僕と幼馴染と友情物語(過去編・番外編) 作:sata-165
今回は明久達が高一です。
バカテスト(一般常識)
Q.七夕に関して自由に記述しなさい。
・霧島 翔子の解答
五節句の一つ。中国、台湾、日本、韓国、ベトナムなどにおける節供、節日の一つ。日本では明治改歴以降7月7日とする場所と8月7日とする場所がある。織姫と彦星が唯一逢引できる日。短冊を笹に飾る風習は江戸時代から始まったもので日本以外では見られない。起源は中国から伝来した――
教師のコメント
詳しい説明ありがとうございます。さすが霧島さん博識ですね。
・坂本 雄二の解答
東アジアや東南アジアに見られる節句の一つ。日本では笹に短冊を飾りその短冊に願いを書く。日本の五節句の一つ。
教師のコメント
坂本君も正解です。一般的な回答としてはこの程度で十分です。
・須川 亮の解答
一年に一回でも会えるなんて羨ましいんじゃボケ。
教師のコメント
君のような回答が他にないことを祈ります。
・その他FFF団員の解答
空の上だろうとリア充は処刑じゃーー
教師のコメント
君たちの人間性を疑います。
「明君 水曜日の放課後って暇かな?」
「水曜日? 特に予定は無いけどどうしたの?」
授業が終わり帰りの準備をしていると隣のクラスの明梨が教室に入ってきて、水曜日の予定を聞いてきた。水曜日って何かあったかな? 誰かの誕生日……ではないな。
「文月神社で七夕祭りがあるらしいんだけど、みんなで行こうかと思っているんだよ。」
「七夕って、そんな季節だったね。」
高校生活が始まって忙しかったからすっかり忘れていた。
「それで、みんなって参加者は誰なの?」
「え~っと、わたしとヒナちゃん、坂本君、翔子ちゃん、優子と秀吉君。あと明君を入れて7人の予定だよ。」
「うん。そのメンバーなら楽しくなりそうだね。それで、集合場所と時間は?」
「文月神社の鳥居の前に6時集合で大丈夫?」
「その時間帯に女の子が一人ってのは危ないから、明梨と日向は僕が迎えに行くよ。霧島さんには雄二が、優子さんには秀吉が付いているしね。」
「あ、ありがとう。」
「気にしないでよ。なにかあったら大変だから、僕がやりたいだけだしね。」
「うん。じゃあ、水曜日はよろしく。」
「うん。日向にも迎えに行くこと伝えといてね。」
「わかったよ明君。」
◇
ピンポーン
あっという間に時間が過ぎて水曜日の放課後。今は5時20分、場所は明梨の家のドアの前。祭りだから込み合う可能性もあったので早めに出ることにした。
「は~い。明君 おまたせ。」
「………………」
出てきた明梨を見て僕は言葉を失ってしまった。明梨は白地にオレンジの菊が描かれた浴衣を着ていた。明梨の雰囲気に似合っていて僕はその姿に見惚れてしまった。
「どうしたの? 明君。」
「だ、大丈夫だよ。浴衣が似合い過ぎていて見惚れちゃっただけだから。僕も浴衣か何か着てくればよかったね。」
あれ? 言わなくてもいいことまで言ってしまったような気がする。いや、大丈夫だ。女性の服装を褒めるのは当然の行為だったはず……
「ふぇっ? あ、ありがとう。」
明梨が赤くなってしまった。恥ずかしいのかな? 面と向かって褒められたら仕方ないか。
「じゃ、じゃあ行こうか。みんなを待たせるのも悪いし。」
「う、うん。そうだね。」
◇
ピンポーン
明梨が雪駄を履いているので遅くなるかと思ったが、それを感じさせない足取りで明梨が歩いて行ったのでいつもぐらいの時間で日向の家に着いた。
「は~い。」
出てきた日向の服装は黒地に紫の朝顔が描かれた浴衣だった。落ち着いた雰囲気で日向にとても似合っていた。
「………………」
「ヒナちゃんの浴衣綺麗だね。よく似合っているよ。」
「ありがとうございます。明梨ちゃんもその浴衣よく似合っていますよ。」
明梨と日向が何か言っていたけど日向の浴衣姿に見惚れてしまい、僕は言葉を失ってしまっていた。
「明久君 大丈夫ですか?」
「だ、大丈夫だよ。その浴衣、落ち着いた感じが日向によく似合っているよ。」
「あ、ありがとうございます。」
「じゃあ、みんなを待たせちゃいけないし、早く行こ。」
「ちょっ、ちょっと待ってよ。」
僕は明梨に手を引かれたので日向の手を掴んでついて行った。
☆
「さて、そろそろ翔子のとこに行くか。」
「……雄二。もう来ている。」
……もう突っ込まないぞ。俺が外出の準備をして家を出ようとした時に後ろから声をかけられた。一体どんな技術があれば玄関を向いてる人間の背後に立てるんだ?
「そうか。もう来てた――」
俺は振り返って言葉を失った。翔子が着ていたのは黒地に天の川らしきものが描かれた浴衣なのだが、翔子の白い肌と黒地の浴衣がお互いを引きたてていた。
「……雄二?」
「αΣΑΡδγρぬБな(ああ、何でもない。)」
「……日本語が不自由になっている。」
「いや、大丈夫だ。あ~、なんつうか……その浴衣に合っているぞ(ボソッ)」
つい気恥しくなりハッキリと言葉にできなかった。付き合い始めてから1年以上たつがいまだにこの手の言葉は言い慣れない。
「……ありがとう。」
「さっさと行くぞ。明久達を待たせるわけにはいかねえからな。」
礼を言われて恥ずかしくなり翔子に背を向けてしまった。
「……あ、雄二。」
「ほれ。」
「……うん。」
俺が手を差し出すと翔子はその手を握り返してきた。
☆
「姉上よ。わざわざ浴衣を着んでもよいと思うのじゃが。」
儂は姉上の浴衣の着付けを手伝っておる。何も見せる相手がいるわけでもあるまいし。
「うるさいわね。アンタは黙って手伝いなさい。」
しかし、姉上がこのような催しに参加するなど……明久のお陰じゃな。
「わ、わかったからおとなしくして欲しいのじゃ。着つけができん。」
「アンタが余計な事を言うからよ。それよりなんで女のアタシより男のアンタの方が着つけが上手いのよ。」
「演劇で着たことがあったからの。」
「アンタまた女の役をやったの?」
「あまり詮索しないでほしいのじゃ。」
「まあ、いいわ。それより早くしてよ。遅れたら格好悪いわ。」
やはり、こういう場面でも世間体を気にするのじゃな……
☆
「雄二、霧島さん、随分早いね。霧島さんの浴衣よく似合ってるよ。」
僕達が神社の鳥居に着くと雄二と霧島さんが居た。雄二は普段着で霧島さんは黒地に銀や金で曲線が描かれた浴衣を着ていた。天の川か何かかな?
「翔子がいつの間にか家にいたからな。予定より早く家を出たんだ。」
いつの間にかって……霧島さんの愛はすごいな。
「……ありがとう。吉井。明梨と日向の浴衣もよく似合っている。」
「ありがとう、翔子ちゃん。翔子ちゃんの浴衣も綺麗で似合っているよ。」
「よく似合っていますよ、翔子さん。天の川なんて今日にピッタリですね。」
女子は浴衣を褒めあっている。なんだか心が温まるな。
「む? やはり最後じゃったか。」
「アンタが手間取ってるからでしょ。」
僕らが軽く雑談していると秀吉と優子さんが来た。
「あ! 優子さん、秀吉。優子さんの浴衣よく似合っているよ。」
優子さんは薄緑に風鈴が描かれた浴衣を着ていた。秀吉は甚平に下駄まで履いている。よく似合っているなあ。
「ありがとうね。明久君。」
優子さんが来るとまた女子で浴衣の褒めあいが始まった。
「ここにいても仕方ねえし、テキトーに回って、短冊に願いでも書くか。」
雄二の意見にみんなが賛成すると、境内にある屋台で輪投げをしたり、焼きそばなどを食べたりして回った。
「お、ここで短冊に願いが書けるんだな。」
境内の奥の方にテーブルと笹、短冊やペンなどが置いてあった。見るとちょうど人が居なかったので僕らはバラバラになって後で短冊を見せ合うことにした。みんなに見せる願い事か……
◇
「じゃあ、せーので見せようか。」
僕の言葉にみんなが頷く。
「せーのっ」
幸せになれますように ―坂本雄二
雄二と幸せになれますように ―霧島翔子
演劇の腕前が上がりますように ―木下秀吉
いいことがありますように ―木下優子
平和に暮らせますように ―吉井明久
すてきな一年でありますように ―藤崎明梨
みんなが元気で暮らせますように ―久遠日向
「雄二は“誰と”って書かなくていいの?」
「そんなこっ恥ずかしいこと書けるかっ!」
「……雄二。酷い。」
「いや、もちろんお前に決まってるって。」
「姉上は随分と漠然としておるの。」
「仕方ないでしょ。急に思い浮かばなかったんだから。」
僕らは短冊を笹に飾った後、帰り道でも短冊に書いた願いのことで話題は尽きなかった。
☆
ビューーーン
明久達が立ち去ってしばらくすると強い風が吹いて一部の短冊が裏返る。
良い出会いがありますように ―木下優子
明梨と日向が幸せに暮らせますように ―吉井明久
明君と幸せになれますように ―藤崎明梨
明久君と幸せになれますように ―久遠日向
ビューーーン
再び強い風が吹いて裏返った短冊は元に戻る。誰の目にも触れなかったおかげか、はたまた必然か、この願い事は一年と経たずにかなえられることになった。
急いで書いたので文が雑かもしれません。
誤字報告・コメント・感想などお待ちしております。