僕と幼馴染と友情物語(過去編・番外編) 作:sata-165
「ふぅ~最近は不良もだいぶ減ってきたな」
僕は長月中学の学区の見回りをしながら呟く。雄二と出会ってから約1ヶ月。最近ではあまり不良を見なくなってきた。と言っても問題は不良ばっかじゃないけどね
『・・・・・・・てく・・い!』
『うる・・・! おと・・・し・・・!』
そんなことを考えながら歩いていると少し離れた所から言い争う声が聞こえてきた。一つは女性の声だ。これは急いだ方が良いな
走法<縮地>
連続での縮地は膝に負担が掛かるが構っていられないので一気に声の聞こえた方に駆け出す。間に合ってくれよっ
「は、離してください!」
『うるせぇ! 俺らはテメェの親父に話があるんだよ!』
『そうだっ! アニキをしょっ引きやがって』
「父は警察官なんですから当然じゃないですかっ」
『うるせぇっつってんだろ!』
「きゃっ」
俺が着くと路地裏で5人の男が女子を囲んでいて、男の一人が女子の腕を掴んでいてもう一方の腕を振り上げて殴ろうとしていた
パシッ
俺はその男の拳を受け止めて
「おい、嫌がってんだろ? 離してやれよ」
ミシミシッ
女子を掴んでいる方の手首を掴む
『ぎゃぁぁぁああ』
男は情けない声を上げながら手首を抑えて蹲る
『お、おい大丈夫か? 番井』
『て、テメェ何者だ?』
「大丈夫か? 怪我とかは無いか?」
俺は喚いている野郎共を無視して屈みこんで、尻餅を付いている女子に声をかける。見たところ衣類に乱れはあるようだが怪我とかは無いように見える
「は、はい。怪我は無いです」
「そうか。立てるか?」
「あ、あの、腰が抜けてしまって」
「なら、少し待っててくれ」
『テメェ俺らを無視してんじゃねぇぞっ』
俺の様子に痺れを切らしたのか一人が後ろから殴りかかってくる
パシッ パンッ ゴスッ
避けるのは簡単だがそうすると後ろにいる女子に当たる危険があるので、拳を受け止めてから立ち上がりながら腕を弾いて、鳩尾に膝蹴りを入れて意識を刈り取る
『ごふぁっ』
そいつは泡を吹いて倒れる
『てめぇっ末岡をよくもっ』
仲間を倒されて頭に来たのか考えも無しに突っ込んできたので
ガシッ ドンッ
頭を掴んで壁に叩きつける
『ぐはぁっ』
コイツも気絶した。後は2人か
『いい加減にしろよっクソガキがっ!』
『なめた真似してんじゃねぇぞっ』
残りの二人が殴りかかってきたので俺は軽く屈んで避けてからステップで二人の間に入り
ヒュッ ゴスッ
『ぐぺらっ!』
正面の奴の鳩尾にコークスクリューブローを食らわせ、振り向きざまに
ゴスッ ガンッ
後ろの奴に肘鉄を入れてから顎に膝蹴りを食らわせる
『ブルァァァァッ』
ものすごい悲鳴?を上げながら吹っ飛ぶ。辺りを見ると白目をむいている(一部泡を吹いている)男が4人と手首を抑えてうずくまっている男が一人。なんとかなったみたいだね
「え~と……大丈夫だった?」
僕はいまだに腰を抜かしている様子の女の子に声をかける
「え、あ、……はい」
女の子はかなり警戒した様子で答える。しょうがないかさっきまで怖い思いをして、僕が暴力を振るっている姿を見たのなら
「あ~いきなり『安心して』ってのは無理かもしれないけど僕は君に危害を加えるつもりはないよ」
僕は彼女の前に片膝をつきながら声をかける
「歩いていたら言い争う声が聞こえたからここに来たんだよ。あ、ちょっとゴメンね」
僕はポケットから携帯電話を取り出して110番通報をする
「もしもし、警察ですか? 暴行事件です。場所は文月市長月地区の――――にある路地で――――」
僕は自分の居場所を相手に説明する
「――はい。お願いします」
『テメェ邪魔しやがって!!』
僕が電話を切ろうとすると後ろから声がかかる。首を回してその方向を見ると、ナイフを持ってマジかに迫っている男がいた
ザクッ
「痛っ」
ギリギリで避けることはできたが、そうすると目の前にいる女の子に当たるので避けずにナイフに刺され、背中にはかなりの痛みが走る
『テ、テメェが邪魔したのが悪ぃんだからな!』
「くっ」
ナイフで切りかかってくるが出血が多いせいか視界が眩み立ち上がることができない
「ダッシャーーーッ!」
俺は力を振り絞って立ち上がる力を乗せて男の顎にアッパーを食らわせる
『ブルァ』
俺のアッパーを食らって回転しながら吹き飛んだ。だが、さっきの一撃でこっちも力を使い果たしたようで俺は倒れこんでしまう
「だ、だいじょ・・・・か?!」
俺は助けた女子が駆け寄ってくるのを視界に捉えながら意識を手放した。……なんとか助けることはできたみたいだな
次に僕が見たのは一面が白い清潔感のある光景だった。
何処にいるのか確かめるべく首をめぐらせると
僕の鼻につながっている酸素チューブ
腕に繋がれている点滴
体から伸びるいくつかのケーブルとその先にある計器類
――なるほど。ここは病院か……生きててよかった~
ガラッ
「あ、目が覚めたんですね。よかったです」
僕がそんなことを考えていると病室の扉が開いて女の子が入ってきて、僕の姿を確認して安堵した
「えっと…………」
「あ、私は久遠日向です。先程は助けていただきありがとうございました」
そういって彼女、久遠さんはお辞儀をしてきた。久遠……聞き覚えのある名字だけど……ダメだ、血が足りなくて頭がよく回らない。そういえば彼女を助けて倒れたんだったな
「僕は吉井明久です。君が救急車を呼んでくれたの?」
「い、いえ、吉井さんの携帯電話が通話中で警察の方が手配してくださったそうです」
そういえば電話を切る前に刺されたんだったな
「あ、あの、私のせいで怪我をさせてしまいすみませんでした」
僕が気を失う前のことを思い出していると、突然彼女が頭を下げてきた
「いや、あれは僕が勝手に首を突っ込んだのが悪いんだし久遠さんのせいなんかじゃないって」
それに相手を完全に無力化出来てなかったのに油断したのも悪かったな。……なんであんなに焦ってしまったんだろう
「そ、それでも―――」
コンコン コンコン
久遠さんが何か言いかけた時に病室の扉がノックされる
「どうぞ」
僕が久遠さんの方に視線を向けると彼女は頷いたのでドアの向こうの相手に答える
「失礼するよ」
そう言って入ってきたのはスーツを着た40歳くらいの男性だった
「あぁ、やっぱり明久君だったか」
「どうしたんですか?久遠さん」
入ってきた男性、文月署 少年課の課長 久遠 義史(くおん よしふみ)さんは僕の顔を見ると何かに納得したようだ。……あれ?久遠……さん?
「お、お父さん?!」
久遠さん(娘)は久遠さん(父)の姿を見て驚いていた。どうやら親子のようだな
「お、日向は無事だったようだな。ちょっと明久君と話があるから外で待っててくれ」
「わかりました。では、失礼します、吉井さん」
久遠さん(娘)は久遠さん(父)の言葉に頷いて、僕に一礼してから部屋を出ていった
「それで、話って言うのは僕が通報した暴行の件ですか?」
久遠さん(娘)が部屋から出たのを確認してから僕は問いかけた
「まぁ、それもあるんだが……」
久遠さんはそこで一旦区切ってから真剣な表情でこちらを向いて
「娘を助けてくれてありがとう」
頭を下げてきた
「あ、頭を上げてくださいよ。僕は当然のことをしただけですから」
「そうだったな。君はそういう人間だったな」
僕が慌てていると久遠さんは苦笑しながらも顔を上げた
「今回の件に関して明久君はお咎めなしだ。多少やり過ぎたところもあるが、相手が傷害行為をしているから差し引きゼロってところだな」
「ところで、彼らの目的は何だったんですか?」
僕は彼らがどうして誘拐?や傷害行為までしたのか気になったので聞いてみた
「私が昼ごろに無免許運転で捕まえた少年を釈放させようとしたらしいが、まさか家族に被害が及ぶとはな……」
久遠さんは悔しそうに歯噛みする
「明久君 すまないが日向のことを頼まれてくれないか?」
「『頼む』っていうのは具体的には何をすればいいんですか?」
「大したことじゃないんだが、日向と一緒に帰って欲しいんだ。娘は人見知りの気があって、一人でいることが多いんだ。今回のこともあるし一人で帰るのは、親として心配なんだ」
「心配なのはわかりますけど、大丈夫なんですか?人見知りするようなら初対面の僕と居るのはつらいんじゃないですか?」
最初に僕が話しかけた時も緊張してたようだし
「まぁその辺は私から説明しておくよ。『明久君ほど信頼できる男はいない』ってね」
「僕はそんな大した人間じゃないですよ」
「ははっ、じゃあ日向のことを頼むよ」
なんだか嫁に出すかのような言い方だけど
「わかりましたよ、久遠さん。退院したら、ですけど」
「あぁ、頼むよ。それと私のことは義史で構わないよ。娘もいるしややこしいだろう」
「なら、義史さん。娘さんは任せてください」
「君がそう言ってくれるなら安心できるな。じゃあ日向を呼んでくるか」
そう言うと義史さんは病室を出ていった。少ししてから二人は戻ってきて別れの挨拶をしてから帰って行った
退院するまでは色々な事があったよ。姉さんが抱きついてきたり、明梨が涙目で『人助けはいいけど自分の体のことも考えて』って言ってきたり、色々な意味で忘れられないけど思い出したくない思い出ばかりできた
退院してからは日向さん(本人に名前で呼ぶように言われた)と、同性の相手がいた方がいいと思って明梨と3人で帰るようになった。最初のうちは日向さんも距離を置いているような感じだったけど、いつの間にか名前で呼び合うようになっていた。それと、人見知りも少しずつ改善されていった。
これが、僕と日向との出会いだ。
要約
日向は明久に助けられて惚れた。
これだけ伝えられていれば十分です。
どんどんヘタになって行っている気がするorz