そして、わかる人にはわかる援軍設定。
2日後 横須賀 TJS社基地軍港区間内 早潮艦橋
灰田氏が来訪(?)した翌日、潮・由良を送り出した後、設備区間の取り決め、艦娘整備班の人員確保などを行った。
そして、灰田が示した日の朝、横須賀では珍しい濃い霧が覆っていた。
「予報とは大外れな濃い霧だな」
「えぇ、気象班は大丈夫ですかね?」
「大丈夫だ。予想が外れたぐらいで騒ぐ面々でもないだろう」
濃い霧を見ながら艦橋で谷津艦長と後藤は話していた。
「それで、例の元帥の友人…灰田氏だったか? 本当に艦娘を送ってくれるのかね?」
「実は昨日の朝イチに元帥へ確認の電話をしたところ、「もう動いてくれていたんだな」と言ってましたので、来るのは間違いないでしょう」
「そうか…それで、来たらどうするんだね?」
「後部ヘリ甲板へ誘導して、そこで挨拶してもらう予定です」
「だから、ケイシー司令はヘリ格納庫で待機しているのかね?」
「はい。直ぐに見たいから、だそうです」
そう答えた直後、何処からかバチバチバチ、と何かがショートした時の音が聞こえてきた。
そして、先程まで掛かっていた濃い霧がスッと晴れていった。
「副司令、後部甲板見張りより報告。「ヘリ甲板に複数の艦娘がいる」との事です」
「どうやら、相手は手間を掛けない様に配慮してくれた様だね」
「そ、そうですね…では、行きましょう」
暫くして……早潮 後部ヘリ甲板
艦橋から走って後部ヘリ甲板まで後藤と谷津艦長。
2人の姿を見たケイシーは待ってました、とばかりに手を叩いた。
「待たせてしまったごめんなさい。ようやく、副司令が到着したの。早速、申告を受けるわ」
ケイシーの言葉に代表者と思われる艦娘が列中から出て来た。
「申告します。日本帝国海軍第七艦隊所属、重巡洋艦畝傍以下、後方支援艦娘1名を含む8名は異世界日本の支援を命ぜられ、TJS社へ出向してまいりました。敬礼!」
畝傍の指示に8名の艦娘が敬礼し、その見事な敬礼に集まっていた面々も思わず答礼した。
「TJS社社長兼総司令のケイシーよ。本日からよろしく。あそこに立ってるのが、遅れて来た副司令よ。さて、他の8名の紹介も頼めるかしら?」
「わかりました。みんな、順番で簡単に自己紹介していって」
「では、私から…第零艦隊傘下の護衛艦隊所属の白菊型護衛駆逐艦、フリゲート4番艦紅菊です、得物はこのオートマチック化した38式歩兵銃です」
「同じく第零艦隊第二機動部隊所属の防空駆逐艦鶴月です」
「第七艦隊所属、高波型駆逐艦4番艦神波です。雪風に並ぶ幸運艦と言われています」
「第零艦隊第二機動部隊所属、軽巡洋艦銀河です」
「同じく第零艦隊第二機動部隊所属、イージス航空巡洋艦天河です」
「同じく第二機動部隊所属、原子力攻撃潜水艦の伊500です」
「第零艦隊傘下、護衛艦隊指揮下の高速哨戒艇隊所属の呂800潜水艦です」
「第七艦隊直属、明石型工作艦2番艦三原です。派遣隊後方支援要員として派遣されました」
「以上8名、簡単ながら自己紹介を終わります」
こうして、第一陣は揃った。
その日の夜 副司令執務室
「……………」
ケイシー主催の歓迎会が行われている中、後藤は副司令執務室で派遣隊のスペック表と詳細リストを読んでいた。
既に何度も読んだリストを机にポイッと投げると、椅子を回して腕を組む。
「どうかされましたか?」
何の前触れもなく、灰田が現れた。
「いえ、何と言いますか……正直に言いますと、彼女達のスペックも経歴も凄いな〜、と思いまして…なぜ、第七艦隊と第零艦隊の2つの艦隊から派遣されたのかも、凄くよくわかる気がします」
「そして、『歴史が違うとここまで違うのか』、『彼女達を敵にするのは絶対に避けなければならない』、『彼女達の素体を率いる者達と会ってみたい』、そんな事も考えている、と?」
「……えぇ、やっぱり、世界が違うとは言え、同じ日本人が世界相手に堂々と渡り合えてる、と言うの惹かれるものですからね」
「でしょうね。まあ、まだ第二陣がいる事をお忘れなく」
「そうでしたね。さてと、潮や由良達が帰ってきたら、畝暇達と訓練しないといけないから、そのスケジュールを組んだりしないと…」
そう呟いて引き出しからA4紙を取り出すと、色々と書き始める。
「では、邪魔になっては困りますので、私も引き上げます。そうそう、これは要らぬ気遣いだと思いますが…」
「なんですか?」
「近々始まる一斉捜査、向こうもバカばかりではないと思いますので、しっかりした準備をお願い申し上げます」
「ご忠告、ありがとうございます」
それを聞いて後藤は『コレは陸上部隊総出の大掛かりな事になるな』と確信した。
この間のテロリストの一件もあり、警察では何れ対処出来ないところが出てくるのは確実だった。
「では、お邪魔しました」
そう言って灰田は消えて行った。
そして、後藤は訓練予定を組むと同時に各地に展開するであろう陸上部隊の編成を組み始めた。
どちらにしろ、再び戦火が迫りつつある事に代わりはなかった。
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