艦娘、PMCと共に水平線にて戦えり   作:休日ぐーたら暇人

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海戦も三部作になってます。


17 鳥取沖海戦 上

暫くして 鳥取東方舞鶴方面航路海中

 

 

 

「艦長、前方海中より音波3つ。1つは通常動力音、残りは深海棲艦の潜水艦動力音です」

 

TJS社所属のスコルペヌ型潜水艦(AIP仕様のAM-2000タイプ)の『伊601』は鳥取東方海域掃討の命を受けて鳥取へと南下していた。

そして、ソナー員の報告に元スペイン海軍将校のグレゴリオ・ロブレス少佐(56 男性)は頷いた。

 

 

「艦長、ここは先手を取った我々が有利です。雷撃しましょう」

 

副長で教え子でもあったエルナン・ゲルラ大尉(26 男性が言った。

 

 

「待て待て。事を急いては仕留め損なう。ソナー手、敵の艦種は解るか?」

 

 

「潜水艦は035B(明-Ⅱ)型、深海棲艦はカ級通常型です。なお、こちらには気付いていない様です」

 

ソナー員からの報告にグレゴリオ艦長は顎に手を宛てた。

 

 

「ならば、ここは三方向から攻撃してみるか。海中のワルキューレ達に繋いでくれ」

 

 

「はい」

 

エルナンはそう返事を返すと素早く伊500と呂800に繋いだ。

 

 

「こちら、伊601のグレゴリオだ2人共、聞こえているかな?」

 

 

『こちら伊500ことリュビ、感度良好で〜す』

 

 

『ロハっちゃん、感度よ〜し』

 

派遣隊の潜水艦娘伊500ことリュビ、そして、呂800ことロハっちゃんが答えた。

 

 

「既に捉えていると思うが、敵のつゆ払いだ。これより、3手に分かれて雷撃・殲滅する。よいかね?」

 

 

『リュビ、了解』

 

 

『ロハっちゃん、了解です』

 

2人の返事が聞こえたと同時にリュビとロハっちゃんは分かれる。

 

 

「さて、我々も始めようかの。魚雷2本、1番2番装填。目標は敵潜水艦」

 

グレゴリオの指示に乗員全員が素早く静かに動く。

6本ある発射管の内、2本の発射管に魚雷が装填される。

 

 

『リュビ、配置並びに攻撃準備完了』

 

 

「ロハっちゃん、よーそろ』

 

伊500と呂800の返事を聞いたグレゴリオは静かに頷いた。

 

 

「全艦、シュート!」

 

エルナンの指示に伊601の533㎜魚雷2本、リュビとロハっちゃんの艤装から61㎝酸素魚雷が発射された。

明型もカ級2隻も突然の事に驚きながら逃げようとする。しかし、既に捕捉されていては逃げようにも逃げられない。

明型は船体に2本が直撃、カ級は必死に逃げたが異世界の日本の61㎝酸素魚雷からは逃げられず、爆砕された。

 

 

「……敵潜水艦、カ級、撃沈しました」

 

 

「よく見ておけ、エルナン。例えどれほど有利な位置取りをしても、一歩間違えればこうなる。特にサブマリンは上下左右、皮一枚剥がせば水の中だからな」

 

 

「……はい、教官」

 

 

「うむ、では、もう少し南下するかの。まだまだ、連邦の奴らがうろついてるかもしれんからな。それと、通信ブイを上げて、この事を旗艦に報告せねばな」

 

そう言うとグレゴリオはリュビとロハっちゃんを率いて静かに南下していった。

 

 

 

暫くして 早潮艦橋

 

 

 

「伊601より打電。鳥取東方海域にて連邦の明型潜水艦・カ級2隻に遭遇。これを撃沈したとの事です」

 

これを聞いたケイシーと後藤は頷いた。

 

 

「こちらも明型2隻、カ級4隻を撃沈している。馬鹿な連邦もそろそろ、此方の存在に気付いているでしょう」

 

 

「こっちは羅中佐達の情報から当たりをつけて飛ばした偵察のグローバルホークが既に艦隊を見付けてるんですけどね。呑気な敵だ」

 

報告を聞いた谷津艦長が言い、後藤は呆れた様に呟いた。

 

 

「それにしても、フリゲート1、コルベット3、新旧ミサイル艇20、輸送船1、深海棲艦がタ級1、ヲ級2、ヌ級2、リ級2、ト級2、ハ級10は不利よね。数的に」

 

 

「確かに数的に不利です。ですが、連邦艦隊と深海棲艦が上手く連携出来るかは怪しい話ですがね」

 

ケイシーの呟きにオブザーバーの羅が言った。

 

 

「後はこっちのやり方次第か……そろそろ、深海棲艦が出した偵察機か何かに引っ掛かってもいいような…」

 

 

「レーダーに反応! 深海棲艦側の偵察機です!」

 

 

「ほら、貴方がそんな事を言うから見つかったわ。対空ミサイル発射、見付かってあげたんだから、それ以上の義理立ては不要よ」

 

後藤の言いようにケイシーが言うと同時に対空ミサイルが発射され、偵察機を叩き落とした。

 

 

「全艦、警戒態勢から戦闘態勢に移行。対艦・対空戦闘用意」

 

キリッと表情を直したケイシーが指示を飛ばした。

 

 

 

 

その頃 連邦艦隊旗艦唐山 艦橋

 

 

 

「なに!? 敵艦隊だと!! しかも、佐世保方向からだと!?」

 

撃墜された深海棲艦偵察機から報告を受けた馮上佐は慌てて副官に聞き直した。

 

 

「はい。数は4隻。佐世保からの地方隊かもしれません」

 

 

「4隻? なるほど、4隻か。ならば、数的にも戦力的にも我々が圧倒する。よし、この艦隊を攻撃する。先ずは化け物共の航空攻撃だ」

 

 

「よろしいのですか? 鳥取市の支援の為、対地攻撃準備中ですが?」

 

 

「ヲ級の攻撃隊だけでよい。それで弱った敵を我が方のミサイル攻撃で沈めればいい。もっとも、それまで浮かんでいるか怪しいがな」

 

この時、馮上佐はもう少し敵艦隊を精査するべきだった。

しかし、佐世保からの地方隊と決め付けた彼はヲ級達の抗議も聞かず、無理矢理対艦兵装に転換させた。

攻撃隊は10分後に飛び立った……それが災厄を運ぶとも知らずに。

 

 

 

暫くして TJS社艦隊旗艦 早潮艦橋

 

 

 

「重巡畝傍より報告! 敵攻撃探知!」

 

 

「全艦対空戦闘用意!」

 

オペレーターの報告に後藤は瞬時に戦闘命令を指示した。

 

 

「イージス航巡の天河より、迎撃機発進許可の進言がきてますが?」

 

 

「艦隊司令が認可するわ。存分に暴れさせて」

 

艦隊左方に居るロシアの防寒帽ウシャーンカに旭日ワッペンを着け、最上型の様に航空甲板艤装を持って手を振ってアピールする天河を見ながらケイシーは指示を出した。

その指示を聞いた天河は航空甲板艤装を水平にする。するとエレベーターから上がってきた機体を見て、興味深そうに見ていた誰もが驚いた。

 

 

「あれは…アメリカのF35じゃあないか!?」

 

 

「うそ!? 漸く配備された新型機も向こうは艦娘の装備で持ってるの!?」

 

殺到したギャラリー(?)達が同じ事を口走る。

 

 

「いえいえ、あれは姿こそ似ていても、全く別物ですよ」

 

そんな騒然とする中、いつの間にか灰田が現れていた。

 

 

「あっ、えっと…それはどう言う事ですか?」

 

乱入してきた灰田に後藤が訊いた。

 

 

「あれは彼女達の居る世界の日本で開発された『73式多目的垂直離着陸戦闘機『強風』です。F35と形は似ていますが、ステルスを含めた性能面ではこちらが優秀です。F22にすら負けないステルス性能ですよ。なぜなら、開発指示者が『F22に負けないステルス性能にせよ!』と言ったぐらいですからね」

 

それを聞いた誰もが唖然としたまま、飛行甲板に並んでいく『強風』を眺める。

 

 

「あ、あの、灰田さん…なんでここに?」

 

皆の視線が天河に向く中、ケイシーご灰田に訊いた。

 

 

「彼女達の戦い振りを見に来ました。なにせ、艦娘となった彼女達の戦い振りがどう言う物か気になりましてね」

 

なんとも珍しい灰田の言葉にケイシーも後藤も彼の人間味を見た様な気がした。

そして、天河からは出撃準備を終えた『強風』20機が次々に垂直離陸で飛び上がり、敵編隊迎撃へと向かっていった。

 

 

 

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