さて、馬鹿なテロリストはどうなるやら…。
暫くして……TJS社基地内
「分隊長と分隊先任はLIV、残りはBTRだ!」
「出るぞ! 急げ急げ!」
出動命令が出た強襲部隊は素早く自衛隊で採用されている軽装甲機動車とロシアのBTR-90に分乗すると基地から出動、居残りの社員達が見送る。
出動部隊が出動し、それから暫く後、ケイシーの社長室に電話が掛かってきた。
「もしもし、こちら、副司令の後藤です」
『やっぱり、君か。私だ、ニュースで知っているが、この事件に介入するのかな?』
後藤が受けた電話の相手は元帥だった。
「ケイシー曰く「腰抜けである警察に仲間の命を預けられない」との事です」
『だろうね。でも、今回は報酬はでないぞ? いいのか?』
「代わって、武蔵。元帥、ケイシーです。仲間を救いに行くのに報酬は要りません。人質救出とテロリスト殲滅はサービス…いえ、ボランティアで構いませんよ」
報酬の話が出たのでケイシーが後藤に代わるよう促し、代わるとケイシーは元帥に言いきった。
『……わかった。その次いで、と言ってはなんだが、あの占拠犯を1人か、2人、生きて確保してほしいのだが?」
「それは善処しますが…確たる約束は出来ませんよ?」
『その時はその時だ。なにか支援が必要かな?』
「余計なマスコミを退かして下さい。あと、県警にも手を出さない様に、と」
『承知した。マスコミは何処までやれるか解らないが、やってみよう』
「ありがとうございます。さて、正式に許可が下りたわ。地獄を見せてやりなさい!」
「ケイシー、元帥との約束も言わないとね」
苦笑いを浮かべながら、後藤は元帥の約束を含めて許可の事を伝えた。
暫くして……
「隊長、副司令からです。どうやら、介入の許可が下りた様です」
副隊長のアレクサンドル・アンドーレヴィチ・チェスノコフ少佐(45 男性)がユーリヤに報告した。
「わかった。各隊は先程の打ち合わせ通りの展開と配置で」
「了解しました。よし、みんな、やるぞ!」
アレクサンドル副隊長の指示に2台のLAVと同じく2台のBTR-90に分乗していた隊員達が素早く展開していく。
今回は10人一分隊の二個分隊と別働の支援隊である狙撃分隊(スナイパー&観測員のチーム×4+隊長・副隊長)の計30人(BTR-90のドライバー等を除く)である。
二個分隊は4つの5人一班に分かれ、内3個班がアウトレットモールの裏に回る。
「こちら、デルタ。建物に入るが異常は無いか?」
デルタ班を率いる元陸上自衛隊特殊作戦群所属だった安達幸雄(あだちゆきお)少佐(27 男性)が狙撃分隊に通信を入れる。
『こちら、狙撃分隊長。観測の結果、各裏口内部に見張りのテロリストが居る。これより、各狙撃チームが排除を開始する』
「了解、待機する。各員、狙撃後、突入」
指揮下の班員を指示を出すと突入態勢で待機する。
すると、暫くして裏口のドアに弾丸が命中した。
『こちら、アーチャー・フォー。見張りは排除した』
「了解。見事な腕だ。後で奢らせてくれ」
『それは作戦後に決めさせてもらう』
「わかった、いい返事を待ってる。よし、GO!」
安達を先頭に裏口を開けて突入するデルタ班。
すると、ドアを貫通した銃弾でヘッドショットで殺られたテロリストが転がっていた。
「クリア」
「うむ、前進だ」
班員が死亡を確認し、デルタ班は前進を再開した。
その頃………アウトレットモール内 広場
広場に集められた人質達は十数名のテロリストに包囲される形で見張られていた。
「政府からは何か言ってきたか?」
「いえ、なにも」
リーダー格の男がケース型通信機器を弄る部下に聞き、返答に不機嫌になる。
「政府は自分達の立場がわかってるのか? このままでは、人質の命も日本の未来も無いのだがな」
「だからって、こんな事をしたら本末転倒だろう!」
リーダーの言葉に人質の1人が反応して声をあげる。
すると、リーダーはその人質の足を撃った。
「い、いでぇぇぇ!?」
「ふん、お前みたいな空気が読めない奴が今の日本政府にいるから、連邦をはじめとしたアジアから恨まれるんだ」
吐き捨てる様に足を撃った人質に向かって言うリーダー。
その人質にキンバリーが近付く。
「大丈夫か、君? 傷口は…うむ、誰か、タオルと紐、適度な棒を持ってきてくれ。止血と傷口の保護を行なう。あと、ペンは無いか?」
「おい! 勝手に動くな!!」
近くに居たテロリストが中国製AK47をキンバリーの頭に突き付ける。
「私は医者だ。怪我人を放って置く事は出来ない。それに、人質が重傷になったと判れば、政府は君達の話なんて聞かないぞ?」
「な、なに!?」
「やめろ、それに、その医者の先生の言う通りだ。タオルと紐、棒だな?」
「あと、止血時間を書く為のペンだ。それがあれば、後任の医師も処置がしやすい」
「わかった、用意しろ。しかし、ついてるな。医者がいるなら、怪我人が出ても大丈夫だな」
リーダーの言葉にキンバリーは内心で舌打ちを打つ。
しかし、そんな事より怪我人の処置を優先し、周りの人質と共に処置にあたっていた。
そんな中、ローラ、潮、由良はひそひそと話していた。
(大丈夫、後藤さんやケイシー社長が動いてくれてるって)
(私たちは艦娘よ、こんなの慣れっこよ……人質なのが残念だけど)
(ですが、皆さんを無事に脱出させないと…)
(ケータイは取り上げられちゃったし………あっ!?)
周囲を見回していたローラが突然、視線を由良達に戻した。
(どうしたの? ローラちゃん?)
(うん、さっき、強襲隊のアレクサンドル副隊長がみえたの…どうやら、ケイシー社長達が来たみたい)
(なら、一安心ね……でも、大丈夫なの?)
(大丈夫だよ、だって、そう言う人達だもの)
そう言ってローラは微笑んだ。
その頃……アウトレットモールの広場頭上の天井
「天窓形式……これならいける」
ロープ降下での突入を準備してしていたユーリヤが率いる班。
その時、アレクサンドル副隊長から通信が入った。
『隊長、どうやら、人質な負傷者が出ました。いま、キンバリー先生が処置中です』
「……テロリスト達は?」
『その騒ぎに注意を奪われてます。うまく、キンバリー先生が気を惹き付けています』
「……音響閃光弾用意。20秒後に投擲」
『了解です』
ユーリヤの指示にアレクサンドル副隊長は了解の意思を示す。
そして、20秒後、ユーリヤ達にも判るほどの閃光が輝いた。
「突入!」
天窓をぶち破り、ロープ降下を行うユーリヤ班。
音響閃光弾で視覚・聴覚を奪われたテロリストがのたうち回る。
アウトレットモール内に潜入していた三班とロープ降下のユーリヤ班がテロリスト達を正確な射撃で制圧していく。
「くそ! 御前達! これを見ろ!」
人質の1人である店員を無理矢理立たせ、引き込むとリーダーは盾にした。
「おい! 人質が…」
リーダーの言葉を遮ったのはユーリヤが放った拳銃弾だった。
銃弾はリーダーの人差し指を拳銃ごと吹き飛ばし、中指は皮一枚で繋がる様な状態であった。
「ぎ……ぎゃゃゃゃゃあ!!」
のたうち回るリーダーに対し、ユーリヤはその変わらない表情のまま、右手を軍靴で踏み付ける。
「クリア! アレクサンドル副隊長、テロリストの制圧は完了だ」
安達がアレクサンドルに報告する。
「副隊長、この屑を拘束して。これで元帥への義理は立つ」
「はい。よし、リーダーの拘束と人質の安全確認だ! 急げ!」
こうして、事件はTJS社の部隊により無事解決した。
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