今回は若干短めです。
数日後 新田原基地
「だから、ロッテを維持しなさい、って言ってるでしょう!」
「うるさい! お前は母親かよ!!」
TJS社のタイフーン戦闘機隊が派遣された航空自衛隊新田原基地の待機線の一角で男女のパイロットが痴話喧嘩をしている。
言われて居るのは男性パイロットのハンス・カーフェン少尉(25)、言っている女性パイロットはゾフィーア・ビルンバッハ少尉(25)。
2人は元ドイツ空軍パイロットであり、今はTJS社のタイフーン戦闘機隊の一員であり、ペアを組んでいる。
しかし、ハンスの操縦が激しく、ゾフィーアがロッテを維持出来ない…と言って痴話喧嘩が始まるのは何時もの事である。
それを2人の上官である2人のパイロットが呆れながらみている。
「何時もの事ですが……少しも変化がありませんな」
「まあ、『喧嘩する程。仲が良い』って言うからね」
元スペイン空軍男性パイロットのドロテオ・マルケス中尉(35)とこの小隊を率いる元イタリア空軍女性パイロットのサーラ・タルターニャ大尉(27)も何時もの事過ぎてその場に任せる事にする。
本来なら、これは無視出来ないのだが2人の技量は喧嘩しているだけあって高く、タイフーン戦闘機隊の若手の中でも1、2を争う程である。
なにせ、新田原基地で他機種との他流模擬空戦訓練をやっても、2人は引けを取らない。
よって、サーラ大尉は放置していた。
その頃 長崎県 佐世保海上自衛隊基地兼佐世保鎮守府
海上自衛隊佐世保基地内一室
「初めまして、TJS社のバラミールです。今回の防衛戦における艦娘を含めたTJS艦隊の指揮をとります。よろしく」
「第12護衛隊の真田海将補です。どうぞ、よろしく」
佐世保基地内では今度の『対馬防衛戦』の海上阻止戦力の一角として行動を共にする『第5艦隊』のTJS派遣艦隊と第12護衛隊の首脳陣の会合が行われいた。
出席者は第12護衛隊の隊司令陣と所属艦4隻の艦長・副長、TJS社はバラミール以下満月幹部、巻潮・夕潮の主要幹部、これに比叡と榛名が艦娘の代表として参加していた。
互いの紹介が終わるとバラミールから話を切り出した。
「今回、我々は陽動部隊の迎撃が主任務になります」
「情報では深海棲艦以外は旧北朝鮮・旧韓国のフリゲートで構成されているとか」
「えぇ、陽動部隊ですが上陸部隊もあり、輸送部隊が付属しているでしょう」
「ですが、陽動部隊故に旧型フリゲートの構成…数は多いですな」
「それは我々TJSにお任せください。数だけが戦闘の帰趨を決める物ではない、それを貴方方の先輩や艦娘達が見せているではありませんか。艦艇と人員の質、経験、システムは我が方が有利なのですから」
「……確かにそうですな」
……こんな形で会合は進んでいった。
これまた、その頃………佐世保市内
「もし、連邦のバカが来るとしたら、海だろう。しかも、小型潜水艦だろうな」
「元北朝鮮の特殊部隊がやる手だな。それで、もし、彼らが第一の任務である『情報収集の為の拉致』が失敗した場合は?」
「……ゲリラ戦しかない」
ユーリア、アレクサンドル、安達の3人は私服に着替えて佐世保の街を散策していた。
ただ、時々、行き交う人はアレクサンドル副隊長に視線を一度向ける…が、納得した様に視線を戻す。
佐世保と言う、在日米海軍艦艇も立ち寄る所である為かアレクサンドル副隊長を一目見ても「あぁ、外国の軍人さんか」と納得してしまう様だ。
「厄介ですな。第一の任務が失敗し、奴らが市街地に現れて暴れるとなると、パリ以上の惨劇が発生するかもしれません」
「なにせ、日本人を殺す事を快感と思っている奴らだ。女子供関係無く殺しまくる…胸糞悪い」
「……私達と真反対ね」
ユーリアの言葉にアレクサンドル副隊長が頷く。
元スペツナブルズのユーリアやアレクサンドルはロシア軍在籍時代は数多くの任務をこなしてきたが、女子供も標的とした無差別殺戮を行ったのは任務でも一度もない。
それだけ、彼女達は『真の精鋭』を自負しているからだ。
「やはり、一箇所に集めて包囲・殲滅した方がいいですな。向こうがそうしてくれるかはわかりませんがね」
「………向こう次第ね」
ユーリアはポツリと呟いた。
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