたしなめ始めた。平和だな~。
「いやいや、雪葉。明久も僕の血を引いてるんだから、いろいろと巻き込まれると思うよ。」
「はぁ~、『巻き込まれる』って言うより、『首を突っ込む』、でしょ? 昔っから関係のない事でも、お節介焼いて面倒事に関わるんだから……」
「困っている人がいたら助けるのは当然でしょ? な、明久?」
「うん。僕の力でどうにかできるなら考えるまでも無く助けるよ。」
僕なんかの力でどうにかできることなんて限られているだろうけど、それでも助けられるならば助けてあげたい。
ピンポーン
「お、来たみたいだね。」
「ん? 通販か何か頼んだの?」
なにやら上機嫌でインターホンに出ようとする父さんを見て不思議に思う。あんなに上機嫌ってことはお酒か何かなのかな?
「明久にお客さんだよ。雪葉、僕達も出ようか。」
「そうね。明久、留守番よろしくね。」
父さんがインターホンを切ると、母さんが小さめのキャリーバッグを持ってきた。
「え!? ちょっと、どういうこと!?」
「それじゃ、二人ともくつろいでいってね。」
「明日の朝に迎えに来るから、それまでは若い者同士だからナニをするのも自由よ。それと、冷蔵庫の中身は自由に使ってちょうだい。」
父さんと母さんは、状況が理解できてない僕を無視して、玄関を開けるとお客さんに挨拶をしていた。
『『な、なにをするのも……』』
(え……この声って……)
聞き違えるはずはない、僕の彼女の声だ。どうなっているの!?
「「お、お邪魔します……」」
急展開を理解できずに廊下で棒立ちになっていると、ドアを開けて明梨と日向が入ってきた。
「いらっしゃい。……ところでさ、どうして二人がうちに来て、父さんたちが出ていったの? あ、いや、来てくれたのは嬉しいんだけど、理由が分からないからさ。」
ひとまず二人を中に入れて、ここに来た理由を聞く。父さんたちからは何も聞いてないんだけどな……
「え? 明君、聞いてないの?」
「うん。たぶん何も聞いてないよ……」
ここ最近の記憶をさかのぼってみるが、なにも心当たりは無い。
「明久君と明梨ちゃんのご両親は、私の家で年を越すので、私たち子供は明久君の家で年を越すように言われたんです。」
「分かりやすい説明ありがとうね。」
日向がここに来た経緯を詳しく教えてくれたのでお礼を言う。なるほど、あのバカ親たちは何を考えているんだか……
「それじゃあ……どうしよっか? あ、二人ともお昼はまだ食べてないよね?」
なにをしようか考えていると、時計が11時を指しているのに気づいた。お昼を作る時間を考えたらちょうどいいくらいかな。
「まずは、お昼を食べてから考えようか。」
「うん。ちょうどお腹もすいてきたね。」
「のんびり過ごすのもいいかもしれないですね。」
◇
「ふぅ~、お昼も食べたし……、そばの実を挽こうかな。」
「挽く? そんな道具、明君家にあったっけ?」
「うん。父さんが『今年は本格的にやりたいから』って言って石臼を買って来たんだよ。」
「明久君はお蕎麦を打てるんですか?」
「毎年父さんの手伝いをしていたからね。」
毎年、父さんがそばを打っているけど、なんだかんだでほとんどの作業を手伝わされるんだよね。今年は蕎麦の実を挽く時間も必要だから、手間もかかりそうだな。
「その間に、わたし達はお節料理でも作ろうか、ね? ヒナちゃん。」
「そうですね。まずは食材の確認をしましょうか。」
「何か必要なものがあったら言ってね。買ってくるからさ。」
明梨と日向が作るお節か……楽しみだな。
「さてと、僕も頑張ろうかな。」
お節のお礼ってわけではないが、ちゃんと美味しいそばを食べてもらいたいから、いつも以上に気合を入れる。
「え~っと……、蕎麦の実を少しずつもの入れに入れて挽いていく、か。」
挽くところは初めてなので、ネットで蕎麦の実の挽き方を調べながら石臼を回す。
◇
「それにしても、試召戦争とか清涼祭とか、今年は色々あったね~。」
年越しそばも食べ終わり、明梨たちもお節の準備が済んだようなので3人で炬燵に入りながら今年を振り返る。
もう、歯磨きやお風呂は済ましてあるので、そのまま寝ることもできる。
今年は、終業式間近の振り分け試験では明梨が倒れてしまった。
新学年の始まる4月は、進級して早々に『試召戦争』を始めて、史上初、最低クラスのFクラスが、最高クラスのAクラスを下すという結果を残した。
5月半ばに行われた清涼祭では、竹原教頭と常夏変態の悪事を阻止するために、召喚大会に出場し強敵を倒して優勝した。
優勝景品で行った如月ハイランドでは、明梨と日向に僕の気持ちを告白し付き合い始めた。
6月の学力強化合宿では、学年の男子ほとんどが参加した覗き騒動で勉強に集中できなかった。
一学期の期末試験では、学力向上のために皆で泊まり込みで勉強会を開いた。
夏期講習の最後の日には召喚獣を使った肝試しを行う事になった。
夏休みには父さんたちも含めた大所帯で海に行った。
二学期に入り、10月に行われた体育祭では、同時に行われた『生徒・教師交流野球』で召喚獣を使って野球をすることになった。
「こんな濃い一年なんて経験する事はもうないだろうね。」
「そうだね。わたしも来年の振り分け試験は倒れないようにしなくちゃ。」
「来年こそは、みなさんで同じクラスに入りたいですね。」
日向の言うとおり、来年こそは無事に同じクラスに入りたいものだ。
ゴーン ゴーン ゴーン
「あぁ、除夜の鐘か……今年もあとちょっとだね。」
「明君、今年は本当にありがとうね。」
「あ、明梨? どうしたの、急に……」
急に改まった態度でお礼を言ってきた明梨に驚いてしまった。
「今年は明君にいろいろと助けられたからさ。ちゃんとお礼を言っておきたくって」
「そうですね。清涼祭の時なんかは、明久君が来てくれなかったらどうなっていた事か……」
「そ、そんなこと気にしないでよ。何度も言ったけど、全部僕がやりたくてやっただけだよ。」
明梨に続いて日向まで、丁寧に頭を下げてきたのでうろたえてしまった。本当に僕は自分がしたいことを、思ったままに行動しただけなのに……
「それに、お礼を言うなら僕だって二人にはいろいろと助けられているからさ、お互い様だよ。二人とも、今年は本当にありがとうね。」
今度は僕が二人に対して、座礼する。直接的にというよりも、間接的に精神面で何度救われた事か。……逆に理性の壁が崩壊しかけた事も何度もあったけどね。
「あ、頭を上げてください、明久君。」
「そうだよ。お礼を言うのはわたし達の方なんだから。」
「だから、それを言うんだったら、僕の方だって……」
「「「……………………」」」
ゴーン
僕らの意見が堂々巡りになって、静かになった所に除夜の鐘の音が響く。釣られて時計に目を向けると、今年もあと一分ほどになってしまっていた。
「今年ももうすぐ終わりだからさ、お互いにこれ以上今年の事でお礼を言わないようにしようか。
それと、……もう恋人同士なんだしさ、お互いの事を考えて行動するのは当たり前だから……その、過ぎたことでお礼を言うのは止めにしない?」
僕らはお互いに気を使い過ぎてしまいがちなところがある。
「そうだね。……それじゃあ」
僕の意見に賛成すると、明梨が右手の小指を立てて顔の前にもって来た。
「ははっ、『指きり』なんて、懐かしいな。……ほら、日向も。」
『指きり』なんてやったのは小学生以来かな? そんなことを考えながら明梨の小指に自分の小指を絡ませ、左手の小指を日向の方に向ける。
「なんだか子どもの頃に戻った感じがしますね。」
日向は微笑みながら、小指を絡めてきた。
「「「指きりげんまん、嘘ついたらはりせんぼん、の~ますっ! ゆびきった!」」」
お決まりの文句を三人で唱える。特に合図も無いのに、三人の声が揃った事に小さな満足感を得たのは心の中にとどめておこう。
ピリリリリ
指きりを済ませるとすぐに、セットしていたアラームが鳴った。もう、今の時間は一月一日、元日の午前零時だ。
「「「明けましておめでとう御座います。今年も宜しくお願いします。」」」
定番の挨拶を済ませて、僕らは眠りに就いた。起きたらお節を食べて、初詣に行かないとな……
以降、更新した時は活動報告に書かせて頂きますので、そちらでご確認ください。
1/24 やっと、大晦日までの話を書き終わりました。
かなり遅れてしまい、申し訳ありませんでした。