沖縄上空
真っ先に上がってTJS社航空隊は現場空域に向かいながら集合しつつ編隊を組んでいく。
沖縄に展開するTJS社航空隊はSu-35スーパーフランカー20機とF35ライトニングⅡ 12機の二個戦闘航空隊。
双方、ステルス・非ステルス機の違いはあれど世界トップクラスの戦闘機である。
一番先頭にSu-35の『サンダーバード隊』、次にF-35の『SS隊』、これにTJS社の航空隊と空自のF-3・F-15戦闘機隊が続く。
なお、F-35の『SS隊』は夜間戦闘を得意としており、エドガー・ラバウル大佐が率いており、副隊長であるアレン・マクレガー大尉以下の隊員も凄腕揃いであり、『サンダーバード隊』とも実力・戦果は互角である。
そんな2つの部隊が先頭を切って飛ぶなか、接近する大編隊を発見したE-2D早期警戒機が迎撃隊を捕捉したらしく、通信入れてきた。
『こちら、E-2D早期警戒機、コールサイン『イーグル・アイ』。迎撃隊応答願います』
「こちら、TJS社『サンダーバード隊』隊長ヴィットリオ大佐。コールサイン『イカロス』。イーグル・アイ、現状を頼む」
『了解。敵編隊は戦闘機・戦闘爆撃機・攻撃機・爆撃機が集まった複合編隊。機種の状況により編隊は長方形になっています。なお、今のところ、敵側の早期警戒機の存在は確認されていません』
「了解した。動きがあればその都度報告を頼む」
『わかりました。御武運を』
「了解。交信終了…全機聞いた通りだ。何時も通り、サンダーバード隊が仕掛ける。後はコチラの独壇場だ。以上」
無線でTJS社・空自に指示を出すと『サンダーバード隊』4機はフルスロットルで敵編隊へと突入した。
『くそ! あのSu-35をなんとかしろ!!』
『ダメだ! あの4機は1機でも強いぞ!!』
『嘉手納は工作員が使用不能にしてたんじゃないのか!?』
『誰か、先回りして墜とせ!!』
『クソ! 俺が!!』
『やめろ! 敵のステルス機やF-15が来るぞ!!』
『なんだ!? 空自のF-15がSu-27の戦いに慣れてるみたいに手強いぞ!?』
『PMCだ!! 日本に味方してるPMCが鍛えやがったんだ!!』
『傭兵のクセに!!!』
……この様な会話が連邦軍の無線に流れていた。
ヴィットリオ少佐率いるサンダーバード隊4機が太陽を背にし、急降下で一撃を加え、それを追尾しようと護衛の戦闘機が動いた瞬間、後続のTJS社と空自の戦闘機隊が襲い掛かった。
これにより、空は乱戦の場となったが、ミサイルに、或いは機銃に捕捉され、墜ちていくのは連邦軍の殲シリーズばかりだ。
無論、TJS社・空自の練度が高く、また、早期警戒機からの情報共有があると言った事もあるが、決してそれだけではない。
1番の理由はTJS社の航空部隊が沖縄に進出してから襲来前日までヴィットリオ大佐以下Su-35のパイロット達は愛機を使って空自を模擬空戦で鍛えていたからである。
連邦軍、特に旧中国人民解放軍で主力であり、沖縄まで航続距離があるのは殲シリーズでもSu-27フランカーをコピーした殲11である。
そして、そのSu-27フランカーの正統発展型がTJS社にあるSu-35スーパーフランカーである。
特にヴィットリオ大佐の『サンダーバード隊』は編隊空戦から個別空戦まで徹底的にやり尽くした。
これに空自パイロットからは『編隊空戦でも厄介だが、単騎なら更に厄介だ』と語るほどにシゴいた。
特にヴィットリオ大佐自身が操るSu-35に関しては『人機一体過ぎだ!』と言われる程だった。
故に空自パイロットは充分にスホーイシリーズの『癖』と『対抗策』を知る事が出来だ。
よって、デッドコピーの殲シリーズ相手にも充分に対応出来た。
暫くして………
「イカロスから全隊全機、状況知らせ」
『ワイバーン、残弾微小。機体異常無し』
『ローレライ、残弾ゼロ。異常無し』
『ヘラ、残弾ゼロ以外異常無し』
『こちら、SS隊。全機残弾が少ない。一度補給に戻る事を進言する』
激戦の末、回れ右で逃げていく連邦軍残存機を横目にヴィットリオ大佐は全隊を集合させ、状況を確認する。
TJS社は全機揃っているが、空自は被弾離脱機が出ていた為、少し欠けている。
まあ、それでも連邦に比べればマシなのだが。
「イーグル・アイ、こちら、イカロス。敵情を報せ」
『イーグル・アイからイカロス。敵編隊は撤退しつつあり。ただ、最後尾の輸送機らしき反応は前進中。なお、敵艦隊への対応も必要なので、航空隊には補給を行うように指示が来ています』
『チッ、クズが。撤退したら督戦隊に銃殺刑なんて時代錯誤だぜ」
イーグル・アイからの通信にマーカスが吐き捨てる。
「ワイバーン、言っても無駄だ。全機、嘉手納に帰還する」
『わかってるよ、隊長。あぁ、爆弾積んでたら、北京まで飛んで馬鹿野郎共の真上に落としてやるのにな』
『なら、その時は付いて行くよ』
『犬、やめときなさい。アレン大尉も犬が付け上がるわ』
マーカスの 言葉にアレンが賛同し、呆れながら叢雲が言った。
但し、この時、戦闘機隊が引き上げたのは『これ以上追尾すると敵と思われて撃墜される』からだった。
暫くして……TJS社防空隊
「敵輸送機隊、対空機雷、並びに陸自の対空ミサイルを低空突破する模様」
オペレーターの報告に日高は頷く。
事前に敷設されていた対空機雷、左文字一尉の陸自高射特科の攻撃を突破・侵入してきた敵輸送機編隊。
この後は近距離対空ミサイルか対空砲の出番となり、長・中距離ミサイルの対応射程外に入ってしまう。
一応問題はないのだが、自棄になった人間は何をするかわからないのだ。
「左文字一尉より、ホーク並びにウチへ射撃要請!」
「S-300システム用意! ようやく出番だぞ!」
『ロシア版ペイトリオット』 S-300システムは4本の円形キャニスターを垂直に立ってて待機している。
なお、防空・対空に意識を向けるロシアらしくペイトリオットが苦手な低空対処能力も高い。
「データーリンクよし。ロックオン完了。ロックオン干渉も完了…射撃準備、よし」
「……撃て」
普段とは違い、冷たく静かに指示を出す日高。
円形キャニスターから発射されたミサイルは寸分違わずに輸送機へと命中した。
「目標撃墜…侵入機全機、撃墜しました」
「やれやれ…連邦とこんなやり取りをしないとならんとは嫌だね」
次号へ
ご意見ご感想をお待ちしております。