艦娘、PMCと共に水平線にて戦えり   作:休日ぐーたら暇人

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余り出番がない陸自も大活躍です。
次は海戦に移行予定です。


16 鳥取の乱 地上戦 後編

岡山県津山市にある日本原駐屯地は田舎の駐屯地であり、中部方面中国地方を担当する第13旅団麾下の部隊が駐屯する駐屯地だった。

そして、岡山県は鳥取県の真下であり、津山市はその鳥取との県境にある街だった。

普段なら、この田舎駐屯地が注目される事は無かった……しかし、今回、TJS社の人間達には話は別だった。

鳥取県での連邦の作戦がわかって以後、これを防ぐ作戦が立てられたが、前話で記述した通り、敵は30輌以上の戦車、ほぼ同数の装甲車輌や軍用車輌を投入してくる事は明らかだった。

しかし、TJS社は20輌しか戦車は無い。しかも、大半は鳥取市内を占拠するゲリラ部隊に対処する予定だった。

また、戦車は点検・整備・修理にはそれなりの施設を必要とする。

歩兵は米子駐屯地の第8普通科連隊の協力を得られる。しかし、市外に潜伏しているであろう戦車を止めるには歩兵では役不足であり、余り引き抜けないと言う事情があった。

ここにTJS社は日本原駐屯地とその駐屯部隊に目を付けた。

日本原駐屯地には普通科部隊こそいないが、第13旅団の骨幹を成す重火力部隊が駐屯していたからだ。

駐屯部隊主力の第13特科隊、野戦防空の第13高射特科中隊、機甲戦力の第13戦車中隊、更に本来なら四国の14師団に所属しながらも演習場の関係で駐屯する第14戦車中隊、これに各隊装備品を整備する整備部隊が駐屯する。

しかも、津山市と言う鳥取県の県境にあり、戦力を回せる絶妙な位置にあった。更に日本原演習場と言う、部隊行動を秘匿出来る演習場がほぼ目の前にあるのは敵のスパイを出し抜くのにも有利だった。

駐屯地の位置、駐屯部隊、整備施設……この三点を兼ね備える日本原駐屯地と駐屯部隊はまさに天啓だった。

出撃部隊の準備が整うとケイシーは躊躇わず元帥を通じ、陸自に協力を依頼、TJS社陸上部隊が中部方面本部である伊丹駐屯地に到着した時には日本原駐屯地や第13旅団に話は通っていた。

そして、日本原駐屯地に到着すると駐屯地司令兼第13特科隊長は第14戦車中隊を含めた駐屯地全部隊の協力を約束、更に第13旅団司令部のある広島の海田駐屯地に駐屯する第46普通科連隊、島根の出雲駐屯地の第13偵察隊も後詰めとして参加する事を話してくれた。

そして、戦車等の車輌整備・点検を受けると『演習』と称して日本原演習場に入り、あちこちにある出入り口から演習場を出ると全部隊一目散に鳥取市へと急行した。

そして、第13特科隊と第8普通連隊の一部は鳥取砂丘にて上陸する別動工作員部隊の水際迎撃、第13・14戦車中隊と第8普通科連隊の大半がら市外にて接近する敵別動部隊の迎撃、市内と主力部隊をTJS社部隊と第8普通科連隊の一部、TJS社対空部隊と第13高射特科は防空を担当する事に決定した。

 

 

 

鳥取市内

 

 

「対空レーダーに反応多数…IFFに反応無し!」

 

 

「やはり、敵も航空機を投入してきましたか」

 

そう呟きながら高射部隊長の日高は眼鏡を直しながら呟いた。

無論、これは予想の範疇である。

なにせ、個人所有のヘリに余裕さえあれば簡単な武装ポットを装着出来るし、小型飛行機でも無差別でも爆発物を落とすぐらいは出来る。

しかも、既に鳥取周辺は飛行禁止地域に指定され、IFFが装着されている軍用機以外の飛行は禁止されている。

つまり、この航空機群は『敵』でしかないのだ。

 

 

「第13高射特科中隊にも警報発令。対空戦闘始め!!」

 

その指示に待機していたTJS社対空部隊が動き始めた。

主力と言っていい対空ミサイルは車載ランチャーの9K31ストレラ-1、装軌車輌の2K12クープ、各種携帯対空ミサイル、対空火器はシルカ対空戦車にL90 35㎜連装機関砲をトラックの荷台に搭載したガントラックが仰角を上げる。

また、第13高射特科中隊も装備する81式短距離対空誘導弾、93式近距離対空誘導弾が飛来位置に向け、ランチャーを向ける。

 

 

「各個に照準…撃て!!」

 

ストレラ、クープ、短・近SAMが一斉に発射される。

対し、これに驚いたのは鳥取空港から飛来したゲリラ側だった。

ガゼルの様な武装ヘリもあれば人員輸送用のMI-8 ヒップ、個人所有の小型軽飛行機、中には中国の殲教5型(殲撃5型の複座練習機型)が機銃ポットとロケット弾ポットを搭載して飛来していたが、接近するミサイルに驚愕した。

一部のヘリや殲教5型を除いて大半がミサイルが着弾し、爆散するか、スパイラル旋回に陥って墜落していく。

それを逃れた物も携帯SAMやシルカ、ガントラックが待ち構えていた。

特にヘリにとってはシルカは恐怖の対象である。シルカと23㎜四連装機関砲は第四次中東戦争でスエズ運河へ飛来し、ミサイルから逃れたイスラエル側航空機を撃墜した成績がある。

その猛烈な弾幕にL90と携帯SAMが加わり、捕捉されたゲリラ側の航空機はあっと言う間に鳥取市周辺から消えていた。

 

 

「とりあえず、航空優勢権は確保したが……さて、どうなるかな?」

 

とりあえず持ってきていた『ロシア版ペイトリオット』S300を横目に見ながら日高は空に向かって呟いた。

 

 

 

同時刻 鳥取港

 

 

「撃て!!」

 

砲兵隊指揮官のリシャールの指示に待機していたアーチャー・カエサル装輪自走砲が火を噴いた。

砲弾はゲリラ側が戦車や武器等を納めていた倉庫、並びに運搬船と思われる小型貨物船だ。

既に倉庫周辺は出雲駐屯地の第13偵察隊が展開しており、一帯を制圧する手筈になっている。

 

 

「やれやれ、砲兵隊も出番無しなんて、勘弁してほしかったが、漸く出番だな。撃て! 奴らの残っている武器を燃やしてしまえ!」

 

こうして、補給所たる倉庫に向かって砲撃する砲兵隊だった。

 

 

 

暫くして 連邦艦隊旗艦

 

 

 

「なに? 自衛隊の妨害で鳥取市を占拠出来ないだと?」

 

旗艦の艦橋で艦隊司令の馮把雷(ふうばらい)上佐は報告を受けて言った。

連邦艦隊は旗艦054A(江凱Ⅱ)型フリゲートの唐山を中心に056(江島)型コルベット3隻、022型ミサイル艇10隻、元北朝鮮海軍のオーサー型ミサイル艇10隻、多数の深海棲艦、更に北朝鮮の貨客船『万景峰(マンギョンボン)号』が兵員輸送船として参加しており、朝鮮半島を経由し、一路鳥取には向かって南下していた。

 

 

「作戦が漏れていたか、あるいは偶然か……まあ、いい。我々が鳥取に近付き、化け物共の艦砲射撃と空爆で何とか出来る。つゆ払いも出しているんだ、問題なかろう」

 

馮上佐はそう言うと一路、鳥取への南下を続けた。

 

 

 

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