僕と幼馴染と友情物語(過去編・番外編) 作:sata-165
明久は2年生になりました。今回は悪鬼羅刹こと坂本雄二との出会いです。
「はぁ龍司さんの思いつきにはいつも苦労させられるよ」
突然『最近この辺に不良が増えてきたみたいだし、明久、腕試しに不良たちを更生させて来い』って言うんだもんな。確かに道場で習うことは一通り学んだし、僕も中2になったからある程度の強さはあると思うけど、僕の周りには強すぎる人ばかりで僕の強さが分からないんだよね。いい機会だし、僕は最近有名な不良を探していた
「え~と、特徴は赤髪を逆立てている長身の男。神無月中学らしいからこの辺にいると思うんだけど」
僕は神無月中学の学区にある路地を歩いていると
「あれ、もしかしてあの人かな?」
神無月中学の制服を着て赤髪を逆立てている長身の男性を見つけた
「ねぇキミが『悪鬼羅刹』?」
?「アァン?」
有名な不良だから喧嘩を売られることも多いのだろう。すごい剣幕でこちらを向く
?「あ?なんだお前は?俺に用か?」
僕を見た途端いつもの輩とは違うってわかったんだろうな。そんな僕がなんで『悪鬼羅刹』の名を知っていて話しかけてきたのかが分からないのか、僕に質問してきた
「キミがなんで不良になったのか知りたくってね。教えて欲しいんだ」
悪「けっ、テメエに話すことなんざねぇよ!!さっさと消えろ」
悪鬼羅刹(面倒だから(悪)でいいか)は僕が要件を言うと急に興味を無くしたのか、僕に背を向けて歩き出した
「ほぅ、なら話してもらうまでだな」
悪「ああん?」
俺の雰囲気が変わったのに気づいたのか、またこちらに向き直った
「テメエに勝ったら事情を話してもらうぞ」
俺は右手を上に向け(悪)にかかって来いと挑発する
悪「俺に喧嘩を売るなんてな、上等だ。受けてやるよ」
(悪)は俺に殴りかかってくるが
「遅え!!」
俺はそれを避けると体を回転させながら(悪)の脇腹に肘鉄を叩きこむとバックステップで距離をとる
悪鬼羅刹Side
なんなんだコイツは。俺は誰にも負けないように力をつけてきたのに、こんな小柄なやつなんかに俺の攻撃をかわされたうえに攻撃を入れられるなんて
?「はぁっ名を上げているからどんなもんかと期待していたが期待外れだな」
コイツは溜め息をつき肩をすくめる
「なめんじゃねぇぞ!!」
俺は大振りな攻撃を止めスピード重視のジャブを放つ
?「だから遅えっつってんだろ!!」
コイツは俺のジャブを左手で弾くと右手で俺の鳩尾を殴ってきた
?「ったく、肩慣らしにもなりゃしねぇ。おいっ、さっさと話せよ。それとも力の差も理解出来ねぇか?」
力の差ぐらい理解できるが、俺はもう二度と負けられねぇんだよ
「ざけんじゃねぇっ!!」
俺はハイキックを食らわそうとするが
?「威力も軽いな、ほんとにお前が『悪鬼羅刹』なのか?」
コイツは左手で軽く受け止めた。何者なんだよコイツは、今までこんな奴の話聞いたこともないぞ?!
Side out
「おいっ流石にもう話す気になったか?」
俺は仰向けに倒れている(悪)に声をかける。まさか10分も粘るとはな
悪「そ、その、前に、一つ、聞きたいん、だが」
(悪)は息を荒げながら聞いてきた
「なんだ?答えられる範囲なら答えるが」
悪「お前は、何者、だ?俺は、お前、みたいなやつの、噂を聞いたことが、ないんだが」
少し息が落ち着いてきたみたいだな
「俺か?噂になるはずないだろ。俺は不良とかじゃねぇんだし」
悪「なら、なんで俺に喧嘩なんか、売ってきたんだ?」
まだ息が整わないのか
「あ~師範から腕試しに不良と喧嘩してこいと言われてな」
正直に更生させて来いなんて言ったら面倒なことになりそうだしな
悪「なるほどな。お前のことは分かったから、俺の話もしてやるか」
やっと息を整ったようだな。さて、どんな理由だ?更生させて来いって言われたからにはどうにかしないとな
悪「俺が不良になったのは力をつけるためだよ。不良なら嫌でも喧嘩を売られるからな、誰にも負けないくらいの力が欲しかったんだよ!」
「力をつけたい…か。その理由は?」
悪「っつ」
聞かれたくなかったのか言葉を詰まらせる
「ここまで話したんだ。全部話しちまえば楽になると思うぜ、トラウマがあったとしても」
トラウマと言ったところで(悪)の表情がこわばった。やっぱりトラウマになるようなことがあったのか
悪「わかった。アレは俺が小5の頃の話だ。俺は当時『神童』と呼ばれていてな―」
そういえば昔『神童』がいるって噂を聞いたことがあるな。コイツのことだったのか
悪「頭は良かったが俺はかなりひねくれたガキで上級生から妬まれていたんだ。まぁ俺は学校ではまじめに振る舞っていたから、そいつ等が問題行為をしている時に教師にチクればいいと思っていたんだがな。そこで予想外のことが起きたんだ」
そこで(悪)は言葉を区切った。おそらく思い出したくないことなんだろうな
「それで?」
酷かもしれないが過去と向き合わなければ未来(さき)へは進めない
悪「俺の幼なじみがその上級生達に注意したんだ。そしたら上級生たちは翔子に手を上げたんだ」
今でも後悔しているんだろう、悔しそうに告げる
悪「俺はその時は勉強はできるが腕っ節はさっぱりでな。翔子が助けを求めたら教師を呼ぼうと考えていたんだ」
『達』ってことは複数だし、しょうがない判断だろうな
悪「ただ、翔子はそのころ『いじめ』にあっていてな、もしそんなことが家にバレたら即転校って状態だったんだ。その話を知っていても俺は助けに行く勇気がなかった、『神童』と呼ばれる頭脳もその時ばかりは役立たずだった」
「なるほどな。転校は避けられなくても助けさえ呼べばってことか」
悪「あぁ。翔子は『霧島財閥』の令嬢でな、そもそも公立の小学校に通うような人間じゃねぇんだが、翔子は上級生から乱暴されても『転校なんてしたくない』って言ったんだ。俺はその言葉で勝算が全くないにもかかわらず上級生の前に飛びだしていた」
どこか遠い目をしながら話す(悪)の言葉を僕は黙って聞いていた
悪「飛び出したところまでは良かったが、さっきも言ったが俺は喧嘩どころかろくに筋力もなくってな。体中が震えて助けるべき翔子にまで心配される始末で、なんとか翔子を逃がすことはできたが、俺は教師が駆けつけてくるまでボロボロにやられて一気に問題児扱いだ」
「それでキミは喧嘩に明け暮れたってこと?」
悪「あぁ、あの時俺にもっと力があれば翔子を助けられたのに」
そのことを悔やんでいるようだが、気付いてないのかな?
「キミはちゃんと助けられたじゃん、力をつけたいなら喧嘩じゃなくてもいい場所があるよ」
悪「は?お前何を言っているんだ?俺が翔子を助けた?」
『何言ってるんだコイツ』って顔しているな
「その子は転校しなかったんだろ?なら助けられているじゃんか。もしその子、霧島さんだっけ?その子が自分を助けてくれた人が自分のせいで不良になったと知ったらどう思うだろうね」
悪「なっ、ベ、別に翔子のせいじゃないだろう!!俺が弱かったのが原因で…」
「今の話を知ったら、霧島さんは自分のせいでキミが不良になったと思うよ。キミが霧島さんにどんな感情を抱いているのかは知らないけど」
悪「っ、だが、もう俺は札付きの悪だ。いまさらどうすればいいんだよ」
「自分を変えたいならここに来なよ」
僕は(悪)に『無銘道場』の住所を書いた紙を渡す
悪「これは?」
「僕の通っている道場の住所だよ。興味があるんなら話は通しておくよ」
悪「わかった、一度行ってやるよ」
そう言って(悪)は服に着いたほこりを払いながら去っていった
ガラッ
翌日、土曜日なので僕が朝から道場で軽く自主トレをしていると道場の扉が乱暴に開けられた
悪「来てやったぞ」
(悪)が入ってきた
龍司「え~と、キミが『悪鬼羅刹』君?」
悪「そうだが、アンタは?」
龍司「俺はここの師範の鬼薙 龍司だ。よろしくな、悪鬼羅刹君?名前は」
悪「坂本雄二だ」
「へ~坂本君って言うんだ」
龍司「明久、なんで初めて名前を知ったって顔なんだ?」
龍司さんが笑顔で僕に聞いてきた。これは危険だ
「い、いや、言葉じゃなくて拳で語り合ったからで…」
龍司「明久、あとで『時間無制限の耐久組み手』決定ね」
終わった。アレは拷問ってレベルじゃないのに
龍司「明久、名前ぐらい言ってからにしろよな」
「はい。坂本君、僕は吉井 明久です」
僕は龍司さんの言うままに名前を告げる
龍司「それで、坂本君、話によると強くなりたいそうだが。具体的にはどうしたいんだ?」
雄「誰かを守れるだけの力が欲しい」
坂本君はしっかりと意思のこもった瞳で龍司さんに告げる。迷いはないみたいだな
龍司「良い目をしているな。とりあえず基礎的な事から始めるか」
それから今日は夕方まで坂本君の稽古につきあった
雄二Side
今日は朝から夕方まで鬼薙さんの指導の下、筋肉の使い方や基礎的な筋トレなどをした
「今日はありがとうございました!!」
俺は鬼薙さんに礼を言う
龍司「気にすんなよ」
吉「坂本君、お疲れ様」
そう言って吉井は俺にスポドリを投げてきた
「おっと、サンキュ吉井。俺につきあってもらっちまって」
吉「気にしないでよ、僕はお節介が好きなんだから」
確かにいらない世話焼いてるな、コイツは
「そうか、じゃまた来た時には頼むわ」
俺は軽く別れを告げると自分の家へと向かった
?「…雄二?」
「ん?翔子か。こんな時間にどうしたんだ?」
家へ帰る途中、突然声をかけられたので振り向くと幼なじみの翔子が立っていた
翔「…散歩をしていた。雄二は?」
「俺は…小5のころの問題の答え探しかな」
あの時に出せなかった、正しい解決法がやっと見えて気がした
翔「…そう…雄二、私はあの事は気にしてない。雄二のお陰で転校せずに済んだ」
吉井の言った通りだな。俺はあれ以来翔子を避けていたから翔子とこうやって話すのも久しぶりだな
翔「…私は雄二のことが好き。この気持ちは勘違いなんかじゃない」
「俺は過去の自分から逃げるためにお前に『お前の気持ちは勘違いだ』って言ったが、今ならお前の気持ちはよくわかる。だから翔子、お前の事を守る自信がつくまで待ってくれ」
翔「…守ってくれなくていい!!そばにいて欲しい」
翔子は声を荒げてきた。コイツは…
「ケジメをつけるためだ。これだけは譲れない」
翔「…わかった」
翔子は渋々と言った感じで承諾する
Side out
あれから雄二はよく道場に来るようになり、1月ほどが過ぎた。いつの間にか僕と雄二は名前で呼び合うような仲になった
「あれ?雄二なんか元気ないね、何かあった?」
ちょっと元気がないような雄二、どうしたんだろう?
雄「実は翔子の親父さんからこんな手紙が届いてな」
雄二は僕に封筒に入った手紙を渡してきた。要約すると『不良のお前なんかに娘を任せられん』といった内容だ
「で?雄二はどうしたいの?」
雄「俺は翔子と付き合いたいが、親には認めてもらいたいんだ。そうじゃなきゃ意味がねぇ」
親が承諾しなくても交際や成人後の結婚はできるが、雄二はそれでは意味がないという
「それで、雄二はそのために何をするの?」
雄「それが全く思いつかなくてな、明久、俺はどうすればいいと思う?」
「やっぱり何か具体的な成果を出さないとね。確か、来月に全国模試があったからそこでいい成績をとることかな」
雄「やっぱ、そのぐらいだよな、結果を残さないと信用はとれないからな」
雄二は『悪鬼羅刹』と呼ばれるほど名を落としたからな、名誉を取り戻すのは大変だ
「後はまじめになるしかないね」
雄「そうだな、簡単にはいかないが、認めてもらえるように勉強もまた頑張るか」
それから雄二はまじめに勉強するようになり、半年ほど掛かって、やっと霧島さんのお父さんに交際を認めてもらえたようだ。これが僕と悪鬼羅刹こと雄二との出会いだ
最後の方がうまく纏まっていませんが、自分の表現力ではこれが限度です、すみません。
ちゃんと雄二の努力を描きたかったのですが、なかなか上手く表現できずにこんな終わり方になってしまいました。
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過去編は他には日向編を作る予定ですが、他に何か希望とかありましたら感想の方にお書き下さい