数時間後 横須賀 TJS社基地
「軍艦島は無事だったそうだよ」
受話器を元に戻しながら後藤が言った。
「間一髪だったわね。ありがとう、ミスター・灰田」
「いえ、こちらもモニターしていましたからね。それに友人達が行くと言ってくれたので、こちらも大いに助かりました」
ケイシーの礼に対し、灰田は珍しく笑いながら言った。
何故なら、これの事態に対処する強襲部隊は佐世保から動かす訳にも行かず、場所が場所だけに一般陸上部隊を派遣出来ず、TJSから出せるのは022型ミサイル艇のみだった。
そこに灰田が現れ、事情を知っているとばかりに『頼りになる友人達を派遣する』と言ってくれたのであった。
そして、後藤は今まで持っていた疑問を訊く為に口を開いた。
「ところで、彼ら…いえ、灰田さんの『友人』と言うのはどんな方々なんですか? 見た限り、それなりの場数は踏んでると見ましたが…」
「それは間違いありませんよ。但し……階級は少将、中将、大将ですがね」
「「………はい!!??」」
余りの事に2人は驚きの声を上げる。
それでも後藤は口を開いた。
「えっと…そこをもう少し詳しく」
「あの軍刀を持っていた2人の若者…山城正人少将と福本勇気中将と言いますが…彼は艦隊主席参謀兼艦長と艦隊司令です。そして、大将である福本伊吹大将…福本中将のお父様ですが…まあ、連合艦隊司令長官です」
「「……………」」
絶句する2人の心中は…『色んな意味でどんな人間が来てんですか!?』である。
「それと、派遣した彼女達の所属元は山城少将と福本中将の艦隊ですから」
「「……………………」」
それを聞いて更に沈黙する2人。
そして、後藤は気付いて訊いた。
「もしかして、あのチート対空基準やら、チート要求のVTOL戦闘機の開発命令を出した人間って…」
「はい、福本伊吹大将ですよ」
「「………………………………………」」
もう、何を言っていいのかわからない2人だった。
数日後 海自佐世保基地 TJS社用一室
「軍艦島破壊工作阻止、御苦労だった」
「いえ、わざわざ、上層部に上げて頂いてありがとうございます」
後始末を終えた西洲少尉は任務解除に伴いバラミール艦長の所に報告
に来ていた。
「そう言えば、別世界の日本帝国海軍上級将校と接触したそうだね」
「は、はい……まあ、ちょっと個性的な方でしたね」
「ほう? 個性的だったかね?」
「はい…その、1番階級の高い年上の方が…その、若いお二方が止めに入る程…個性的と言いますか…活発的と言いますか……そんなお方でした」
「ふむ、そうか。さて、本来なら休みを与えたいところが、何時、連邦が行動をおこすかわからない。君はこのまま、本来の任務に就いてくれ」
「わかりました。失礼します」
そう言うと西洲少尉は素直に退出した。
そして、バラミールは窓から外を眺める。
「違う世界の日本海軍か…確かに興味が湧く。それに本隊に所属している派遣艦娘部隊の所属元か…惜しい事をしてしまったな」
せっかくの機会を逃してしまい残念がるバラミールだった。
その頃 那覇港
「オーライ、オーライ…ストップ!」
元アメリカのアンカレッジ級ドック揚陸艦4番艦フォート・フィッシャーこと『泰平丸』からロシア版ペイトリオットことS300防空ミサイルランチャーと付属機材を載せたトレーラーが誘導員の誘導に従い離艦する。
艦内にはストレラー1やシルカ対空戦車も鎮座している。
「まさか、今度は沖縄へと行く事になるとはね」
TJS社対空部隊指揮官の日高は目の前の状況を見ながら呟いた。
対空部隊はケイシーの命令で沖縄の防空戦力増強の為に泰平丸とTJS社第2艦隊の護衛を受けてやって来た。
「さて、空からくるであろう連邦はどうしますかね?」
悪戯小僧の様に眼鏡を直しながら日高は言った。
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